発注ナビを導入し半年で7件の受注に成功している企業がある。その高い受注率の背景には、冷静な自社の強みの分析と、それを活かすための受注に向けた取り組みがあった。今回お話を伺ったのは設立3年目の株式会社HAPILYの代表である長谷川太一朗氏だ。同社はシステム開発だけでなく、UI/UXのコンサルや個人事業主・小規模事業者支援事業なども手掛けている。コンサルで磨かれた課題の発掘力と分析力が、同社の発注ナビ運用にも大いに活かされていることがよくわかった。
社名 | 株式会社HAPILY |
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所在地 | 東京都港区三田3-4-3 RIPL9 308号室 |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | ITコンサルタント、受託開発事業、個人事業主・小規模事業者支援事業、メディア事業 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
会社設立から2年間にわたり着実に成長を遂げ、ビジネスも軌道に乗ってきたため、3年目を機に売上倍増のKPIを立てる。しかし、そのためには従来のリファラル営業以外に、新たな受注チャネルを確立していく必要があった。
- 導入後の効果
当初はエントリー数を最大化し、商談に持ち込める数を増やすことで成約率を上げていったが、半年間使っていくうちに、自社に合った使い方が見えてきた。できるだけコンペにならないよう、自社の強みを活かした営業スタイルを確立し始めている。
会社設立3期目に突入し、売上倍増のKPIを設定。類似のサービスの中でも発注ナビが自社に合っていた
株式会社HAPILYは2020年に設立され、システム製作・開発事業、UI/UX・ITコンサルタント事業、個人事業主・小規模事業者支援事業などを展開しながら、着実に成長を続けてきた。
従業員数は代表の長谷川氏を含めて3名。必要に応じて外部のエンジニアを起用してきたという。
そんな同社が発注ナビを導入した経緯とは、どのようなものだったのだろうか。
「当社は今年3期目に突入していますが、2期目までは開発・コンサルともにリファラルで受注していました。3期目に入り、10年、20年先を見据えて、今期は売上を倍増させようというKPIを定めました」(長谷川氏)
方針としては、人員を増やすというよりも、売上を上げつつ、原価を下げるという方針だったという。売上を伸ばすには、まず案件を受注しなければならない。そこで同社は、案件マッチングサービスを複数社検討した。
「検討した中で、一番“刺さった”のが発注ナビでした。普段からIT情報サイトであるアイティメディアを閲覧していたので、メディアを上手に活用しながらリードを獲得しているという部分は大きいと感じました」
結果、同社は発注ナビ、および競合サービス1社の2つのサービスを利用し始めたという。契約開始は2022年5月のこと。
2種類の案件マッチングサービスを使い始めた同社だが、発注ナビは同社との相性がとても良く、現在は発注ナビのみを活用しているという。
「当社としては、案件を通じてお客様とつながっていきたいと考えています。1つの案件が終了したら、それで終わりというのではなく、後になって別のニーズが生じたときに、また頼っていただけるような、そんな関係を築いていきたいと考えていました。発注ナビでは、紹介案件の後も、お客様と自由に商談ができる点は嬉しいですね。実際に、継続して案件を発注してくださるお客様が少なくありません」
事実、発注ナビで受注したお客様から、継続して受注した案件は、すでに10件を超えているという。
最初は量的な目安が分からず、戸惑いながらも月100件エントリーしていた
発注ナビ導入後の運用はどうだろうか。発注ナビの導入が5月の下旬で、11月下旬の段階で計7案件の受注を達成している。好成績と言えるだろう。
そんな同社だが、導入当初はいろいろと試行錯誤をしたようだ。
「こうした案件のマッチングサービスを使ったことがなかったので、最初のうちは、どう使っていこうかとかなり試行錯誤しました」
新着案件にエントリーする量が、特に掴みづらかったという。
「商談から受注までは、それなりに自信があったので、課題は接点でした。契約時に紹介割合は聞いていましたが、紹介後の商談の進捗や成約率などを考えると、どれぐらいエントリーすれば良いのかが分かりませんでした。そこで、まずは“出来るもの”はすべてエントリーしようと決め、初月は月に100件程エントリーしたと思います」
同社が選んだプランは、発注ナビの利用を月単位で選べるセレクトプランで、契約月数を契約期間内の任意の月に割り当てることができる。たとえば6カ月分を1年以内の任意の月に割り当てることができ、利用月内であれば何件エントリーしても料金が変わらない月額固定のプラン。
「契約時に聞いていた通り、エントリーした中から10%~20%程度は紹介してくれています」
発注ナビの利用が進むうちに自社の強みを再確認できた!
