
CI/CDとは、ソフトウェア開発での変更点やバグを自動でテストし、効率的に品質管理とリリースを実現する開発手法です。
CI/CDのCIは、「Continuous Integration(継続的インテグレーション)」、CDは「Continuous Delivery(継続的デリバリー)」のことを指します。
この記事では、CI/CDの基本から具体的な活用方法、おすすめツールまで解説します。CI/CDの導入を検討している方や、開発をより効率化したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
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CI/CDとは?

CI/CDは、1つの技術を指しているわけではなく、ソフトウェアの変更を常にテストして、本番環境への自動リリースを可能にする開発手法のことです。
CI/CDをシステム開発に取り入れることで、今まで手動で行っていたテストが自動で行われるようになり、エラーやバグの早期発見と効率的なリリースが実現できます。
●CI(Continuous Integration)
CIは「継続的インテグレーション」という意味です。
「Integration」という言葉には「統合」の意味があります。CIの「統合」の対象となるのは「各種作業やテスト」です。そこに「Continuous」の持つ、継続的という意味が加わることで、ソフトウェアの動作を継続的に作業・テストし開発を進めることが可能になります。
また、CIにより、エラーの検出も迅速化し、エンジニアが素早く対応できるようになるのです。
●CD(Continuous Delivery)
CDは、「継続的デリバリー」という意味があります。
「デリバリー」というと、何かを届けるという意味合いで使うのが一般的です。ただ、ここでいうデリバリーにおいては「配信」や「公開」の意味で使われています。
CDが「配信」する対象は、「開発テスト段階のソフトウェア」です。CDを利用することで、テストに合格したソフトウェアを自動で運用環境にリリースできるようになります。
CI/CDはなぜ必要?3つの理由

近年、DevOps(開発と運用の連携によるスピーディーな開発手法)の普及に伴い、CI/CDは重要視されるようになりました。
現在、あらゆる作業がコンピューターで行われるため、ソフトウェアの品質向上と効率化が同時に求められており、その課題を解決する手段として、CD/ CIを取り入れる企業・組織が増えてきています。ここでは、具体的な理由を3つ紹介します。
●1.開発スピードと生産性の向上
CI/CDの自動化により、手動で行っていたテストやビルドの時間を大幅に削減できます。開発者は本来の開発作業に集中できるため、チーム全体の生産性の向上が期待できます。
また、自動化されたプロセスにより、夜間や休日でもリリース作業が可能となり、市場投入速度を加速させることができるでしょう。
●2.バグの早期発見・修正
自動テストにより、コード変更のたびにバグチェックが実行されます。これにより、問題が後工程で発見される従来の開発手法に比べ、開発の初期段階でバグを特定できるため、修正コストを大幅に削減可能です。
●3.安全なリリースが可能
CI/CDでは、テストを通過したコードのみが本番環境にデプロイされます。また、問題発生時には自動でロールバック(以前の安定したバージョンに戻すこと)する機能を備えているツールもあり、サービス停止リスクを極力抑えられます。
デプロイ手順が標準化されるため、人為的なミスも防げるのは大きなポイントです。
CI/CDとアジャイル開発の関係

アジャイル開発とは小さな変更を積み重ねてプロダクトを少しずつ開発する手法のことで、現在多くの開発現場で採用されています。
この手法で最も重要なのが、スピードです。小さな変更を、いかに早くテストし、リリースしてフィードバックを得るか、という点がアジャイル開発における成功の鍵となります。そして、その成功の鍵を握るのがCI/CDです。
CI/CDを使うことで、「変更」→「テスト」→「リリース」→「フィードバック」の従来のプロセスが短期間で行えるようになり、開発スピードの高速化を実現できるようになりました。
従来、手動で行っていたことを、より効率的にできるようになったことで、アジャイル開発においてCI/CDは欠かせないものとなっているのです。
【関連記事】
▷アジャイル開発とは?今さら聞けない開発手法のメリット・デメリット
CI/CDを導入する4つのメリット

