労務管理システムとは?機能や選び方をご紹介!

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労務管理システムを操作する人

バックオフィスのひとつである労務管理はアナログでの運用だと、非常に手間がかかり業務負担が大きくなってしまいます。そのためこうした手間や負担を減らすために「労務管理システム」の導入による業務効率化が、多くの企業で進められています。今回は労務管理システムのメリットや導入時のポイントなどを紹介しています。ぜひ本記事を参考に労務管理システムの導入を進めてみてください。

 

目次

 

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労務管理システムとは

労務管理システムとは企業における労務関係の業務を効率化させるシステムです。具体的には従業員の社会保険の加入や脱退、福利厚生や労働時間の管理などが含まれます。ほとんどの企業において、人材の採用などを担当する人事部が労務関係も合わせて行っていることが多いです。そのため従業員が多い企業になればなるほど、労務関係の担当者の業務負担は大きくなっていきます。労務管理システムの導入によって、労務にかかわるあらゆる業務をシステム化し、業務負担の軽減が期待できます。

 

労務管理システムの主な機能について

労務管理システムの主な機能は下記の6つが挙げられます。

それぞれの機能がどのような役割を果たしていくのかを解説していきます。

 

●入社・退社の手続き

従業員が自社に入社あるいは退社した場合、社会保険や雇用保険の資格を取得するための書類など、あらゆる書類のやり取りが発生します。また保険関係の書類のほかに扶養控除等申告書の作成も必要です。退社時には住民税に関する書類や源泉徴収票の交付なども必要になります。それぞれの書類の作成と関係機関への提出が主な手続きです。

 

●従業員情報の管理

従業員情報とは従業員の個人情報はもちろんのこと、マイナンバーの収集や管理、引越し時の住所変更などです。また扶養家族の追加や削除なども必要になります。

 

●年末調整の手続き

1年に1度行う、従業員への年末調整も労務管理システムで行えます。従業員1人1人への年末調整書類の作成と記入後の提出が必要です。年末調整には多くの書類が必要です。

  • 給与支払報告書

  • 源泉徴収票

  • 扶養控除等申告書

  • 保険料控除申告書

  • 所得税徴収高計算書

などあらゆる書類の作成を行えます。

 

●雇用契約書の作成・締結

従業員が入社する際の雇用契約書の作成・締結もシステム上で行えます。雇用契約書のほかにも秘密保持誓約書など入社時に必要な書類の作成と締結が可能です。

 

●就業規則や福利厚生の管理

労務管理システム上で自社の就業規則や福利厚生の管理、追加項目の決定や修正などが行えます。システム上で行えるため、修正後はすぐに従業員へ通知させることも可能です。従業員が働きやすい環境を目指す際に、システム上ですぐに明文化できるのは大きなメリットといえるでしょう。

 

●勤怠管理・給与計算の機能

労務管理システムには勤怠管理や給与計算の機能を備えているシステムもあります。勤怠管理はその名の通り、従業員の勤怠を管理するものです。打刻は正確に行えているか、残業が多くなっていないかなどを確認できるので、従業員が働くための健全な環境を整えることにつながります。給与計算機能は従業員の給与に関する計算を、規則に当てはめることが可能です。保険や年金にかかわる計算も問題なくシステム上で行えます。勤怠管理や給与計算は、それぞれでも独立したシステムとしてサービス提供されているものもありますが、労務管理システムを使って一括で行うことも可能です。

 

労務管理システムを導入したほうが良い理由

多岐に渡る労務管理に関する業務はシステムを導入したほうが良いといえるでしょう。理由は主に下記の4点です。

 

●書類作成の効率が良くなる

最も大きなメリットといっても過言ではないのが、書類作成の効率が改善されることです。なぜならシステム上ですべての書類の作成を行えるため、紙で行うよりも時間がかからないからです。労務関係は先述したように膨大な書類の作成と処理が必要になります。こうした膨大な書類の書類を紙で行ってしまうと、転記ミスが発生してしまう、書類の抜け漏れが発生してしまうなど起こることが多いです。しかし労務管理システムを利用すれば、転記などの必要はなく、従業員にシステム上に直接入力してもらうことができます。入力された情報をもとに必要な書類が自動で作成されるため、担当者の業務負担が大きく軽減できます。

