
IoT(アイ・オー・ティー)とは、モノに通信機能を搭載してインターネットに接続・連携させる技術です。腕時計に通信機能を搭載したApple社のApple Watchをはじめ、2010年代にはSony、東京電力、Amazonなど多くの企業がIoT関連の商品やサービスの展開を始めました。今回は、IoTの基本的な概要や仕組み、近年普及している理由、身の回りの活用事例についてご紹介します。
目次
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IoTの基本
IoTとは「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と訳されています。現実世界の物理的なモノに通信機能を搭載して、インターネットに接続・連携させる技術です。
PCやスマートフォン、プリンタ、据え置き型ゲーム機など、これまでインターネットに接続されていたIT機器以外に、テレビや冷蔵庫、エアコン、時計、自動車などのアナログ機器もデジタル化して、インターネットに接続することでデータの連携が可能となります。例えば、Apple社が発表したApple Watchは腕時計ですが、スマートフォンと情報の連携が可能なウェアラブルデバイスです。
身の回りの生活に関するあらゆるモノがインターネットに接続することで、これまでになかった新しい価値や発見が生まれます。IoTは、これからの生活や仕事をより便利で豊かにする画期的な仕組みといえます。
IoTの仕組みとは?

デジタル機器ではないモノとインターネットを接続させることで、どこからでも操作ができるようになります。また、人が操作してインターネットに接続するだけではなく、モノ自体がインターネットにアクセスすることも可能です。
●モノ(人)からインターネットを通じて情報を取得
IoTではモノ(人)からセンサーでデータを取得し、インターネットを通じて情報の形でまとめます。例えば、Apple Watchを身に着ければ、その人が歩いた道や距離、心拍数、血圧を自動的にデータ取得できます。
●集めたデータをビッグデータで蓄積
集めたデータは、IoT製品を身に着けた人専用のデータではなく、ビッグデータとしてクラウド上のサーバストレージに蓄積されます。
●蓄積したデータをAIで分析
集められた大量のデータはAIで分析され、必要な情報としてデジタル化されます。そして、デジタル化された情報をモノに共有することで、新しいサービスを提供します。
IoTの機能・技術によってできること

IoTの機能・技術によってできることを具体例を交えながら紹介します。
自社での活用方法の参考にしてみてください。
●リアルタイムでのモニタリング
IoTでは、インターネット環境があればいつでもどこからでも、リアルタイムでモニタリングが可能です。
例えば、電車やバスなど公共交通機関の運行状況が知りたいときに、IoTを活用すれば、現在バスがどこを走っているのか、いつバス停に到着するのかがリアルタイムで確認できます。
他にも、ダムの貯水量を把握するためにIoTを活用すれば、現場に行って目視で確認することなく、リアルタイムの状況を常に確認可能で、リソース削減につながります。
●インフラの整備
IoTを活用するとインフラの整備を円滑に行うことができます。
例えば、橋やトンネル、道路などのインフラ整備には、知識を豊富に持った人材と、確認作業を行うための労力が必要となります。
そこで、IoTを活用して正常時のデータを蓄積したうえで点検を行えば、正常時と異なる箇所を発見することが可能です。
自動で老朽化や異常箇所を検知して、事故を未然に防ぐことができ、人的ミスも起こらず、定期検査の労力が削減できます。
●収集したデータを事業活動に活かす
収集したデータをもとに、問題点や改善点を見つけることで、労働環境の改善や売上向上のための対策に活かすことができます。
例えば、工場内の製造過程のデータを集計した際に、次の工程に入るために移動が必要など、無駄な導線が見つかれば導線を改善することで、働きやすい現場づくりができます。
他にも、顧客の動向を集計したデータをもとに、ターゲット層の把握や、店内の適切な商品陳列などの改善に活かすことが可能です。
●リモート機能
IoTのリモート機能を活用すれば、遠隔操作が可能となり、現場に行かずに電源のオン・オフなどができます。
例えば、防犯カメラにIoTを活用すれば、遠隔地にいても不審者の検知が可能で、防犯カメラ映像をもとに警備会社に依頼し、対応を促すことができます。
他にも、予知保全機能を活用すれば、設備や機器の不具合の兆候を予知して修繕することが可能です。
IoTの普及が進んでいる理由

