海外に進出したい中小企業に向けた各種のコンサルティングを行うジーアーチ株式会社。そんな同社が「匠」の技術を持つ企業や個人事業主の事業承継を解決するための新たなサービスを展開。
そのシステム開発に当たったのはシェアリングエコノミーやマッチングサイト開発に長けた株式会社カスタメディアだった。
同プロジェクトに馳せる両社の想いとは、どのようなものだったのか。
■企業の海外進出支援と並行し「匠」の技の承継をサポート!
――ジーアーチさんは、中小企業のコンサルティングを手掛けていらっしゃるとのことですが、今回の発注内容は、どのようなものだったのでしょう。
ジーアーチ 加藤氏 はい、私は長らく完成車メーカーや部品メーカーなど、自動車業界に身を置いてきたこともあり、機械や部品等を製造する中小企業とも多数の関わりがありました。また、そうした企業がグローバルなサプライチェーンに加わるケースも数多く見てきました。そうした経験を活かし、中小企業の経営層に向け、海外進出をいろいろな形でご相談に乗らせていただいております。また、ジーアーチの前身は旅行代理店ということもあり、進出を想定されている現地の視察ツアーのようなことも含めて、お手伝いしています。
しかし、中小企業の経営層の方々とお話をさせていただくうちに、海外進出とは別の経営課題も見えてきました。それが技術承継です。優れた技術や事業を持ちながら、人材面やその他の理由から、せっかくの技術や事業を次の世代に伝え残していくことが難しい状況にあるのです。
そこで、こうした課題を抱える全国の中小企業に対して支援していく新たなサービスを打ち出そうと考えました。その一つが今回発注させていただいた「匠マッチング」です。このサービスは、事業承継先を探す企業と、事業を承継してくれる企業とを結び付けるサービスです。大企業同士ならばM&Aということになりますが、M&Aの場合、事前調査や手続きなどを行う仲介事業者が入るため、相応のお金がかかります。事業の資産価値の5%とか10%とか。1億円の価値がある事業だとすれば、1000万円とか500万円とかを払わなければならない。しかし中小企業同士の場合、そんなにお金をかけられません。
「匠マッチング」では、互いの企業、又は企業と個人が同サイトを通じて知り合うところまではお金がかかりません。直接会ってお話をする時に初めて、少額の手数料がかかる仕組みになっています。この会って話をする時点で課金されるという仕組みの部分については、ビジネスモデルの特許も申請しています。企業と言っても小規模事業者、例えば、ラーメン店、レストランといった店舗経営のオーナー様が中心になると想定しています。
――発注先のご相談をいただき、「発注ナビ」からは3社をご紹介させていただきました。その中からカスタメディアさんを選ばれた決め手は、どのようなところでしたか。
加藤氏 まず、発注先を探すにあたってはウェブで1社1社検索するのは非常に労力がかかるため、1度の相談で探していただけるのには助かりました。時間がかかるものかと思っていましたが、すぐに反響をいただき満足しています。
ご紹介いただいた3社とは、すべてお会いして話をさせていただいたのですが、各社とも十分な技術はお持ちのようでした。その中で、カスタメディアさんは真剣度合いが一番高い印象を受けました。具体的には、見積りの提示に対して、こちらが要望を出した際も、即座に「それならこうしましょう」と納得のいくお返事が返ってくる。また費用も明朗で安心感がある。新しいシステムを、一緒に作っていってくださる雰囲気が、とても良く伝わってきました。
■パッケージの機能強化後という絶好のタイミングで受注
――カスタメディアさんはジーアーチさんの依頼に手を挙げられましたが、どのようにご判断されたのでしょうか。
カスタメディア 浦坂氏 当社は独自SNSやオウンドメディア、シェアリングサービスなどの分野で豊富な開発経験があり、SNSやマッチングサイトが簡単に構築できる、自社パッケージソリューション『カスタメディアMASE』なども開発・販売しています。また、GPSやibeaconなどを使ったO2Oソリューションなどにも得意領域を広げています。
今回のジーアーチさんのご依頼は、当社の強みが活かせる領域だと考え、当社からもご提案させていただきました。ご依頼内容を伺うと、まさに当社のパッケージがマッチしているのではないかと。パッケージを使うことで費用の見積りもスピーディーに行えます。ご評価いただいたレスポンスの早さについては、そうした理由もあります。
また、ちょうどご依頼のあった時期が、当社のパッケージソリューションをマッチングサービス向けにもご利用いただけるようして売り出していこうというタイミングでした。
カスタメディア 宮崎氏 数年前からシェアリングエコノミーというものが話題になり始めていました。SNSが普及し、インターネットを介して個人同士がつながるようになると、そこから新たなビジネスが展開されていく。その様子を見ていたので、やがて、こうしたシェアリングエコノミーのツールが必要になると考え、昨年から『カスタメディアMASE』へマッチング機能に加え、エスクロー(決済代行)サービス、サブスクリプション(定期購読)利用機能などを追加しました。おかげで、いきなり多機能なパッケージになりました(笑)
――『匠マッチング』の開発で苦心されたところはありましたか。
宮崎氏 苦心というか、リリースしたばかりのパッケージだったこともあり標準機能がまだ十分ではなく、ジーサーチさんのご要望を叶えるまでに少々お時間を頂いてしまいました。『匠マッチング』について言えば、パッケージ側で決済代行サイトのAPI連携を実装しているとは言え、特許を取得されている部分のフローは一般的なものとは異なるため、カスタマイズをしています。
