
商品や製品を生産する事業者にとって、工程管理は安定した商品提供に大切なものになってきます。ですが、商品製造はいくつもの工程を経て完成するため、アナログな手法で工程管理を行うのは困難です。そこで必要となるのが工程管理システムですが、初めて工程管理システムを導入する方の中には、どんなシステムを選べばいいのかわからない方も少なくありません。今回は、工程管理システムの導入を検討している方に向けて、工程管理システムの機能やシステム導入の流れ、システムの選び方を中心に解説していきます。
目次
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工程管理システムの主な機能とは

工程管理システムは、その名のとおり工程管理を効率的に進めていくためのシステムのことです。生産計画を作成して作業実績をシステム入力すると、生産工程をデータ化してくれます。工程管理はもちろん、システムによっては経営分析まで行ってくれるのも特徴です。工程管理システムには主に以下の機能が搭載されています。
- 進捗管理機能
- コスト管理機能
- 工程管理機能
- 受発注管理機能
- 生産スケジュール
- 情報共有機能
- 予算管理機能
- 在庫管理機能
●進捗管理機能
工程管理システムには、プロジェクトの進捗状況を管理する機能が搭載されています。システムにアクセスすれば、全従業員が進捗状況を把握することが可能です。その状況に合わせて、柔軟な対応がしやすくなります。工程の進捗状況がリアルタイムでわかれば、スピード感のある進捗管理ができて、迅速な対応もしやすくなります。工程管理システムの効果を十分に発揮するため、進捗管理機能は積極的に活用していきましょう。
●コスト管理機能
コスト管理機能は、プロジェクトで発生するコストや利益を可視化するための機能です。プロジェクトは納期だけでなく利益も意識する必要があり、事業を続けていくためにも利益をコントロールする立ち回りが求められます。また、工程管理システムには実績を管理する機能も搭載されています。そのため、過去のプロジェクト実績を参考に、コストカットを図ることも可能です。コスト管理機能を効果的に使えば、利益アップにつなげやすくなります。
●工程管理機能
工程管理システムの中核機能であり、生産計画にもとづいて設備・人員配置や資材調達などの工程を一元管理し、納期遅延を防止します。 工程管理機能により、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)のPDCAサイクルを継続的に回すことで、生産性と品質を高め、QCDの最適化を実現します。
●受発注管理機能
受発注管理機能を備えた工程管理システムでは、見積から受注・発注、検収、出荷、請求までの情報を一元管理できます。 これにより、納期遵守に向けた効率的な生産管理が可能となり、ペーパーレス化や入力ミス防止にも役立ちます。
●生産スケジュール
生産設備や人員などのリソースを割り当て、各工程の計画を立てるための機能です。 生産スケジュールを最適化することで待ち時間を削減し、リードタイムの短縮を実現します。 管理者だけでなく現場の従業員ともスケジュールを共有できるため、全体の作業効率を向上させることが可能です。 多品種少量生産の拡大により生産計画が複雑化する中、本機能の重要性は一段と高まっています。
●情報共有機能
情報共有機能は、組織内の情報伝達をスムーズにするための機能です。 ファイルやドキュメントをシステム上にアップロードし、参考資料や報告書などプロジェクト関連の情報を関係者間で共有できます。 さらに、チャット機能を備えた工程管理ツールを導入すれば、遠隔でもリアルタイムなコミュニケーションが可能となり、リモートワーカーや社外クライアントとのやり取りにおける認識のズレを防止し、問題点の解消に役立ちます。 また、進捗状況や納期までのスケジュールをシステム上で更新すれば、プロジェクト全体の状況を関係者が即時に把握でき、情報共有の効率を向上させることが可能です。
●予算管理機能
予算管理機能を活用することで、材料費・人件費などのコストを把握でき、プロジェクトを予算内で進行できるかを判断できます。 システム上で予算を設定しておけば、実績コストとの差異を確認し、予算超過を防止することが可能です。 また、コストの内訳を明確にすることで、より正確な予算見通しを立てられ、費用を抑えた製造計画の策定にもつながります。
●在庫管理機能
在庫管理機能は、原材料や製品の在庫を把握し、発注や棚卸を効率化する機能です。 適正な在庫量を維持することで、余分なコストや手間を削減できます。 製造業では、余剰在庫を避けるためにも、在庫管理機能による在庫と発注数の最適化が重要です。
工程管理システムの種類

