セキュリティ強化を目的として、同じオフィス内でも部署や役職によって立ち入りを制限するスペースを設ける企業が増えています。
そこで活用されているのが入退室管理システムです。入退室管理システムを導入すれば、セキュリティの強化だけでなく、勤怠管理も同時に行えます。雇用形態が多様化した時代には、不可欠なシステムといえるでしょう。
今回は、入退室管理システムの基本的な役割からさまざまな認証方法、システム導入のメリットについてご紹介します。
目次
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入退室管理システムの役割
入退室管理システムとは、その名の通り、入退室者の情報を記録・管理するシステムです。企業や大学、国の研究所などさまざまなところで導入が進んでいます。まずは入退室管理システムの役割について解説します。
入退室管理システムの主な役割は、特定の建物や部屋に入退室できる人を管理することです。不審者の入室を防ぐことを目的としたセキュリティ強化や、機密情報の漏えい防止などに役立てられます。
システム導入後、出入り口や通路に認証装置を取り付け、IDや暗証番号による承認を義務付けます。これによって部外者の侵入を防げるほか、社員の中でも特定のメンバーだけに入室を許可したり、特定の時間帯にだけ出入りを認めたりするなどの制限を設けることが可能になります。
また、認証装置については、IDカードや指紋認証システムなどを導入することで、入室の承認だけでなく入室した人物の特定も可能です。いつ、誰が、どこに入って、何時に退室したのかを記録できるため、トラブルが発生したときに状況を正確に把握できます。
入退室管理システムの認証方法
入退室管理システムには、さまざまな認証方法があります。ここでは、企業や研究機関などで一般的に普及している認証方式をご紹介します。
●暗証番号
ドアに取り付けたテンキーに暗証番号を入力し、認証するタイプが暗証番号方式です。シンプルではありますが、大規模なシステムを必要としないため、低コストでの導入・運用が可能です。運用上の注意点としては、暗証番号を盗み見られてしまうといった情報漏えいの危険性があることです。暗証番号が漏えいすると、部外者も侵入できるようになってしまうため、暗証番号を定期的に変更する必要があります。
●ICカード
ICカードを用いた認証方式も広く普及しています。ICカードを認証装置にかざすことで、ICチップの情報が入退室ごとに記録されます。ICカードは電車やバスなどの交通機関や買い物時の電子マネーとしても使われているため、使い慣れている人が多いでしょう。
ICカードは社員証とも兼用可能です。近年では出入り口で入退室を制限するだけでなく、PCやプリンターなどの認証デバイスとしても利用されています。PCやプリンターでは多くの個人情報を取り扱うため、使用を制限することで情報漏えいのリスクを軽減できます。
●生体認証(バイオメトリクス)
生体認証は、人間の体の一部を使用した承認方法です。指紋認証や静脈認証、網膜認証、顔認証、声紋認証などさまざまな認証技術が登場しています。生体認証は認証の精度が高いだけでなく、なりすましが困難なため、安全性が高く評価されています。紛失の心配がないことも特徴のひとつです。活用シーンは幅広く、入退室管理だけでなくPCやスマートフォン、銀行ATMなど、重要な個人情報を取り扱う機器にも採用されています。
●スマートロック
近年、注目を集めているのがスマートロックです。スマートロックは、ユーザー本人がスマートフォンから操作し、入退室のロックや解除ができる技術です。鍵の代わりにスマートロックを採用しているマンションも登場しており、導入コストの低さから法人を対象とした入退室管理システムとしても注目されています。
すでに広く普及しているスマートフォンを使用するため大規模な認証装置を新たに設置する必要がなく、コストを低く抑えることが可能です。しかし、万が一スマートフォンを紛失したり、破損・故障したりした場合にはシステムが利用できなくなります。その場合は、管理者への報告と、新しいスマートフォンの再登録が必要です。
入退室管理システム導入のメリット
入退室管理システムの導入を検討している人のために、導入した場合の具体的なメリットをご紹介します。
●セキュリティの強化
最大のメリットは、建物や部屋のセキュリティを強化できるという点です。一般的な鍵では、ピッキングや鍵の複製など巧妙化する犯罪の手口に対応することが難しくなっています。その点、入退室管理システムを導入し、認証装置を取り付ければ、部外者侵入のリスクを最小限に抑えられます。同時に、ユーザーごとの入退室を管理できるため、内部の人間が問題を起こした場合も、状況を容易に把握できます。
●コスト削減
セキュリティ対策として、通用口に警備員を配置している企業は多いでしょう。人による目視の監視体制は有効なセキュリティ対策ですが、人的コストがかかってしまいます。入退室管理システムを使って承認された人だけを通すようにすれば、警備員を雇うコストを削減できます。
●社員の行動を把握
入退室管理システムを使うと、社員の行動も細かく記録に残されます。認証を通す際に場所や日時、社員情報が記録されるため、例えば許可のない残業をしていないかどうかなど、勤務実態を管理できるようになります。
入退室管理システムの活用法
入退室管理システムをほかのシステムと連携させることで、利便性がさらに向上します。ここでは、主な事例をご紹介します。
●防犯カメラシステムと連動
入退室管理システムは、単体でも防犯機能を有しますが、防犯カメラシステムと連動することで、より一層セキュリティを強化できます。例えば、入退室管理システムで記録しているシステムログと合わせて映像をチェックすることで、なりすましだけでなく、2人以上が同時に入室する共連れも防げます。
●人事管理システムと連携
入退室時の記録を利用すれば、会社に残っていた時間を把握できるので、人事管理システムと連携するケースも一般的です。
タイムカードを使った就業管理方法では、退勤時間の調整ができてしまうため、実際の就業実態を正しく把握することが困難です。しかし、システムを導入すれば、入退室のたびに時刻が記録されるため、正確に労働時間を把握できます。
●省エネ対策
入退室管理システムは、省エネ対策にも活用されています。ビルの空調や電気系統の管理システムと組み合わせることで、特定のエリアで人が不在になったことを検知し、自動で照明や空調などを停止させることができます。そのため、誰もいない部屋で照明や空調がつけっぱなしになる心配がなく、建物全体の省エネが効率的に進められるでしょう。
高度なセキュリティ対策を可能にする入退室管理システム
セキュリティ対策の強化が企業にとっての重要課題となっている現代において、入退室管理システムの導入は不可欠です。
アウトソーシングの入退室管理システムの中には、カスタマーセンターが24時間365日サポートしてくれるサービスもあります。導入には一定の費用がかかりますが、長期的に見れば人的コストの削減や省エネ対策などメリットも数多く存在します。セキュリティ対策の強化を考えている企業や官公庁の人事・総務担当の方は、入退室管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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