社内システムは、主に自社内で開発を行う方法と、外注に依頼して開発を行う2つの方法があります。システム開発会社が増えている現代では、開発環境やノウハウを持たない企業でも、社内システムの開発が可能です。しかし、中には内製でシステム開発を行いたいと考えている企業も多いでしょう。本記事では社内システムの開発・構築に悩んでいる方へ向けて、内製で開発する際の注意点から外注する際の注意点や依頼先の選び方まで解説します。ぜひ本記事を参考に、自社に最適なシステム開発へ向けて動き出してみてください。
目次
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社内システムの開発・構築を行うポイント
社内システムの開発・構築を行うポイントは、下記の3つが挙げられます。
なお、社内システム開発の流れについては、以下のページでも紹介していますので、参考にしてみてください。
●技術部と現場とで意見交換をする
システム開発には、技術力不足や開発工数の増加、コスト面など多くのリスクを抱えています。社内システムを内製で開発する場合、まずは技術部と現場とで意見交換をしましょう。例えば、社内システムを開発する際に技術部門が考えているシステムと、現場が求めているシステムが違うことがあります。こうした認識のズレを放置していると、見当違いのシステムが完成するリスクが高くなります。ほかにも、思わぬところからリスクが出てくる場合もあるでしょう。そのため、社内システムを開発する際は、問題点を洗い出した上でどのように進めるべきかを検討するのが大切です。
●プロジェクトのスケジュールを管理し、コスト削減を意識する
社内システム開発を行う場合、当然ですが社内のエンジニアが必要です。社内にエンジニアがいない場合は、転職市場などから優秀な人材を獲得する必要が出てくるでしょう。そのため、人材獲得に関するコストや、入社後の教育コストなども必要です。また社内エンジニアを用意したとしても、開発期間が伸びれば伸びるほど、人件費コストはかかってきます。そのため、適切な工数で開発できるようにスケジュールを管理し、コスト削減を意識する必要があります。
●内製だけの開発が難しい場合は専門家のサポートやアドバイスも検討する
最近ではクラウド環境の浸透や、システム開発会社の増加によって、社内システムを外注している企業も増えてきました。内製だけでシステム開発をするのも手ですが、課題が出てきた場合は専門家のサポートやアドバイスを検討するのも良いでしょう。一部の工程だけを外注に依頼して、ハイブリッドなシステム開発を行うのも手です。
内製で開発・構築した時に注意すべきこと
内製で開発・構築した時に注意すべき点は、主に下記の2つです。
●新しいデバイス・システムへの対応
社内システムを内製で開発する場合、新しいデバイス・システムへの対応には注意が必要となります。なぜなら、システムの改修時に、バージョンなどを適切に管理できていないケースが多いためです。不適切な管理例として、最新のソリューションファイルが複数ある、過去に更新を行った仕様変更や修正箇所が履歴に残っていないなどが挙げられます。このような対応をおざなりにしてしまうと、社内システムの品質低下を招き、動作が不安定になってしまいます。そのためOSのバージョンアップやアップデートに対応する、法令改正にともなうシステムの改修を行うなどが必要です。バージョン管理システムなどを導入して、対応すると良いでしょう。
●運用・検証
内製での開発を行う際には、開発したシステムが実際に運用できるか検証が必要になります。システムによって業務が効率化されていなければ、手間をかけてシステムを開発した意味がありません。これは、開発したシステムのすべての機能が対象です。すべての機能を検証することで、自社内で活用できるかが見えてきます。
一方、こうした検証を行うことで、工数や開発期間が長引く、保守コストが発生するなどの問題も出てきます。また、開発者が退職などをしてしまうと、システム運用の方法やシステムの全容がわからなくなってしまう懸念もあります。エンジニアが少ない企業だと、一人の退職が大きなダメージになってしまい、プロジェクトが頓挫してしまう可能性もあるでしょう。そのため、チームでのバックアップ体制やプロジェクトを推進する環境などが大事になります。
サイロ化も要注意
社内システムを開発する際は、システムのサイロ化に注意しましょう。ここでいうサイロ化とは、社内で利用しているシステムやアプリケーションが、各々孤立してしまい、情報が連携されていないシステム環境のことです。
