基幹システムは、業務の中心となる情報を管理しており、業務効率化やヒューマンエラーの削減に大きく貢献できます。しかし、価格や評判をチェックするのは大切ですが、それだけで決めてしまうと現状の業務プロセスを無視したシステムになりかねません。そうなると使い勝手が悪くなるだけでなく、無駄なコストや人為的な作業ミスが頻発するリスクが高まります。
今回は、基幹システムの特徴や導入のメリット、ERPや情報系システムとの違いについて詳しく解説します。基幹システム導入時の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
目次
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基幹システムとは?
基幹システムは、自社業務の核となる情報を管理するシステム(またはソフトウェア)の総称です。より分かりやすく言えば、基幹システムは「企業がビジネスを遂行するため、業務上必要となるシステム」という認識でも良いでしょう。
企業規模や経営状況といった重要な情報管理を行い、企業経営の意思決定を担うバックオフィスにシステムが集中していることが多いため、「バックオフィス系」と呼ばれることもあります。以下では、代表的な基幹システムをいくつか挙げ、詳細な役割について詳しく紹介します。
基幹システムが取り扱う業務の種類
企業や業種によって基幹システムの具体的な特徴は異なるものの、大きく以下の5つに分けられ、システムごとに提供できるサービスに違いがあります。
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生産管理システム
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販売管理システム
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購買管理システム
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在庫管理システム
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統合基幹業務システム(ERP)
ここでは、それぞれの基幹システムが持つ特長についてさらに詳しく解説していきます。
●生産管理システム
生産管理システムは、主に製造業(メーカー)で用いられている基幹システムです。製造業の要となる仕入れ~生産までのプロセスを一元化でき、状況を随時確認できます。
計画通りに製造・出荷するための進捗管理や、仕入在庫・製造済みの商品在庫・商品の出荷状況などのチェックを役割として運用されます。
●販売管理システム
販売管理システムは、実店舗となる現場やECサイトなど、販売管理システムは販売業で幅広く利用されています。
どの商品が売れているのか、売れた商品の物流はどうか、どの商品が在庫を圧迫しているのか、売上・仕入値はいくらか、料金に対する実際の利益はどれくらい出ているのかといった、販売における情報を業務データとして正確に管理・可視化し、分析に活用することができます。
●購買管理システム
購買管理システムは、主に小売業、卸売業、製造業の基幹システムとして利用されています。
注文書の作成・出力、支払管理、支払伝票の発行といった購買に関する業務プロセスをシステム化させることで問題点の解決やワークフローの最適化に役立ち、生産性を向上させることができます。
●在庫管理システム
在庫管理システムは、その名の通り、業務上必要となる在庫をすべてまとめて管理します。完成品を格納する在庫だけではなく、製造用の部品・原材料、製造途中の半製品など、管理や情報共有の必要を伴う「在庫」が多岐に渡る小売業・製造業を中心に活用されている基幹システムです。
他の基幹系システムとの連携が多いことも特徴のひとつで、生産管理だけではなく、販売管理や購買管理などとも一緒に使われるケースも多いです。
●統合基幹業務システム(ERP)
統合基幹業務システムは、生産管理、販売管理など複数部門のシステムをパッケージ化により統合し、管理機能を一元化・最適化させることで、効率的かつスムーズなシステム運用が行えるようにしたものを指します。
企業の規模によっては関わる業務の範囲も大きくなりやすく、それぞれのデータを別々のシステムで管理・運用することによって、ワークフローが煩雑になってしまうことがあります。
そこで、基幹システムを1つに統合することで総合的な管理が可能となる統合型の基幹業務システムを導入して、業務全体をまとめてカバーできるようにするケースも少なくありません。
