IT業界におけるクラウドの中でも、誰でも導入しやすくて利用しやすいクラウドサービスとして、パブリッククラウドが人気を集めています。このパブリッククラウドを導入する前に、ある程度パブリッククラウドがどういったもので、同じクラウドに分類されるプライベートクラウドとの違いを理解することが大切です。今回はパブリッククラウドを導入するメリットやデメリット、プライベートクラウドとの違い、業務にあったクラウドサービスの選び方について解説します。
目次
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IT分野におけるクラウドの意味
パブリッククラウドについて説明する前に、まずはIT分野におけるクラウドがそもそもどういったものなのかについて解説します。
分かりやすくいえば、クラウドとは「インターネット経由で利用するアプリケーションやサービス」を指す言葉です。
クラウドサービスの例としては、「iCloud」などが挙げられます。iCloudはiOSデバイスの画像データや音楽データ、動画データなどをクラウド内で管理することで、新しいiOSデバイスに変えてもそこからデータを簡単に同期させられます。従来は、こういったサービスを利用するためには、ソフトウェアを購入する必要がありましたが、クラウドの登場でそのクラウドのアカウントさえあれば、データ管理が手軽に行えるようになったのです。
この他にも、メールサービスで知られる「Gmail」もクラウドの例として挙げられます。Gmailはアプリもありますが、ブラウザからGoogleアカウントを使ってログインすれば、デバイスに関係なくいつでも利用できます。一方、同じメールサービスのOutlookはクラウドには該当しません。Outlookはブラウザ上で使うことができず、必ずアプリをインストールしてアプリ上で使う必要があります。
クラウドといわれるとあまりイメージが湧きにくい人もいると思われますが、「ネット環境があれば使用できるアプリやサービス」という認識でも良いでしょう。クラウドについてより詳しく知りたい人は、別ページの記事も参考にしてみてください。
■IT業界で使われる「クラウド」とはどういう意味?どんなことができるの?
そして、このクラウドにはプライベートクラウドとパブリッククラウドの2種類が存在します。以下の項からは、これらの特徴や違いについて触れていきます。
パブリッククラウドとは?導入するメリットは?
パブリッククラウドがどういったものなのか、以下の表に簡単にまとめました。
パブリッククラウドとは | |
---|---|
意味 | 不特定多数のユーザーが使えるプライベートクラウドサービス |
メリット | 誰でもすぐに使える |
最低限のコストで使える | |
管理の負担が減る | |
デメリット | 業務の効率化を十分には発揮しきれない |
既存のサービスとの互換性がない可能性がある |
パブリッククラウドとは不特定多数のユーザーが使えるプライベートクラウドサービスです。
パブリッククラウドは完全にオープンなクラウドであるため、サーバーだけに限らず、OSやソフトウェア、回線を含めたすべての環境において、すべてのユーザーが共有して使用できます。また、パブリッククラウドは従量課金制を採用しており、必要最低限のものだけ使えれば良い人にとっては安く使えます。一方で、別途必要な機能が欲しい人にとっては、必要な分だけ料金を払うことで追加機能を使用できるため、すべてのユーザーが無駄な料金を支払わずにクラウドを利用できます。
他にも、保守管理を自分たちで行う必要がないため、システム管理を行う担当者の負担を減らすことも可能です。ただし、機能のカスタマイズの内容を自分たちで設定できないことも多く、保守管理を自分たちのやり方に変えられません。そのため、後述するプライベートクラウドと比べると業務の効率化を十分に発揮することは難しいのがパブリッククラウドです。加えて、自社で展開しているサービスのデータベースやサーバーと提供されているパブリッククラウドの互換性がなく、そもそも使用できない可能性がある点にも注意しなければなりません。
プライベートクラウドとは? 導入するメリットは?
