「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」は、企業の総務や経理などの定型業務を自動化するためのツールです。RPA導入の際に気になるのが、各種費用ではないでしょうか。本記事では、RPAの導入費をはじめとした各種費用の内訳や、クラウド型・デスクトップ型・サーバ型といった提供形態別の導入費用相場をご紹介します。
目次
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RPAで必要となる費用の内訳
RPAの導入・運用には、導入費用をはじめランニングコストや保守・運用費用など様々な費用がかかります。各費目の概要を、以下で簡潔にご紹介します。
●導入・初期費用
基本的な事務手続きや操作方法の説明、各種設定など導入支援全般にかかる費用だと考えましょう。くわえて、RPAを稼働させるための専用パソコンを購入したり、サーバを新しく構築したりすれば、購入費用や構築費用もかかります。これらの費目も、RPAの導入費用の1つだといえるでしょう。
●ランニングコスト
RPAツールにおけるランニングコストとは、月額制または年額制のライセンス料のことです。長期運用を前提にして、ランニングコストから費用対効果を考えましょう。ツールによってランニングコストの相場は異なりますが、月額5万円~10万円で利用できるものもあれば、月額50万円~120万円ほど必要となるものもあります。
●保守・運用費用
RPAツールの保守や運用を、販売会社(ベンダー)へ委託する場合にかかる費用です。保守・運用の費用相場は、ベンダーや依頼内容により異なるのが特徴です。例えば、「エラー対応やメンテナンスのために、エンジニア1人に常駐してもらう」というケースでは、月150万円前後の費用が必要となる場合があります。
RPAの種類別にみる費用相場
RPAツールは、「クラウド型」「デスクトップ型」「サーバ型」の3種類に大きく分けられます。種類ごとの特徴と、導入費用の大まかな相場を以下でまとめました。
●クラウド型の場合:導入費30~50万円ほど
クラウド型のRPAツールの場合、導入費用の相場は30~50万円ほどで、ランニングコストの相場は10万円~と捉えておくと良いでしょう。クラウド型のRPAツールは、サーバを構築したりソフトウェアをインストールしたりする手間がかかりません。インターネット環境とデバイスがあれば、すぐに利用できるのが特徴です。クラウドサーバで利用するという性質上、Webブラウザ上の操作を自動化する際に役立ちます。
●デスクトップ型の場合:導入費~50万円ほど
デスクトップ型のRPAツールの導入費用は、~50万円ほどが相場です。ランニングコストは月額5万円ほどで、買い切り型として提供されているツールもあります。パソコンにソフトウェアをインストールして使用するタイプのRPAツールであり、個々のデスクトップ上で作業を完結させられるのが特徴です。したがって、組織単位はもちろん業務単位・個人単位の業務改善でも活用できます。
●サーバ型の場合:導入費10万円~数千万円
サーバ型RPAツールの導入費は10万円~、規模によっては数千万円に上ることがあります。ランニングコストの相場は、月額30万~120万円程と考えておきましょう。サーバ上で構築した利用環境で、大量のRPAツールを一元管理できるのがポイントです。導入費が高くなりやすい反面、自社サーバ上でツールを運用するため安定したセキュリティレベルをキープでき、個人情報や企業の機密情報を取り扱う業務に向いています。
導入費用を軽減できる補助金制度
RPAによって定型業務を可能なかぎり自動化し、社員がコア業務に集中できる環境をつくることは、大企業だけでなく中小企業やスタートアップ企業にも必要なことだといえます。企業規模の大小にかかわらず、高い生産性が求められる現代では、RPAツールは大きな武器になります。
RPA導入時の費用を軽減する際に役立つのが、国や自治体の各種補助金制度です。主な補助金の概要を、以下で解説いたします。なお、各種補助金の募集要項や公募期間は時期によって異なります。公募期間が終了している場合は、各補助金の公式サイトより過去の条件を確認しつつ最新の動向に注視しましょう。
●ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者を支援対象とした補助金です。中小企業が生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うために設備投資をする際の補助金としています。具体的には工場の設備投資に使われたり、企業の生産性を向上させるためのITツールの導入・開発に使用されたりするケースがみられます。