CI/CDを導入するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- テスト忘れを防止できる
- 信頼性向上
- 生産性の向上
- 人為的なミスの減少
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
●1.テスト忘れを防止
CI/CDを導入することで、テスト忘れを防げます。手動のテストでは、開発者がコード変更を行うたびに、テストコマンドを実行する必要があり、実行忘れのリスクがあるため、注意が必要です。
システム開発において、小さな変更点であってもテスト忘れの状態が積み重なると、途中でエラーが出ていることに気づかず、本番環境にリリースしてしまう可能性があります。リリースした後に、ようやくエラーを見つけることになれば、どこからエラーが出ていたのか確認を行い、その部分からの修正が必要です。
その点、CI/CDであれば、あらかじめ決められたテストが常に実行されるようになるため、テストを忘れるという心配がありません。そして結果的に、修正工数の削減、品質向上にもつながるのは大きなメリットです。
●2.信頼性向上
CI/CDを使えば、テストそのものの信頼性も向上できます。手動でテストをする場合、テストコマンドの実行手順を間違えてしまうことも考えられます。その場合、テストは確かに実行されているものの、間違ったテストコマンドを実行しているため、正しい結果を得られないケースがあるのです。
そのため、最初に行ったテストでは成功していたものが、別のタイミングで行った時には失敗という結果に変わってしまうことがあります。
テストコマンドの実行手順の間違いが起こると、そもそものテストを信じることができなくなってしまいます。CI/CDを導入すれば、テスト自体を自動化できるようになるため、こうしたミスがなくなり、テストの信頼性を高めることが可能です。
●3.生産性の向上
CI/CDにより、開発者は積極的に新しい機能をリリースできるようになり、生産性の向上につながります。
頻繁にアップデートされるソフトウェアの品質を継続的に担保するには、しっかりとしたテストと配信が必要です。安定したデプロイとデリバリーを自動で実施できるようになるCI/CDによって、開発者や運用担当者の負担を減らせるようになります。
これにより、新機能の開発に集中できるようになり、チーム全体の生産性が向上します。
●4.人為的なミスの減少
手作業によるデプロイでは、設定ミスやコピー忘れなど人為的なエラーが発生しがちです。CI/CDの自動化により、これらのミスを大幅に削減できます。
また、デプロイ手順が標準化されるため、担当者による作業品質のばらつきもなくなるのは、大きなメリットです。
CI/CDツールのオンプレミス型・クラウド型とは?

CI/CDツールには「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があり、チーム体制や予算に応じて選択します。ここでは、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| オンプレミス型 | 拡張性が高い オープンソースが多い セキュリティを確保しやすい |
運用コストが高くなる 自前のサーバーを用意する必要がある 専門的な人材が必要 |
| クラウド型 | 初期費用を抑えられる 迅速に開始できる 柔軟なリソース拡張 |
独自のカスタマイズが難しい クラウド事業者に依存する |
●オンプレミス型のメリット・デメリット
オンプレミス型は、自社でサーバーやネットワーク機器を購入し、社内にシステムを構築・運用するツールです。
この方法のメリットとして、まず高い拡張性とカスタマイズ性が挙げられます。ハードウェアやソフトウェアを自由に選定できるため、自社の特定の要件に合わせてシステムを細かく最適化できます。
また、自社ネットワーク内でシステムを運用するため、外部からのアクセスを厳格に制限でき、セキュリティポリシーが厳しい企業におすすめです。
一方で、サーバーや機器の購入、設置場所の確保に高額な初期費用がかかる点がデメリットと言えます。さらに、運用・保守、トラブル対応も主に自社で行うことになるため、専門的な人材や人件費が必要となり、導入・開発期間も長期化しがちです。
●クラウド型のメリット・デメリット
クラウド型は、クラウド事業者が提供するサーバーやプラットフォームを利用するツールです。
この方法の最大のメリットは、導入・運用コストを大幅に削減できる点です。自社でサーバーを購入する必要がなく、利用した分だけ料金を支払う従量課金制が一般的であるため、初期費用を抑えられます。
また、必要なリソースをすぐに用意できるため、迅速な環境構築が可能です。アクセス増加時にはリソースを柔軟に拡張できることも多いため、急な需要変動にも対応しやすいという利点もあります。
ただし、事業者が提供するサービス範囲内でしか機能を利用できないため、独自の要件に合わせた細かなカスタマイズが難しい場合があるので注意が必要です。また、クラウド事業者の障害が自社システムの停止につながるリスクや、事業者のセキュリティ対策に依存する点もデメリットとなっています。
CI/CDの導入におすすめのツール4選

