PyCharmは、Pythonに特化したIDEの一つで、業務の効率化を図りたいWeb開発者やデータサイエンティストなどの間で多く活用されています。Pythonを開発する際のIDEの定番ともいわれるPyCharmには、プログラミング言語を学習できる機能がついたエディションもあり、初心者の学習や本格的な開発など幅広く利用できるのが特徴です。今回の記事では、Pythonの基礎情報と5つの特徴、導入する流れなどを詳しく解説します。
目次
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PyCharm(パイチャーム)とは?普通のソフトウェアと何が違う?
PyCharmは、チェコに本社を置くJetBrains(ジェットブレイン)社が提供しているPythonに特化したIDE(統合開発環境)です。IDEとはテキストエディタやコンパイラなど、開発に必要なソフトウェアを1つに組み合わせ、1つの操作画面から利用できるようにしたソフトウェアパッケージを意味します。
IntelliJ IDEA(インテリジェイ アイディア)というIDEをベースに開発され、無料版と有料版がありますが、無料版でも開発のための機能が十分備わっています。
2020年に実施された世界中のPython開発者・愛好家向けのアンケート(28,000人以上が回答)の結果、IDEの利用はPyCharmが1位となっており、全体の3分の1近くが利用しているほど人気を誇っています。
Pythonの開発において、それだけPyCharmが注目されていることがわかります。
PyCharmの5つの特徴を解説
現役の開発者から注目されているPyCharmには、以下のような5つの特徴があります。
- 無料版でも十分に活用できる
- Webフレームワークに対応している
- さまざまなOSで使用できる
- UI上からGitシステムを活用できる
- 無料でPythonを学べる
PyCharmには、有料版のProfessional、無料版のCommunityとEducationalという3種類のエディションが用意されており、それぞれの特徴について詳しく解説します。
●無料版でも十分に活用できる
PyCharmの無料版には、CommunityとEducationalというエディションが用意されています。無料版のCommunityでは、以下の機能が利用可能です。
- エディタ
- デバッグとテストランナー
- リファクタリング
- コードインスペクション
- VCS(Gitなど)
IDEで必要とされるエディタやデバッグなどの基本的な機能を使用することができるため、簡単な開発であれば無料版でも十分でしょう。
もう1つの無料版であるEducationalは、プログラミング学習に特化した仕様で自習機能がついており、初心者の勉強に最適です。
●Webフレームワークに対応している
PyCharmには、PythonのWeb開発フレームワークのサポートが充実しています。システム開発における「フレームワーク」とは、システムやアプリ開発を行う際に使用頻度の高い機能や、基本的な骨組みをまとめたものです。フレームワークを活用することで、効率的にシステムやアプリを作ることができます。
PyCharmで対応しているWebフレームワークには、DjangoやFlask、Pyramidなどがあります。Djangoとは、PythonのWeb開発用フレームワークで非常に汎用性が高く、Flaskは軽量かつシンプルという特徴を持つWeb開発用フレームワークです。しかし、有料版のProfessionalしか対応しておらず、無料版では対応していないためご注意ください。
●さまざまなOSで使用できる
PyCharmは、Windows、Mac、Linuxに対応しています。PCにおいてシェア率が高いこれらのOSに対応していることから、職場や自宅などさまざまな環境で利用することが可能です。
●GUI上からGitシステムを活用できる
PyCharmはGitにも対応しており、GUI上から簡単にバージョン管理の操作を行えます。
Gitとは、分散型バージョン管理システムです。Gitで管理しているファイルであればファイルの編集履歴を管理できるため、編集履歴を残して新しく編集したファイルを保存できます。開発を進めるうえでバージョン管理は重要なためぜひ活用しましょう。
●無料でPythonを学べる
無料版のEducationalエディションには、プログラミング言語を学習できる機能が備わっています。変数やモジュールなどPythonの基礎を学ぶことができるコースが用意されているため、これからPythonを学びたい方におすすめです。
実践的なプログラムを学びたい場合は、有料プランの「JetBrains Academy」の利用を検討しましょう。複雑なプログラムを、実際に開発しながら学ぶことができます。
PyCharmを導入する流れ
続いては、PyCharmの導入する流れを見ていきましょう。PyCharmはそのまま利用すると英語表記になってしまうため、併せて日本語化する方法も解説していきます。
1.PyCharmをインストールする
最初にPyCharmのインストーラーをダウンロードしましょう。以下のURLより公式ホームページにアクセスします。
お使いのPCのOSを選択して、「Community」をダウンロードしましょう。保存したexeファイルを実行すると、PyCharmのインストーラーが立ち上がります。
最初に表示される「Welcome to PyCharm Community Edition Setup」は、そのまま「Next」ボタンをクリックしましょう。
次に「Choose Install Location」では、インストールするフォルダの選択を行います。特に変更する必要がなければ、デフォルトのままで問題ありません。フォルダの選択を行った後に「Next」をクリックします。
次は「Installation Options」です。「ショートカットの作成」や「特定の拡張子はPyCharmで開く」などの設定が行えます。必要な項目があれば、チェックを入れましょう。後からでも設定を行えるため、よくわからなければそのまま「Next」ボタンをクリックします。
最後に「Choose Start Menu Folder」では、スタートメニューフォルダの設定を行います。特に必要がなければ、デフォルトの「JetBrains」のままで問題ありません。「Install」をクリックするとインストールが開始します。