2023年の第15次ものづくり補助金の補助金額は、下限100万円、上限が4,000万円です。補助率は1/2もしくは2/3(小規模事業者・再生事業者が対象)とされています。申請枠は、「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」の5つが設けられているのが特徴です。
●IT導入補助金
IT導入補助金とは、ITツールの導入を検討している中小企業・小規模事業者を支援する補助金です。IT導入補助金2023では、通常枠、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠という計3つの枠が設けられています。また、通常枠にはA類型・B類型の2種類が、デジタル化基盤導入枠には「デジタル化基盤導入類型」や「複数社連携IT導入類型」などが設けられており、対象となるITツールやPC、レジなど導入するツールやソフトウェアが細かく分類されているのが特徴です。補助金額も、申請枠や各類型によって異なります。例えば、デジタル化基盤導入類型のうち、ソフトウェア購入費では補助率2/3以内、50万~350万円の補助額が支給されます。
●小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、社員数が5名以下~20名以下の小規模事業者を対象とした補助金です。2023年6月14日に発表された第8版では、通常枠のほか、「賃金引き上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」と、全部で5つの枠が設定されました。補助金額の上限は通常枠で50万円、残りの4枠は200万円と、ほかの補助金より低く上限額が設定されています。Webサイト関連費やチラシ・看板作成など、小規模事業者持続化補助金は特に広報面で活用されていますが、クラウド型・デスクトップ型といった比較的低コストなRPAツールであれば十分に導入可能な補助額だといえるでしょう。
代表的なRPAツールを紹介
RPAツールの代表的なサービスとその各種費用を、以下の表組みでまとめました。
※2023年8月時点
ツール名 | 各種費用 |
---|---|
WinActor | フル機能版ライセンス:年額99万8,800円(税込) 実行版ライセンス:年額27万2,800円(税込) 参照:WinActor |
UiPath | Free:0円 Pro:月額420ドル~ 参照:プランと価格│UiPath |
RoboTANGO | 基本プラン:月額5万円/初期費用10万円 リモレクライト:月額8万円/初期費用15万円 リモレクスタンダード:月額10万円/初期費用15万円 リモレクアドバンス:月額15万円/初期費用20万円 参照:料金│RoboTANGO |
BizRobo! | BizRobo!Basic:年間基本料金720万円 BizRobo!Lite:年間基本料金120万円/初期費用30万円 BizRobo!mini:年間基本料金90万円 参照:料金│BizRobo! |
RPAツールの自動化レベルとは?
RPAツールには自動化のレベルが3段階あり、それぞれ1~3のクラスに分かれています。クラス1から3までのツールの対応範囲の例を、以下で簡潔にまとめました。RPAツールを選定する際は、自動化レベル(クラス)と自動化したい業務の内容を照らし合わせましょう。
●クラス1:定型作業の自動化(RPA)
単純な定型作業全般を自動化できるクラスです。例えば、指定されたファイルからデータをコピー&ペーストしたり、決められた登録先へデータを登録したりといった作業を自動化できます。各種データ入力業務や帳票管理業務などで、特に役立つでしょう。これら以外にも、複雑な思考や高度な判断力が不要なルーティンワーク全般の自動化に適しています。
●クラス2:一部の非定型作業の自動化(EPA)
クラス2では、定型作業だけでなく一部の非定型作業の自動化も可能です。これはAIの搭載によって、さらに広範囲の業務自動化に対応したことによるもの。AIが持つ各種機能(画像・音声・言語解析)を組み合わせることで、より高度な自動化を実現できます。例えば、「顧客から送られてきた発注メールを解析する」「商品名や管理番号・型番などを認識する」「連携している管理システムへ自動登録させる」といった一連の作業をすべて任せられます。AIの音声解析機能を活かせば、議事録やセミナー資料の自動作成も可能です。クラス1と比較すると、より多様な業務・業種で役立てられるといえるでしょう。
