
中堅・中小のシステム開発会社の中には、いくつかの主要顧客からの発注が売上の大半を占めているといったところも多い。そうしたシステム開発会社に共通するのが、主要顧客が業績低迷などの理由でIT関連投資を抑えてしまうと、継続的に受注できていた案件がピタッと止まってしまうといったことだ。こうしたリスクを回避しようとしても、それまでが主要顧客との取引が中心だったこともあり、新規顧客開拓のノウハウを持ち合わせていないケースも多い。東京都千代田区にあるシステム開発会社である株式会社ロマンクルーも、同じような悩みを抱えていた会社の一つだ。そんな同社では、コロナ禍を契機に2020年10月から発注ナビの利用を開始。これまでに3件の新規案件のほか、追加発注など派生案件も合わせるとトータル数千万円の成果を上げている。同社の取り組みについて、株式会社ロマンクルー代表取締役の能登 学氏にお話を伺った。
| 社名 | 株式会社ロマンクルー |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区八重洲2-1-1 YANMAR TOKYO 12F |
| 従業員数 | 1 – 30名 |
| 事業内容 | システム開発受託事業、Webサービス開発支援事業、Web/ITコンサルティング事業 |
| 掲載カテゴリ |
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導入前の課題
同社では、いわゆる『何でも屋』のように新規案件や新規顧客を拡大していくより、一つひとつの顧客に寄り添い、信頼関係を築いて継続的に開発案件を発注してもらうといった方向で事業を展開してきた。ところが、新型コロナの流行で主要顧客の事業が影響を受け、システム開発関連の予算も削減。継続的に受注していた開発案件が激減し、新規顧客の開拓に迫られることになった。
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導入後の効果
2020年10月から発注ナビの利用を開始し、得意とする不動産業界の業務システムに限らず、幅広い業種・業界の顧客を対象に積極的にエントリー。『本気でシステム開発を検討中の顧客』と商談する機会を獲得できた。さらに、実際の商談の際にシステム開発から派生するさまざまな提案をしたことで、単発の開発だけで終わらずに追加発注を継続的に受注。他の顧客を紹介してもらうなどの広がりもあり、これまでにトータルで数千万円の新規案件の獲得に成功した。
コロナ禍により主力の顧客からの発注が減少、新規開拓が必須に
株式会社ロマンクルーは、2013年2月創業の、東京都中央区に本社を置くシステム開発会社だ。システムの受託開発、Webサービス開発支援、ITコンサルティングを軸に事業を展開している。同社代表取締役の能登 学氏は、日本生命グループのニッセイ情報テクノロジーでSEとして活躍した後、インターネットを活用した広告やマーケティングを手掛けるベンチャー企業で営業を担当。その後、SEの腕を買われて社内のイントラネット開発やSFA(営業支援システム)事業の新規立ち上げを任されるなどの経歴を経て、同社を設立した。
現在、同社はWebベースで使える業務システムの開発に注力しており、特に不動産業界向けの業務システムで多くの実績がある。最大の強みは、『クライアントに負担をかけない、スムーズな開発体制』だ。
一般的な開発会社によくある営業とエンジニアの縦割り構造とは異なり、同社では全工程をカバーできるメンバーが直接窓口となるため、認識のズレを産む伝言ゲームが起こりにくい。加えて、全メンバーが事業立ち上げの経験を持っているため、ビジネス視点も持ち合わせている。そのため、『顧客からの1の要望』から『背景にある10の意図』を汲み取ることができ、クライアントは最小限のコミュニケーションでシステム開発を進めることができる。
顧客の企業文化や業務フローを深く理解し、それを崩さずに効率化するシステムを設計・開発できる。そこが他のシステム開発会社にはない、同社ならではの特徴といえる。
代表取締役 能登 学氏
こうした強みや特徴を持つ同社だけに、これまでは『顧客数を増やす』ことに主眼を置いては来なかった。次々に新規顧客を開拓していくよりも、主要な顧客に深く寄り添い、丁寧に要望を聞いてビジネス拡大に貢献できるようなシステムを作り込んでいく。そこに自社のリソースを注ぎ込んできたのだ。
しかし新型コロナの流行をきっかけに、状況が変わってきた。同社はそれまで、少ない顧客数であっても、それぞれの顧客からは新規の開発案件のみならず追加開発や保守・メンテナンスなどを継続的に受注できていた。ところが、新型コロナの流行は顧客の事業そのものを直撃し、IT関連の予算が大幅に削減されるようになったのだ。能登氏は「例えば、あるお客様からは毎月数百万円、継続的にシステム開発に関連して発注していただいていましたが、それが一気に絞り込まれてしまいました」と振り返り、当時、新規顧客開拓の必要性を痛烈に感じたのだという。
そこで同社は、低価格のマッチングサービスを利用してみた。しかし、紹介される案件の質が良くなかったという。「商談に至ったとしても成約に至らない、そんな状況でした。要するに『本気ではない』発注者が多かったのです。『こういうシステムを作るとしたらいくらくらいかかるのか、費用感が知りたかった』という発注者もいました」(能登氏)。なんとかして、『システム開発を本気で検討中の顧客』に『効率的に出会える』方法はないものか。同社は、以前から知っていたという発注ナビの利用を検討した。2020年9月のことだった。
