AIや生成AIを組み込んだシステム開発へのニーズが高まる中、その領域に強みを持つスタートアップの多くが直面している課題が、新規顧客の獲得だ。特に、技術力や開発力は高いが営業面での人的リソースが不足しているという特徴を持つ会社であれば、なおさら悩みの種になりやすいだろう。東京都渋谷区に本社を置く株式会社GenAiも、事業拡大のための新規顧客開拓に悩んでいた。そんな同社は、発注ナビの利用開始から1年未満のうちに、生成AI関連の新規案件を6件、総額7000万円以上の受注に成功した。一般的なマッチングサービスではAIや生成AIといった特化領域の案件獲得が難しいとされる中、同社はなぜこれほどの受注に成功したのか。同社の代表取締役社長兼CEOである三浦 一起氏にお話を伺った。
社名 | 株式会社GenAi |
---|---|
所在地 | 東京都渋谷区桜丘町29-10 ルピナス渋谷桜丘ガーデンコート112 |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | 新規事業推進支援、ITプロジェクト支援、 アプリケーション / システム開発、WEBメディア運営 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
2021年8月創業の同社は、当初、コンサルファーム出身の創業メンバーのコネクションをベースとした紹介案件(リファラル)で事業を展開していた。創業から数年が経過し、事業規模のさらなる拡大を目的に新規顧客の獲得を検討したが人的リソースが足りず、効率的な新規顧客の開拓が求められた。複数のマッチングサービスを比較・検討したものの、リード情報や見込み顧客の紹介がない場合でも月額費用が発生するなど、費用対効果の視点で納得できるサービスになかなか巡り会えなかった。
- 導入後の効果
さまざまなマッチングサービスを比較・検討した中で、発注者の紹介を受けた件数に応じて費用を支払うリードジェンプランで利用できる発注ナビを選定。同社が強みを持つAI/生成AI関連の領域に発注ナビ側も注力した結果、案件が増加したこともあって、利用開始から1年未満で大手企業向けのAI関連案件など6件、総額7000万円の新規案件受注に成功した。発注ナビには『AIや生成AIを活用して新規のサービスや事業を立ち上げたい』という案件が多いことから、発注ナビでの新規顧客獲得をきっかけに継続提案をして、将来的なリピーターとなってもらえるような好循環を生み出す体制を整えることができた。
リファラルから脱却してどう新規顧客を開拓していくか

代表取締役CEO
三浦 一起氏
同社は、Generative(ジェネレーティブ=生成)AIから取った『GenAi』という社名が示しているようにAI、特に生成AIを活用したシステム開発に強みを持つ。もちろん、AIや生成AIに関連していない通常のシステムやアプリの開発も手掛けている。創業メンバーがコンサルファーム出身ということもあり、ビジネス上の課題やシステム開発における本当の課題を明確にするコンサルティングを通じて、『最も早く作るためには』『最も安く作るためには』『最も品質良く作るためには』といった視点で最適なシステムやアプリを提案するのを得意としている。
そんな同社は2021年の創業から数年間、創業メンバーがそれまでに培ってきたコネクションを活かした、いわゆる紹介案件(リファラル)で開発案件を獲得していた。創業間もないということでメンバーの人数も多くはなく、スタートアップとして大きな問題に直面することもなく事業を展開していたのだ。
創業4期目に入り、生成AIの普及が進む中、同社も開発メンバーを増やし、案件獲得に本格的に乗り出した。代表の三浦氏は「生成AIは当社の得意領域です。そこに世の中の耳目が集まる中、さらに開発案件を獲得して事業を拡大しようと考えたのです」と振り返る。
その過程で持ち上がってきた課題が、このままリファラルに頼っているだけで案件を増やしていけるのかということ。特に日進月歩で技術トレンドの変化が激しいITの領域においては、生成AIに追い風が吹いている期間がどれほど長く続くかは不明確だ。「リファラル頼みの状況から早急に脱却し、事業拡大に向けた新たな営業チャネルを確立する必要があると考えました」と三浦氏は話す。
そこで、同社ではリファラル以外の営業スタイルを模索した。『リファラル以外の営業方法』の一例を挙げると、自社ホームページの問い合わせフォームを活用した営業やメール営業、電話営業、飛び込み営業といった手法がある。しかしそのような営業スタイルでは、たとえ相手とコンタクトが取れたとしても、真剣にシステム開発を求めているのか、AIや生成AIを活用したシステムの導入を具体的に考えているのかといったことは、実際に会ったり、話したりしてみないと分からない。この点を三浦氏は懸念していたのだ。
まずは会社紹介を行い、相手の要望や課題を確認する。しかし、システム開発やAI/生成AIの導入に本気でないと分かれば、その時点で営業活動がストップしてしまう。要するに、効率が良くないのだ。同社のようなAIや生成AIといった特定の技術領域に強みがありながらも、人的リソースが潤沢ではないスタートアップの場合は、営業効率を重視する必要があった。そこで、同社はマッチングサービスの利用を決め、複数のサービスを比較・検討した中で、発注ナビを選定した。