CI/CDを自社で導入しようという場合、すでに提供されているツールを使うのが一般的です。ここでは、おすすめのツールを厳選し、4つ紹介します。
- オンプレミス型①「Jenkins」
- オンプレミス型②「Concourse CI」
- クラウド型①「CircleCI」
- クラウド型②「Travis CI」
●オンプレミス型①「Jenkins」
CI/CDツールの中でも代表的なものが「Jenkins(ジェンキンス)」です。Jenkinsを利用すれば、基本的な環境が整います。
オープンソースとしてWindows、macOS、CentOSなどのLinuxのほかに、Docker用にもダウンロードが可能です。1,500以上のプラグインが用意されているため、機能の拡張も簡単にできます。
開発プラットフォームでも有名な「GitHub」と連携する場合にも、Jenkinsのプラグインページから簡単に導入可能です。
●オンプレミス型②「Concourse CI」
Concourse CI(コンコース シーアイ)は、Go言語で開発したパイプラインベースのCI/CDツールです。2014年にPivotal社のエンジニアが開発し、オープンソースソフトウェアとして公開されました。
「Jenkins」と比較して、特定の個人に依存することがないツールのため、大規模の分散化システムの自動化処理用プラットフォームとしても利用可能です。
●クラウド型①「CircleCI」
CircleCI(サークル シーアイ)は、Webアプリケーションを開発する多くの企業が利用しているツールの1つです。
SaaS型のツールのため、自前でサーバーを用意して構築する必要がなく、Web上で設定するだけで、簡単に使えるようになるのが特徴となっています。
クラウド型だけではなく、オンプレミス型もあるため、自社サーバーへのインストールも可能なのも嬉しいポイントです。
●クラウド型②「Travis CI」
Travis CI(トラビス シーアイ)はドイツのTravis CI社によって運営・提供されているサービスです。オープンソースソフトウェア向けに、無償でサービスを提供しています。
また、ソースコード自体もすべてオープンソース化されて、GitHub上で公開されており、連携して使うのが一般的です。ちなみにTravis CIでは、様々な言語で実装されたソフトウェアのビルドおよびテストに対応しています。
CI/CDの導入でよくある質問

CI/CDの導入にあたって、よくある質問をまとめました。自社に導入する際の参考にしてみてください。
- CI/CDが向いているプロジェクトは?
- 手作業が多いプロセスでもCI/CDは利用可能?
- 運用・保守の注意点は?
●1.CI/CDが向いているプロジェクトは?
CI/CDは、頻繁なアップデートや変更が必要なプロジェクトに特に効果を発揮します。また、複数人での開発やアジャイル開発を採用しているプロジェクトでは、さらに大きなメリットを得られるでしょう。
一方、リリース頻度が低いプロジェクトやレガシーシステムでは、導入効果が限定的な場合があるため、注意が必要です。
●2.手作業が多いプロセスでもCI/CDは利用可能?
手作業が多い現場こそ、段階的なCI/CDの導入がおすすめです。完全自動化が難しくても、まずはCIだけ、またはユニットテスト自動化から始めることで、徐々に効果を実感できるでしょう。
CI/CDは、全自動化でなくても十分に効果を発揮する開発手法となっています。
●3.運用・保守の注意点は?
運用・保守では、テストケースやスクリプトのメンテナンス体制の整備が重要です。
また、通知ルールの適切な設定、実行ジョブの分割・高速化、権限管理の徹底などを行うことが、長期的な運用成功の鍵となります。
CI/CDを導入して効率的なシステム開発をしよう!
近年、ソフトウェア開発の規模は、大規模かつ複雑化しています。そのため小さく区切りながら継続的に開発、テスト、リリースというサイクルのアジャイル開発が浸透してきました。
アジャイル開発になることでリリース回数も増加し、サービスによっては毎週新機能をリリースするといったことも珍しくありません。しかし、リリースの回数が増えることで、手動で行うテストや修正といった作業コストが増えてしまいます。
その問題を解決できるのがCI/CDです。自動でテストを行い、場合によっては本番リリースまでも自動で行ってくれるCI/CDなら、システム開発業界のみならず、様々な企業でも活用できるサービスです。
効率的かつ品質の良いシステムやソフトウェア開発をするためにも、これを機会にCI/CDの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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