
IT業界におけるクラウドの中でも、誰でも導入しやすくて利用しやすいクラウドサービスとして、パブリッククラウドが人気を集めています。
このパブリッククラウドを導入する前に、ある程度パブリッククラウドがどういったもので、同じクラウドに分類されるプライベートクラウドとの違いを理解することが大切です。
今回はパブリッククラウドを導入するメリットやデメリット、プライベートクラウドとの違い、業務にあったクラウドサービスの選び方について解説します。
目次
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国7000社以上からご提案
IT分野におけるクラウドの意味

パブリッククラウドについて説明する前に、まずはIT分野におけるクラウドがそもそもどういったものなのかについて解説します。
分かりやすくいえば、クラウドとは「インターネット経由で利用するアプリケーションやサービス」を指す言葉です。
クラウドサービスの例としては、「iCloud」などが挙げられます。iCloudはiOSデバイスの画像データや音楽データ、動画データなどをクラウド内で管理することで、新しいiOSデバイスに変えてもそこからデータを簡単に同期させられます。
従来は、こういったサービスを利用するためには、ソフトウェアを購入する必要がありましたが、クラウドの登場でそのクラウドのアカウントさえあれば、データ管理が手軽に行えるようになったのです。
この他にも、メールサービスで知られる「Gmail」もクラウドの例として挙げられます。Gmailはアプリもありますが、ブラウザからGoogleアカウントを使ってログインすれば、デバイスに関係なくいつでも利用できます。
一方、同じメールサービスのOutlookはクラウドには該当しません。Outlookはブラウザ上で使うことができず、必ずアプリをインストールしてアプリ上で使う必要があります。
クラウドといわれるとあまりイメージが湧きにくい人もいると思われますが、「ネット環境があれば使用できるアプリやサービス」という認識でも良いでしょう。
クラウドについてより詳しく知りたい人は、下記ページの記事も参考にしてみてください。
▷IT業界で使われる「クラウド」とはどういう意味?どんなことができるの?
そして、このクラウドにはプライベートクラウドとパブリッククラウドの2種類が存在します。以下の項からは、これらの特徴や違いについて触れていきます。
パブリッククラウドとプライベートクラウド特長の比較

パブリッククラウドとプライベートクラウドの特長の比較一覧表は、以下の通りです。
| 項目 | パブリッククラウド | プライベートクラウド:オンプレミス型 | プライベートクラウド:ホステッド型 |
|---|---|---|---|
| 導入のスピード感 | すぐに導入可能 | 一定の時間が必要 | すぐに導入可能 |
| 導入・運用コスト | 最も安価 | 最も高額 | パブリッククラウドよりも高額 |
| 運用リソース | 自社ですべて対応 | 使用管理:自社 インフラ管理:ベンダー側 |
使用管理:自社 インフラ管理:ベンダー側 |
| セキュリティ面 | クラウド事業者による | 非常に優れている | 非常に優れている |
| カスタマイズ性 | 高い | 低い | 高い |
| 適したユーザー層 | Webサイトを運営したいユーザー | 社内システムに活用したいユーザー | 社内システムに活用したいユーザー |
導入スピードやコスト、運用のリソースなど、それぞれ異なるため、自社の目的とニーズに合ったクラウドサービスを選択することが成功のカギです。
独自のシステムが必要な企業は、自社に適した機能が使えるカスタマイズ性の高さがあるか、強固なセキュリティ対策が必要な企業はセキュリティ面など、企業によって要件を満たしているかが判断材料となります。
パブリッククラウドとは?導入するメリットは?