例えば製造業の場合、生産管理・購買管理・在庫管理などのシステムに加えて、会計・人事給与・勤怠管理といった人事会計に関するシステムが基幹システムとして搭載されています。なかでも製造の基幹となる生産管理・購買管理・在庫管理を担うシステムは、同じデータをシェアして利用することもあります。これらの基幹業務システムを統合的に管理できるのが、統合基幹業務システムの特徴です。このように基幹となる複数のシステムを充実させオールインワン化するため、「業務統合パッケージ」とも呼ばれます。
基幹システムを導入するメリット・デメリット
基幹システムを導入するメリットとデメリット | |
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メリット | 業務の効率化を実現しやすくなる |
業務の属人化を防ぎやすくなる | |
業務の自動化によりヒューマンエラーを発生させにくくなる | |
情報の一元化してデータの紛失や破損を防ぎやすくなる | |
デメリット | システムが止まると業務がストップしてしまう |
業務にあったシステムでないと効果が半減しやすくなる |
企業による基幹システムの具体的な導入メリットは、どの業界やどの職種なのかによっても異なりますが、企業を問わず当てはまる普遍的なメリットも存在します。
一方、多くのメリットをもたらす基幹システムが持つデメリットについても把握しておくことが必要です。
下記では、基幹システムの主なメリットを4つ、主なデメリットを2つそれぞれご紹介します。
●基幹システムを導入するメリット
まずは基幹システムの導入メリットについて解説していきます。
業務の効率化を実現しやすい
システムの導入により、これまで手動で行っていた業務プロセスを自動で行えるようになります。
仕入・売上管理、見積・請求書管理、CRM(顧客管理)などは、会社の規模が大きくなるほど管理や運用に手間とコストがかかるものです。
しかし基幹システムがあれば、事前にExcelなどを使ってPCへ情報を入力しておくだけで自動的に数値を更新できるようになるため、作業の大幅な効率化が可能です。
また、データ連携が可能な点も業務効率化に大きく貢献します。財務会計では仕入台帳からさまざまな書類を作成する必要がありますが、仕入データをもとに総勘定元帳や決算書、売掛帳、買掛帳といった必要書類がすべて自動的に作成されます。手動で作成する必要がないため、会議に使う資料を準備する時間を短縮することができます。
業務の属人化を防ぎやすい
基幹システムによって標準化された業務が社内の共通認識になるため、誰でも一定レベルの業務品質を保てるようになります。
これにより、「その作業に特化した特定の人材がいないと業務を遂行できない」といった属人化を防ぐことができます。中堅社員でも新入のアルバイトでも、誰が担当しても同じように業務可能であるため、クオリティの標準化が可能です。
また、業務内容によってはRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)を絡めてさらに作業の効率化を進められたり、小売店などが基幹システムの機能をPOSシステムに搭載させて、さらに利便性を向上させたりするケースもあるため、他のシステムやサービスなどと連携させることで、属人化の防止とクオリティ標準化の両方を達成できるポテンシャルもあるでしょう。
ヒューマンエラーの削減につながる
システムによって業務を自動化できるため、手を動かす作業で起こりがちなヒューマンエラーやミスの削減ができるメリットがあります。
システムの手動オペレーションやデータ入力といった作業は、細心の注意を払い、繰り返し確認を行ったとしても、少なからずヒューマンエラーが発生します。基幹システムの導入によって、入力の抜け漏れや計算ミスなどを防げるだけではなく、担当者同士のコミュニケーションロスも防止できるため、小さなミスが大きなトラブルへと発展するのを未然に防ぎます。
情報を一元化できる
業務に必要な情報を一元化することで、欲しいときに必要な情報をすぐに抽出可能です。一元管理することで企業規模や経営資源といった企業経営に必要なデータも可視化できるため、最新の経営状況の分析や課題の把握、組織の意思決定などが迅速になるでしょう。
また、データの紛失や破損、最新版の重複といったミスに繋がりやすい事態が生じる可能性が低くなったり、BIツールなどで蓄積データと経営指標と照らし合わせ、リアルタイムでの分析や可視化がしやすくなったりするメリットもあります。