IoTの普及が進む理由には、大きく分けて3つあります。
●IoT導入にかかるコストの低下
昔は高価だったセンサーや通信チップは、近年、コストが下がりつつあります。IoT製品はモノからセンサーでデータを取得するため、センサーや通信チップが不可欠です。通信機器のコストが下がったことで、多くの企業がIoT製品に参入できるようになりました。その結果、消費者にとってもIoT製品を購入しやすく、手に取りやすい環境が整っています。
●機器のサイズダウン技術の発達
センサーや通信チップは技術の発達により、昔に比べて縮小・軽量化が進んでいます。ただ小さくなっただけではなく、小さくても十分に性能が発揮できます。サイズダウンによって、時計やリストバンドなど小さな製品にも搭載が可能となり、スマートウォッチなど身に着けるウェアラブル機器も登場しています。
●スマートフォンの普及
世界中の多くの人がスマートフォンを持ち歩いています。そのため、スマートフォンを起点にしてさまざまなIoTの仕組みを構築できるようになり、スマートフォンを使ってIoT製品の操作が簡単に行えるようになりました。
例えば、家の中にIoT製品のビデオカメラを設置すると、スマートフォンから家の中の様子をリアルタイムでチェックできます。防犯のための監視用としてはもちろん、留守中のペットの動きを見守ったり、子供の帰宅状況を把握したりと、さまざまなシチュエーションに活用できます。
IoTのメリット

IoTのメリットは、大きく分けて4つあります。
メリットを知ったうえで活用することで、IoTを最大限有効活用できます。
●業務効率化・リソース削減につながる
IoTを活用して、監視や商品管理を行うことで、従来は人の手が必要だった部分を機械でカバーできるため、大幅なリソース削減につながります。
従来、人員と時間をかけて行っていた点検作業や、現地に行って目視で行っていた確認作業を機械が行うようになることで、当該業務にかかっていた時間を他の業務に活かせます。
リソース削減により、作業員の負担や労力が減り、業務の効率化が図れます。
●リアルタイムでデータを可視化・データを活用できる
IoTでデータを収集し、蓄積させることで、データを活用した異常検知などが可能になります。
収集した正常時のデータをもとに、点検作業を行うことで、人間によって検査基準が異なる、見落としが発生するなどのトラブルを回避できます。
データを可視化することで、問題点を数値やグラフで発見できるようになり、改善に活かすことが可能です。
●顧客体験の向上・ニーズの把握ができる
顧客の動向や嗜好などのデータを収集することで、顧客のニーズが把握できます。
例えば、店舗内での顧客の動きから、レイアウトの変更や新しい商品の開発に活かせます。
人気商品が分かれば、購入しやすい導線にレイアウトを変える、ターゲット層と実際に商品を購入した層が異なる場合は、ターゲットに合わせて商品を改善するなどの対策を講じることが可能です。
●新規事業のヒントを得られる
データ収集をすることで、顧客のニーズを把握でき、新規ビジネスのヒントを得られます。
顧客のニーズに沿った商品やサービスの新規事業を進めることで、ターゲット層に適した商材を提供でき、顧客満足度と売上が向上する効果が期待できます。
IoTの活用事例と新しいサービス

