パーソルグループの一員として、テクノロジーソリューション事業を手掛けるパーソルクロステクノロジー株式会社。同社のシステムソリューション統括本部はグループ各社からの紹介案件が多く寄せられるため、一定数の案件は獲得できていたものの、グループ外への新規顧客開拓という課題にどう対応すべきか頭を悩ませていた。そこで、同社では対応する業種・業界の幅を広げ、大規模から小規模まで顧客の規模にとらわれずに幅広く新規顧客を開拓するために発注ナビの利用を開始。最終的に、大規模案件の継続的な獲得という成果を上げることができた。発注ナビ利用前の課題や利用の経緯、成果について同社システムソリューション統括本部の桑名と営業部の宮崎氏にお話を伺った。
社名 | パーソルクロステクノロジー株式会社 |
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所在地 | 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビルディング51F |
従業員数 | 10,000名以上 |
事業内容 | ITシステムやアプリケーションのシステム開発・インフラ設計・運用における派遣・準委任・フリーランスサービス、自動車、ロボットなどの設計・開発・実験における請負・派遣サービス、AIやDXを活用したIoT、モビリティサービスの導入支援 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
パーソルグループを母体としている同社はグループ各社からの紹介案件が多く、そこから一定数の案件獲得ができていた。その一方、グループからの紹介案件への対応が増えることで『人材や人事系に強いシステム開発会社』というイメージが強くなりすぎてしまい、他業種・業界からの新規案件獲得に壁を感じていた。
- 導入後の効果
2020年3月から発注ナビの利用を開始。これまでに、数千万円の大規模案件を平均で年間2件程度コンスタントに獲得した。さらに、大規模案件だけではなく100万円以下の小~中規模案件も幅広く獲得することに成功。失注した場合も商談をきっかけにフォローをすることで、発注ナビを起点とした新たな顧客接点の獲得とその維持・強化ができるようになった。
グループ外から幅広く新規顧客を獲得したい
同社の母体となるパーソルホールディングスは、人材系の事業を手掛けることで広く知られている。同社も人材系システム開発に強みがあると思われがちだが、もちろんそれだけではない。自動車や航空宇宙、産業機器、家電、ロボットといったものづくり領域から、システム、通信、Web、AIといったIT領域まで幅広く事業を展開しており、客先常駐型の開発経験も豊富だ。幅広い経験やスキルを持った数多くのハイレベルなエンジニアを擁する、テクノロジーソリューション企業といえる。
同社はこれまで、官公庁から中小企業までさまざまな顧客の業務課題を解決するシステム開発を行ってきた。特に要件定義に力を入れており、業務課題解決のために最適なシステムを提案することを基本スタンスとしている。
こうした強みを持つ同社だけに、これまでにもシステム開発の案件は一定数、獲得できていたという。同社はグループ間での紹介案件が多く、良い実績を残すことができれば、それを起点としてさらに他の部門・部署や他社の案件を紹介してもらえる。受注のサイクルとしては好循環の中にあったといっても良いだろう。
しかし、そんな同社にも悩みはあった。冒頭でも触れた『人材系に強いシステム開発会社』というイメージが強すぎたのだ。桑名氏は「人事システムに強いというイメージがあり、他の業種業界のシステムへも対応の幅を広げていきたいと思っても、なかなかそういった案件を獲得できませんでした」と振り返る。加えて、パーソルグループからの紹介案件に大規模なものが多かったことも悩みだった。大規模案件は一つの案件で大きな売上を得られるが、長期間の対応となる。その間、他の新規案件を獲得するための営業活動はできない。また、一度納品すると次のリプレースは数年後になるため、グループからの大規模案件だけに頼ってしまうと、万が一その案件が途絶えてしまったときのリスクが大きいのだ。桑名氏曰く、同社では、業種・業界、規模に関わらずに、グループ外から幅広く新規顧客を開拓したいという思いが強くなっていったという。
●左:システムソリューション統括本部 桑名氏
●右:営業部 宮崎氏
発注ナビ担当者から紹介される案件情報の質の高さも選定のポイント
同社では、グループ外での新規顧客開拓のため、営業部でウェビナーやセミナーを開催したり、イベントで集客したりといった施策を実施したという。しかし、獲得したリードに対して営業社員一人ひとりが対応するのは工数がかかり、効率が良くない。また、単なるリード情報からのアプローチは、相手が何を望んでいるのかをヒアリングする必要があるケースがほとんどだ。宮崎氏は「工数をかけて苦労してアポを取っても、話を聞いたら当社で対応できる領域の案件ではなかったということもよくありました。お客様が何を求めているか、どんなシステムを作りたいとお考えなのかが事前に分かれば、リードタイムの短縮につながり、効果的な営業ができます。それを考えてマッチングサービスを検討しました」という。
