クリニックのDXとは?推進するメリット・デメリットや注意点を解説

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クリニックのDXとは?推進するメリット・デメリットや注意点を解説のイメージ図

さまざまな業界でデジタル化が求められているなか、特に変革が必要な業界として挙げられているのが医療業界です。医療業界では医師や看護師の人材不足、地域による医療格差などが問題視されており、それを解決する方法として医療DXが注目されています。

この記事では、政府が進めている医療DXとはどういった取り組みなのかをはじめ、医療DXの導入によるメリット・デメリット、注意点について解説します。また、自院に合うシステムが見つからなかった場合の方法についても紹介しているため、クリニックに医療DXを導入する際の参考にしてください。

 

目次

 

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クリニックに重要な医療DXとは

医療DXとは、デジタル技術を活用して医療サービスの効率や質の向上を図る取り組みのことです。医療DXの代表的な取り組みとしては、電子カルテやWeb問診票などの導入によるペーパーレス化、オンライン予約・診療、ビッグデータの活用などが挙げられます。

 

●医療DXの背景

医療業界では「デジタル化の遅れ」「人手不足・超高齢化社会」「医療格差の拡大」といった課題を抱えており、これらの課題を解決する方法として医療DXが注目を集めています。

 

デジタル化の遅れ

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2023年3月に発表した「DX白書2023」によると、医療・福祉におけるDXの取り組み状況は9%です。ほかの産業はいずれも15%を超えていることから、医療・福祉のデジタル化が遅れていることが明らかになっています。

参考:独立行政法人「IPD DX白書2023」

 

人手不足と超高齢化社会

医療業界は長時間労働が常態化しており、厳しい労働環境や責任の大きさなども相まって医師や看護師の離職率が高まっています。少子化で人手不足は今後さらに深刻になっていくことが予想される中、超高齢化社会によって医療を必要とする患者はどんどん増えていく一方であるため、人手不足の解消は医療業界において喫緊の課題です。医療DXを推進することで、医療現場の業務効率化が期待されています。

 

医療格差の拡大

医療機関の数と地域の人口は比例する傾向にあり、過疎化が進む地方においての医療リソース不足が問題となっています。医療DXによってオンライン診療ができるようになれば、非対面や遠隔地からでも受診が可能になるでしょう。医師が不足している地域に住んでいても専門的な医療を受けられるようになり、地域による医療格差の解消が期待できます。

 

医療DX令和ビジョン2030の概要

医療DX令和ビジョン2030とは、2022年5月に自民党から提言された取り組みで、医療DX化や効率化、医療資源の適正な利用の推進を目的としています。医療DX令和ビジョン2030の骨格となる重要な取り組みとして掲げられているのが、「全国医療情報プラットフォームの構築」「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX」の3つです。それぞれの取り組みについて解説します。

 

●全国医療情報プラットフォームの構築

全国医療情報プラットフォームの構築とは、これまで医療機関や介護施設、自治体などがバラバラに保存・管理していた医療関連の情報を1つのシステムに集約して、閲覧共有・管理できるようにしようという取り組みです。全国医療情報プラットフォームで扱う情報としては、レセプトや電子カルテ、電子処方箋、特定検診や自治体検診、予防接種などがあります。これらの医療情報を共有することによって医療の質の向上や業務効率化が期待されているほか、感染症対策における情報収集の迅速化や精度向上への貢献を見込んでいます。

 

●電子カルテ情報の標準化

電子カルテ情報の標準化とは、医療機関の間でのスムーズなデータ交換や共有を推進するために、電子カルテ情報の標準規格化を図る取り組みです。標準化を進める理由としては、現状の電子カルテはベンダーによって規格にバラつきがあり、情報共有が困難なことが挙げられます。そこで電子カルテを標準化することで、異なる医療機関でも電子カルテ情報の交換がスムーズに行えるようになり、患者の治療履歴などをどこからでも閲覧できるようにするのが狙いです。