利用を進めていくうちに、自社の強みを再確認することにもつながった。
「当社はWebシステムをはじめ、AndroidやiOSのアプリ、最近ではメタバース関連まで、幅広い分野を手掛けており、デザインも含めてトータルに対応できる体制が整っているため、提案の幅が広いのが強みです。しかし、あらかじめ要件が細かく決まっている案件で、競合の開発会社とコンペになると、付加価値を出しづらく、なかなか自社の強みを生かせません」
「コンサルからスタートするのも当社の得意とするところで、要件がしっかりと定まっていないお客様の案件は、受注につながりやすいですね。当社は課題を掘り起こすところから始めて、分析していく段階から深く関わっていきます。その上で、そもそもシステムを作る意味があるかどうかというところから判断することもあります。もし、システムを作る必要がないということになれば、コンサル料もいただいていません」
これは、同社がリファラルで営業してきたからこその特長とも言える。お客様との関係構築を第一に置き、目先の案件獲得よりも、本当にお客様のためになるのかどうかを考えるというスタンスだ。
「当社はベンチャー企業で、まだまだ実績も知名度もない分、お客様に寄り添うことで価値を出していくというスタイルになります。システムベンダーというよりは、並走して一緒に作り上げていくパートナーという感じです。それだけに“目の前の案件をいかに獲得するか”に固執せず、接点のあったお客様に、どれだけ寄り添えるかを大事にしています」
商談は一番最初に!そして発注ナビがヒアリングした内容に固執しないこと!?
具体的に同社における発注ナビの運用は、どのように変化していったのだろうか。
「コンペに持ち込まないこと意識しています」
これまでよりも、要件が固まっていない案件に積極エントリーするようになったが、それだけで成約率が上がるわけではない。
「一番大事にしていることは、どの企業よりも早く商談させてもらうことです。可能であれば、他社よりも先に当社と商談してくださるようお願いしています。そのため、早めにレスポンスを返し、密に連絡を取るようにしています。」
そして、もう一つ。お客様の要件が固まっていない案件だからこそのアプローチがある。
「発注ナビでヒアリングしている内容に固執しないことです。決して発注ナビのヒアリングを信用していないわけではありません。発注ナビ側は、お客様からのご要望を詳しく聞き取ってくれています。でも、課題はもっと上流にあることが多い。お客様が、なぜそういうものを作りたいと判断されたのかという根本的なところを探ってみたら、実は正解が別のところにあったという事例は珍しくありません。上流に遡って解決の提案をしていけるのが当社の強みでもありますから」
お客様に寄り添うという点では、予算面でも同社なりの提案があるという。
「コスト面も柔軟に対応できるようにしています。たとえば新規のサービスで、最初からあれもこれもと機能を盛り込んで見積金額600万円でスタートしたとします。でも、良かれと思って実装した機能がまったく使われないということもあります。そしてリリース後に新たな機能の需要が高まり、実装するための開発費が上乗せされていく。無用な費用と工数が発生してしまい、これではお客様にとっても当社にとっても得になりません。それならば、ノーコード開発ツールを使って30~50万円でβ版を作成してリリースし、需要や課題が見えてきたところで、必要な機能を備えた正式版を500万円かけて開発するという方法もあります」
これについてはリニューアル案件ならば、もっと簡単だという。
「既存システムからの変更点を、紙の上でペーパープロトを作成したり、Figmaのような簡易Webデザインツールで紙芝居的なものを作成したりして、ユーザーヒアリングを行うなど、ほんの一手間二手間かけることで、前述のような無駄を省くことができます」
こうしたお話を伺うと、徹底的な自社の分析と、それに合わせた工夫や取り組みこそが、短期間に多くの受注を獲得した秘訣であることがよくわかった。
コンペでも勝てるようになるのが今後の課題
今後も、お客様に寄り添うやり方は変えないという同社。一方で、要件が決まっている案件に対してもコンペを勝ち抜けるようにするのが課題だという。
「売上倍増の目標は継続していきます。限られた人数で売上を伸ばしていくには単価を上げる必要がありますが、そこには価格に見合う付加価値が必要です。コンペで勝ち抜くための実績を積み上げていくこと、固まった要件の中にも当社ならではの提案を盛り込めるだけのノウハウを蓄積していくことが必要だと考えています」
また、今までよりも間口を広げ、もっといろいろなお客様にもアプローチしていきたいという。
「個人事業主や小規模事業者は、ビジネスを大きくしていこうという思いや熱意が大きい。そうしたお客様にも積極的に寄り添っていきたいと考えています。その経験は、今後当社が提供していく支援事業サービスに活かすことができるはずです」
支援事業を通じて、ゆくゆくは、個人事業主と企業とをつなげていく役割なども考えているという。
「5年、10年先の話にはなりますが、そうして間を取り持つことで、人材不足も解消できたらいいな、と考えています」
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