 

●役所への書類提出の手間が減る

労務関係の書類は役所への提出が必要です。紙での提出を行う場合、郵送での対応が必要になるなど手間がかかってしまいます。しかし労務管理システムを活用すれば、提出書類の電子申請が可能になります。電子申請のため自分のデスクから提出することもできますし、ミスが発生してしまった場合はシステム上ですぐに対応ができるため、スピード感を持って対応ができます。

 

●書類の発行・手続きが早くなる

労務管理システムを利用することで、書類の発行・手続きが速くなります。なぜなら書類の発行はシステム上で自動で行われるようになり、従業員に書類を手渡しして手続きを行うなどの手間もなくなるからです。1人1人の従業員に対して紙で発行する必要もなく、メールで記入依頼を行い、直接システムに入力してもらうことも可能です。紙を受け渡してのやり取りが減るため、手続きが早くなります。

 

●従業員の情報を一元管理できる

労務管理システムには従業員の必要な情報を管理できる機能があります。住所や扶養家族の情報、マイナンバーの情報などを、システム上で管理が可能です。労務管理システムには検索機能も備えているため、従業員の必要な情報に素早くアクセスできるのもメリットです。紙での管理の場合だと書類ごとに整理を行い、必要な情報を探すのにも多くの手間がかかってしまいます。従業員にかかわるあらゆる情報をシステム上で一元管理できるので、担当者の手間が減ることにつながります。

 

労務管理システムが注目されている背景

労務管理システムが注目されている背景には「働き方改革による影響」が挙げられます。なぜなら労務管理など企業のバックオフィスにかかわる業務は、膨大な量を多岐に渡って対応しなくてはいけないからです。労務の担当部署などは、時期によって残業も多くなってしまうことも少なくありません。そのため労務管理システムを導入して、業務効率化を目指し、生産性を上げようとする機運が広がっています。実際に労務管理システムの導入で、業務改善につながっている企業も多いため、さらに注目が広がっています。

 

労務管理システムを選ぶポイント

労務管理システムは多くのサービスが提供されているため、自社に適したシステムを導入することが大事になります。そのためポイントをきちんと押さえて選ぶことが必要です。大切にしたいポイントは下記の5点です。

 

●自社の業務に対応している

まずは自社の業務に対応しているかどうかです。労務管理システムの中には、ある機能は別サービスとなっているというものも珍しくありません。例えば、入社時に社会保険の書類はサービス内で作成できるが、雇用契約書の作成だけは別サービスになるなどです。自社がどこまでの範囲を行うのかをきちんと精査し、業務に対応しているサービスを入れることで業務効率化につながります。

 

●ほかのシステムと連携しやすい

労務管理システムは単独で動くのはもちろんですが、勤怠管理システムや給与計算システムと連携することで、より大きな効果を発揮します。そのため現時点で労務管理システムのみの導入でも、将来的に勤怠管理や給与計算でもシステム化を考えている場合は、連携を考慮して導入を考えると良いでしょう。また既存システムとの連携もしやすいかどうか確認しておくのも1つの手です。

 

●電子申請に対応している

先述したように労務関係の業務では書類を役所に届けなくてはならないなど、多くの申請業務が発生します。これまで郵送対応を行っていて、担当者の手間が増えていた場合は、電子申請に対応しているシステムを導入することで工数削減につながります。役所への提出や郵送対応による工数を削減し、業務効率化をさらに促進したい場合は見逃せないポイントといえます。

 

●システム販売元の会社に実績がある

労務管理システムは導入することが目的ではありません。導入後、長く運用をすることで業務効率化を達成することが目的です。そのため導入後にスムーズな運用が求められます。スムーズな運用を行うためには、システム販売元の会社に実績があると安心材料になります。これまでの導入実績はもちろんのこと、導入後のサポート体制などもあるとより良いでしょう。導入時はこれまでの導入事例や運用事例などを見せてもらい、判断材料にすると安心です。

 

●費用対効果が見込める

労務管理システムを導入しても使いづらい、うまく運用ができなくて反対に業務負担が増えてしまったなどになってしまうと本末転倒です。そのため導入後にきちんと費用対効果が見込めるシステムを選ぶことが大事になります。導入することで、いつまでの業務効率化が達成できるのか、生産性向上はどれくらいを見込んでいるのか、投資したコストはいつまでに回収できるかなどを計算し、費用対効果を見込めるシステムを選ぶようにしましょう。

 

労務管理システムの費用相場はどれくらい?

