どれだけ高い技術力を備えていても、オフショア開発という手法に対して顧客からネガティブなイメージを抱かれることは少なくない。海外のITエンジニアを活用する企業の中には、「大手企業からの高額で大規模なシステム開発案件の受注は難しい」と感じているところもあるだろう。ところが、グローバルでのエンジニアチームを構成しながら発注ナビを活用して財閥系大手商社や大手石油化学会社から、総額数千万円以上にもなる新規案件を次々に獲得しているシステム開発会社がある。それが株式会社グローバルジャパンネットワークだ。同社には海外駐在経験のある公認会計士やインドの弁護士資格所有者などが在籍しており、グローバルビジネスの経験や海外進出支援のためのERP・会計システム導入を含め、これまでITの課題を含めた経営課題に一貫して向き合ってきたメンバーが、企業の経営課題を解決するようなIT活用を総合的に提案できることが強みだ。そんな同社の取り組みについて、同社代表の熊本 浩明氏とヴィカス クマール氏に聞いた。
社名 | 株式会社グローバルジャパンネットワーク |
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所在地 | 東京都中央区銀座2-14-1 森山ビル3F |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | システム開発支援、コンサルティング、Odooソリューション、Microsoftソリューション、データ分析支援 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
設立当初は、公認会計士でコンサルティング経験も長い同社代表の熊本氏が、コンサル先や士業関係からの紹介で案件を獲得していたが、紹介案件だけでは新規の顧客を開拓するには限界があった。また、士業関係の紹介は経営層に直接アプローチできるというメリットもあったが、中長期的なシステム開発やIT活用に興味・関心はあっても、「この現場に今すぐ、このようなシステムが必要」という具体的なニーズまでを経営層が把握していないケースが多かった。そのため、結果的には「検討しておく」という返事になってしまい、その先へ話が進まなかった。
こうした状況の中、同社の強みである経営管理に関するシステム開発にフォーカスした『顕在化したニーズ』を効率的に獲得する方法を模索していた。
- 導入後の効果
発注ナビから送られてくる新規の開発案件の中から、自社の強みが発揮できる案件を見極めてエントリー。クライアントの経営課題に対して適切に提案することを徹底する『案件の見極め』と、自社の強みを発揮した提案を繰り返すことで、大型案件の受注に成功した。
具体的には財閥系大手商社、大手石油化学会社、エンターテイメントや電子機器など多角的に事業を展開する大手企業など、総額数千万円以上の新規案件を受注できた。さらに、システム開発プロジェクトが終了した後も、発注ナビで得られた顧客との縁を大切にすることで、継続案件も受注するなどの信頼関係を築くことにも成功している。
紹介案件だけでは限界、顕在化した開発ニーズを効率的に獲得することが課題に

株式会社グローバルジャパンネットワーク
代表取締役 公認会計士
熊本 浩明氏
株式会社グローバルジャパンネットワークは、東京都中央区に本社を置き、受託開発を中心に事業を展開している。顧客の事業の方向性(ビジョン)を共有し、それを実現するためのシステムを要件定義から対応し、設計・開発、テスト、保守・運用、さらには脆弱性診断まで一気通貫でサポートすること可能で、サーバやネットワークを含めたインフラ構築までできるのも同社の強みだ。
実際のシステム開発は、2021年にインドに設立した現地子会社のGlobal Japan Dx Lab Private limitedが日本拠点と連携して実施していく。なお、同社はただ単に海外と連携を行うだけのシステム開発会社ではない。代表の熊本氏は公認会計士でもあり、コンサルティングファームで15年間勤務した経験がある。また、もう一人のキーメンバーであるヴィカス氏は弁護士としてインドで日本企業の事業支援を手がけた経験を持ち、日本企業と日本語でのコミュニケーションがスムーズに行うことができる。その他のメンバーの中にも、コンサルティングファームにいた人材が多数、在籍している。同社は顧客の『ビジネス上の課題』を洗い出した後、課題解決のためのITソリューションを設計・提案しそれをもとに顧客と伴走する、いわば『戦略的コンサルティング』をベースとして、顧客へ最適なシステムを提案して構築できることが同社の最大の強みだ。
