チャットボット(chatbot)とは、コンピュータと会話形式のやり取りができるコミュニケーションプログラムです。
人間と会話するのと変わらないレベルの複雑なコミュニケーションができるのが特徴で、LINEやTwitterなどのSNSにもチャットボットが登場しています。
近年、カスタマーサポートやユーザーインターフェイスとしてさまざまなサービスに採用されており、さらなる進化と活用範囲の拡大が期待されています。
今回は、チャットボットの基礎知識や種類、導入のメリット、チャットボットの活用事例についてご紹介します。
目次
チャットボットの基礎知識
チャットボットは、インターネットを介してリアルタイムに対話をする「チャット」と、「ロボット」の略を組み合わせた言葉です。人間同士が会話をするチャットのように、人間に代わってコンピュータがリアルタイムで対話をします。
これまでもチャットボットは存在していましたが、設定されたプログラムを人間に代わって自動的に実行するのみで、あらかじめ設定された内容にしか対応できませんでした。そのため、コミュニケーションのように対応力が必要なものにはあまり適応できず、会話の内容がずれていたり、同音異義語が誤認識されたりということが多くありました。
しかし、人工知能(AI)を活用することで、チャットボットは大きく発展しました。コミュニケーションに必要な言語処理技術は、人工知能の進化と関係があります。
人工知能は棋士や囲碁のプロに勝利するなど、特定の分野に特化した技術が急速に進化中です。将棋や囲碁のように、決められたルールの中で相手の出方に応じてゲームを進めていくスキルは、相手の言葉に対して返答する会話技術と共通しています。そのため、人工知能はコミュニケーションの形を変える可能性があると期待されています。
チャットボットの種類
チャットボットは、「人工無能型」と「人工知能型」の大きく2つに分けることができます。
●人工無能型
人工無能型のチャットボットは、設定されたプログラムによる決まったパターンの返答を行います。例えば、電卓は決まった数字を加減乗除して解答を表示しますが、電卓が勝手に何らかの処理を加えることはなく、ユーザーの要求に従って決まった答えを表示するのみです。
また、天気予報アプリで「東京」「天気」とキーワードを入力すると、あらかじめ設定されていた東京の天気情報が送信されます。これも人工無能型の一種です。つまり、人工無能型は人間がシナリオを設計する必要があるということです。
●人工知能型
人工知能型のチャットボットの特徴は、会話から単語やユーザーの志向などを学べることです。キーワードとなる単語だけでなく、前後の会話から文章の意図を理解できるので、より人間に近い応答が可能となります。
人工知能に学ばせるためには、大量のデータを用意して学習させる必要があります。文章の中でのキーワードの使われ方や意味を理解することで、表記や文章に多少の違いがあっても自然に会話をすることができ、ユーザーとの会話を通じて、さらに精度を上げていける点も特徴です。
2017年現在、チャットボットの多くは人工無能型です。人工知能を取り入れたチャットボットが増えることで、活用の幅が広がると期待されています。
チャットボットのメリット
チャットボットを採用する企業側のメリットをお伝えします。
●24時間365日対応可能
サポートデスクをチャットボットにすることで、24時間365日いつでも対応が可能になります。平日に働いているユーザーにとっては、サポートデスクが平日の夜や土日祝に対応していないと、なかなか利用できません。
その点、チャットボットなら空いた時間にいつでも問い合わせが可能です。内容が高度で対応できなかった問い合わせは保留にし、後日担当者からかけ直すというフローにすることで、ユーザーを電話口で待たせることもありません。
また、対応できなかった内容は、チャットボットに学習させることでブラッシュアップにもつながります。
●ユーザーとのコミュニケーション向上
企業とユーザーのコミュニケーションの場といえば、WebサイトやSNSが主流ですが、これからはチャットボットがその役割を担うと期待されています。例えば、Facebook Messengerなどのプラットフォームにチャットボットを公開することで、プラットフォーム上にユーザーとの接点を作ることが可能です。
また、直接担当者につながる問い合わせよりハードルが下がるため、ユーザーがかけやすくなります。小さな意見・疑問やクレームまではいかない不満などを引き出しやすくなり、見込み顧客の獲得や訪問者の離脱防止に役立てられるでしょう。
●顧客対応の自動化
チャットボットを活用することで、担当者が電話対応したり、ネット受付に対応したりする時間を減らせるので、人件費を削減できます。例えば、初期対応で問い合わせ要件を振り分けてからカスタマーサポートへ引き継げるため、対応の負荷が軽減されます。ユーザーにとっても、引き継ぎまでの待ち時間が短縮されるというメリットがあります。
さらに、初期対応をチャットボットで統一することで対応のムラをなくせるので、対応品質が向上し、顧客満足度アップが期待できるでしょう。
チャットボットの活用事例
実際に、チャットボットを導入している企業の活用事例を見てみましょう。
●りんな(Microsoft)
りんなは、Microsoftが提供している女子高生AI で、LINEやTwitterでサービスを提供しています。テキストで呼びかけるとWeb上の情報を基にユーザーと会話を行い、女子高生らしい言葉遣いや絵文字などを使って返信します。入力されたユーザーのコメントに対する返答候補がランク付けされるので、同じ質問が来ても、いろいろな表現で返信できます。また、雑談だけでなく、しりとりなどのゲームや占いもできます。
●パン田一郎(リクルートジョブズ)
パン田一郎は、リクルートジョブズが運営する「フロム・エー ナビ」のLINE公式アカウントです。AIを導入している人工知能型のチャットボットで、TwitterやFacebookにも対応しています。LINEで会話をしながらアルバイトを探すことができたり、採用後にも給与計算やシフト通知をしてくれたりと、さまざまな会話が楽しめます。
●イーオ powered by Repl-AI(横浜市)
イーオは、横浜市がNTTドコモ社と共同で実証実験を行っているチャットボットです。NTTドコモ社が開発した「Repl-AI」を活用し、チャット形式のFAQで横浜市のごみ分別の方法について案内しています。横浜市の公式ホームページからごみの分別方法について検索すると、情報の絞り込みに多くの時間がかかってしまうことを改善するために導入されました。捨てたいごみの名前を入力すると、捨て方や粗大ごみの処理手数料などを教えてくれます。
企業での活用が広がるチャットボット
2016年にFacebookとLINEがチャットボット開発用のAPIを公開したことで、マーケティングでの活用を検討する企業が増えています。
時間や場所を問わずユーザーの対応が可能になるだけでなく、人件費や時間的コストの削減など多くのメリットが期待できるでしょう。
すでに、チャットボットでレストランやホテルの予約をしたり、欲しい商品を購入したり、航空券のチケットを取ったりすることも可能です。
アプリの多くは、近い将来チャットボットに置き換えられるという見方もあり、チャットボット導入のメリットを活かした品質の高いサービスの提供が求められています。
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