●クラス3:高度な自律化・自動化(CA)
クラス3では、自律したAIによる高度な意思決定や処理業務が可能となります。学習データから情報を取捨選択し、分析結果をもとに業務の自動化や効率化をサポートしてくれます。例として挙げられるのが、在庫の管理業務です。トレンドや季節需要に合わせて、商品の在庫数を調節している店舗は少なくありません。クラス3のツールであればトレンドや季節需要、過去の在庫データなど複数の要因を自動分析し、適切な在庫補充量を提示してくれます。くわえて、必要な数量だけを発注する業務を任せることもできます。
なお、クラス3とクラス2についてはAIによる機械学習機能が備わっているため、高性能である一方で多くの導入費・ランニングコストがかかります。データ入力や顧客データの管理、DMの発送業務などの定型作業を自動で行う時は、クラス1を利用するのが一般的です。
RPAの導入を決めるポイント4選
RPAツールを導入する際は機能性や自動化のクラスだけでなく、導入目的や投資対効果といったポイントに着目することも大切です。導入時にチェックしたい要素を、4つ解説します。
●導入目的を明確にする
なぜRPAツールを導入したいのか、導入する目的を明確にしましょう。目的が曖昧なまま計画を進めてしまうと、「導入すること自体が目的となってしまい業務に活かせない」「機能を使いこなせない」といった問題が発生します。自動化したい業務を洗い出し、どのようなRPAツールを選ぶか慎重に検討しましょう。同時に社内認識をそろえるため、導入後の効果測定に用いる指標も明瞭にしておくことも重要です。
●投資対効果を考える
RPAツールには、導入費・ランニングコスト・保守/運用費用などがかかります。特に、中長期的に運用する場合はランニングコストのウェイトが大きくなるため、投入した費用をどの段階で回収できるのかを見据えておかなくてはなりません。くわえて、ツールによってはバージョンアップ費用やツールを扱う人材の教育費用がかかることもあります。突発的な出費も見据えて、投資対効果を考えておきましょう。
●スモールスタートできるツールを選ぶ
コア業務をいきなり自動化すると、影響範囲が大きくなり社内の混乱を招くことも考えられます。混乱を防ぐためにも、スモールスタートできるRPAツールを選びましょう。一部の部署のデータ入力や登録作業といった、影響範囲が限られている小さな業務からRPAツールを導入するのがおすすめです。実際の操作性や機能性、課題点を確かめながら、自動化する業務の範囲を少しずつ広げていくと良いでしょう。
●サポートの充実度をチェック
RPAツールのサポート内容は、各販売会社によって異なります。具体的なサポート内容の例としては、以下のものが挙げられます。
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ヘルプデスク対応
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RPAシナリオ(自動化したい作業の手順)作成サポート
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RPA化に適している業務の簡易診断
自社に必要なサポート制度が整っているか、複数のツールを比較検討しましょう。
RPA導入は目的や補助金の制度をしっかりチェック
RPA導入する時の費用は、初期費用と月にかかる費用を計算しておきましょう。これらをより正確に把握するためには、自社のRPAの利用目的や用意できるIT環境、自動化したい業務の内容なども明確にしておかなくてはなりません。
自社の利用目的やIT環境がわかれば、必要なサービスやサポート、ツールの種類などがわかります。合わせて、利用できる補助金の種類や募集要項も把握しておき、予算計画に活かせるようにしておきましょう。
「人材やリソースの関係で、自社のみの力でRPAを導入することが難しい」「どのようなRPAツールを選べば良いのかわからない」という場合、RPAの開発会社に開発・導入支援を依頼するのも手です。開発会社を選ぶ際は、複数の企業から見積もりをとり比較しながら自社に適した会社を選ぶことがおすすめです。
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