事業を営む中で、ある日突然新規システムを導入しなければならなくなることがある。すでに取引のあるシステム開発会社には頼れないという状況の中、そのような事態に直面したら、それこそ困り果ててしまうだろう。一つひとつ発注先を探していたら、あっという間に時間が過ぎて間に合わなくなってしまう。そんな難局を、発注ナビの利用で見事乗り切ったのが、青果の仲卸業を営む株式会社FIRST TREEだ。今回は、株式会社FIRST TREEの代表取締役である荒川一樹氏と、短納期の案件を受注したフィールドシステムズ株式会社の代表取締役である園田規正氏の両名に、当時のお話を伺った。短納期での受発注を成功させるための参考になるはずだ。
新規の取引先開拓のために新たなシステムが必要に!

株式会社FIRST TREE
代表取締役 荒川一樹氏
――株式会社FIRST TREE様はどのようなビジネスを展開されているのですか。
株式会社FIRST TREE 荒川氏:当社は2024年8月に開業した、青果の卸売業を営む会社です。生産者や市場と、スーパーやドラッグストア、外食業界をつなぐことで、食の流通を支えています。
――最近創業されたということは、当初から社内はIT化されていたのではありませんか。
荒川氏:いいえ、経理や会計のシステムなどは導入していますが、取引先である市場や農家などは、まだまだFAX文化が根強く残る部分も多いため、当社も基幹業務のDXはそれほど進んでいません。
――業界全体がそれほどIT化されていないということですか。
荒川氏:そうでもありません。仕入れ先である仲卸業者や農家は年配の方が多く、ITに頼ることなく、昔ながらのやり方でビジネスを展開しているのに対し、卸し先であるスーパーや量販店は資金や人材も豊富なのでITの活用度合も高いです。従来のやり方だと「提案が物足りない」と言われてしまうことも少なくないので、そこがこの業界の難しいところでもあります。
――今回、発注したシステムについて教えてください。
荒川氏:今回のシステムは当社の業務拡大に伴い必要になったものです。スーパーなど新たな取引先を開拓するに当たって、EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換。受発注の効率化やコスト削減などのため、企業間で業務上の書類等をデジタルデータとしてやり取りする仕組み)への対応が必要になり、そのための新たなシステムを導入することになりました。
開発期間は実質1カ月。急いで発注先を見つけるため、分かる範囲で事前に資料を揃えた。
――EDIでの取引に使うプロトコルは『JX手順』を利用するなど、発注ナビにご依頼いただいた際の要件が具体的でした。
荒川氏:JX手順を使うというのは取引先からの指定です。その上で既存の自社サーバーと連携させ、自動発注なども可能にしたいと思い、分かる範囲で社内システムを図式化したものを添えています。
――荒川様は、もともとITに詳しいのですか。
荒川氏:そういうわけではありませんが、前職がコンサル会社だったので、調べたことをプレゼン資料にまとめるのは得意でした。
今回は急いで発注する必要があったため、できるだけ資料を揃えておこうという考えもあり、発注内容を私なりにまとめたものを提出しました。
――すでに取引のあるシステム開発会社に発注するという選択肢はなかったのですか。
荒川氏:確かに会計システムを導入してもらった会社や、前職時代に取引していた開発会社もあったのですが、スピードの面で条件を満たせないと判断しました。
新たな取引の話がまとまりシステムの発注先を探し始めたのが2024年10月頃。取引の開始予定が同年11月上旬だったので開発期間は実質1カ月程度しか取れません。その条件を飲んでくださる開発先を探す必要がありました。
発注ナビ紹介の5社から、フィールドシステムズに発注することに。
――今回、発注ナビのご利用に至った経緯を教えてください。
荒川氏:1社ずつ個別に問い合わせて探している時間的な余裕は一切ありませんでした。EDIシステムの開発を1カ月という短期間で受けてくれる発注先など、探しているうちに1カ月が過ぎてしまうと考え、マッチングサービスを利用することにしました。発注ナビは、私の知人が加盟社として使っていたため、存在そのものは以前から知っていました。ですが実際に利用するのは今回が初めてでした。
――他のサービスと比較検討しましたか。
荒川氏:今回は納期が短いということで、応じてくださる開発企業が見つかるかどうか不安だったため、発注ナビだけでなく、同業他社のサービスも1つ併用しました。時間もなかったので、両方に同じ内容で案件を出しました。
――発注ナビからは5社ほどご紹介しました。
荒川氏:はい。短時間で5社も紹介してもらえたのには驚きました。結果として紹介してもらった開発会社数は、発注ナビからが5社、もう1つのサービスからが2社でした。その7社から選んでいき、最終的に発注ナビから紹介してもらったフィールドシステムズさんに決めました。
――フィールドシステムズ様を選ぶに至った過程を教えてください。
荒川氏:最初に納期とコストの面でふるいにかけ、実際に商談をしたのは4社でした。フィールドシステムズさんは、こちらから「商談の時刻を夜にしてほしい」と申し出た際に二つ返事で「じゃあ夜9時でいかがですか?」と、柔軟に応じてくださいました。その懐の深さが好感触だったのと、そもそも物流に詳しく、イチからEDI連携の説明をする手間が省けたというのも大きかったですね
物流関連企業との付き合いが多いからこそ、夜の時間帯や土日の打ち合わせにも柔軟に対応

フィールドシステムズ株式会社