とはいえ、インドと連携したシステム開発体制に対して、どうしてもネガティブなイメージが拭えない発注者は、まだまだ多いかもしれない。そこで同社では、インドや日本でコンサルタントやPM(プロジェクトマネジメント)の経験を積んだ日本人スタッフが課題をヒアリングし、要件定義から基本設計といった上流工程を担当。さらに日本側の拠点には、日本人エンジニアや日本語を話せるブリッジエンジニアを配置するという体制を整えることにした。これにより、顧客は日本語のみのコミュニケーションでプロジェクトを遂行できるようになっている。もちろん、インドや海外開発拠点には、欧米の大手企業向けに多数の開発を手がけてきたハイスキルなエンジニアが揃っており、高品質でありながら日本の相場より2~3割ほどコストを抑えたシステム開発を実現できる。この開発体制も同社の強みの一つだ。
このように、IT+コンサルティングという特徴を持ち、データ分析、業務管理プロセス、経営報告プロセス構築などの経営管理分野に強みがある同社だったが、システム開発に舵を切ってからしばらくの間は、コンサル先の企業からの紹介や、代表の熊本氏が公認会計士であったことによる『士業関係』からの紹介で案件を獲得していた。また、インド進出を考えている企業からの相談もあった。しかし熊本氏は、「紹介案件だけでは、仕事の幅が広がらないと感じていました」と説明する。
さらに、コンサル先や士業関係から紹介される案件では、企業の経営層とつながることはできても、「今すぐシステムを開発し導入したい」といった直接的なニーズには、結びつかないことも多かった。熊本氏は、「経営層は中長期的な視点でのIT化やシステム導入には関心が高くても、『今、自社のビジネスの現場で、どのようなシステムが求められているか』となると具体的なニーズを把握し切れていないことも多くありました」と振り返る。IT活用やシステム導入についてさまざまな提案をしても、結果的には「検討しておく」という返事になってしまうことが多く、その先が進まない。そこがトップアプローチならではの難しさだったのだ。「顕在化したシステム開発のニーズを効率的に開拓することができなかった、それが課題だったのです」と熊本氏は強調する。
予算感やスケジュール感が明確な案件が多く集まる発注ナビに好感触

株式会社グローバルジャパンネットワーク
ヴィカス クマール氏
こうしてニーズ獲得の方法を模索している中で、同社は発注ナビに出会った。なお、発注ナビの利用にあたり、ほかのマッチングサービスとの比較検討はしなかったという。発注ナビを導入した決め手について熊本氏は、「発注者のニーズが明確で顕在化している点」を挙げる。同社は発注ナビを契約する以前に、どのような案件情報があるのかを確認できる案件情報の無料閲覧をしていたが、その際に、発注ナビには具体的なニーズが集まっていると感じたのだという。加えて熊本氏は、発注者へのヒアリングが丁寧で、予算感やスケジュール感が細かく出されているのを感じたと続ける。「この案件なら当社の強みを活かせそうだ、というように、当社なりに案件ごとの受注確度を把握できるので、『このサービスは使える』とピンときました」(熊本氏)という。これらに加えて、同社の強みである経営管理システムのニーズを持つ発注者が発注ナビにいたこともポイントだったようだ。
こうして同社は、2023年4月に発注ナビをセレクトプランで契約した。セレクトプランは、発注ナビを利用する月と利用しない月をそれぞれ選べるプランだ。仕事が立て込んでいて新規開拓に回すリソースがない時は使わず、仕事が片付いたらまた使い始めるという柔軟な使い方ができるため、リソース面で悩みを抱えるシステム開発会社には最適のプランだといえる。同社が12月に契約を更新したのも、このプランが合っていたからだ。
エントリーする案件を絞り込み、適切な提案をすることで大きな成果を上げる
