
顧客への請求書をWordやExcelで作成している企業は少なくありません。しかし、手作業での請求書発行は多くの手間がかかり、効率が悪くなりがちです。また、使い勝手の悪い請求システムを利用していて、より良いシステムを探している方も多いでしょう。 そこで今回は、請求業務を効率化したい方に向けて、失敗しない請求システムの選び方や費用相場を中心に解説します。
目次
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請求システムを導入する8つのメリット

請求システムを導入するメリットとして、以下の8つの点が挙げられます。
- 請求書の作成効率化
- 発送作業の手間の削減
- 請求漏れや誤請求の防止
- クラウド化でのリモートワーク支援
- チーム内での見積もり共有
- ガバナンス・内部統制の強化
- 災害時・緊急時のデータ保全
- 監査・財務調査時の対応負担軽減
ここでは、それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
●請求書の作成効率化
請求システムには、あらかじめ請求書の作成フォーマットが用意されています。WordやExcelで作るものよりも高品質で、かつ簡単に請求書の作成ができます。特に、取引先や品目が同じ場合、毎回最初から入力するのは手間がかかりますが、自動作成機能があれば、同じ入力項目が自動表示されるため、大幅な業務効率化が期待できます。
●発送作業の手間の削減
請求書を一つ一つ手作業で発送する場合、取引先が多い企業ほど多くの工数がかかってしまいます。しかし、請求システムの郵送代行サービスを活用すれば、1通あたり150円から200円程度で発送作業を代行できます。発送作業を代行している間に、別の業務に取り組むことも可能となり、そういった面でも業務効率化が見込めます。
また、顧客によっては電子メールでの送付にも対応でき、そもそも発送作業自体が不要になります。多くの請求システムには自動でメールを送信する機能も備わっているため、積極的に活用すると良いでしょう。
●請求漏れや誤りのある請求の防止
請求漏れや請求内容の誤りは、企業間の信頼に大きな影響を及ぼします。ヒューマンエラーによるミスを完全に防ぐのは困難ですが、請求システムが持つ自動チェック機能やアラート機能を活用すれば、そのリスクを最小限に抑えられます。
●クラウド化でのリモートワーク支援
インターネット環境で使えるクラウド型の請求システムを導入すれば、オフィス以外の場所でも請求書の作成・発送作業が可能です。これにより、経理部門や営業部門のリモートワーク(テレワーク)化を促進し、多様な働き方をサポートできます。
●チーム内での見積もり共有
クラウド上で管理・操作できる請求システムなら、見積もり情報をチーム内でリアルタイムに共有可能です。誰でも常に最新のファイルにアクセスできるため、情報の更新や共有にかかる手間がなくなり、より業務が効率化できます。
●ガバナンス・内部統制の強化
請求システムを導入することで、請求業務のプロセスが可視化・標準化されます。これにより、誰がいつ、どのような操作を行ったかがシステム上に記録され、承認ルートが明確になります。請求業務での不正やミスの発生を防ぎ、組織全体のガバナンス(企業統治)や内部統制の強化につながるでしょう。
また、担当者の異動や退職後も業務内容が引き継ぎやすくなるため、属人化を防ぐ効果も期待できます。
●災害時・緊急時のデータ保全
クラウド型の請求システムは、請求データをオンライン上で管理・保存します。万が一、地震や火災などの災害が発生し、オフィスにあるパソコンやサーバーが物理的に損害を受けても、データが失われるリスクを低減可能です。
また、バックアップが自動的に行われるシステムが多いため、BCP(事業継続計画)対策としても有効です。緊急時でも事業を速やかに再開できる体制を整えられるのは大きなメリットとなっています。
●監査・財務調査時の対応負担軽減
請求システムに蓄積されたデータは、監査や財務調査の際にスムーズに提出可能です。手作業で膨大な数の紙の請求書や関連書類を探す手間がなくなり、必要な情報を検索機能で瞬時に見つけ出せるのは、担当者の負担軽減につながるでしょう。
また、データの整合性がシステムによって担保されているため、調査対応にかかる時間と労力を大幅に削減できます。
請求システムを導入するデメリットとは?

