音声認識システムはAIを利用して行う、会話などを文章化する技術のことです。音声認識システムを導入することで業務効率の実現や、人手不足の解消にもつながると期待されています。今回は音声認識システムとはどのようなものかの解説からメリット、具体的な音声認識システムの種類までを紹介しています。
目次
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音声認識システムの概要
音声認識システムとは、その名の通り、人間の音声を聞くとコンピューターが文章を解析し、文章化するシステムのことです。音声認識によって人間の言葉が自動的に文字化されるため、手入力での作業よりも負担が少なく素早く文章を作ることにつながります。現在では音声認識のAI技術も進んでおり、企業や自治体での活用はもちろん、スマートフォンのアシスタントとしても利用されています。
●音声認識システムの仕組み
音声認識の仕組みは主に下記の3つから構成されています。
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データ入力および変換
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音素の特定
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音声認識辞書により文書化
まず人間が発する音声はすべてデータ化されます。音声データはマイクなどから録音され、音声を正確に認識するためにノイズや雑音などが除去されていくのが最初の工程です。その後、録音した音声データをコンピューターが理解しやすいように整形していきます。
整形時には音声データの音素を特定していきます。音素とは、意味の違いにかかわる最小の音声単位のことで、母音・子音・撥音の3つから構成されるものです。例えば「ありがとう」は「a/r/i/g/a/t/o/u」と区切られることでデータ化し、音声は「ありがとう」であるという単語の特定を行っていきます。
最後にデータ化したものを音声認識辞書で、どの単語が適しているかを組み上げていきます。例えば、日本語では「くも」という単語も「雲」と「蜘蛛」のふたつの意味があるため、文章の流れからどちらの意味が適しているかを判断することが必要です。人間が発する音声をデータ化し、音素を特定、最終的に音声認識辞書を用いて文章化していきます。
音声認識システムが活躍している事例
音声認識システムが活躍している事例としては主に下記の4点が挙げられます。
●コールセンター
コールセンターでは問い合わせ内容を文字起こしすることで、問い合わせ対応の効率化や応対履歴入力の手間をなくすようにしています。音声認識システムを利用することで、顧客からの問い合わせ内容をテキスト化できるため、多くのシーンでの利用が可能です。テキスト化されたデータはそのまま応対履歴の入力に利用できるので、作業の簡略化につながります。ほかにも音声認識システムで拾ったキーワードから関連する資料を画面に素早く表示させ、応対品質の向上などにもつなげています。
●医療
医療現場では電子カルテへの入力に音声認識システムの活用が進んでいます。文字どおり、カルテは手入力で行うのが一般的です。しかし音声認識システムで文章化することで、診察へのカルテ入力はもちろんのこと、看護記録や紹介状などの文章作成の手間も減ってきています。医師の中にはパソコン操作が不慣れな方もいるため、音声操作によってより効率的に文書作成ができる機能として活躍しています。
●モバイルアプリ開発
モバイルアプリ開発では、アプリに音声認識を組み込むことで、利便性を上げる目的で活用されています。例えば、音声翻訳アプリです。外国人と交流する際に相手が話した言葉をそのまま文章化し、翻訳を行うことでスムーズなコミュニケーションにつながります。販売店などで外国人に対応する場合でも、専門のスタッフがいなくてもスムーズな対応が可能です。また、日本から外国へ旅行する際にも活用できます。
●議事録の作成
会議などの議事録を作成する場合も、音声認識システムは活躍します。会議で話した内容を録音しておけば、すぐに文章化できるからです。会議後の文字起こしを手動で行う必要がなく、担当者の業務効率化につながります。外部委託などを行っている場合はコスト削減にもつながっていくでしょう。
音声認識システムのメリット・デメリット
音声認識システムにもメリットとデメリットがあります。それぞれをきちんと押さえておくことで、有効的な音声認識システムの活用につながっていきます。
●メリット
音声認識システムのメリットは主に下記の3点です。
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業務効率化が実現できる
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人手不足の解消が期待できる