パブリッククラウドがどういったものなのか、以下の表に簡単にまとめました。
| パブリッククラウドとは | |
|---|---|
| 意味 | 不特定多数のユーザーが使えるプライベートクラウドサービス |
| メリット | 誰でもすぐに使える |
| 最低限のコストで使える | |
| 管理の負担が減る | |
| デメリット | 業務の効率化を十分には発揮しきれない |
| 既存のサービスとの互換性がない可能性がある | |
パブリッククラウドとは不特定多数のユーザーが使えるプライベートクラウドサービスです。
パブリッククラウドは完全にオープンなクラウドであるため、サーバーだけに限らず、OSやソフトウェア、回線を含めたすべての環境において、すべてのユーザーが共有して使用できます。
また、パブリッククラウドは従量課金制を採用しており、必要最低限のものだけ使えれば良い人にとっては安く使えます。
一方で、別途必要な機能が欲しい人にとっては、必要な分だけ料金を払うことで追加機能を使用できるため、すべてのユーザーが無駄な料金を支払わずにクラウドを利用できます。
他にも、保守管理を自分たちで行う必要がないため、システム管理を行う担当者の負担を減らすことも可能です。ただし、機能のカスタマイズの内容を自分たちで設定できないことも多く、保守管理を自分たちのやり方に変えられません。
そのため、後述するプライベートクラウドと比べると業務の効率化を十分に発揮することは難しいのがパブリッククラウドです。
加えて、自社で展開しているサービスのデータベースやサーバーと提供されているパブリッククラウドの互換性がなく、そもそも使用できない可能性がある点にも注意しなければなりません。
プライベートクラウドとは? 導入するメリットは?

プライベートクラウドの概要やメリット・デメリットは以下の通りです。
| プライベートクラウドとは | |
|---|---|
| 意味 | 特定の個人や企業だけが使えるプライベートクラウドサービス |
| メリット | 柔軟にシステム構築ができる |
| 企業ポリシーに合わせたセキュリティに合わせて構築できる | |
| 自社外でも運用管理ができる | |
| デメリット | コストがかかる |
| 機能の拡張、縮小が難しい | |
プライベートクラウドは特定の企業や個人だけが使うことのできるプライベートクラウドサービスで、OSやソフトウェア、回線は企業(個人)で設定できます。
そのため、自由にクラウドをカスタマイズして運用することが可能です。不特定多数が使えるパブリッククラウドとは、真逆の特性を持っています。
オープンなクラウドだと、自分たちの使いやすい形に組み替えることができないため、業務の効率化を第一に考えるならプライベートクラウドが向いています。
特に、企業ごとにセキュリティに関するポリシーが決められていることが多いため、自由に組み替えられるとそういった点にも対応可能です。
またクラウドサービスであることから、自社外でもクラウド内のデータの運用管理ができるため、緊急時にも滞りなく業務を進められます。
一方で、自由に組み替えるためにはそれだけコストがかかってきます。加えて、綿密な計算を元に導入する機能が組み込まれているので、一度現場で導入してしまうと、後で機能の拡張や縮小を行うとなるとかなり手間がかかってしまいます。
ちなみに、プライベートクラウドにはオンプレミス型とホスティング型の2種類存在します。
オンプレミスとはソフトウェアやネットワーク機器などを自社で保有して運用する形態のことを意味し、オンプレミス型のプライベートクラウドは、従来のオンプレミス環境とは違ってサーバー環境を物理的なものから仮想的なものに変えて提供するクラウドです。
一方で、ホスティング型プライベートクラウドは、サーバー環境はホスティング業者から提供してもらい、VPNなどの方法でネットワークに接続するクラウドです。
どちらを採用するかで、コスト面やカスタマイズ面、セキュリティ面などの優位性も若干変わってきます。
どちらのクラウドサービスを選ぶべき?