IoTは生活を便利にするための技術として、すでに身の回りの多くの製品に導入されています。IoTを活用した新しいサービスについてご紹介します。
●スマートハウス
スマートハウスとは、家中の設備や家電製品とインターネットがつながっている住宅です。スマートフォンひとつで、どこにいても設備や家電製品の操作ができます。
例えば、外出先から消し忘れた部屋の電気や家電製品の電源を消したり、帰宅前にエアコンを付けて室内の温度を調整したりと、快適な生活がIoTによって実現できます。
また、家だけではなくIoTの最先端技術を用いて街全体をインターネットとつなげ、インフラとサービスを効率的に管理・運用しながら持続的な経済発展を目的とした都市(スマートシティ)の実現も進んでいます。
2020年1月には、トヨタが静岡県にスマートシティの実験都市「ウーブン・シティ」を開発するというプロジェクトを発表しており、2025年秋に正式オープンする予定となっています。
●バスロケーションシステム
バスロケーションシステムは、バスを利用する人にとって便利なIoT技術です。
京都市交通局の市営バスのバス停に設置されており、バスの接近状況をわかりやすく案内してくれる表示システムです。京都は国内外問わず観光客が多く訪れます。そのため、普段から道路が混雑し、バスが予定時刻に間に合わず、遅延が頻繁に発生します。
そこで、導入されたのがIoTを利用したバスロケーションシステムです。車両ごとの運行状況をリアルタイムで確認できるため、バスがあとどれくらいで到着するか確認できます。
●ヘルスケア機器
ヘルスケア機器は、近年注目されている健康促進のためのIoT製品です。Apple Watchなどのスマートウォッチや、センサーが搭載された衣類であるスマートファブリックなどが代表例として挙げられます。
こうした機器を身に着けると、心拍数や活動量、血圧などの推移が自動的に記録されます。日次のデータを蓄積していくことで日常的な体調の変化を知ることができ、その情報を共有することで医師の正確な判断に役立てることもできます。
IoT機器を搭載した歯ブラシで歯磨きを行うことで、正しく歯磨きができているかどうかをチェックし、そのデータを取得するというユニークな商品もあり、ヘルスケア系機器はIoT製品の中でも数多くリリースされています。
また、人だけでなく、犬の首輪に付けられるペット用のヘルスケア機器も登場しています。動物は自分で不調を訴えることができません。そのため、毎日の散歩での移動量や休息の時間、脈拍といったデータを収集してモニタリングすることで、飼い主が早期に体調の変化に気づくことが可能です。
●自動運転車
自動運転の実現には、IoT技術の連携が欠かせません。車載センサーやカメラが収集する膨大なデータは、5GやV2X(車同士・道路インフラとの通信)を通じてリアルタイムにクラウドやエッジサーバーへ送信されます。
そこでAIが交通状況や天候、周囲の車や歩行者の動きを分析し、その結果が即座に車へフィードバックされることで、安全かつ最適な走行判断が可能になります。
さらに、車をインターネット経由で進化させるOTAもIoTの仕組みに支えられており、車両は常に最新のアルゴリズムを取り込みながら進化していきます。
現在、レベル1〜2の運転支援システム(車線維持や自動ブレーキなど)は広く普及していますが、レベル3(条件付き自動運転)は各国でまだ限定的です。日本ではホンダが100台のみ市販化しましたが、安全性・法整備・インフラ面など課題も残されています。
一方、市場全体は今後10年で急速に成長すると予測されており、IoTを基盤としたデータ連携と学習がその推進力となるでしょう。
また、ロボタクシー領域では、Waymoが米国都市で完全自動運転サービスを実用化し、テスラも自社AIとIoT通信基盤を組み合わせてオースティンで展開を拡大しています。
物流分野ではAuroraが自動運転トラックの商用運行を開始し、配送システムともIoTで統合されつつあります。2025年は、IoT技術を背景に自動運転が「実験段階」から「社会実装」へと進んだ節目の年だと言えるでしょう。
●スマート工場
工場内の生産ラインの省人化と効率化を計るために、IoTの活用が始まったスマート工場が増えてきています。工場にある各機械や生産ラインなどにインターネットを接続させ相互通信をさせたり、遠隔から状況を確認・計測・制御したりすることが可能です。
その結果、生産状況を把握しやすくなり、より効率的な体制を考案・実地して生産性・品質向上を図れるといったメリットが得られます。
こうした工場をスマート工場またはスマートファクトリーと呼び、海外だけではなく日本でも推進する取り組みが行われています。日本では、2015年に総務省と経済産業省など協力のもと、IoT技術の活用促進のための民主導組織として「IoT推進コンソーシアム」も設立されました。
今後、急速に発展していくIoT技術により、製造業そのものの革新が期待されています。
IoTはセキュリティ面が課題となる

IoTを活用した技術において使われるシステムは、一般消費者向けのものだけではありません。生産業や製造、インフラ設備などでも導入されており、IoTによって便利になる反面、セキュリティ上の課題もあります。IoTを活用することで、あらゆるモノをネットワークに接続しデータを集めて分析することで人々の生活や経済活動、重要インフラなどにも影響を及ぼすことになります。
特に、今までネットワークに接続することのなかった家具や家電などにもIoT化が進むことで、急激にインターネットにつながるデバイスが増え、それだけサイバー攻撃の対象になるものが一気に多くなるということになります。パソコンやスマートフォンであれば、ウイルスソフトをインストールすることで異常を検知しやすくする方法が多くありますが、家電の場合、現状はそうしたものに対応するウイルスソフトもなく、故障なのかウイルス感染なのかわかりにくい状態です。そうしたことから、ウイルスやマルウェアの感染にユーザーが気づかないまま、ずっとウイルスに感染し悪影響を及ぼし続けてしまう可能性もあるため、セキュリティ面における対応策が急務となっているのです。
IoTを今後、安全に活用するためにも総務省から新たな方針が発表されました。その内容が「IoT機器に不正アクセスを防ぐ機能の実装を2020年4月から義務化する」というものです。これにより、セキュリティ対策を有しているIoT機器のみ販売が許可されることになり、サイバー攻撃からIoT機器を守る動きが急ピッチで進められています。
セキュリティ面で課題はあるものの、IoTを活用することで人類の生活をより良くすることが可能になる期待があるため、使う側もリテラシーを高めていきましょう。
IoTは生活の進化を加速する
スマートフォンが普及したことで、公共Wi-Fiも整備され、さらにIoTが導入されやすい環境が整っています。IoTの技術は、モノへの搭載で画期的な製品やサービスを生むだけでなく、公共交通機関の管理や農業で畑の管理に導入されるなど、身近な場所で活用の機会が広がっています。これからはインターネットによってさらに便利になり、IoTの技術は生活の中で当たり前のサービスへと拡大していくでしょう。
まだビジネスで導入していないという人も、今回の記事を参考にして、今のうちにIoTについて理解を深めておきましょう。気になるIoT製品やサービスがあれば、試してみてはいかがでしょうか。
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