新規顧客の案件の紹介を受けてから費用が発生する料金体系「リードジェンプラン」が選定の決め手に
同社は2024年2月に、初期費用がなく案件紹介ごとに費用が発生する発注ナビのリードジェンプランを契約した。発注ナビを選定したポイントについて、三浦氏は「紹介された案件数に応じて支払う、従量課金型の料金体系だったこと」を挙げた。「他のマッチングサービスでは、発注者様と一度もアポイントが取れない、つまり、コンタクトすらできていないのに月額費用を支払わなければならないものもあります。それでは費用対効果が悪すぎますよね。その点、発注ナビには従量課金制のサービスがありました。『これならお金が無駄にならない』とピンときて決めました」(三浦氏)という。
また、発注ナビの担当者とサービスについて説明を受けたときに、「実際にどんな発注案件があるのか、その案件情報を見せてもらえた」(三浦氏)ことも決め手になったという。「他のマッチングサービスでも『例えば、こんな感じです』とサンプルデータを見せてくれるところはあるようですが、発注ナビの場合は『今、実際に流れてきている案件』を見せてくれたのです。それが、当社がターゲットとしている発注内容とも合致していたので、これなら新規案件獲得に十分に活用できると確信し、契約しました」と三浦氏は説明する。
さらに、三浦氏は、「発注ナビには『何かを作り出す新規事業を始めたい』と考えている発注者が多く登録されているように感じました」と印象を語る。同社にはもともと、AIや生成AIを活用して新しいことを始めたいスタートアップや企業の新規事業を支援したいという想いがある。三浦氏は、その創業時の理念の実現に貢献してくれる、そんな予感もあって発注ナビに決めたのだという。
利用開始から1年未満で継続案件も含め6件、7000万円の新規案件獲得に成功
こうして同社は発注ナビの利用を開始したのだが、利用開始から1年以内にも満たない間に、総額でおよそ7000万円にも達する新規案件を獲得した。しかも、その多くが同社が強みを持つAI/生成AIに関連したシステム開発案件だ。なお、発注ナビでは2024年夏頃からAI関連案件に注力したこともあって、開発会社へ紹介できる案件数が増加している。同社も大手企業からのAI関連案件を受注したことを皮切りにその後も新規案件を受注しており、継続案件も含め、利用開始から1年未満で6件の案件が受注もしくは高確度案件となっている。
このように同社が高い成約数を続けられている理由は、想定していたよりもAI関連案件、生成AI関連案件の数が多かった点が挙げられる。例えば、システムの中に生成AIを組み込むような案件は、同社が強みを持つ領域のシステム開発であるため成約につながっている。他のビジネスマッチングサービスの案件であれば、『生成AIを使ったチャットボットの開発』といった、いわゆる単発の要望が多い。しかしその一方、発注ナビでは『生成AIを使ったチャットボットの開発と、それを組み込んだ新規サービス』というように、新規事業の一部の機能として生成AIを活用する案件が比較的多いという。三浦氏は、「当社には『生成AIはあくまで手段』という考え方があります。重要なのはその手段を使ってどう新規事業を立ち上げるかということ。その視点で発注者にご提案できていることが、高い受注率に繋がっていると自負しています」と説明する。
さらに、成約率を高める大きな理由の一つとして、顧客との初回提案のタイミングで、『実際にシステムを持っていく』ことが挙げられるという。「当社では、お客様がご要望のシステムをある程度、作成してから初回ミーティングに臨むようにしています。これにより当社の強みの一つであるスピード感をアピールすることができていると感じています。実際に、成約率の高さにつながっているのではないでしょうか」と三浦氏は語ってくれた。
発注ナビで新規獲得した顧客に継続提案をしてリピーターになってもらう、そんな良い循環を生み出していく
発注ナビ経由の案件だけでなく、リファラル案件も含め95%以上の顧客がリピーターとなっているという同社。これだけお客様から信頼されている背景には、「契約時にお客様と交わした約束事を確実に守っているからです」(三浦氏)と強調する。システム開発の現場では、スタート時に決めたゴールがあったとしても、「納期が間に合わないから開発期間を伸ばしましょう」「納期に間に合わないので機能を減らしましょう」といったことが起こりがちだ。それに対して同社では、「『約束した期日』に『約束した品質』で『約束したシステム』をしっかりと納品することを基本的なスタンスとしています」(三浦氏)という。
この3つを守り、忠実に実行し続けていることこそ、同社が誇る継続発注率の高さにつながる理由だろう。「ただし、どんなお客様も最初からリピーターではありません。最初はあくまでも『新規のお客様』です。つまり、その新規のお客様をどれだけ獲得できるかが重要です。発注ナビで新規顧客を獲得し、リピーターへと育てる。そんな良い循環を生み出したい」(三浦氏)。将来を見据える同社の視界は良好だ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
■関連リンク
■導入事例インタビュー