クラウド(cloud)とは英語で「雲」を表す単語のことですが、IT業界においてはまったく別の意味で使用されているのをご存じでしょうか。
今回は、IT業界で使われるクラウドの基礎知識やメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
システム開発に最適なクラウドを導入すれば、開発担当者が実現を目指す「開発効率の向上」や「開発コストの削減」も夢ではありません。
目次
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「クラウド」ってどういう意味?
IT業界におけるクラウドとは、分かりやすく言えば「インターネット経由で利用するアプリケーション(またはサービス)」を指す言葉です。「クラウドサービス」や「クラウドコンピューティング」と呼ばれることもあります。
クラウドの大きな特徴として、インターネット環境があれば「いつでもどこでも利用できる」ということ、その利便性から個人や企業を問わず幅広く使用されています。世界的な動画共有サービスとして馴染み深い「YouTube」や、文書や写真などのデータをオンライン上で管理できる「Microsoft OneDrive」など、著名なクラウドサービスも少なくありません。
従来のアプリケーションは、パソコンやスマートフォンにデータをインストールして使用するのが一般的でしたが、クラウドはシステムやデータの管理をすべてネット上で行うため、使用の際にインストールをする必要がありません。通信技術や回線速度が急速に発達した、現代ならではのサービスと言えるでしょう。システム開発においては、業務効率や開発速度の向上を目的に、クラウドを利用する企業も数多く存在します。
ちなみに、インストールが不要なクラウドに対して、パソコンやスマートフォンにインストールをして使用するアプリケーションやサービスのことを「オンプレミス」と呼びます。業務管理やリモートワークなど、業務でクラウドが役に立つ場面は様々ですが、以下の項では、クラウドの主な用途やメリットなどを詳しく解説します。
クラウドを使ってできること
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システム開発の環境構築
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仮想サーバの運用管理
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エンジニアの勤怠管理や給与計算
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取引先とのスケジュール共有
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データのバックアップ など
システム開発を担う企業では、主に上記のような用途にクラウドを利用しています。「インターネット上でデータ管理を行う」という特性上、クラウドを使用すると場所を選ばずに開発や管理業務を行いやすくなります。この、「どこでも利用できる」というクラウドの特徴を活かして、外部のエンジニアと連携してシステム開発を進めたり、働き方の異なるエンジニアの勤怠管理を行ったりと、多様な用途に使用できるのが魅力です。
クラウドサービスの中には、Web通販サイトとして知られるAmazonが開発した「AWS Cloud9」や、マイクロソフトが提供するサービスとして高い認知度を誇る「Microsoft Azure(マイクロソフトアジュール)」など、システム開発にサービスも数多くあります。それぞれで搭載されている機能や料金体系などは異なりますが、「開発業務にクラウドを導入したい」と考える企業担当者の方であれば、それぞれのクラウドで「具体的に何ができるか」を把握しておきましょう。
企業でクラウドを導入するメリットとは?
使用の際にインストールが不要なクラウドと、インストールが必要のオンプレミスには、それぞれでメリット・デメリットが存在します。
システム開発におけるメリット | システム開発におけるデメリット | |
---|---|---|
クラウド | 開発環境をスムーズに構築できる 導入コストや運用コストが低い リモートワークを推進しやすい |
セキュリティリスクが高い システムをカスタマイズしにくい |
オンプレミス | システムをカスタマイズしやすい 回線トラブルに苛まれにくく処理速度が早い 自社内で管理をする分セキュリティ性が高い |
環境開発の構築に時間がかかる 導入コストや運用コストが高い システム管理に知識や技術が必要 |
●開発環境をスムーズに構築できる
例えば、システム開発の環境構築をローカル(オンプレミス)で行うと、個々のエンジニアやパソコンごとにソフトウェアのインストールが必要となります。結果として、設定作業に時間がかかってしまうことに加え、ソフトウェアのアップデートや変更にも多大な労力が発生してしまいます。
反対にクラウドであれば、インターネット上で提供されている開発環境を利用するだけなので、面倒なインストールや設定作業は不要です。「システムの開発環境を素早く整えたい!」、「業務の効率化をはかりたい」と考える開発企業にとっては、オンプレミスよりもクラウドが役に立ちます。
●導入コストや運用コストが低い
環境構築の高速化だけではなく、クラウドには「コストを抑えやすい」という利点があります。クラウドはインターネット環境があれば利用できるので、開発に必要な機器やソフトウェアが不要です。おまけにクラウドは、オンプレミスのようにサーバ管理やメンテナンスに費用をかける必要もないため、初期費用や運用コストがかかりにくいのです。開発費を抑えたい企業担当者にとっては、オンプレミスよりもクラウドが強い味方となってくれます。
●リモートワークを推進しやすい
「働き方改革」という言葉が普及した現代では、エンジニアの働き方も多様化が進んでいます。クラウドであれば、オフィス内だけではなく自宅や喫茶店のような場所からでも開発業務を行えるため、企業でリモートワークを導入しやすくなります。クラウドの導入は、従業員のために労働環境の多様化を目指す企業にとっても最適です。
クラウドを導入するデメリットって?