電子カルテ情報の標準化にあたって政府は2030年までに電子カルテの普及率100%を目指しており、電子カルテの導入が遅れている小規模な医療機関に向けた標準型電子カルテの開発も進めています。

 

●診療報酬改定DX

診療報酬改定に伴う医療機関の作業や費用負担を最小限にするために、診療報酬の算定と患者の窓口負担金の計算を行う共通算定モジュールの開発が進められています。共通算定モジュールを開発・提供することで、診療報酬改定に伴う情報更新を迅速かつ効率的に行えるようにするのが目的です。2026年度の診療報酬改定からの本格的な提供開始を目指しており、共通算定モジュールを実装した標準型電子カルテの提供によって医療機関の作業効率の向上やコスト削減が期待されています。

 

クリニックDXを導入するメリット・デメリット

政府が推進している医療DXですが、導入にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。メリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、医療DXの導入を検討しましょう。

 

●メリット

医療DXを導入するメリットとしては、業務効率化や患者満足度の向上、データの保存性、医療従事者の負担軽減などが挙げられます。

 

業務効率化

医療DXの導入によって患者データのデジタル管理ができ、紙のカルテや書類の管理にかかっていた時間や労力の削減へつながります。診察予約システムや電子カルテと連携すれば業務の大幅な効率化を実現できるため、業務負担の軽減にもなります。

 

患者満足度の向上

オンライン診療を導入することで自宅からでも医療サービスを受けられるようになり、病院まで通院する手間を省けます。医療リソースが不足している地方でも質の高い医療サービスを提供できるため、患者満足度の向上につながるでしょう。また、予約システムを導入すれば待ち時間も短縮できます。

 

データの保存・共有

医療情報をクラウドで管理することで、単体のサーバのみで管理する方法に比べて、自然災害などの被害にあった際のデータの消失リスクを軽減できるという点がメリットです。また、医療機関の間での情報共有も容易になるため、患者の診療歴や治療効果などを把握しやすくなり、緊急時や複数の医療機関を利用する際の診療をスムーズに行えます。また、ビッグデータを分析することで治療方法の最適化や新たなサービスの開発に役立てられ、クリニックの経営改善にも活用できます。

 

医療従事者の負担軽減

医療機関では医療行為だけでなく、医療品の在庫管理や診療報酬明細書の作成なども行う必要があります。これらの業務をデジタル化することで効率が一気に向上し、医療従事者の負担を軽減することが可能です。また、電子カルテやWeb問診票などのデジタルツールの導入によって、データの管理や受け渡しなどの業務をスムーズに行えるようになります。

 

適切な医療提供

患者に適切な医療を提供するには、医療機関やスタッフ間での情報共有が不可欠です。従来の紙カルテでは複数の診療科での情報共有が難しく、さらに別の機関が保管している情報を得るには複雑な手続きが必要なことが課題となっていました。医療DXによって医療情報をデジタル化することで、複数の診療科や各医療機関で患者の通院歴や診療内容、処方歴などさまざまな情報を共有できるようになり、診療や治療の質の向上に取り組めます。

 

●デメリット

医療DXの導入を進めるうえで注意したいデメリットとしては、セキュリティリスクの増加やコスト、デジタル格差への懸念が挙げられます。それぞれのデメリットについて十分に把握したうえで、医療DXの導入を慎重に検討しましょう。

 

セキュリティリスクの増加

ハッキングなどによってビッグデータが漏洩する事件が増えており、医療業界で扱う患者の診療情報や家族情報などのプライバシー性の高い個人情報もハッキングやサイバー攻撃の対象になる危険性があります。そのため、医療DXの推進によって情報の一元化を目指すにあたり、外部への情報漏洩を防ぐ高度なセキュリティ対策が必須です。また、スタッフへのITリテラシー教育を行い、クリニック全体でセキュリティ管理の意識を高める必要があります。