工程管理システムの種類は、大きく分けて2つあります。
- オンプレミス型
- クラウド型
それぞれの特徴について、解説します。
●オンプレミス型
サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアをすべて自社で管理・運用する方式がオンプレミス型です。 高いセキュリティ性や柔軟なカスタマイズが可能であるため、自社に適したシステムを構築でき、業務効率化が図れる点がメリットです。 一方、初期投資・維持費が大きく、運用負荷が高くなる点がデメリットとなります。
●クラウド型
インターネット経由で、クラウド上のサーバーを利用してソフトウェアを使用する方式がクラウド型です。 初期コストが低くすみ、柔軟性・拡張性に優れ、自動アップデートも可能です。 セキュリティやサービス提供企業への依存という部分は、懸念点となるでしょう。 クラウド型は、低コストで導入しやすいため、中小・中堅企業にも適したシステム形態です。
工程管理システムの業種別タイプ

工程管理システムの業種別タイプは、以下の3つです。
- 製造業
- 建設業
- 汎用性が高く幅広い業種に対応
業種別のタイプの特徴を解説します。
●製造業
製造業向け工程管理システムは、「多品種少量・個別受注型」と「多様生産方式対応型」に分類されます。 「多品種少量・個別受注型」は、特急品や仕様変更への迅速対応に生産スケジューラを活用します。 「多様生産方式対応型」は、生産管理システム内で工程管理を行い、全体の生産を統合管理が可能です。
●建設業
建設・土木業界向けの工程管理システムです。 建設業では、現場で多くの関係者が関わるため、複雑な工程を整理し、進捗や情報をスムーズに管理する必要があります。 そのため、ガントチャートやネットワーク図で視覚的に工程表を作成できる機能を備えた製品が多く見られます。 さらに、進捗・スケジュールだけでなく、原価や粗利の管理も可能で、施工業務の効率化と統合管理が可能です。
●汎用性が高く幅広い業種に対応
さまざまな業種に対応できる汎用性の高い工程管理システムです。 工程管理に加えて、プロジェクト管理機能を備えた製品も多くあります。
工程管理システムを導入するメリット

工程管理システムを導入するメリットとして、以下のものが挙げられます。
- 進捗管理の負担軽減
- 現場作業の効率化
- 計画の精度向上・納期の遵守
- 生産スケジューラによるさらなる効率化と生産性の向上
●進捗管理の負担軽減
進捗管理機能を活用できれば、1つのシステムで複数の工程を管理して、ほかの従業員に共有しやすくなります。従来のやり方だと、特定の従業員だけが工程を管理する分、進捗管理の負担がその従業員に集中してしまいます。しかし、工程管理システムを使うことでほかの従業員にも工程内容が伝わるため、進捗管理の負担を従業員一人ひとりに請け負ってもらうことが可能です。多くの従業員が進捗管理を見られることで、問題の早期発見や余裕を持ったプロジェクト進行が実現しやすくなります。特に人手が不足しているような会社では、工程管理システムの積極的な導入をおすすめします。
●現場作業の効率化
工程管理システムがあれば、広い視野で工程全体の課題が見つけられるため、作業の効率化が実現しやすいです。また、適切な人員配置を行うことによって、従業員の物理的な負担を減らすこともできます。このほか、今まで1つの工程に振り分けていた従業員数を減らすこともできるため、人件費のコストカットなども見込めます。
●計画の精度向上・納期の遵守
工程管理システムは計画の精度を高めて、納期遵守の効果も期待できます。
工程管理システムがあれば、人員や設備の無駄を省くといった効率化の動きに積極的になれます。その動きによって、高い精度の工程管理の計画作りが可能です。同時に納期の遵守にもつながりやすくなるため、顧客満足度の上昇にも効果が期待できます。
●生産スケジューラによるさらなる効率化と生産性の向上
ここでいう生産スケジューラは、生産日程の計画を立て、それに基づいて従業員や設備、時間などのリソースを割り当てていく機能です。生産スケジューラを活用すると、計画の作成や変更の負担軽減、リードタイムの短縮化、ノウハウの蓄積・共有がしやすくなります。
例えば、過去のノウハウをデータとして記録しておき、そのデータを確認しながら自動的に作られた工程スケジュールに合わせて自身の作業に取り組めます。この機能を使いこなせるかどうかで、工程管理システムの導入効果の高さが変わるといっても過言ではありません。生産スケジューラの機能を積極的に活用していきましょう。
導入前の検討から導入開始までの流れ