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新たな知見の発見が期待できる
音声認識システム導入の最大のメリットは「業務効率化につながる」ことです。顧客からの問い合わせ対応や会議での議事録作成など、手動で文字起こしを行おうとすると時間と手間が必要になってきます。しかし音声認識システムを導入することで、文字起こしが自動化されるため、こうした時間や手間がなくなっていきます。ほかの業務に充てる時間が増えるため、業務効率化につながっていくでしょう。
また、文字起こしなど生産性が低い業務にリソースを割く必要がなくなるため、人材の有効活用につながります。コールセンターなど人材不足や業務負担が大きい仕事では、非常に重宝されます。
最後に「新たな知見の発見」です。音声を文章化することで、客観的に会話の内容を見ることができるため、音声では気づけなかった重要な情報を見つけることも期待できます。こうした技術は「テキストマイニング」と呼ばれており、音声認識システムと合わせて多くのサービスが提供されています。
●デメリット
一方でデメリットは主に下記の3点が挙げられます。
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正確な文章にならない場合もある
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マイクの感度によっては音声を聞き取れない場合もある
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複数人で利用した場合の認識が難しい
音声認識システムは多くが正確に音声を聞き取ってくれますが、発音が違っている、方言や訛りがあるなどの場合は、正確な文章にならず違和感のある文章になってしまう場合もあります。そのため、できた文章は過信することなく、人の目によってダブルチェックすることが必要です。また利用するマイクによっては音声そのものを聞き取れない、周囲の雑音を拾ってしまい、正確な文字認識ができないなどの場合もあります。
ノイズ除去に優れているマイクを利用する、マイクをきちんと固定して利用してもらうなどの対策が必要になってきます。会議などでは複数人が同時に話してしまう場面も出てきてしまうでしょう。そうした場合、音声認識システムでは誰がどのように話したかは認識できないため、1人が支離滅裂なことを話しているような文章になってしまう場合もあります。議論が活発化してしまい、思ったような文章にならず、修正が必要になる可能性があるのはデメリットといえるでしょう。
音声認識システムの精度を上げる方法
残念ながら今のところ、音声認識システムが100%の確率で認識することはほとんどありません。録音する環境や話し方のクセ、音が似ている文字の識別違いなど様々な理由から難しいのが現状です。
音声認識システムの精度を上げるためには「辞書登録の工夫」や「文章学習」が必要です。辞書登録の工夫とはワードを分割して登録することが挙げられます。例えば、「東京都知事」というワードは「東京」「都」「知事」などのワードに分割ができます。「東京都知事」のみだと、きちんと発音しなければ認識されないため、関連するワードも登録することで認識率を上げていくことが必要です。
また、文章学習とは主に同音異義語です。「くも」や「はし」などのように日本語はひとつの音で複数の意味を持っているものが多くあります。人は意味の違いは文章から理解はできてもAIでは理解ができないため、言い回しや表現を文章登録しておく必要があります。これらを根気強く登録し、学習していくことが必要です。
「AmiVoice」を活用するのも方法のひとつ
AmiVoiceは世界トップレベルの音声認識技術を持つ、国内シェアNo,1の音声認識システムです。ビジネスシーンでも多く利用されているため、AmiVoiceを活用するのも方法の1つです。AmiVoiceには下記のような特徴があります。
●あらゆる会話スピードに対応
人の会話には早口や方言、訛りなどあらゆる特徴があります。AmiVoiceではあらゆる会話のスピードに対応しているため、自然な会話を正確に認識することが可能です。そのため誰でも簡単に音声認識が利用できます。
●処理能力が高い
音声認識システムは前述した通り、音声をデータ化し、文章に起こしていく必要があります。AmiVoiceはこれらの処理能力が非常に高いのが特徴です。会話を音響分析し、音声認識辞書を活用してリアルタイムに文章化していきます。またディープラーニングの技術を用いているため、非常に高度な機械学習ができるのも特徴です。
●元の音声をテキストデータとともに保存できる