発注ナビを実際に使った感想について熊本氏は、「我々が求めている発注者が集まっていると感じました」と語る。「使い始めた当初は闇雲にエントリーしていたので、せっかく紹介を受けても案件化せず、立ち消えになることもありました。しかし、使い続けるうちに案件を見極める力がついて、『我々が強みを発揮できる案件を適切に選んでエントリーし、お客様の課題に対して適切な提案をすれば勝てる』という勝ちパターンを掴むことができたのが大きいと思います」(熊本氏)。
こうした言葉の通り、同社は発注ナビを使い始めて約2年だが、大きな成果を上げている。具体的には、財閥系大手商社、大手石油化学会社、エンターテイメントや電子機器など多角的に事業を展開する大手企業から、大型のプロジェクトを次々に受注している。規模は、これら3件の総額で数千万円にのぼる。
こうした大型案件の新規受注という成果を上げている背景には、同社のさまざまな工夫が隠されている。先述の通りエントリーする案件を絞り込んでいることももちろんだが、商談やプレゼンテーションの際にコンサルタントとしてのコミュニケーション力を最大限に活かしていることも、工夫の一つだ。「丁寧なヒアリングで課題を理解し、適切な提案をするように徹底しています。見積もりを下さいというときでも、ただ金額を提示するだけではなく、インドの開発拠点でシステムのデモやプロトタイプを作っておき、それをお客様にも見てもらい、一緒に動作をチェックし、イメージのすり合わせをします。お客様にしてみれば『この機能だからこの金額か』と納得度が高まりますし、それ以前に『金額を知りたかったのに、ここまでやってくれているのか』と、安心もしていただけると思います」(ヴィカス氏)。
つまり、海外拠点と連携する開発体制でありながら、高いコミュニケーション力と技術力が高く評価されたのが、受注につながったポイントということだ。また、「納品した後もしっかりサポートを提供しているので、満足して使ってもらえていると思います」(熊本氏)。
同社は、発注ナビを使って案件を受注できたこと以外の派生的な効果も実感している。「システム開発市場のトレンドやニーズ、企業はどういうところに困っているのか経営課題が分かるようになりました。なので、こういう分野にもっと力を入れた方がいいなど、自社の方針を考えるうえで役立っています」(熊本氏)。
また、提案の機会が増えたので、同社の提案スキルやプレゼンスキルもブラッシュアップされ、それをフォーマットとして活用できるようになったという。提案書などをパターン化できれば、案件ごとの作業効率が上がるだけでなく、提案のクオリティも高くなる。ヴィカス氏も「最初は提案と失敗を繰り返しましたが、そうするうちにどのような提案をすればいいかを学べました。提案の段階で付加価値を見せるなど、提案力がついたと思います」と効果を語る。
一方、同社は発注ナビ担当者のフォローについても評価している。発注ナビは、案件を紹介した後は勝手にやってくださいと丸投げするのではなく、競合は現在何社いるのか、発注者は何をシステム会社選定の決め手と考えているのか、発注者側の選定はどのくらい進んでいるのかなど、開発会社にとって有益な情報を順次フィードバックしている。開発会社はその情報に基づいて効率的で適切な営業活動をすることができるため、この体制が同社の受注成功を後押ししたともいえるだろう。
発注ナビを通じて得られた新規顧客との縁はとても貴重、大切にしていきたい
同社では今後も、今までのように自社の強い部分をしっかりアピールしつつ、発注ナビを活用していきたいと考えている。「まずは、弊社の強みである経営管理やデータ管理、業務システムの開発案件にフォーカスしてエントリーしていきます。そして、そうした新規案件の開発で得た知見を、自社のSaaS製品である『Insight Global』に反映させていきたいと考えています。新規の顧客開拓と自社プロダクトの品質向上の両軸で発注ナビを活用していきます」(熊本氏)。
熊本氏は、「発注ナビでいただける新規のお客様との『ご縁』は貴重だと思います」と話す。縁をなるべく広げていけるような、次につながる取り組みに注力したいと考えているとのことだ。またヴィカス氏は、「主力のSaaSはもちろんですが、新しいAI系の分野にも力を入れていきたいと思います」と展望を語る。強みを活かしながら幅を広げていく方向性に、迷いはないようだ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
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