「Completing PyCharm Community Edition Setup」が表示されれば、インストールは完了です。「Finish」ボタンをクリックして、インストーラーを閉じましょう。
2.PyCharmを起動したら日本語化する
PyCharmをこのまま利用すると英語表記になってしまうため、日本語化する手順を紹介します。スタートメニューやショートカットから、PyCharmを起動してください。
起動したら、初期画面の左のメニューから「Plugins」(プラグイン)をクリックします。中央に表示される検索テキストボックスに「Japanese Language Pack」と入力してみましょう。
一覧に「Japanese Language Pack / 日本語言語パック」が表示されるため「Install」ボタンをクリックしてください。
プラグインのインストールが完了すると再起動を求められます。再起動後、日本語化されていることを確認したら、PyCharmの日本語化対応は完了です。
3つのPyCharmの便利な機能
続いてはPyCharmの便利な機能として、ショートカットキーやコードの色の変更、スクリーニングリーダー機能を紹介します。開発作業において利便性や効率化を求める方は多いと思います。PyCharmをより快適に使用するために、ぜひ参考にしてください。
- ショートカットキー
- コードの色を変更
- スクリーニングリーダー機能
上記の便利な機能については、それぞれ後述します。
●ショートカットキー
PyCharmには開発を楽に進められるようにキーボードショートカットが設けられています。キーボードからマウスに持ち替える動作をなくすだけでも、生産性は格段に上がるため、積極的に使っていきましょう。特にこれだけは覚えておきたいショートカットキーを紹介します。
ショートカットキー | ショートカットの内容 |
---|---|
Windows → Ctrl + / Mac → cmd + / |
行をコメントアウトします。もう一度実行するとコメントアウトを削除してくれます。 |
Windows → Shift + F6 Mac → Shift + F6 |
リファクタリング機能を利用すると、関数や変数の名前をすべて変更できます。コーディング規約などで関数や変数の名前をつけるルールがあれば命名に迷いはありませんが、ルールがないと後から名前を変更したくなるものです。そのような時は、PyCharmのリファクタリング機能を利用して一括変更しましょう。 |
Windows → Ctrl + Tab Mac → Ctrl + Tab Right |
タブやツール・ウィンドウの切り替えができます。スウィッチャーが表示され、ショートカットキーを繰り返すと選択部分が移動します。 |
Windows → Alt + →、Alt + ← Mac → Ctrl +→、Ctrl +← |
「次のエディター・タブに移動」「前のエディター・タブに移動」。タブを複数開いて作業を行っている場合、キーで移動すると作業効率が上がります。 |
●コードの色を変更
PyCharmはコードを赤緑色覚多様性の方のために色の調整が可能です。通常は赤色でハイライトされるエラーや通常の緑色の文字列などは、中間色で表示されます。設定手順は以下の通りです。
- 「Ctrl + Alt + S」を押してIDE設定を開く。
- 「外観&振る舞い|外観」を選択する。
- 「赤緑色覚多様性の方のために色を調整する」を選択する。
- 変更を保存する。
コードの色を変更する機能は、単純に色味を変えて作業を進めたいユーザーにとっても便利な機能であるため、覚えておくと良いでしょう。
●スクリーニングリーダー機能
PyCharmは、WindowsとmacOSの両方でスクリーンリーダーをサポートしています。
スクリーンリーダーとは、画面の表示内容や操作内容を音声で読み上げてくれるソフトのことです。音声読み上げソフトとも呼ばれています。
PyCharmを起動した際にスクリーンリーダーを検出すると、スクリーンリーダーを有効にできるダイアログが表示されます。開発における作業プロセスを簡素化してくれるため、必要に応じて設定するようにしましょう。
PyCharmの無料版と有料版はどっちがおすすめ?
PyCharmには有料版のProfessionalと、無料版のCommunityというエディションが用意されていることを説明してきました。ここでは有料版と無料版のどちらを利用するか悩んでいる方のために、状況ごとにおすすめのエディションを解説します。
●Web開発やリモート開発には有料版がおすすめ
Web開発やリモート開発にPyCharmを利用しようと考えている方は、有料版のProfessionalがおすすめです。
無料版を開発に利用する場合、Webフレームワークや対象言語など、さまざまな機能で制限があります。データベース機能もなく、共同開発に制限があること(ゲスト3名まで・セッション時間最大30分)やリモートインタープリターに対応していないことから、無料版は小規模の開発以外は不向きです。
中規模から大規模の開発や、大人数で開発する場合は有料版を利用するようにしましょう。
●Pythonのコーディング・エディティングのみなら無料版がおすすめ
フレームワークを使わない、Python以外のプログラム言語を使わないなどの小規模の開発であれば無料版がおすすめです。
基本的なコーディングを補助する機能は備わっているため、Pythonのみを使用して開発する場合は無料版の機能で十分対応できます。エラーの自動検知やコードの自動整形機能、テキスト補完機能があるため、コーディングを効率的に進めることができます。無料版は会員登録も不要なため、まずは無料版から始めて物足りなくなったら有料版に移行してみましょう。
ここまでPythonに特化したIDEのPyCharmについて、詳しく解説しました。PyCharmは、チェコに本社を置くJetBrains社が提供しているPythonに特化したIDEです。現役の開発者から強く支持されているPyCharmには、有料版のProfessional、無料版のCommunityとEducationalという3種類のエディションが用意されているほか、開発を進めるうえで便利な機能が備わっています。無料版でも十分に開発を行えるため、Pythonを扱う際はPyCharmの利用がおすすめです。
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