WebサイトやWebシステムはメールサーバ、Webサーバ、Webアプリケーションサーバ、データベースサーバ、トランザクションサーバなど多くのハードウェア・ソフトウェアで構成されています。
「サーバ」という言葉はハードウェアとソフトウェアの両方で使用されていますが、サーバごとにそれぞれどのような違いがあるのか、ご存じでしょうか。
サーバソフトウェアの「Webアプリケーションサーバ」はWeb3層構成とも呼ばれる構成要素の一つで、大量のリクエストを高速で処理するWebサイトにおいて、重要な役割を担っています。
今回は、Webアプリケーションサーバの概要や仕組み、Webサーバとの違い、メリットなどについてご紹介します。
目次
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Webアプリケーションサーバとは?
サーバを理解しづらい原因の一つに、ハードウェアとソフトウェアのどちらの意味も持つという点があります。Webアプリケーションサーバとは、Webサイトの構成でどのような機能を提供しているのでしょうか。
サーバと聞くと冷房の効いたサーバルームに置いてある、大きなコンピュータ群を想像する人もいるでしょう。それももちろんサーバですが、Webアプリケーションサーバはソフトウェアの一つです。Webブラウザを使うアプリケーションサーバを指します。
サーバソフトウェアは、ユーザーとデータベースなどの業務システムをつなげる機能を持っています。2017年時点では、サーバソフトウェアの中でもWebアプリケーションサーバが主流です。
Webアプリケーションサーバの基本機能としては、データベースへの接続制御、セキュリティ管理、ユーザー認証処理などの動的な処理が可能です。主に企業内の業務システムやオンラインショップの受発注システム、企業間の電子商取引など動的な処理が多く発生するWebサイトで活用されています。
WebアプリケーションサーバとWebサーバの違い
WebアプリケーションサーバとWebサーバは、名称や機能に似ている点が多く、混同されがちです。両者のサーバの機能的な違いを解説します。
●Webサーバ
WebサイトはユーザーがGoogle ChromeやInternet Explorer、FirefoxといったWebブラウザからリクエストを行います。例えば、「企業情報を閲覧したい」というリクエスト、アパレル系ECサイトなら「ブランド名やサイズを絞った商品一覧を閲覧したい」といったリクエストです。
Webサーバはリクエストを受け付けると、その結果をWebブラウザへ返します。会社概要ページなどテキスト情報だけの静的なページであれば、そのままHTML、CSS、画像などのデータを送ります。
一方、受け付けた内容がブランド名やサイズを絞るといった動的な処理の場合、WebサーバはWebアプリケーションサーバへ処理のリクエストを依頼し、返ってきた処理をデータとして同じくWebブラウザへ送ります。
よく利用されるWebサーバとしては、オープンソースの「Apache HTTP Server」や「nginx」、Microsoftが提供する「Microsoft Internet Information Services (IIS)」などが有名です。
●Webアプリケーションサーバ
Webアプリケーションサーバでは、Webサーバから受け付けたリクエストをJavaやPHP、Rubyなどのプログラミング言語を実行して処理します。そして、実行した結果をWebサーバへと返します。
Javaアプリケーションサーバでは、オープンソースの「Apache Tomcat」が有名です。「Apache Tomcat」はJava Servletを動かすサーブレットコンテナの一つですが、簡単なWebサーバとしての機能も有するため、広く活用されています。
Webアプリケーションサーバの仕組み
多くのWebサイトやWebシステムが採用しているWeb3層構成について、概要とWebアプリケーションサーバの仕組みをご紹介します。
●3層構成
3層構成が、「3階層システム」や「Web3層構成」などとも呼ばれています。
<Webサーバ>
Webサーバはフロントエンドにあり、ユーザーと直接やり取りを行うサーバです。ユーザーがWebブラウザからリクエストした内容を受け付けて処理します。
<Webアプリケーションサーバ>
Webアプリケーションサーバでは、WebサーバからのリクエストをJava、Ruby、PHPなどを実行して処理します。場合によっては、データベースにアクセスしてデータを要求します。
<データベース>
データベースは、主にデータの管理を行っているバックエンドで、Webサイトに必要なユーザーデータや商品データなどを保存しています。Webアプリケーションはデータベースにアクセスし、必要なデータの抽出や加工処理を実行します。
●2層構成
2層構成は3層構成が主流となる以前に、WebサイトやWebシステムでよく利用されていた方式です。2層構造にはWebアプリケーションサーバが存在せず、ユーザー側やバックエンド側にビジネスロジックが実装されており、WebサーバでJava、PHP、Rubyなどの処理を含めたすべての処理を行っていました。
Webアプリケーションサーバのメリット
Webアプリケーションサーバを利用したWebシステムを構築するメリットとは、どのような点にあるのでしょうか。
●導入やメンテナンスが容易
これまでのシステムでは、ユーザーが新たに追加された場合や、PCのリプレースが発生した際は、新たにシステムをPCごとにインストールする必要がありました。しかし、Webシステムを活用することで、ユーザーが利用するPCへインストールする必要がなくなり、Webブラウザが搭載されているPCからインターネット環境に接続するだけでシステムを利用可能になりました。
システムメンテナンスの際にも、以前はインストールしたPCすべてを更新する必要がありました。しかし、変更や更新がWebサーバ、Webアプリケーションサーバ、データベースへ行うだけで済み、運用作業を簡単に行えるようになりました。
●情報処理の負荷を軽減
スマートフォンやタブレットの普及もあり、ユーザーがWebサイトやWebシステムに日常的にアクセスする機会が多くなっています。その結果、現在のWebサイトやWebシステムは大量のリクエストを効率よく処理してレスポンスを返す必要があります。
従来の2層構造では、Webサーバで要求の受け付けから情報の処理まですべてを行っていました。そのため、Webサーバに負荷がかかりすぎてしまい、レスポンスが低下したりWebサーバが停止したりするのが問題でした。そこで、WebサーバとWebアプリケーションサーバを分離することによって、Webサーバの情報処理負荷を軽減するとともに、効率良く大量の処理が可能となりました。
情報の処理スピードは、Webサイトのコンバージョン率や直帰率にも影響します。レスポンススピードを向上させることは、Webサイトの運用において必須といえるでしょう。
3層構造のWebアプリケーションサーバで早いレスポンスを目指す
情報処理の負荷軽減によるレスポンススピードの改善のほかにも、導入やメンテナンスが容易になるなどWebアプリケーションサーバには多くのメリットがあります。
優れたWebサイトを構築しているにもかかわらず、レスポンススピードが遅い、直帰率が低い、コンバージョン率が低いなどの問題があるなら、まだ2層構造を採用しているのかもしれません。
サーバを確認し、Webアプリケーションサーバを活用した3層構造のWebサイトに改修してみましょう。
また、新規でWebサイトを開発する場合は、Webアプリケーションサーバを活用し、レスポンススピードが早く、品質の高いサイトを目指してください。
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