AmiVoiceでは文章化したテキストデータはもちろんのこと、録音した音声も保存できます。そのため改めての聞き直しも可能なことに加え、音声の再編集も可能です。音声を保管しておくことで、テキストとの整合性も取れ、より精度の高い文章作成につながります。
●耐雑音性能を持つ
音声の認識をアップさせるためには、雑音やノイズなどは極力除去する必要があります。AmiVoiceは世界トップクラスの耐雑音性能を持っており、雑音やノイズを極力除去することが可能です。具体的には自動車などの騒音や音声通話の際のノイズなどです。高い耐雑音性能を持つことで、認識率をアップさせ、精度の高い文章化に貢献しています。
そのほかの音声認識システムの種類
AmiVoice以外にも音声認識システムには多くの種類があります。具体的には下記の7つが挙げられます。
●Google Cloud Speech-to-Text
Google Cloud Speech-to-Textは名前の通り、Google社が提供している音声認識システムです。120以上の言語と方言が認識できるようになっており、Googleが開発した機械学習技術を使用しているのが特徴です。会話をリアルタイムに文章化するのはもちろんのこと、テキストデータに加え録音データも保存することが可能です。料金は60分までの音声は無料で利用でき、以降は15秒ごとに料金が発生します。
●Watson Speech to Text
Watson Speech to TextはIBMが提供している音声認識システムです。Watson Speech to Textはデフォルトで多くの語彙に対応していますが、自身で好きな単語なども追加登録もできます。また機械学習のAIエンジンにはWatsonが利用されています。料金はIBM Cloudのライト・アカウントを登録すれば、無料で利用できるのも魅力的な点です。
●Microsoft Speech Services
Microsoft Speech ServicesはMicrosoft社が提供している音声認識システムです。音声データをリアルタイムで文章化するのはもちろんのこと、認識率が高いことでも知られています。Microsoft Speech Servicesは単体のサービスとしてではなく、ほかのMicrosoft社が提供しているクラウドサービスに付随して利用ができます。そのためFreeプランの登録を行えば、無料で利用可能です。
●Amazon Transcribe
Amazon TranscribeはAmazon社が提供している音声認識システムです。Amazon Transcribeはリアルタイムでの文章化はもちろんのこと、特定の分野にも特化できるのも特徴です。具体的には医療分野です。医療分野向けのAPIが用意されており、医療の専門用語を利用した会話でも正確に文章化が可能です。料金は1ヶ月60分までは無料で利用ができ、それ以降は従量課金制になっています。
●Hmcomm
Hmcommは、日本の国立研究開発法人産業技術総合研究所発のベンチャー企業として活動しているHmcomm株式会社が提供している音声認識システムです。料金は利用形態によって変わってくるため、問い合わせが必要です。HmcommはVシリーズとして音声認識システムを展開しており、クラウド型サービスのV Boxやコールセンター向けのV Contact、議事録に音声対応が可能なV CRMがあります。どのシリーズも高い認識率や言語解析処理に優れているのが特徴です。
●NTT SpeechRec
NTT SpeechRecはNTTテクノクロスが提供している音声認識システムです。NTT研究所が開発したVoiceRexを採用しており、音声認識は高精度かつリアルタイムでの文章化が可能です。料金はふたつの形態が用意されており、オンプレミス型である「SpeechRec Server」とクラウドでの提供となる「SpeechRec クラウドサービス」になります。自社の利用形態に合わせて選択することが可能です。
●Nuance
Nuanceはコンタクトセンター向けに提供されている音声認識システムです。通話を機械によって自動化させることで、業務効率化を実現できます。Nuanceの特徴は機械音声にもかかわらず、人と会話をしているような感覚でコミュニケーションが取れることです。料金は問い合わせが必要ですが、人手不足で困っているコールセンターなどは積極的に採用しても良いかもしれません。
最適な音声認識システムの導入で上手に効率化を
AI技術の進歩などによって音声認識システムも普及が広がり始めています。
文字起こしや議事録作成などは手間と時間がかかるとともに、ヒューマンエラーも発生しやすい業務です。しかし音声認識システムを導入することで、これらの業務は劇的に効率化され、生産性向上にも貢献するでしょう。ぜひ本記事を参考に音声認識システムの活用を検討してみてください。
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