請求システムを導入することは多くのメリットがある一方で、いくつかデメリットも存在します。導入を検討する際は、これらのデメリットを理解し、対策を立てておくと安心です。ここでは、主な5つのデメリットを紹介します。
- 初期費用・ランニングコストが発生
- 取引先が対応していない場合もある
- 業務フローや組織の見直しが必要
- システム障害のリスク
- セキュリティや情報漏洩リスク
●初期費用・ランニングコストが発生
紙やExcelで請求書を発行する場合と異なり、請求システムを導入するにはコストがかかります。
オンプレミス型(自社のサーバーにシステムを構築する方式)の場合は、サーバーの購入費や設定費用などで初期費用が高額になりがちです。一方、クラウド型(インターネット経由でサービスを利用する方式)は初期費用が比較的安価ですが、毎月または毎年かかる月額利用料などのランニングコストが継続的に発生します。
システム導入後の運用をスムーズにするため、費用対効果を十分に検討しましょう。
●取引先が対応していない場合もある
電子請求書の送付は多くのメリットがありますが、取引先が新しいシステムや形式に対応していない場合もあります。特に、紙での郵送を希望する取引先が多い場合、郵送代行サービスなどが備わっているシステムを利用する必要があるため、費用対効果を検討した上でシステムを選ぶようにしましょう。
すべての取引先が電子請求書に移行するわけではないため、既存の業務フローと併用できる、柔軟な運用体制を考えることが重要です。
●業務フローや組織の見直しが必要
請求システムを導入する際は、従来の業務フローをシステムに合わせて見直す必要があります。請求書の作成から承認、送付までのプロセスを再確認し、関係部署や担当者間の役割分担を明確にしなければなりません。
このような業務改革には、時間と労力がかかることも多く、従業員の負担が増えてしまう可能性もあります。スムーズに移行できるよう、導入前に十分な準備と社内調整を行うことが大切です。
●システム障害のリスク
請求システムは、システム障害や不具合によって一時的に利用できなくなるリスクがあります。システムがダウンすると、請求書の作成や発行業務が停止し、相手先企業にまで影響が及ぶ可能性があるため注意が必要です。
クラウド型の場合はサービス提供元(ベンダー)側のトラブル、オンプレミス型の場合は自社のサーバー管理体制が原因となることもあります。障害発生時の連絡体制や復旧プロセスを事前に確認し、リスクに備えておきましょう。
●セキュリティや情報漏洩リスク
請求システムには、顧客の氏名、住所、請求金額といった機密性の高い情報が蓄積されます。そのため、不正アクセスやサイバー攻撃による情報漏洩のリスクが常に存在します。
システムのセキュリティ対策が不十分だと、企業の信頼を大きく損なう事態になりかねません。導入する際は、データの暗号化、二段階認証、アクセス権限の設定など、強固なセキュリティ機能を備えたシステムを選ぶことが重要です。
失敗しない請求システム選びのポイント

請求システムを選ぶ際には、以下のポイントを押さえて選ぶことが重要です。
- 業務範囲
- 現在運用しているシステムとの連携性
- 業務自動化の範囲
- 業務形態に合う機能の有無
- 十分なセキュリティレベルの有無
- 法改正・コンプライアンス対応
- システムの操作性・サポート体制
●業務範囲
請求システムごとに対応できる業務範囲が異なります。請求書作成からや発送だけでなく、入金管理や催促などの範囲まで対応できるシステムもあります。どこまでの業務範囲をシステム化するか考えた上で、導入する請求システムを決めましょう。
また、将来的にシステム化したい部分が増える可能性もあるため、カスタマイズ性の高いシステムを選びましょう。
●現在運用しているシステムとの連携性
現在使用している会計ソフトや販売管理システムと連携できるかどうかは、非常に重要な検討ポイントです。システム間でデータを連携できれば、請求金額の手動入力や二重入力を防げます。連携できるデータの種類や、連携にかかる手間も比較して検討してください。
●業務自動化の範囲
請求システムやほかの業務システムと連携することで、どこまで業務を自動化させられるのかもチェックしておきましょう。例えば、郵送代行機能やメール自動送信機能など、繰り返し発生する作業を自動化できる仕組みがあると、大幅な効率化につながります。郵送する必要のある請求書が多い場合や、メールで電子請求書を送る機会が多い場合には、これらの機能を積極的に使っていきましょう。
●業務形態に合う機能の有無
請求書作成の業務形態に合った機能があるかどうかも確認してください。企業によって請求業務のフローは異なります。案件ごとに請求書を作成する、顧客ごとに請求書を作成するなど、自社の請求業務に合った機能や運用形態に対応できるかを必ず確認しましょう。
また、請求システム導入の前に、現状の業務フローを見直すことで、より最適なシステムを選定できます。
●十分なセキュリティレベルの有無
発行した請求書の情報が漏洩しないように、請求システムのセキュリティレベルの高さも配慮しましょう。企業間の取引情報が漏れると、そこから新事業や新商品の情報など機密情報が漏れてしまうこともあります。
いつ情報が盗まれるかわからない時代であるため、セキュリティ面を考慮しておくのが良いでしょう。アクセス権限の設定、データの暗号化、操作履歴の管理など、高いセキュリティレベルを備えたシステムだとより安心です。
●法改正・コンプライアンス対応
インボイス制度や電子帳簿保存法など、最新の法改正に柔軟に対応できるか、そのシステムが公式に対応しているかを必ず確認しましょう。法令順守(コンプライアンス)の観点からも、重要なチェックポイントとなります。
●システムの操作性・サポート体制
ユーザーインターフェースがわかりやすく、現場の担当者がスムーズに使える操作性があるかも確認しておくと良いでしょう。初心者でも使いやすい操作画面であれば、導入もスムーズに行えます。
また、導入時や運用中に問題が発生した際のサポート体制が充実しているかも、事前にチェックしておくことが大切です。導入時に対面での研修を行ってくれたり、マニュアルを作成してくれたりする場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
チェックしておきたい基本機能