同社は、発注ナビを含め数社のマッチングサービスを検討していく過程で、実際にどういった発注者の案件があるのかを確かめるために発注ナビの案件閲覧プランに登録をした。同社は実際に案件を見てみたことで、案件規模や業種などを含め幅広く紹介してもらえることを感じただけでなく、ネームバリューのある大手企業からの発注が多かった点からも、同社がこれまで培ってきたノウハウ、強みを活かせると考えた。
また、実際の案件を確認できたことで、「発注ナビ側で案件の概要をヒアリングし、それを当社に共有してもらえること、その内容が詳細であることも分かりました。お客様が何をお望みか、その具体像をイメージしやすく、エントリーするかどうかの判断もしやすいと感じました。そこも発注ナビに決めた理由の一つです」という。
発注ナビの案件を一定期間確認したことで、コンスタントに質の良い案件があると判断した同社は、サブスクプランである『ベーシックプラン』に申し込み、2020年3月から本格的な利用を開始した。
大規模案件から小規模案件まで!業種・業界・規模の大小にかかわらず幅広く案件を獲得
発注ナビを利用した同社のこれまでの成約件数は4件で、小規模から大規模まで幅広く案件を獲得できている。この結果について桑名氏は「想定よりも大きい案件をいただけた」と評価している。
なぜ、同社ではこれだけ大きな案件を継続的に獲得できているのか。理由や工夫を尋ねたところ、「具体的な提案をすることを心掛けています」とのことだった。大きな規模の案件は、スタートから完了までに時間がかかるため、『まだ細かいところは決まっていないが、とりあえず前に進めたい』というパターンも意外に多いという。ただし、大きな投資が発生するため担当者となる顧客は経営層に対してきちんと説明する必要がある。つまり、「お客様は『何にどれだけお金がかかるのか』、『どういった目的のシステムなのか』といった、経営層に説明する内容をベンダー側に求めているのです。そこを当社では営業担当者任せにせず、必要に応じて技術側のメンバーも同席して、要求のヒアリングや提案のすり合わせを具体的にします。こうすると、お客様からは『大きすぎて何も決まっていない状況だったものが、とても具体的になってきた』と喜んでいただけることが多い。それが理由かもしれません」。
また、発注ナビを実際に使ってみての感想について、宮崎氏は「営業としては、紹介された後の『いざ商談』というタイミングでのアポイント調整が重要なのですが、発注ナビのシステムは、すぐに発注者に連絡をとって商談日時を調整しようと思ったときにとてもやりやすいです。メッセージ機能や候補日機能で初回のアポの調整を効率化できるところが良いですね」と話す。
さらに同社では、出会った顧客から発注ナビの案件とは別口で相談を受けることでさらに深い関係を構築できたり、失注となった代わりに同じ顧客の別案件や別部署から新規で発注をもらうなど、発注ナビを起点とした新たな営業活動ができているという。宮崎氏は、「新規のお客様と出会い、アポイントや商談などの接点を持つことは、実はとても難しいことです。それを自社の営業担当者に代わって効率的に、しかも『確実に』やり遂げてくれる、そこが最大のメリットですね」と評価している。
また、桑名氏は自身が感じている『他のマッチングサービスと発注ナビとの決定的な違い』についても教えてくれた。それは、きめ細かいフォローとサポートだ。「当社のニーズもヒアリングしていただき、例えばこういう案件が欲しいというと、それならこんなアピールポイントを入れた方がいいとアドバイスしてくれます。他のマッチングサービスのほとんどは担当者が出て来ることすらない中で、ここまでフォローやサポートをしてくれるのはとてもありがたいと感じています」。
一方、これまでの利用の中で新たな課題も見えてきたようだ。桑名氏は「この案件はぜひ受注したいとエントリーしても、必ず商談や受注に至るとは限りません。エントリー案件のうち一定割合が商談になるとは聞いていますが、問題はその後です。商談した後に受注できるかどうか、すべて我々の提案力にかかっています。この受注確率をもう少し向上できたらいいと感じています」と今後の方向性を示す。
案件を取ることが目的ではなく、接点を作ることが目的という使い方が効果的
これから発注ナビを利用しようとしているシステム開発会社に対し、桑名氏は次のようにアドバイスする。「案件を取ることが目的というよりは、接点を作ることが目的という使い方をするのが効果的だと思います。案件が取れなかったら終わりではなく、商談の機会をいただけたらそれをフックに関係性を作っていく、そういう活動ができると捉えれば、メリットは得られると思います」。
宮崎氏も、「新規のお客様との接点の獲得については、今まで自分たちが持っていない接点を獲得できるので非常に有益だと思います。既存のビジネス領域と違うところを狙いたいと思っても、実績がないとなかなか難しいのですが、発注ナビの利用でそのハードルが少し下がると思います」とメリットを強調する。同社からお話を伺っていて、発注ナビを『何を目的に、どう使うか』が自社内の関係者全員でしっかりと共有されているように感じた。つまり、同社の発注ナビの活用法にはブレがないのだ。確固たる方針のもと、目先の受注・失注に一喜一憂せず活用し続ける。そこが同社ならではのノウハウといえそうだ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
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