一連の業務で共用される情報は、システムを横断して反映されます。例えば、基幹システムに顧客の基本情報を入れておくと、見積や生産、受注、販売を担うシステムに反映され、受注金額は会計システムにも反映されます。情報の一元化により、同データをわざわざ入力しなおす手間がありません。また、何らかのミスや不具合が発生したときに、どのプロセスに問題があったのか把握することも容易になるでしょう。
●基幹システムを導入するデメリット
導入することでさまざまなメリットを得られる基幹システムですが、導入前に注意すべきデメリットもあります。
ここでは、基幹システムを導入するデメリットの代表的なものを2つご紹介します。
システムがダウンすると業務も止まってしまう
「企業の重要業務を管理するシステム」という都合上、一度稼働した基幹システムは基本的に止められません。もし基幹システムに予期せぬ障害が発生し、システム自体が停止してしまうと、業務に大きな支障を及ぼしてしまいます。
例えば、工場で生産管理システムが停止すれば、生産状況や計画の進捗度が不明確となり、工場全体を一時的に停止せざるを得ない状況に追い込まれる可能性もあります。
このように、基幹システムは企業活動のまさしく「基盤」を成しているため簡単に止めることが許されないシステムであり、動作の安定性や高いセキュリティが求められます。
導入効果が得られないおそれがある
仕事の根幹を担う基幹システムと言っても、業務に関係のないシステムを導入しても見合った効果を得られません。また、どんなに多機能な基幹システムでも、従業員が使いこなせなければ恩恵も少なくなるでしょう。
そのため、基幹システムを導入する際は「なぜ基幹システムの導入を推進するのか」の導入目的を明確化したり、「どうやって従業員に周知するのか」の内部統制を整えたりする必要があります。さらに、従来のワークフローを見直し、得意分野や強みが異なるさまざまな人材が適切に業務を遂行するための社内教育まで行うのが理想的です。
システムを導入するだけですぐに組織内の業務レベルが引き上がるものではないため、基幹システムの導入に伴う働き方の変化も必要になるでしょう。
基幹システムと他のシステムの違い
基幹システム | 「企業の核となる業務」の効率化を目指すシステム |
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ERP | 「企業が持つ資源」を一元管理する計画や概念 |
ERPシステム | ERPの概念を実現するための統合基幹業務システム |
情報系システム | 社内のコミュニケーションや業務効率化を目的に導入されるシステム |
業務システム | 業務を行う際に使用するシステムの総称 |
企業活動を支えるシステムは、主に「基幹システム」、「ERPシステム」、「情報系システム」、「業務システム」の4つに分けられます。以下ではそれらの概要と、基幹システムとの相違点について解説します。
●基幹システムとERP・ERPシステムの違い
ERPとは「企業資源計画(Enterprise Resource Planning)」の頭文字から作られた言葉を指します。端的に言えば、企業が保有しているヒト・モノ・カネという資源を一元管理して、経営戦略に役立てるという計画(または概念)のことをいいます。
この計画・概念を実現するために作られた業務システムを「統合基幹業務システム」、別名「ERPシステム」と呼びます。
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ERPは、「企業の資源を一元管理する計画や概念」
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ERPシステムは、「ERPの概念を実現するためのシステム」
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基幹システムは、「企業の核となる業務の効率化を目指すシステム」
それぞれの意味を端的にまとめると、上記のような違いがあります。ERPが2つの意味を含有しているため混同されることもしばしばですが、ERPとERPシステムは本来、それぞれ別の意味を表す言葉です。
とはいえ、令和の現代ではERPが概念という意味で使用されるケースは少なく、単純にERPと言うと「システムそのもの」を指すことがほとんどです。
●基幹システムと情報系システムの違い
情報系システムは、メールソフトやオフィスソフト、グループウェア、社内SNSなどが該当します。端的に言えば、社内のコミュニケーションや業務効率化、経費削減の目的で導入されているのが「情報系システム」です。企業の業務遂行に直接は影響せず、トラブルが生じても致命的なダメージを与えないものを指します。