工程管理システムを導入する際の流れについて、検討から導入開始までに行うことを紹介します。
●検討
検討段階では、以下の内容を決めていきます。
〇目的の設定
まずは、工程管理システムを導入する目的を明確にします。導入目的を明確にしないままの状態で工程管理システムを導入すると、システム導入の効果を感じにくく、導入するシステムの中身も決めづらいです。特にスクラッチ開発の場合は、丸投げされると開発側はスムーズに開発を行いにくくなるため、導入の目的は自分たちで設定しましょう。
〇要件の抽出
設定した目的を実際に形にするために必要なのが、要件定義です。要件定義はシステムの中身やそれに関連する中身を決めていくことで、システム導入で失敗しないために欠かせないものです。具体性に乏しい要件定義をしていると、どんなシステムを導入してもそのシステムをうまく使いこなせません。要件定義では、時間をかけて細かなところまで定義付けしていってください。
〇システム選定
スクラッチ開発なら、要件定義からシステム開発側がしてくれるため、依頼する側としてはある程度の希望が決まっていれば問題ありません。しかし、パッケージシステムでは利用するシステムを自分たちで選定する必要があります。そのため、要件定義も自分たちでしっかりと詰めて、決めた内容に沿っているものを選定していきます。スクラッチ開発なら、要件定義した内容のシステムをそのまま開発してもらうことが可能ですが、パッケージシステムの場合は、要件定義した内容を比較的満たしているシステムを選定する意識が大事です。
●導入
実際にシステムの導入段階に入ったら、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
〇導入予定のシステムが業務に合うか分析する
まずは、導入予定のシステムが業務に合うか分析してください。工程管理システムを導入する以上は、それが業務の中で使えないと意味がありません。工程管理システムのどの機能で、自社の抱えるどの課題を解消できるのか考えてみましょう。
〇マスターシミュレーションと運用シミュレーションを実施
マスターシミュレーションは、製品の品目マスターや構成マスター、品目手順マスターなどを登録して、所要量計算結果を検証していくことです。シミュレーションを繰り返して、マスター登録のルールを定めていけば、のちのマスターの運用がスムーズに進められます。マスターシミュレーションを実施する際には、以下の3点を意識すると良いです。
- パッケージシステムを理解して適正なマスター設定ができるか
- マスター作成の計画が確立できたか
- マスター準備状況の進捗確認
運用シミュレーションは、システムを導入して実際の業務で問題なく使えるか検証していくことです。想定外のイレギュラーが発生しないように、先に確認しておきます。
〇必要があれば、販売会社にカスタマイズを依頼
導入した工程管理システムを使っていく中で、業務に合わない部分が出てくることがあります。また、新しい開発を進める関係で、新しい機能が必要になる場合もあるでしょう。そういった場合は、必要に応じてカスタマイズを依頼する必要があります。スクラッチ開発だと対応してくれる場合が多いですが、パッケージシステムだと対応してくれないことも少なくありません。その点は、パッケージシステムのデメリットといえます。
〇研修やセッティングを経て運用を開始
導入するシステムが現場で問題なく使えることがわかったら、そのシステムが使えるように従業員に向けて研修を行います。それと並行して、社内に工程管理システムをセッティングしていきます。セッティングする際には、一気に切り替える方法と徐々に切り替えていく方法がありますが、後者のほうが現場従業員の混乱が避けられておすすめです。
工程管理システム導入の際の注意点