労務管理システムはクラウドで利用できるものと、パッケージ型として利用できるものがあります。それぞれの費用相場は下記です。

<クラウド型>
初期費用:3万円〜50万円
ランニングコスト:200円~500円/人(システム利用料)

<パッケージ型>
初期費用:30万円〜150万円
ランニングコスト:サーバー運用保守費用+人件費

 

クラウド型の場合はサーバーを別途立てる必要などもないため、初期費用が抑えられるのが魅力的な点です。一方でその分のランニングコストがかかってきます。システムを利用する従業員数によって金額は変わってくるため、企業の規模によって変わってきます。ほかにもクラウド型の場合は、システム管理なども販売元の会社が担ってくれる場合があるなど、管理の手間を省けるのが魅力的な点です。

 

一方でパッケージ型の場合はサーバーの設置費やシステムパッケージ費用、システム開発費などが必要になってきます。労務管理システムの機能が多くなればなるほど、性能の高いサーバーが必要になるため、こちらも企業の規模感によって変わってきます。その分、ランニングコストはクラウド型よりも安く済むことが多いです。サーバーの保守費用や専門のエンジニアなどを置く人件費などがかかってきますが、総額だとクラウド型よりも安い場合がほとんどでしょう。自社の状況や予算感に合わせて検討してみましょう。

 

●システムが無料で使えるって本当?

労務管理システムの中には無料で利用できるサービスも多く提供されています。機能が制限されているものやある分野に特化したものなど様々です。料金が自社にとってネックになる場合は検討しても良いかもしれません。しかし自社に必要な機能が備わっていない場合、オプションとして追加する必要も出てくるので注意が必要です。

 

●有料製品と無料製品の違い

有料製品と無料製品の違いは「利用できる範囲」が異なることです。有料製品の場合はあらゆる機能を利用できるほか、利用人数に制限がない・サポート対応の範囲が広いなど、多くのメリットがあります。反対に無料版の場合は、利用できる人数が月に〇〇人までと制限されている、ある機能は有料版でなければ利用できないように制限されているなどがあります。こうした利用できる機能や人数の違いが有料製品と無料製品の大きな違いです。

 

システム導入後に注意したいこと

システムはきちんと運用してこそ、自社の利益につながっていきます。そのためシステム導入後にも注意が必要です。下記の点をきちんと注意して、自社にとって適切な労務管理システムの導入を目指してください。

 

●会社の規模によってコストが高くついてしまう

システム導入時には企業は多くのコストを投資することになります。そのため自社の身の丈に合わない製品を導入してしまうと、コストが高くついてしまうので注意が必要です。システムを導入することで業務を効率化させ生産性向上を目指しても、見合ったコストでなければ費用対効果は生まれません。そのためきちんと事前にコストを計算し、導入後も運用を続けることが大切です。

 

●製品によって機能にばらつきがある

労務管理システムは製品によって機能にばらつきがあります。そのためある部分においては強い機能を備えていても、ほかの部分はイマイチであることも少なくありません。自社にとってどの製品がもっとも適しているのかはトライアルなどを通じて、実際に試すことで製品の良い点と悪い点が見えてきます。実際にシステムを動かし、自身の目で確かめることが大切です。

 

●システムの慣れるまで時間がかかる

導入後、すぐにスムーズな運用には至らないケースが多いです。なぜならシステムにすぐに順応する方もいれば、時間をかけて理解していく方もいるからです。そのためマニュアルを用意するなど、少しでも従業員が利用しやすいように準備しておくことが大切になります。すべての従業員がシステムに慣れるまでは、ある程度の時間がかかることを考えておきましょう。

 

実際の使用感を確かめながら導入を

労務管理システムの導入により、書類の作成や発行、業務の手間が削減されるなど多くのメリットを感じられます。しかし自社に適していないシステムを導入してしまうと、コストがかかってしまう、担当者が使いこなせないなどにつながってしまいます。自社に適した労務管理システムを導入するためにも、ポイントや注意点を押さえて選んでみてください。

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