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情報系システムは、システムがストップしても業務を継続できる
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基幹システムは、システムがストップすると業務を継続できない
情報系システムと基幹システムとの大きな違いを挙げれば、上記のような相違点があります。
例えば、社内SNSが予期せぬ障害によって停止してしまっても、緊急の要件は電話やメールで代替することが可能です。効率性の低下は考えられますが、情報系システムのトラブルによって業務が遂行不可能になるケースはほとんどありません。一方、重要な業務データを管理する基幹システムが止まってしまうと業務全体が遂行不可能となり、大きな支障が出てしまうのです。
●基幹システムと業務システムの違い
企業の核となる重要データを管理するシステムである基幹システムに対して、業務システムとはその企業で業務を遂行するためのシステムの総称を指します。そのため、業務システムの方が基幹システムよりもあてはまるシステムの種類が多いのが特徴です。
導入している業務システム内に基幹システムの機能を包括しているケースもあるため、企業によっては基幹システムと業務システムは同一のものと認識されることも少なくありません。
基幹システムと業務システムのどちらを導入すべきか分からない場合は、解決したい課題や問題点を洗い出し、どのような機能を持つシステムを導入すべきかを検討したうえで、適切な方を選ぶのがポイントです。
基幹システムの導入形態の主な種類
基幹システムには主にオンプレミス型とクラウド型の2種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
2つの種類のそれぞれの特徴を把握したうえで、自社に最適な基幹システムを導入するのがおすすめです。
●オンプレミス型
オンプレミス型は、自社で用意したサーバーにシステムをインストールして使用するタイプの基幹システムです。
カスタマイズ性が高く自社の業務に合わせて独自に改良を加えやすいだけでなく、強固なセキュリティ環境を構築しやすいため、基幹システムとの相性が良いのがメリットです。
一方、サーバーを用意する必要がある分クラウド型よりも初期費用がかかりやすく、せっかく用意したサーバーも機器の老朽化に合わせて数年でリプレース(取り換え)が必要になるのが一般的であり、初期費用以外に月額費用がかかる場合も考慮すると全体的に費用がかかりがちです。
また、テレワークを導入している企業の場合、万が一基幹システムがダウンした際や不具合が起きた場合に、どのように対処するかを社内で確認しておくことが大切です。
オンプレミス型の場合はサーバーそのものが会社にあるため、テレワーク環境でトラブルが発生した際、クラウド型と比べると正確な状況確認がしづらい傾向がある点や、担当者に出社の必要が出て他の業務の進捗が滞ってしまう点などへの対策が必要になるでしょう。
●クラウド型
インターネット経由で利用できるクラウド型の基幹システムもあります。近年はクラウドによるDX化の普及が目覚ましく、従来であれば自社でサーバーを用意する必要があった基幹システムにもクラウド化が進んでいます。そのため、近年では中小企業向けの基幹システムをもってソリューションを展開する開発会社も少なくありません。
その理由は、技術の進歩によってクラウドのセキュリティが向上し、重要情報のクラウド化が現実的になったためです。加えて、オンプレミス型の基幹システムの老朽化によって業務に影響が出る企業が相次ぎ、SaaSなどを利用してそれらの問題点をクリアできる新しいシステムのニーズが高まった背景もあります。
基幹システムだけに限らずクラウド化はランニングコストが生じるものの、必要な容量・機能に合わせてサイジングできる柔軟性を持っており、利用目的によってはコストを最小限に抑えられるメリットがあります。また、サーバの追加やCPU・メモリ・ディスク容量の増強といったカスタマイズをシステム停止させずに対応できるため、基幹システムにとっては申し分ない利便性を備えていると言えます。
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社外からも基幹システムを利用したい!
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常にセキュリティを最新のものに保ちたい!
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災害に強いシステムを導入したい!