システムがサイロ化されてしまうと、「情報を横断的に確認できないため、ビジネスの現状を把握できずに迅速な意思決定が難しくなる」「データの有効的な活用ができない」「コスト面や効率面で障害が生じてしまう」などの問題が発生します。昨今は、AIやIoTなどを活用するのに情報は不可欠です。そのため、社内システムを内製する際は、別の部門で利用しているシステムとの連携は必須といえるでしょう。システム開発後に社内で孤立してしまい、サイロ化してしまわないように注意が必要です。
社内システムを内製以外で導入するには
社内システムを内製以外で導入する方法は、主に3つ挙げられます。
●パッケージ品を導入する
パッケージ品とは、どの企業でも利用ができるように設計された汎用的なシステムです。このパッケージ品には、コストが抑えられ、導入までの時間が短縮化されるメリットがあります。なぜなら、すでに仕様が決まっているシステムのため、金額も決まっており、自社に合わせてカスタマイズする必要がないからです。そのため、外注などと比較すると導入費用を大きく抑えられます。
ただし、パッケージ品は汎用品のため、必ずしも自社の運用に合っているとは限りません。導入費用や時間は短縮されますが、パッケージに合わせて自社の業務フローを変更する必要がでてくるかもしれません。
●パッケージをカスタマイズする
パッケージ品はそのままも導入できますが、パッケージを発売している企業に依頼して、自社に合わせたカスタマイズをしてもらうことができます。機能の追加などが主なカスタマイズになりますが、必要以上に機能を追加してしまうと、カスタマイズ費用が高くなってしまう可能性もあります。
●システム開発を外注する
自社での開発に限界があるなら、開発を外注する方法もあります。外注先はオーダーメイドの依頼を受け付けているため、自社の業務フローにもっとも適したシステムが導入できるのが最大のメリットです。しかし、途中でシステムの検証や問題点の修正など、場合によっては導入予定日よりも、導入に時間がかかってしまう可能性があります。
システム開発を外注したほうが良い理由
システム開発会社が増えている現代では、社内システムの開発は外注(アウトソーシング)をおすすめします。システム開発を外注したほうが良い理由は主に下記の2つです。
●開発費用を安く抑えられる
外注した場合、内製でのシステム開発と比較して開発費用を安く抑えられる可能性が高くなります。なぜなら、社内で新たにエンジニアを採用するコストや、開発用のマシンの設置、システム部門の設置など環境を整備するコストなどが必要ないからです。また、内製の場合はスケジュールの遅延などによって、追加コストが発生してしまう場合もあります。
そのため、社内でシステム開発の環境が整っていない場合は、外注したほうが開発費用を安く抑えられます。また外注は自社にとって必要な分だけを依頼するので、開発予算に合わせた柔軟な調整が可能なのもメリットです。
●開発会社によって運用や保守、アフターサポート、システムのカスタマイズなどを行ってくれる
どのようなシステムも、開発したらその作業が終わったことにはなりません。開発したシステムを長期的に運用し、自社の利益に直結させることが目的です。開発会社の中には、開発後の運用や保守、アフターサポート、また要望に合わせたシステムカスタマイズを行ってくる会社もあります。内製での開発だと、これらも自社内で完結させる必要がありますが、その分のコストや人材が必要です。
一方、外注の場合は専門的なサポートを受けられるため、社内に専門的な知識を持つ人材を用意しなくても運用が可能です。導入後の運用面でも不安があるならば、外注を行ったほうが長期的に見て、自社のメリットになるでしょう。
システム開発を外注する時の注意点
システム開発を外注する時の注意点は、主に下記の3つです。
●目的に沿ったシステムを開発してもらえない場合がある
外注へ依頼する場合、意図がうまく伝わっていない、システムの目的が明確になっていないなどの理由で、目的に沿ったシステムを開発してもらえないこともあります。当然ですが、開発されるシステムは自社の目的に合ったものでなければなりません。そのため、「どういうシステムを作ってほしいのか」「システム開発によって、どのような業務を効率化していきたいのか」などを明確にする必要があります。
依頼する際には、自社の業務にとって「どのような機能が必要なのか」「必要な機能の中で優先順位はどれになるか」などを落とし込むと良いでしょう。また、どうしても難しい場合は「システム開発によってどのようにしたいのか」だけを明確にし、開発会社と相談しながら進めるのも1つの方法です。
●情報漏洩のリスクがある