加藤氏 さらに今回、標準機能には無かった部分として「登録代行」の機能を依頼しています。
――それはどのようなものでしょうか。
加藤氏 事業承継を考えている企業の経営者や、個人事業主の方々が、必ずしもスマホやPCでの操作に慣れているとは限りません。特に高齢の経営者や個人事業主となると、誰かが代わりに登録することも考えなければなりません。また『匠マッチング』は、当面は当社が運営する予定でしたが、多くの企業、個人にもサイトを公開しオーナーになって頂き、スピード感をもって、事業承継を進めて頂くことに方向展開を致しました、将来はサイト運営においてフランチャイズ展開ということも可能です。このフランチャイズのための仕組みも、ビジネスモデル特許に含まれています。事業承継に課題に抱える中小や零細企業は、各地域、各業界に存在します。そうした課題解決に当たる組織や機関、たとえば地方自治体、商工会議所、業界団体などが経営者に代わって登録することもできます。地方自治体についは、宮﨑さんの方がお詳しいかもしれません。
宮崎氏 確かに府や県などの自治体でも、たとえば地場の建設業などの事業承継問題について積極的に取り組むよう、経済産業省からもお達しが来ているようですが、相変わらずアナログなやり方をしている所が多いですね。ホームページを作って登録してもらってはいるが、そこまでで、具体的なマッチングについての取り組みが出来ていないというのが実情のようです。『匠マッチング』のフランチャイズのお話を伺った限りでは、自治体が導入しやすい価格レンジだと思います。感覚としては、自治体の課長クラスが決済したら使えるぐらいの額ではないでしょうか。
加藤氏 フランチャイズはASP形式のサービスとして提供する予定なので、イニシャルコストも抑えることができ、すぐに始められます。また、私の考えとしては、フランチャイズ運営者同士が契約を交わし、登録データを互いにシェアすることで、マッチングの機会を増やすこともできるのではないかと考えています。地域や業界を超えたマッチングも可能になるかもしれません。
■『匠マッチング』の次に目指すものとは?
――ところで、当所、発注ナビに寄せられた内容では複数のサイトを予定していらっしゃるとのことでしたが、他のサイトはどのようなものでしょうか。
加藤氏 はい。当初は事業承継のためのマッチングサイトと、もう一つ、匠の技術を持った中高年層を企業に紹介する人材マッチングサイトも考えていました。しかしカスタメディアさんとお話をさせていただくうちに、1つのプラットフォームで複数サイトを展開するには、いろいろと難しい部分もあるということで、優先順位として事業承継の方を先に仕上げようということにしました。人材マッチングについては、『匠マッチング』の方が軌道に乗ってから、あらためて動こうかと考えています。
昨今では、事業をやりたい、海外に行きたいという若者が増えています。そうした若者が一から事業を作るのは大変です。それなら後継者が見つからない匠のもとで数年働いて、技術や暖簾を継いでいくというやり方もある。そんな世の中を作っていきたいですね。
――まだリリース前の段階ではありますが、今回の開発を手掛けられて、カスタメディアさんはいかがでしたか。
宮崎氏 今回の受注で、当社もいろいろと勉強させていただいています。たとえば、代理機能については、以前、当社が弘前市の雪かきマッチングでサービスを提供させていただいたときに、やはり高齢者のお宅ではPCやスマホから登録できないという問題がありました。しかし個人情報もからむため誰でもいいから代理で登録するというわけにいかず、高齢者のお宅を定期的に訪問し、かつ個人情報を扱える立場である民生委員の方が、個人で雪かきスタッフを募集して、マッチングした相手と連絡までしてあげているということを知りました。そして、今回のジーアーチさんのご要望をお聞きして「あぁ、マッチングの世界では代理機能が必要なんだ」とあらためてその重要性に気づかされました。
こうした学びを通じて、パッケージの標準機能を強化していきたいと考えています。
浦坂氏 シェアエコノミーという流れが、大企業にビジネスでなくツールという形で入り込み始めています。ある部署でホチキスの針が無くなった。ところが、外から買わなくても、実はよその部署では余っていた、ということは珍しくありません。備品は総務が一括管理しているかもしれませんが、ほかにも定年でリタイアしたシニア人材と、仕事を頼みたい現場の部署とをつなぐといったことも考えられます。社内SNSのように、社内シェアエコノミー・ツールが当たり前になる、その時期は、もうすぐそこまで来ているのではないでしょうか。
――身近なところでもシェアエコノミーの考えは広がっているのですね。本日はありがとうございました。
●Memo:今回の発注で開発されたサービス
『匠マッチング』(画面は開発中のもの。(公開準備中)』
事業承継先を探す企業や個人と、事業承継を受ける企業や個人の双方が登録し、マッチングを図るサービス。登録からマッチングまでは費用がかからず、マッチした相手と実際に会うタイミングで少額の費用が発生するという仕組みのため、中小企業や個人事業主などにも事業承継のチャンスが広がる画期的なサービスを予定している。(ビジネスモデル特許申請中)
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