●情報漏洩やデータ損失のリスクが高い
クラウドは、その特性上システムやデータの管理をすべてクラウド事業者に一任する形になります。万が一、事業者側でサーバの故障が発生してしまった場合、保存している業務データもなくなってしまう可能性が高いのです。また、情報漏洩が発生してしまった場合は、企業のデータも外部に流失してしまうため、結果として甚大な被害を被ることになります。クラウド事業者の多くは、セキュリティ対策やサポート体制を万全に整えていますが、「機密情報を他社に預ける」というセキュリティリスクについては留意しておく必要があるでしょう。
●システムをカスタマイズしにくい
事業者に管理を一任している以上、クラウドは「システムに手を加えにくい」というデメリットもあります。たとえサービスの使用中に使いにくさを感じたとしても、ユーザー側で自由にカスタマイズを行うことはできません。事業者側のアップデートにより、サービスの機能性や使いやすさが向上するケースもありますが、自社で管理ができない分、オンプレミスよりもカスタマイズ性に劣るのがクラウドの欠点です。
クラウドにはどんな種類がある?
さて、そんなクラウドにはSaaS(サース)、PaaS(パース)、IaaS(イアース)の3つの種類が存在します。内容が似通っているため、しばしば混同されることもありますが、それぞれで以下のような違いがあります。
クラウドの種類 | 概要 | 代表的なサービス |
---|---|---|
SaaS(Software as a Service) | インターネット上で利用できるソフトウェア | Gmail |
PaaS(Platform as a Service) | インターネット上で利用できる開発環境 アプリの稼働に必要なプラットフォーム |
Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール) Google App Engine |
IaaS(Infrastructure as a Service) | インターネット上で利用できる仮想サーバや ファイアウォールといったインフラ |
AWS Google Cloud |
いずれも「インターネット上で使用できる」という点は同じですが、「提供されているサービスの内容」に応じて、種類が分かれる仕組みです。
わかりやすく言えば、
ソフトウェアを提供するのが「SaaS」
システム開発に必要なツールや環境を提供するのが「PaaS」
仮想サーバやストレージなどのインフラを提供するのが「IaaS」なのです。
例えば、GmailやTwitterといったネット上で提供されるソフトウェアは「SaaS」に該当します。これに対して、Microsoft Azure(マイクロソフトアジュール)のように、ネット上でシステム開発用のプラットフォームを提供しているサービスは「PaaS」に該当します。企業でクラウドを導入する場合は、目的に応じてSaaSやPaaSなどのクラウドサービスを使い分けることになるでしょう。
システム開発でクラウドサービスを導入するには?
クラウドが普及している現代においては、システム開発に特化したクラウドサービスが数多く存在します。繰り返しになりますが、クラウドサービスごとに搭載している機能や料金体系などは異なるため、サービスを選択する前に企業で検討をしておくべきことがあります。
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クラウドを導入する目的は何か
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クラウドを使用する部署や人数はどのくらいか
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すでに使用している既存システムから移行または連携は可能か
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サービスの導入コストや運用コストはどのくらいか
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サービスのセキュリティに問題はないか
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クラウドの管理担当者を誰にするのか
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クラウドの使い方やルールを従業員にどのように周知するか
上記のような要素を事前に決めておくと、導入目的やコストなどが明確となり、企業に最適なクラウドサービスを選びやすくなります。とはいえITの知識やスキルに乏しいと、綿密に検討しても「どのクラウドを選べばいいのかわからない」というケースに陥りがちです。そのため、クラウドの選択や導入方法で迷った際は、自社に最適なクラウドの選択と導入をサポートしてくれる「コーディネートサービス」などを利用しても良いでしょう。
最後に、クラウドの導入に慣れていない場合、最初はクラウドサービスの利用を一部の業務や部署だけに限定することをおすすめします。これは、既存のシステムからクラウドへ一気に移行をすると、現場に混乱が生じるケースも少なくないためです。段階を分けたうえでクラウドサービスを導入すれば、スムーズな導入をより実現しやすくなります。
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