高い技術力を持つ故に、『大手SIerへの技術協力』という形で数多くの大規模なシステム開発案件に参画するシステム開発会社も少なくない。2000年に設立した株式会社コアソフトもその一つだ。技術協力、つまりは下請けからの脱却を目指した同社は、複数のマッチングサービスを並行利用し、直請け案件の獲得に舵を切った。複数のマッチングサービスを使い続ける同社は、発注ナビをどのように評価し、今後、どのように活用しようとしているのだろうか。同社取締役の菊地 幸平氏にお話を伺った。
会社名 | 株式会社コアソフト |
---|---|
所在地 | 広島県東広島市西条西本町12-28 |
従業員数 | 101 – 300名 |
事業内容 | システムの受託開発、ホームページのデザイン及び制作 バーチャルコンテンツ制作、システム導入コンサルティング パッケージソフトウェアの販売、クラウドサービス事業 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
豊富な実績と経験を下地とした大規模でハイエンドなシステム開発に強みを持つ同社。技術力の高さ自体は評価されていたが、大手SIerに技術協力する下請けの案件が多かった。受注が大手SIerに左右されないように『脱・下請け』を目指して、直請けができる新規顧客の獲得に方針を転換。しかし、それまでに新規顧客開拓の営業経験が少なかったことと、広島を拠点とした『地方×直請け』の案件を獲得したいという考えもあって、新規顧客獲得は難航した。
- 導入後の効果
複数のマッチングサービスを並行利用する中、成約報酬型ではない発注ナビのメリットを活かして、予算が大きい案件を中心にエントリー。さらに商談では、顧客の要件に合った内容を誠心誠意、丁寧に分かりやすく提案することで順調に成約を獲得。結果、7年間で19件、年平均2~3件の新規案件の獲得に成功した。また、失注した案件でも商談の機会を得られた顧客には定期的に連絡を行うなど丁寧なフォローを実施。発注ナビを目先の案件獲得のためだけではなく『中長期的な受注プラットフォーム』として活用している。
『脱・下請け』を目指しての新規顧客の開拓が課題に
2000年設立の株式会社コアソフトは、東京と広島の2拠点体制で全国のシステム開発案件に対応している。難易度が高いとされる医療系業務システムの開発経験が豊富なことが強みの一つだ。医療系業務システムは、医療機器や器具、備品、薬品など管理項目が非常に多く、在庫個数等だけでなく使用期限なども紐づけて正確に管理する必要があるため、構成が複雑になりがちだ。そのうえ、セキュリティ面を含めたシステムの安全性、安定稼働、万が一のときにもシステムが止まらないような堅牢性も求められる。同社はこうしたハイエンドなシステム開発を通じて蓄積された技術力やノウハウ、知見を持っているだけではなく、それらをほかのさまざまな業種・業態のシステム開発に活かしているのが大きな特徴だ。
同社の従業員は115名で9割以上がエンジニアである。マンパワーを活かして大規模な開発案件にも対応できるほか、デザイナーが社内にいるため、UI/UXに優れる使いやすいシステムを開発できる。菊地氏は「パッケージシステムにはない、『かゆいところに手が届く』システムを作れるのが強み。お客様が実際にシステムを使ってみて初めて挙がる機能追加や改修のご要望にも柔軟に対応しています」と強みを語る。
このような特徴を持つ同社だが、実は「医療系業務システムで実績と経験を積んできたからこその悩みもあった。開発規模が大きいこともあり、大手SIerが一次請けであり、同社は技術協力会社として参画するケースが多かったのだ。菊地氏は「つまり当社は『下請け』として、実際の開発を担当していたのです。大手SIerから安定的に発注をいただけても、自社で新規顧客を開拓していくことが少なく、そのノウハウを蓄積していくことができませんでした」と振り返る。
同社では『脱・下請け』を目指して直請けの新規顧客獲得に動き出した。自社の営業リソースを投入するのは効率的ではないと判断し、当時、楽天グループが提供していたマッチングサービスを利用することにした。狙いは的中し、大手企業から大規模開発案件を直請けで受注できたが、そのサービスが終了となったことで状況が一変。新たに案件獲得の方法を模索しなければならなくなったのだ。
複数のマッチングサービスを実際に使いながら、『成約報酬型ではない発注ナビの魅力』を再確認
同社では、複数のマッチングサービスを比較・検討した。その結果、「発注ナビを含めて3つのサービスが残り、これらを実際に契約して使ってみることにしました」と菊地氏は説明する。
発注ナビ以外の2つのサービスのうち、一つについて菊地氏は「料金は安いのですが、その分、小規模の会社や個人事業主が入ってきやすいことがあって、基本的に価格競争になります。弊社は価格では勝負できないので、同じ土俵に立てないという印象でした。正直、新規案件獲得による売上拡大には直結していません」と評価する。