工程管理システムを導入する際に、気をつけるべき点は以下の2つです。
- 導入後の従業員教育やサポートが必要
- 運用を開始する前にテストを実施する
注意点について、解説します。
●導入後の従業員教育やサポートが必要
工程管理システムを導入した後は、実際にシステムを扱う従業員が問題なくシステムを活用できるようになるための教育やサポートが必要となります。 IT人材がおり、システムを使える場合は問題ありませんが、多くの場合は、システムに関する知識やスキルのない従業員が担当することになると考えられます。 従業員教員やサポートには、時間とコストがかかるため、導入後にスムーズに活用できるように、事前に準備を進めておくことが大切です。
●運用を開始する前にテストを実施する
工程管理システムが完成したら、すぐに本番の運用を開始するのではなく、まずは本番と同様な環境でテストを実施することが大切です。 テストを実施した際に、不具合などが生じた場合は、原因を追求して改善することで、本番の運用がスムーズに始められます。
選び方のポイント

工程管理システムを選ぶ際は、以下のポイントをチェックしてください。
- 生産方式や業種に対応しているかチェックする
- 生産スケジューラへの対応ができるかチェックする
- 進捗管理・スケジューリング以外の付属機能について検討・比較する
- カスタマイズがしやすいかどうかをチェックする
まずは、自社の生産方式や業種をチェックして、対応するシステムを選んでみましょう。次に、生産スケジューラへの対応が可能かどうかをチェックしていきます。特に生産計画に課題がある場合は、生産スケジューラの対応可否は重視したほうが良いです。また、進捗管理やスケジューリング以外にも、実績管理や工数管理、稼働管理などに強みを持つシステムもあります。自社の課題を明らかにして、スケジュール面以外も気にしながらシステムを選定してみましょう。そして、カスタマイズのしやすいシステムだと、持続的に使い続けやすく柔軟な対応がしやすいです。なるべくカスタマイズ性の高いシステムを導入してみてください。
●工程管理システムのカスタマイズは必要?
工程管理システムのカスタマイズでは、自社の工程管理の型にはまるシステムになるように機能を追加していきます。社内ルールや業界の専門性が高い場合にシステムを最適化できるほか、社内業務に適応化させることでシステムが利用しやすくなるのがメリットです。カスタマイズは基本販売会社が行うが、中には既製品を使用したシステム構築する会社、独自のシステムを一から開発してくれる会社もあります。
工程管理システムは開発方法も意識して
工程管理システムと聞くと、プロジェクトの進捗管理を行うシステムを想像する方も少なくありません。
実際には、ただプロジェクトの進捗状況を管理するだけのシステムではなく、プロジェクトのコスト面を管理する機能も備えています。工程管理システムを導入する前に、まずはその認識を持つことが大事です。工程管理システムを導入すれば、進捗管理の負担が楽になるのはもちろん、業務効率化や生産性の向上なども見込めます。そのため、工程管理に課題があるなら、工程管理システムの導入を早めに進めておいたほうが良いです。
工程管理システムを選ぶ際には、自社の分野で使いやすいものかどうか、カスタマイズ性があるかどうかなどをチェックしてみましょう。また、システム開発にはいくつか種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。システム開発方法についても意識しつつ、工程管理システムの導入を進めてみてください。導入に際して、外注での開発を考えている場合は、ぜひ発注ナビにご相談ください。さまざまなシステムを得意分野に持つ開発会社のご紹介が可能です。
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