上記のような点を重視したい企業担当者の方であれば、基幹システムをクラウドに移行するのも良い方法です。IT業界におけるクラウドについては、以下のページでも詳しく紹介しているので、ご参照ください。
▷IT業界で使われる「クラウド」とはどういう意味?どんなことができるの?|発注成功のための知識が身に付く【発注ラウンジ】
基幹システムを選ぶ際のポイント
基幹システムの概要を把握できたところで、実際に基幹システムを導入したい企業担当者の方に向けて、基幹システムの選び方について解説しましょう。
●完成度の高いシステムを選ぶ
基幹システムは簡単に停止することができないので、利用を開始してしまうとシステムの改修・追加といった気軽な修正が難しいです。また、実際にそのような修正が行われる導入事例はほとんどありません。導入したシステムは長期間使用されるため、初めから完成度の高いシステムを導入することが求められます。
本格的な実装前のカスタマイズは可能なため、導入後のトラブルなく好ましい状況でスタートするためには、発注側と開発側双方を絡めた事前の要件定義が大切です。システムの導入目的や解決したい課題を明確にしておきましょう。
●セキュリティが強固なシステムを選ぶ
導入する基幹システムは、一部の経営陣のみでなく企業全体で利用するシステムです。重要な業務に直接関係する情報を管理・処理しており、企業のノウハウが詰まっている「核」となるシステムであることから、機密情報の漏洩やなりすましは許されません。
基幹システムの情報が漏れてしまえば、企業の信頼は失墜するでしょう。令和の現代では、報道やニュースを通じて、銀行や大企業の情報漏洩が大々的に報じられることも珍しくありません。そのため、基幹システムを選ぶ際は、ウイルス対策、パスワードや権限設定、変更履歴管理といったセキュリティ対策のための機能が搭載されているかを最低限確認するようにしましょう。
●操作が簡単で覚えやすいシステムを選ぶ
基幹システムは社員だけでなく、アルバイトや派遣社員、発注担当者など社内外を問わず多くのユーザーが操作します。そのため、コマンド形式の操作など複雑なインターフェースが必要だと、「難しくて使いこなせない」というユーザーが出てきてしまいます。基幹システムは誰が見ても直感的で操作しやすく、簡単に覚えられるシステムであることが大切です。
とはいえ、取り扱う事業や商習慣、業務内容などによっては、既存の基幹システムをある程度カスタマイズするだけでは「業務に見合った最適な基幹システムと分かりやすいインターフェースを両立できない」というケースもしばしばです。そのため、企業によっては、自社の業務に最適なシステムを導入すべく「基幹システムをゼロから開発する」というケースもあります。
●システムの導入形態で選ぶ
先述した通り、基幹システムにはオンプレミス型とクラウド型の2種類の導入形態があります。導入する基幹システムを選ぶ際は、自社の環境や働き方、提供するサービスなどをさまざまな面から分析し、より適している導入形態のシステムを選ぶのがおすすめです。
また、基幹システムの導入に伴い、当初のものとは別の課題が浮かび上がった場合、導入形態を変えることでその課題も一緒に解決できるケースがあります。
例えば、「オンプレミス型の基幹システム開発を外部ベンダーに依存していて、自社内に直接的なノウハウを持っていないために、基幹システムの再構築にメリットを感じられない」という背景を持つ会社の場合は、深いノウハウを持たないユーザーでも使いやすい仕様のクラウド型基幹システムを導入することで、外部ベンダーへの属人化・依存化の課題をクリアするきっかけになるでしょう。
●自社に合った機能の有無で選ぶ
基幹システムを選ぶ際は、自社に必要な機能が搭載されているかどうかをチェックするのはもちろん、既存の社内システムと連携可能かどうか、干渉の有無や相性はどうかなどを事前に確認しておきましょう。
基幹システムは他の業務システムと連携させたり、1つのシステムに機能を集約させたりすることが多いため、導入することで少なからず既存のシステムへも変化が起こるでしょう。
例えば、生産管理や在庫管理といった代表的な機能のほかに、人事給与システムや顧客管理システムの機能を基幹システムにマージすることが可能な場合、現在使用しているシステムの使用を取り止めるのか、などは事前に検討が必要でしょう。
●サポート体制の充実度で選ぶ
基幹システムには万全の体制やセキュリティ強化が必須とはいえ、システム運用上の不意なトラブル対応は付き物です。重要な機密情報を多く取り扱うため、万が一の事態に備えたサポート体制が充実しているシステムを選ぶことをおすすめします。
なおこの時、システムの欠陥やヒューマンエラーによる障害以外に、地震や火災といった自然災害によって障害が起こる可能性も想定して対策を講じるのが望ましいでしょう。
自社内のサーバーではなくクラウドサービスのデータセンターを介して使用するクラウド型の基幹システムであれば、社内で事故や災害が起きた場合などの緊急時でもデータ破損などの心配が少ないだけでなく、原状回復や事業継続がしやすいためBCP(Business Continuity Plan)対策にもなるメリットがあります。