プライベートクラウドの概要やメリット・デメリットは以下の通りです。
プライベートクラウドとは | |
---|---|
意味 | 特定の個人や企業だけが使えるプライベートクラウドサービス |
メリット | 柔軟にシステム構築ができる |
企業ポリシーに合わせたセキュリティに合わせて構築できる | |
自社外でも運用管理ができる | |
デメリット | コストがかかる |
機能の拡張、縮小が難しい |
プライベートクラウドは特定の企業や個人だけが使うことのできるプライベートクラウドサービスで、OSやソフトウェア、回線は企業(個人)で設定できます。そのため、自由にクラウドをカスタマイズして運用することが可能です。不特定多数が使えるパブリッククラウドとは、真逆の特性を持っています。
オープンなクラウドだと、自分たちの使いやすい形に組み替えることができないため、業務の効率化を第一に考えるならプライベートクラウドが向いています。特に、企業ごとにセキュリティに関するポリシーが決められていることが多いため、自由に組み替えられるとそういった点にも対応可能です。
またクラウドサービスであることから、自社外でもクラウド内のデータの運用管理ができるため、緊急時にも滞りなく業務を進められます。一方で、自由に組み替えるためにはそれだけコストがかかってきます。加えて、綿密な計算を元に導入する機能が組み込まれているので、一度現場で導入してしまうと、後で機能の拡張や縮小を行うとなるとかなり手間がかかってしまいます。
ちなみに、プライベートクラウドにはオンプレミス型とホスティング型の2種類存在します。オンプレミスとはソフトウェアやネットワーク機器などを自社で保有して運用する形態のことを意味し、オンプレミス型のプライベートクラウドは、従来のオンプレミス環境とは違ってサーバー環境を物理的なものから仮想的なものに変えて提供するクラウドです。
一方で、ホスティング型プライベートクラウドは、サーバー環境はホスティング業者から提供してもらい、VPNなどの方法でネットワークに接続するクラウドです。どちらを採用するかで、コスト面やカスタマイズ面、セキュリティ面などの優位性も若干変わってきます。
どちらのクラウドサービスを選ぶべき?
2つのクラウドサービスは、それぞれ得意な分野と不得意な分野があり、適切な方を選択できないとクラウドの導入に失敗して無駄なコストがかかってしまいます。そこで、クラウドサービスの選び方やそれぞれのクラウドの選ぶべきケースを紹介します。
●クラウドサービスの選び方
クラウドサービスの選び方は主に以下の4つが考えられます。
-
サーバーやOSの種類
-
データ容量と機能性に応じた料金
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セキュリティ
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サポート体制
クラウドサーバーはソフトウェアが利用できるSaaS、アプリ開発のプラットフォームとして使われるPaaS、ソフトウェアやOSなどを自由に組み替えてインターネット上のインフラとして提供されるIaaSの3種類に分けられます。また、OSの種類もいくつかあって、主にLinux系OSとWindows系OSが提供されています。
これらの種類をクラウドサーバーの使用目的に合わせて選択すれば、使いにくさを感じることなくクラウドサービスを活用することが可能です。何とか使えるクラウドサービスを利用できても、基本料金はもちろん、ストレージのデータ容量や追加機能に対する料金があまりに高額だと経営を圧迫してしまいます。
必ず無駄な料金を払っていないか考えて、必要なものを必要な分だけ選択するように心掛けた方が良いでしょう。クラウドはインターネット上でデータを管理するプラットフォームとなるため、当然セキュリティ性についても気にしなければなりません。どちらのクラウドを使うにしても、暗号化通信や2段階認証などのセキュリティ対策がしっかり行われているものを使ってください。
なお、クラウドサービスを導入したばかりの頃だと使い方や考え方がわからないと感じ、ある程度慣れた人でもトラブルに見舞われることもしばしばです。そういった時にすぐに対応できるようにサポート体制を整えておく必要もあります。
●プライベートクラウドを選ぶべきケース