外注する際は、情報漏洩にも注意が必要です。なぜならシステムを開発する際に、個人情報や企業情報などの機密情報を外注先に開示する必要があるからです。万が一、情報漏洩の事故を起こしてしまうと、企業の社会的信用は大きく落ちてしまいます。そのため、外注先と秘密保持契約(NDA)を締結し、情報漏洩を起こさないように徹底する必要があります。依頼したシステム開発会社によっては、再委託が行われることもありますが、安全性を担保するために再委託先にも同様に秘密保持契約(NDA)を締結してください。
●開発・構築に関する知見・ノウハウが蓄積されない
システム開発を外注している間は、社内に開発・構築に関する知見・ノウハウが蓄積されません。将来的にシステムを内製化したいと考えているのであれば、開発・構築に関する知見・ノウハウは必須といえます。将来的な内製化を考えている場合、システム稼動後に優秀なエンジニアを採用してノウハウを蓄積させるなど対策が必要です。
システム開発会社の選び方とは
外注を選択した際の、システム開発会社は下記の3点を意識して選ぶと良いでしょう。
●業績・実績のある会社に外注する
繰り返しになりますが、開発システムは長期的に運用していくものです。そのため、システムを運用している間の安定稼働はもちろんのこと、メンテナンスやアップデート、機能改善などあらゆる面での継続性が必要です。これまでの業績・実績のある会社を選ぶことで、安心感にもつながります。外注先を選定する際に、導入実績などを明示してもらうのも良いでしょう。また、外注先の決算書を確認することで、長期的にサポートが得られるかの判断材料にもなります。
●セキュリティ意識の高い会社に外注する
先述したように、外注の依頼は情報漏洩のリスクも高まります。そのため、セキュリティ意識の高い会社に依頼することも大切です。秘密保持契約(NDA)の締結はもちろんのこと、外注先が開発の際にどのようにデータを安全に扱うのかを明示してもらうのが理想です。
●クオリティを重視するなら自社開発の会社に外注する
開発費用よりもクオリティを重視するのであれば、自社開発の会社に依頼するのもおすすめです。自社開発を行っている会社は、スキルの高いエンジニアを抱えている会社が多いほか、代理店などの仲介を挟まずにコミュニケーションが取れます。直接的なやり取りができる分、迅速な対応や細かい要望を伝えることも可能です。良いものを長くという考えであれば、自社開発会社に外注するのは最適な選択といえるでしょう。
依頼前にしておくべきこと
外注先に依頼する前に確認すべき点は、下記の4点です。
●目的や課題を明確にして依頼内容を固める
まずは、自社がなぜこのシステムを開発したいのか、自社のどのような課題をシステムによって解決したいのかを明確しましょう。目的や課題がブレたままだと、ふんわりとした要望になってしまい、思っていたのと違うシステムになってしまう恐れもあります。そのため目的や課題を明確にし、依頼内容へ落とし込んだ上で意思のある要望にすることが大事です。
●予算をあらかじめ決めておく
予算をあらかじめ決め、予算内で最大の効果を出せるシステム開発を目指しましょう。外注先も依頼者側に予算があるのは理解しているので、予算は〇〇万円以内などと伝えれば、予算内でできること、難しいことを伝えてくれます。また付ける機能によって、金額の差は大きくなりますので、予算を決めておくことで必要な機能や優先度が低い機能などを見極めることも可能です。
●依頼候補の会社から見積書の作成を依頼する
システム開発の依頼を行う会社には、見積書の作成を必ず依頼しましょう。自社の予算と相違がないか、見積もりの金額で費用が高い箇所はどこかなどが把握できます。また、見積もりは1社ではなく、複数社からもらうことで金額差などが見えてきます。必ずしも金額面だけで選ぶことはありませんが、開発費は依頼先を決める上で欠かせない要素です。
●開発会社の得意分野・開発言語を把握しておく
システム開発の外注は、開発会社ごとの得意分野・開発言語を調査・把握しておくのも大事になります。なぜなら、事前に得意分野を把握しておくことで、自社に適した開発会社かどうかを絞り込めるからです。システム会社のオフィシャルサイトには、開発実績などが公開されているので、企業選びの参考にするのも手です。
業務の効率化のためにクオリティの高い開発を
今回は、内製で社内システムを開発する際の注意点や外注する際の依頼先の選び方などを解説しました。
社内システムの外注は、「社内にノウハウが蓄積されないのでは?」「セキュリティ面で不安」という方も多いでしょう。しかし、契約やサポート体制を持続させることでデメリットの克服が可能な場合もあります。よりクオリティの高いシステムが欲しい場合は、外注での開発がおすすめです。仕事の効率化のためにも、より良いシステムの導入ができるように検討、推進していきましょう。
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