基幹システムを導入する流れ
基幹システムを導入する際は、以下の流れに従った適切な手順で導入・運用していくのがおすすめです。
- 企画
- 要件定義
- 実装
- 運用・保守
●STEP1:企画
いきなりシステム開発を外注先へ依頼するのではなく、はじめに基幹システムを導入することで解決したい経営課題や、改善したい経営指標を明らかにしましょう。
基幹システムの導入によって日々の業務効率を上げ、導入効果を最大化させるためには、自社が抱える経営課題を抽出し、社内業務のどのようなポイントにシステム導入が必要なのかを企画の段階で明確にしておくことが重要です。
本格的に開発を発注する前に、まずは経営課題の解決や経営指標の改善のために必要なものは何かを理解するための分析を重ね、それらを改善できる基幹システムを選定してみましょう。
また、基幹システムは会社の中枢部分を担う重要なデータが集まるものであり、業務遂行のために経営陣から現場スタッフ・外部パートナーまで幅広いユーザーが利用するシステムです。企画と並行して複数の部署を横断するプロジェクト体制を整えておくと、システムの運用に伴う社内への周知や運用のための教育といったさまざまな情報共有がスムーズになります。
●STEP2:要件定義
改善すべき経営課題や経営指標が明らかになったら、それらを踏まえて具体的にどの業務をシステムで改善すべきかを洗い出す要件定義を行い、RFPなどにドキュメント化したうえで開発側へ共有しましょう。
この要件定義も企画と同様、社内で十分な時間を取って行う必要がある作業です。特に、基幹システムは実装後の仕様変更が難しいため、開発や実装に着手する前に必要な機能と不要な機能を明確にしておくことが不可欠です。長期的視点と導入や運用のコストも視野に入れつつ、丁寧に検討を進めましょう。
また、基幹システムの導入効果を上げるためには、システム導入のみで全てを改善しようとするのではなく、業務プロセスに無駄がなくなるよう制度や仕組みを修正したりといった社内調整も並行して行うのがポイントです。
●STEP3:実装
具体的な要件定義を基にしたシステム開発が進んだら、完成目前の段階でテストを行います。不具合が出ないか、誰にでも扱いやすいインターフェースになっているか、新たな機能の追加や不要な機能の削除は必要ないかなどをチェックし、必要に応じて再テストや総合的な品質確認を行います。
テスト完了後特に問題がなければ、いよいよ本格的に基幹システム実装となります。リリースまでの間に、ここまでに計画しておいた社内への情報共有や教育を進めておくと、運用開始以降の流れがさらに効率的になるでしょう。
●STEP4:運用・保守
システムは納品されて終わりではありません。自社内や現場などのさまざまな環境で実際に運用を行いながら、システム導入後にどの程度の改善効果が出ているのか測定することが大切です。企画で挙がった課題点はシステムの導入で改善されたのかどうかを確認し、改善がみられなかった場合は今後何が必要なのかを再度検討することも必要でしょう。
ただし、システムを導入したばかりの初期段階では、運用に慣れていないために効果的な使い方ができないことも多いです。システムそのものを見直すべきか、システムを運用するための仕組みを見直すべきかどちらなのかは慎重な判断が必要です。
また、運用開始後になってシステムの不具合や問い合わせたい相談事が見つかることも少なくありません。そのため、システム実装後も開発側との連携を取っておくのがおすすめです。効果測定の情報共有も兼ねながら、運用・保守に関するノウハウの共有やアドバイスをもらうのも良いでしょう。
基幹システムの導入で、業務効率の大幅な改善を
今回は、基幹システムの特徴や導入のメリットについて詳しく紹介しました。基幹システムは、企業の中枢とも言うべき主要業務を管理しており、業務中に止まることが許されない重要なシステムです。そのためシステムの目新しさや注目度などよりも品質を最優先に考えて、安全性の高いシステムを選定することが大切です。
もちろん導入の初期コストは発生しますが、品質に優れ、業務プロセスに沿った基幹システムを導入できれば、自動化によるコスト削減や属人化の防止、ヒューマンエラーの削減など企業全体の業務効率を大幅に改善することができます。導入する際は現状の業務プロセスと比較し、自社に最適なシステムかどうかをしっかりと見極めて、ビジネスに役立てましょう。
また、本格的な開発と導入に入る前に、要件定義やRFPの提出をはじめとした開発会社への積極的な情報共有が重要です。導入後の機能追加や修正が難しいことから、分からない点や不明点はぜひ開発会社へお問い合わせください。
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国4000社以上からご提案
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