請求システムを導入する際にチェックしておきたい基本機能について解説します。自社に必要な機能は何か見極めるための参考にしてみてください。
- 請求書作成機能
- 取引先への送付機能
- 書類の保存と管理機能
- 会計ソフトとのAPI連携機能
- 自動入金消込機能
●請求書作成機能
基本的な機能として、請求書作成機能は必須です。取引先や品目の自動入力補助機能が搭載されているため、ある程度慣れてきたら効率的に請求書作成ができます。
請求書作成機能と合わせて、CSVインポートによってCSVデータを読み込む機能も必要です。また、請求書と納品書のフォーマットを自由に変えられる機能や請求書を複製、合算できるような機能もあると便利です。
●取引先への送付機能
作成した請求書を、取引先へ自動送信できる機能は業務効率化に役立ちます。たいていの請求システムでは、請求書の作成が完了すると、取引先に請求書を添付したメールが発送できる機能も備わっています。中には、そのメールのやり取りの際にパスワード設定ができる、セキュリティを意識したものもあります。
このほか、郵送代行の機能が備わった請求システムもあります。郵送での処理が必要な場合は、郵送代行機能を使い、ミスを少しでも減らせるようにしましょう。
●書類の保存と管理機能
作成した請求書を安全に保存し、検索やステータス管理ができる管理機能もあると便利です。
支払い期限が近づくとアラートで通知したり、請求書に記載されているデータから自動で仕訳を行ったりするシステムもあります。
●会計ソフトとのAPI連携機能
会計ソフトとのAPI連携機能があるかどうかも、システムの導入前にチェックしておきましょう。APIとは、異なるソフトウェア間でデータをやり取りする仕組みのことで、請求データの自動反映や一元管理が可能です。基幹システムの顧客情報と連携させることで、請求書の自動作成が可能になるほか、手作業による入力ミスや手間を削減できます。
●自動入金消込機能
一部の請求システムの中には、銀行口座や金融機関とデータ連携することで、請求書の入金確認や消込作業を自動化できる機能も備わっています。一度手動で消込を行えば、それ以降は同じ内容の請求書が自動で消込されるため、ヒューマンエラーの防止と業務効率化に役立ちます。
導入タイプで考える費用相場