2つのクラウドサービスは、それぞれ得意な分野と不得意な分野があり、適切な方を選択できないとクラウドの導入に失敗して無駄なコストがかかってしまいます。そこで、クラウドサービスの選び方やそれぞれのクラウドの選ぶべきケースを紹介します。
●クラウドサービスの選び方
クラウドサービスの選び方は主に以下の4つが考えられます。
- サーバーやOSの種類
- データ容量と機能性に応じた料金
- セキュリティ
- サポート体制
クラウドサーバーはソフトウェアが利用できるSaaS、アプリ開発のプラットフォームとして使われるPaaS、ソフトウェアやOSなどを自由に組み替えてインターネット上のインフラとして提供されるIaaSの3種類に分けられます。
また、OSの種類もいくつかあって、主にLinux系OSとWindows系OSが提供されています。
これらの種類をクラウドサーバーの使用目的に合わせて選択すれば、使いにくさを感じることなくクラウドサービスを活用することが可能です。
何とか使えるクラウドサービスを利用できても、基本料金はもちろん、ストレージのデータ容量や追加機能に対する料金があまりに高額だと経営を圧迫してしまいます。
必ず無駄な料金を払っていないか考えて、必要なものを必要な分だけ選択するように心掛けた方が良いでしょう。
クラウドはインターネット上でデータを管理するプラットフォームとなるため、当然セキュリティ性についても気にしなければなりません。
どちらのクラウドを使うにしても、暗号化通信や2段階認証などのセキュリティ対策がしっかり行われているものを使ってください。
なお、クラウドサービスを導入したばかりの頃だと使い方や考え方がわからないと感じ、ある程度慣れた人でもトラブルに見舞われることもしばしばです。そういった時にすぐに対応できるようにサポート体制を整えておく必要もあります。
●プライベートクラウドを選ぶべきケース
プライベートクラウドは、カスタマイズ性に優れていて、セキュリティやトラブルに対応しやすいように構築することが可能なクラウドです。
そうなると、パブリッククラウドよりあらゆる場面に対応できるような、複雑かつ規模の大きいクラウドであるといえます。プライベートクラウドは、そういった点から大企業やそれなりに規模の大きい中小企業が導入するのに向いています。
個人で導入するとなると、プライベートクラウドはコストが大きくかかってしまうため、そのコストを1人の稼ぎだけで支払っていこうと思うと、かなり大きな負担になってしまいます。
純粋に働き手が多い組織の方が生み出す利益は大きく、その分ある程度コストが高くなっても業務の効率化を優先してプライベートクラウドを導入しやすいです。
●パブリッククラウドを選ぶべきケース
パブリッククラウドは、従量課金制で必要な機能は別途追加して支払う形であるため、個人でも支払えるほどの安いコストで導入できるクラウドです。
クラウドを構築する時間も必要なく、運用の不可も軽いので手軽に使いやすい特徴があります。少なくとも個人で使う分には、クラウドが自分に合わせるというより、自分がクラウドに合わせにいくスタンスで事業を展開していくことをおすすめします。
一方で、中小企業や大企業がクラウド側に合わせるとかなり負担が大きくなってしまうため、基本的にはプライベートクラウドにした方がメリットは大きいでしょう。
仕様を鑑みて、大企業や中小企業であっても、導入しても問題なく使えるならパブリッククラウドを採用してみても構いません。
なお利用者の規模に関係なく、プライベートクラウドに比べてパブリッククラウドのセキュリティ性はやや低めです。障害問題が発生するとホスティング業者頼りで、復旧に時間がかかってしまう点は理解したうえで導入を進めてください。
●業務に合ったクラウドサービスを選ぶ方法は?
企業で取り扱う業務に相応しいクラウドサービスは、総合的に考えてプライベートクラウドを選択して、一からシステムを開発していった方が、メリットは大きいでしょう。
導入までにコストや手間暇はかかってしまいますが、一番それが企業で失敗なくクラウドサービスを利用する方法だといえます。
最近では、企業独自の業務システムを導入して、業務の効率化をはかったり、勤怠管理を通じて労働者のワークライフバランスを確保しつつ、人件費のコストカットを行う企業が増加しています。
その中で、ブラウザ上で扱える業務システムだとセキュリティ性に欠けるとして、業務システムのクラウド化が注目されているのです。
これは新規で業務システムを構築する企業と、すでに業務システムを持ち合わせている企業のどちらに対してもいえることです。
この時、一度にすべての業務システムをクラウド化することは少なく、基本的にはクラウド化する範囲とオンプレミスのままにする範囲を定めて、少しずつクラウド化を進めていきます。