代表取締役 園田規正氏
――フィールドシステムズ様は、普段どのようなシステムを開発されているのですか。
フィールドシステムズ株式会社 園田氏:当社はもともと物流関連、運送会社や倉庫業関連のシステム開発を得意としていて、自社開発の物流パッケージシステムも販売しています。そこから物流システムと連携する周辺の各種業務システム開発も手掛け、現在は、企業の業務システム全般を扱っています。技術領域では、Webシステムやクライアントサーバーシステムはもちろん、ハンディターミナルを使った物流管理・倉庫管理なども開発実績があります。
――今回の案件にエントリーしたのはなぜですか。
園田氏:当社では、EDIの標準とされる流通BMS(Business Message Standards:流通ビジネスメッセージ標準)に則ったシステム開発も数多く手掛けています。今回FIRST TREEさんから指定があったJX手順は流通BMSで定められている3種類の通信プロトコルのうちの1つで、当社の得意分野です。そのためさまざまなご提案ができるものと思いエントリーしました。また、得意分野ということもあり、納期にも十分お応えできるものと判断したのも理由の1つです。
――夜の時間帯の商談に柔軟に対応してくれたのが好印象とのことでしたが、御社では普段からこのような対応をされているのですか。
園田氏:当社は物流会社さんとのお付き合いが多く、常にお客様のご都合に合わせて商談を設定させていただいております。現場が手すきになる夜はもちろん、土日に打ち合わせを希望されるお客様にも柔軟に対応しています。ですから今回の対応も普段通り、特別なことではありません。
●フィールドシステムズ株式会社の皆様
文書で出した案件概要を、担当者が電話で聞き取り確認してくれる発注ナビは、アンマッチが少ないと感じた。
――今回の開発でこだわった部分があれば教えてください。
荒川氏:システムの発注に際しては、EDIシステムだけでなく、同システムと既存の業務システムとの連携にもこだわりました。収支を作成したり、物流会社にピッキング(どこの店舗に何を出荷するか)の指示を出しやすくしたりするなど、既存システムとの連携や将来的な拡張も視野に入れたものにして欲しいということをお願いしました。
園田氏:今回は納期が最優先事項だったこともあり、いかに時間を節約するかという部分にこだわりました。FIRST TREEさんとはコミュニケーションツールを使いながらタイムラグなく連絡を取り合えるようにし、連携テストなども、オンラインでつないだまま、アウトプットを確認してフィードバックしてもらうなど、細かい部分で時間短縮を行うように心掛けました。もっともこれは、FIRST TREEさんの全面的な協力があったからこそ、できたことです。
――開発を進める中でお互いへ抱いた印象があれば教えてください。
荒川氏:園田さんの対応がスムーズで、やり取りの中でまったくストレスがありませんでした。何でも即日対応してもらえたので助かりました。分かりやすく途中経過の申告もくださったので、新規に取引を開始するお客様に向けた報告もスムーズに行うことができました。
園田氏:レスポンスについては、当社もとても助かりました。荒川さんとは、何度も同じやりとりする必要がなく、ほとんどの場合10分以内にレスを返してくださいました。こちらからの質問が多いと嫌がるお客様もいらっしゃるのですが、荒川さんはそのようなこともなく、いろいろと質問がしやすかったので、開発もかなりスムーズに進みました。
――発注ナビを利用した感想があればお願いします。
荒川氏:発注ナビは、申し込んだ後で、担当者が電話で聞き取りをしてくれました。こちらが出した要件がきちんと伝わっているかどうかを確認できるため、結果としてアンマッチが少ないと感じました。しかも申し込みから1営業日で対応してもらえたのもありがたかったですね。ちなみに併用したもう1つのサービスは、こちらが書いて出した要件が、そのまま案件情報に載っていました。サイトのマイページのインターフェースも発注ナビの方が使いやすい印象でした。
園田氏:開発会社側にとっても発注ナビのマイページは直感的で操作しやすいと思います。発注ナビは専任担当者がついてくれて、いろいろな情報を提供してくれるのも嬉しいですね。お客様の発注先選定がどの程度進んでいるのかとか。「忙しくてあまり進んでいない」と文字だけで伝えられるより、「今はこういう状況で、ここまで進んでいる」といった詳細も教えてもらえるので、安心感があります。
――システムはすでに納品されたのですか。
荒川氏:はい。納品済みで、すでに稼働しています。使い勝手も、とても良いですね。フィールドシステムズさんに発注して良かったと思っています。
――荒川様、園田様の今後の展望をそれぞれお聞かせください。
荒川氏:今後はさらに売上を増やしていきます。この業界は、まずは数量を販売しないと信頼もついてきません。「ここならウチの商品を任せても良い」という信頼を獲得し、少しでも農家さんの役に立っていきたいと考えています。
園田氏:得意とする物流関連のシステムは今後も伸ばしていき、その上で、他の業務システムやWebサービスなどにも積極的に展開していきます。業務の効率化を図りたいというお客様の課題を丁寧にヒアリングし、当社がご提案できるところを真摯に進めていければ、と考えています。
――ありがとうございました。
■関連リンク
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国6000社以上からご提案
■発注ナビへの掲載について
「発注ナビ」掲載のご案内(システム開発会社様はこちら)