請求システムを導入する際には、パッケージソフトで導入する方法とゼロから独自開発して導入する方法の2つがあります。
それぞれの方法の違いを以下の表に簡単にまとめました。
| パッケージソフト | 独自開発 | |
|---|---|---|
| 費用相場 | 
 
 | 100万円~ | 
| 特徴 | スタンダードな機能が備わっているソフトを購入する方法 | ゼロから自社専用のシステムを開発してもらう方法 | 
| メリット | ・すぐに導入しやすい ・クラウド型だと安いコストで導入しやすい ・運用・管理までしてもらえる ・オンプレミス型だとカスタマイズもしやすい | ・自社の業務に合ったシステムが導入できる ・機能のカスタマイズも可能 | 
こちらの表を基に、それぞれの導入方法の特徴などについて見ていきます。
●クラウド型のパッケージソフト
パッケージソフトは、初めからスタンダードな機能が搭載されており、すでに1つのシステムとして形ができているものです。標準機能が最初から用意されているため、契約すればすぐに使い始められます。
クラウド型のパッケージソフトは、初期費用が比較的安価で、月々のサブスクリプション料金のみで運用できるため、スピーディにシステムを導入したい中小企業に最適です。
●オンプレミス型のパッケージソフト
パッケージソフトの中でも、オンプレミス型は自社にサーバーを設置してシステムを運用するシステムです。自社にサーバーを設置するため導入コストは高くなりますが、自社内でシステムを管理できるため、セキュリティ性が高いものが多いです。
さらに、クラウド型に比べて機能面のカスタマイズがしやすい点も特徴です。
●オンプレミス型の独自開発品
独自開発して請求システムを導入する方法では、ゼロから自社に合ったシステムを導入することができます。そのため、自社の業務プロセスや独自のルールにぴったりフィットするシステムを構築できます。
同じ業種でも会社によって業務フローが大きく異なるケースは多く、そのような場合に独自開発が特に有効です。
ただし、コストや導入までの時間がかかりやすい点を留意しておきましょう。
独自開発する際のポイントと注意点

請求システムを独自開発で導入する場合、開発環境やノウハウがないと、自社で開発するのは困難です。そういった場合は、システム開発会社に外注(アウトソーシング)する方法がおすすめです。
ここでは、アウトソーシングでシステム開発会社を選ぶ時のコツを紹介します。
- 業績が安定しているか
- 自社の扱う業種での開発実績が豊富か
- コミュニケーション能力が高いか
●業績が安定しているか
独自開発したシステムは、5年から10年ほど継続して運用するケースが多くなります。そのため、将来的な機能追加やアップデートにもしっかり対応してもらえるかが重要です。
業績が安定している会社であれば、長期的なサポートも安心して任せられるため、経営状況を事前に確認するのがおすすめです。
●開発実績が豊富か
システム開発会社によって得意な分野や実績は異なります。自社の業種での開発経験が豊富だと、実際の業務に即した提案を受けやすく、システム導入の失敗リスクを減らせるため、詳しい開発実績を確認しましょう。
●コミュニケーション能力が高いか
実績が豊富な会社は、顧客とのコミュニケーション能力も高い傾向にあります。こちらの要望を正確に汲み取ってくれる場合が多いため、スムーズに開発を進められます。
また、業界内での評判なども参考にするとなお安心です。
請求システムの開発を依頼する時の注意点
システム開発会社を選ぶ際には、最低でも以下の4つに注意してアウトソーシングしてみてください。
- システムの仕様をあらかじめ決めておく
- 費用だけで依頼先を決めない
- システム開発を依頼先に丸投げしない
- 運用方針も考えておく
システム開発を依頼するからといって、全部をシステム開発会社に丸投げするのはおすすめしません。システムの導入は、自社の課題を解消するために行うものです。どういった課題を抱えているのかは、現場の従業員でないとわかりません。
事前に自社でどんな課題があり、その課題の解消にどんな機能が必要なのかを決めておく必要があります。その際に、システム導入後の運用方針も考えておくと良いでしょう。
開発環境やノウハウが自社にない場合、独自のシステムはシステム開発会社へ依頼するのが理想です。おすすめシステム開発会社は以下のページでご紹介しています。
しっかりと要件を確認して業務の効率化を
請求システムは請求書の作成だけでなく、相手の企業への請求書送付、過去の請求書の管理や活用にも役立つシステムです。請求システムを導入すれば、請求書関連の業務が効率化できます。その分新しい事業に着手したり、業務効率化によって生み出すことのできた利益を社員に還元したりできます。
しかし、これまで請求システムを導入してきて失敗したという方もいるかもしれません。そういった方は、業務範囲や既存システムとの連携性、業務形態に合った機能の有無などを確認してみてください。もし明確な課題があることでシステムを導入していないなら、今回の記事の内容を参考に、再度システム導入を検討してみましょう。
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