そのため、クラウド化を進める際には、クラウド構築を得意とするシステム開発に強い企業にアウトソーシングして、自社の業務に合わせたシステム開発を依頼することをおすすめします。クラウド構築を得意とする企業は以下のページにまとめてあるので、チェックしてみてください。
パブリッククラウドとプライベートクラウドの使い分け
パブリッククラウドは、初期費用が無料となっているケースが多く、導入コストをかけずに自社が必要とするサービスを利用できます。
導入コストがかからないため、資金が少ない個人でも利用しやすいため、個人~大企業までさまざまなユーザーに利用されています。一方でプライベートクラウドは、セキュリティ対策が強化されているため、セキュアな環境で自社に適した柔軟なシステム設計が可能であり、企業や組織向けの仕様です。
プライベートクラウドのホステッド型は、数十台~100台以上の中規模システムに適しているため、中小企業~大企業向けといえます。具体的には、医療機関や金融機関、研究開発機関など、秘匿性の高い重要な情報を取り扱っており、高度なセキュリティ要件が求められる企業に最適です。
プライベートクラウドのオンプレミス型は、高度なセキュリティを要する大企業や組織向けとなっています。 具体的には、大規模なIT部門とIT人材、リソースを有する企業や、自社システムの開発ノウハウがあり、経験豊富な企業が挙げられます。
2つのクラウドサービスの違いを知って適切な選択を
パブリッククラウドとプライベートクラウドは、同じクラウドでも利用者の対象がまるで異なり、それに合わせてカスタマイズ性やコスト、セキュリティなどといった面で大きな違いが見られます。こ
の違いを理解して、どちらのクラウドを採用するかを見極めることがクラウドサービス選びを成功させるためには重要です。
基本的にはパブリッククラウドは個人から大企業まで幅広いユーザーが利用できる仕組みにはなっています。
ただ、ある程度規模の大きい企業となるとパブリッククラウドでは十分に業務を効率化することが難しく、特にセキュリティ面でクラウドの方針と会社の方針にズレが生じてしまう可能性があります。
最終的にどちらのクラウドサービスを選択する場合でも、自社の運用スタイルに関する事前計画をじっくり行うことが求められます。両者のクラウドサービスの特徴やメリット・デメリットを理解できていれば、自社の目的と照らし合わせて、最適なサービスを正しく選ぶことができるでしょう。
パブリッククラウドを導入する際の注意点
パブリッククラウドを導入する際は、次の項目に注意してみてください。
●自社の目的・ニーズに合ったクラウドを選択・導入する
まずは、自社がクラウドを利用する目的を明確化させます。 社内リソースの削減、コスト削減、セキュリティ対策などニーズに適したクラウドを選択する必要があります。
次に、自社の利用しているデータ量やトラフィックの傾向から、必要なリソースを算出しましょう。 必要なリソースが把握できたら、自社の業務に必要となる機能を付加するなどして、ニーズに合った独自の拡張や、カスタマイズを行います。
●徹底したセキュリティ対策を行う
クラウドサービスでは、社内や関係各所の重要な情報を取り扱うことになるため、徹底したセキュリティ対策が必要不可欠です。
例えば、アカウントそれぞれに異なるアクセス権限を持たせて、一定のアカウントのみが重要な情報にアクセスできるようにする、退職者はすみやかにアカウントを抹消するなどの対策が挙げられます。
ログインパスワードは強固なものを使用して、定期的にパスワードを更新し、不正ログインを防ぐなどの対策も必要です。
●長期的な運用コストや人件費を考慮して計画を立てる
クラウドサービスを利用する場合は、長期的に運用コストがかかり、管理するための人材費が継続的にかかるため、計画的に進めていく必要があります。機能性だけでなく、長期的に運用をしていける資金力があるかという点も加味したうえで、適したクラウドサービスを選択しましょう。
システム開発の最適な発注先をスムーズに見つける方法
システム開発会社選びでお困りではありませんか?
日本最大級のシステム開発会社ポータルサイト「発注ナビ」は、実績豊富なエキスパートが貴社に寄り添った最適な開発会社選びを徹底的にサポートいたします。
ご紹介実績:27,500件(2025年10月現在)
外注先探しはビジネスの今後を左右する重要な任務です。しかし、
「なにを基準に探せば良いのか分からない…。」
「自社にあった外注先ってどこだろう…?」
「費用感が不安…。」
などなど、疑問や悩みが尽きない事が多いです。
発注ナビは、貴社の悩みに寄り添い、最適な外注探し選びのベストパートナーです。
本記事に掲載するシステム会社以外にも、最適な開発会社がご紹介可能です!
ご相談からご紹介までは完全無料。
まずはお気軽に、ご相談ください。 →詳しくはこちら
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国7000社以上からご提案
■クラウドに関連した記事