費用はそこそこかかるが『良質なリード』を獲得できそうな発注ナビの利用を開始
能登氏は、発注ナビの第一印象を「費用はそこそこかかるが、『質の良いリード』を獲得できそうなサービス」と語る。利用を決めたポイントについては、「発注ナビの担当者から、『こういった内容の案件が月に何件程度はご紹介できます』と、とても具体的な説明があったことが決め手の一つになりました。他のサービスでは、そこまで具体的に示してはいただけなかった」と話す。
また、同社は不動産業界向けのシステム開発での実績が多いものの、2020年当時は顧客の業種・業界を絞り込んでいく考えは持っていなかった。「発注ナビを利用すると、自社の営業努力だけではなかなか出会うことができない発注者、幅広い業界・業種のお客様に出会うチャンスがある、そう感じたのも利用の決め手でした」(能登氏)。
こうして同社は2022年10月から発注ナビを利用し始めた。以降、これまでに3件の新規顧拓に成功している。数年間の利用で受注3件という実績は、件数のみを見ると控えめな数字に映るかもしれない。しかし能登氏によればこれには理由があるとのこと。「発注ナビを利用し始めてから、タイミングを同じくして新型コロナの影響が収まってきたのです。既存のお客様のIT投資も復活してきて、徐々に発注件数が元に戻ってきたので、急速に手一杯の状況になりました」と説明する。つまり、新規開発案件を獲得できたとしても対応できるエンジニアリソースがなく、発注ナビの利用を中断していたのだ。
こうした事情があった中での3件の受注だ。しかも受注した案件の規模は大きく、3件のうち2件は合計で500万円以上のもので、追加発注もあったためトータルで1000万円を超えている。さらに、能登氏は新規案件を受注できたことと合わせて、そこからの派生効果も感じているようだ。「トータルで1000万円を超えただけでなく、お客様からさらに別のお客様をご紹介いただきました。そうしたことを合わせると、結果的には数千万円規模の新規開発案件となり、現在も継続しています」と語る。
そして能登氏は、こうした派生効果が生まれた理由について、リードの質が良いからだと考えているという。「発注ナビから紹介してもらったお客様、商談に至ったお客様はみな本気度が高いと感じました。だから、当社からの提案にも耳を傾けてくださり、次の開発プロジェクトのときに当社にご相談をいただけたのだと思っています」(能登氏)。
追加発注を次々に獲得できた理由は、顧客が納得するものを確実に作り上げる姿勢
このように成果を上げている同社だが、顧客と対応する時に心掛けていることは、「特別に何かするというより、当たり前のことをきちんとやること」だという。「お客様からすると、システムを入れることが目的ではなく、システムを入れることで『社員がラクになる』、『残業が減って帰る時間が早くなる』などの成果が出ないと意味がありません。当社はシステムありきではなく、その先を見据えて開発しています」と能登氏は述べる。
また、同社の顧客の多くは社内にエンジニアがいて要件定義やシステム構築を深く理解しているわけではない。多くの場合、『細かいことはよく分からないけど、取り敢えず良いシステムを作ってくれるんでしょう』という感覚で発注がなされる。要件定義をきちんとして、それを元に作ったとしても、『想像していたものと違う』、『こういう機能もあると思っていたのに』といわれることもある。そんなときにも、同社では『要件定義で決めたこととは違います。仕様変更となり別途費用が必要です』と無下に断るような対応はしないように心掛けているという。「その機能があるかないかが、お客様にとってとても重要になることが多いのです。その場合、当社がある程度のコストを被ってでも作ってしまいますね。そうしないと、何より自分でも納得できないのです」(能登氏)。能登氏はにこやかに話すものの、多くのシステム開発会社はそこまでやらないだろう。こうした本当の意味で顧客の立場になって考えること、顧客に寄り添う姿勢こそ、同社が次々に追加発注を受け、派生的な成果を積み上げている理由にほかならない。
発注ナビを活用して、さらに多くの新規案件を獲得し、経験と実績を積み上げたい
同社では今後、発注ナビをどのように活用していこうと考えているのか。最後に今後の活用の方向性を伺った。「当社はセレクトプランで契約し、先ほどお話したように一時的に利用を止めていました。そのため発注ナビの利用枠があと8カ月分残っている状況です。そこで、まずはそれをフル活用して新規獲得を拡大していきたいと考えています」と語る。
そのうえで、昨今のAIや生成AIの進化を目の当たりにして、考えることがあるという。将来的にシステムの受託開発はAIや生成AIで全てをまかなえるようになってしまうのではないかという、危機感にも似た感触を持っているのだそうだ。ただし能登氏は、そうなったときにシステム開発会社が不要になるとは思っていない。別の役割が求められることになると考えている。それは、顧客の要望をしっかりと聞いて理解することだ。「そのうえでAIや生成AIを活用して高品質なシステムを作る。つまり、お客様とAIや生成AIとをつなぐような架け橋としての役割です」(能登氏)。
こうした考えを実践するには、今からさまざまな業種・業界の顧客からの開発案件を受注し、AIや生成AIの活用ノウハウを蓄積していく必要がある。「要は新規案件の獲得がポイントになるのです。そのために発注ナビをどんどん活用していきたい、そう考えています」(能登氏)。
これからの同社の道筋が、発注ナビを通して見えているようだ。
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