もう一つのマッチングサービスについては、「もっとも長い期間、利用しているサービスです」(菊地氏)という。「紹介される案件数は多いのですが、初期費用と月額利用料、そして案件受注時の成約報酬がかかります。受注金額の一定割合を支払う仕組みのため、大規模案件になると金額的に大きな成果報酬を支払わなければなりません。割合は一定でも支出が大きくなるので、数百万円規模の案件を狙っています」(菊地氏)。
これら2つのサービスに比べて発注ナビの良さをどう感じているのだろうか。菊地氏は「まずは、成約報酬型でないことが大きな魅力です」と話す。それだけではなく、「送られてくる案件情報には、発注ナビの担当者が事前に発注者に案件についてヒアリングした情報が記載されています。その情報が詳しく、精度が高く、発注者がどのようなシステムをどのくらいの費用感で作りたいと考えているのかがわかります。事前情報の精度が高いこと、そして『お金をかけてシステムを作る』ことを真剣に考えている発注者が多いことも、他のマッチングサービスと比べての発注ナビの魅力です」。なかなか自社の希望にぴったりと合うマッチングサービスがないという声を良く耳にするが、発注ナビは『使えるサービス』の候補の一つとして評価されているようだ。
商談では価格勝負をせずに『クオリティ』を強調、大規模案件を中心にこれまで19件を新規受注
同社では2017年6月から発注ナビを利用開始し、これまで4回契約を更新している。7年以上にわたって継続利用している理由について菊地氏は、「安定的に新規案件を獲得できているからです」と説明する。実際、これまでに同社が受注した新規案件は19件に達し、単純計算では年平均2~3件の新規顧客の開拓に成功していることになる。
菊地氏は「直請けのシステム開発案件を営業社員が『足を使って』獲得してくるのはとても難しいことです。特に広島を中心とした地方では顕著です」と実情を示す。それに対し、「『地方の直請け』といった案件でも、発注ナビを利用することでそのハードルの高さを飛び越えて受注できています。こうした結果には満足しています」という。
ただし、3つのマッチングサービスを使っている同社では、コストについて社内で議論になるときもあるという。どれか1つのサービスに絞った方がいいのではないか、という意見だ。その中で発注ナビの利用を継続している理由について、菊池氏は「支払っているコストを賄えるだけの受注ができています。この事実があることが大きな意味を持っています」と説明する。
そのうえで、「発注者も一つのマッチングサービスだけを見て発注先を探しているとは思えません。発注者も複数のマッチングサービスを使って、より良いシステム開発会社と出会いたいと考えるはずです。そのニーズを考えると、無理に一つのサービスに絞り込む必要性はないと思っています」という。
このように、複数のマッチングサービスを活用しながら着実に新規案件を獲得してきた同社。成約した新規案件の中に総額数千万円にも及ぶ大規模案件の割合が高いことも見逃せない。菊地氏は「確かに金額勝負のような案件よりも、比較的大規模な案件のほうが当社にはマッチしています。肌感覚ですが、数千万円規模のプロジェクトでお役様の役員や社長向けのプレゼンまで行けた案件は、基本的に成約できています」と話す。
ただし、そこに特別な工夫はなく、あるとすれば価格競争になりそうな案件には手を挙げないようにする程度のようだ。安さ勝負はしないと決めているので、クオリティを担保するためにはそれなりの金額が必要となることを誠実かつ真剣に顧客に説明している、と菊池氏は語る。自社のクオリティの高さをきちんと自社の言葉で説明する、基本的なことだが、そこにポイントがあるのかもしれない。
「お客様と知り合って継続的にお付き合いしていく」、そのきっかけとして発注ナビを活用
さらに、同社では商談はしたものの残念ながら失注してしまった案件のフォローも忘れてはいない。商談で顧客と直接会う機会を持てたら、それが失注した場合でも、商談後に定期的なフォローを行い、関係性を維持しようと努めているという。そういった関係性を構築できることについても、菊地氏は誠心誠意、提案することの大切さを強調する。「失注の理由はさまざまなのですが、割と多いのが『今回は予算の都合で……』というものです。裏を返せば、『提案自体は評価していただけたのかもしれない』ということ。ここが大切です。丁寧に真剣に提案をすれば、たとえ失注しても評価していただけたり、お客様が覚えておいてくれたりします。そうなれば後からフォローのご連絡をしても失礼やご迷惑にはならないのではないか、そう考えています」。
もともと、『脱・下請け』で顧客と直接やりとりできる機会の創出のためにマッチングサービスの利用を開始した背景がある同社。「案件を受注することももちろん狙いではありますが、それよりも中長期的に見ると、お客様と知り合ってコンタクトを取って継続していく、発注ナビがそのきっかけになればいいと考えています」。継続的に深いお付き合いができるお客様を見つけるため、今後も発注ナビを積極的に活用するという未来を見据えているようだ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
■関連リンク
■導入事例インタビュー