プライベートクラウドは、カスタマイズ性に優れていて、セキュリティやトラブルに対応しやすいように構築することが可能なクラウドです。そうなると、パブリッククラウドよりあらゆる場面に対応できるような、複雑かつ規模の大きいクラウドであるといえます。プライベートクラウドは、そういった点から大企業やそれなりに規模の大きい中小企業が導入するのに向いています。
個人で導入するとなると、プライベートクラウドはコストが大きくかかってしまうため、そのコストを1人の稼ぎだけで支払っていこうと思うと、かなり大きな負担になってしまいます。純粋に働き手が多い組織の方が生み出す利益は大きく、その分ある程度コストが高くなっても業務の効率化を優先してプライベートクラウドを導入しやすいです。
●パブリッククラウドを選ぶべきケース
パブリッククラウドは、従量課金制で必要な機能は別途追加して支払う形であるため、個人でも支払えるほどの安いコストで導入できるクラウドです。クラウドを構築する時間も必要なく、運用の不可も軽いので手軽に使いやすい特徴があります。少なくとも個人で使う分には、クラウドが自分に合わせるというより、自分がクラウドに合わせにいくスタンスで事業を展開していくことをおすすめします。
一方で、中小企業や大企業がクラウド側に合わせるとかなり負担が大きくなってしまうため、基本的にはプライベートクラウドにした方がメリットは大きいでしょう。仕様を鑑みて、大企業や中小企業であっても、導入しても問題なく使えるならパブリッククラウドを採用してみても構いません。
なお利用者の規模に関係なく、プライベートクラウドに比べてパブリッククラウドのセキュリティ性はやや低めです。障害問題が発生するとホスティング業者頼りで、復旧に時間がかかってしまう点は理解したうえで導入を進めてください。
●業務に合ったクラウドサービスを選ぶ方法は?
企業で取り扱う業務に相応しいクラウドサービスは、総合的に考えてプライベートクラウドを選択して、一からシステムを開発していった方が、メリットは大きいでしょう。導入までにコストや手間暇はかかってしまいますが、一番それが企業で失敗なくクラウドサービスを利用する方法だといえます。
最近では、企業独自の業務システムを導入して、業務の効率化をはかったり、勤怠管理を通じて労働者のワークライフバランスを確保しつつ、人件費のコストカットを行う企業が増加しています。その中で、ブラウザ上で扱える業務システムだとセキュリティ性に欠けるとして、業務システムのクラウド化が注目されているのです。
これは新規で業務システムを構築する企業と、すでに業務システムを持ち合わせている企業のどちらに対してもいえることです。この時、一度にすべての業務システムをクラウド化することは少なく、基本的にはクラウド化する範囲とオンプレミスのままにする範囲を定めて、少しずつクラウド化を進めていきます。そのため、クラウド化を進める際には、クラウド構築を得意とするシステム開発に強い企業にアウトソーシングして、自社の業務に合わせたシステム開発を依頼することをおすすめします。クラウド構築を得意とする企業は以下のページにまとめてあるので、チェックしてみてください。
2つのクラウドサービスの違いを知って適切な選択を
パブリッククラウドとプライベートクラウドは、同じクラウドでも利用者の対象がまるで異なり、それに合わせてカスタマイズ性やコスト、セキュリティなどといった面で大きな違いが見られます。この違いを理解して、どちらのクラウドを採用するかを見極めることがクラウドサービス選びを成功させるためには重要です。
基本的にはパブリッククラウドは個人から大企業まで幅広いユーザーが利用できる仕組みにはなっています。ただ、ある程度規模の大きい企業となるとパブリッククラウドでは十分に業務を効率化することが難しく、特にセキュリティ面でクラウドの方針と会社の方針にズレが生じてしまう可能性があります。最終的にどちらのクラウドサービスを選択する場合でも、自社の運用スタイルに関する事前計画をじっくり行うことが求められます。両者のクラウドサービスの特徴やメリット・デメリットを理解できていれば、自社の目的と照らし合わせて、最適なサービスを正しく選ぶことができるでしょう。
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