 

導入コストと維持費

新しいデジタルツールを導入するには高額な費用がかかり、さらに継続的なメンテナンスやアップデートを行うための維持費も必要です。経営難に直面している医療機関も増えている中、デジタルツールの導入コストや維持費は中小規模の病院や診療所にとって大きな負担となり、経営圧迫につながりかねません。医療機関の負担を最小限にしようと補助金制度が導入されているため、コストの負担が懸念事項となっている場合は制度の活用を検討しましょう。

 

デジタル格差

医療DXはスタッフの業務効率化や患者の医療体験の向上に貢献する一方で、高齢者をはじめとするデジタルツールに不慣れな人を取りこぼす可能性があります。デジタルツールを使いこなせないと、オンライン診療をはじめとする医療DXの産物を利用できません。それにより受けられる医療や介護に格差が生じるデジタル格差が懸念されています。

 

クリニックでDXを導入するうえで注意すべき点

クリニックでの医療DXの導入を成功させるには、いくつかの注意点について把握し、対策を講じる必要があります。医療DXへのスムーズな移行と効果的な運用を実現するために、押さえておくべきポイントを解説します。

 

●セキュリティ対策

病院やクリニックではプライバシー性の高い患者の個人情報を扱うため、医療DXを推進するうえでサイバーセキュリティの強化は必要不可欠です。医療機関におけるサイバーセキュリティ対策の取り組みとしては、「パスワードを強固なものに変更して使いまわさない」「IoT機器を含む情報資産の通信制御の確認」「ファームウェアやセキュリティ対策ソフトなど各種システムの適切な更新」「機器やデータの持ち出しに関するルールの順守」などが挙げられます。また、セキュリティ意識を高める研修の実施も重要です。

 

●システムの互換性確保

医療機関で使用する電子カルテや診察予約システム、検査結果管理ツールなどは異なるプラットフォームやフォーマットで構築されており、システム間での情報共有がスムーズに行われないことがあります。診療の効率低下や医療ミスにつながる原因となるため、標準化されたプラットフォームの確立や既存システムの互換性を高めるための措置が必要です。

 

●連携体制の整備

医療DXの骨組みの1つである全国医療情報プラットフォームに対応するには、地域の薬局や自治体との連携体制を整えておくことが大切です。各連携先で患者情報を迅速に共有できるようにしておくことで、スムーズな診療を行えるようになります。例えば患者がお薬手帳を持っていない場合、医師は薬局の情報から患者の服用している薬を把握することが可能。薬剤師にとっても処方箋の根拠となる病状の把握や処方の重複の有無、飲み合わせなどを確認でき、服薬指導に役立てられるといったメリットがあります。

 

●専門家への相談

ITに関する知識が少なくて医療DXの対応が難しい場合は、専門家に相談しましょう。自院で使用している電子カルテや診察予約システムなどのメーカーに相談するのもおすすめです。ITに詳しい専門家に相談することで、専門知識が求められるシステムの選定やセキュリティ対策などをスムーズに行えるようになります。

 

●スタッフの教育とトレーニング

医療DXを実施するには、専門技能を持った人材の確保と育成が不可欠です。新しいシステムを適切に操作できるようにするための継続的な教育とトレーニングを行う必要があり、さらにサイバーセキュリティに対する意識の向上も求められます。

 

自分のクリニックに合うシステムが見つからないなら開発会社に依頼

医療DXを進めるにあたり、電子カルテや診察予約システムなどのデジタルツールの導入を検討している人もいるでしょう。ただ、市販されている製品だと必要な機能が提供されていなかったり、操作性が悪かったり、既存のシステムと連携できなかったりといった不便が生じることがあります。自院のクリニックに合うシステムが見つからない場合は、開発会社への依頼を検討するのもおすすめです。

自院の運営方法やニーズに最適化されたシステムを導入することで、業務の効率化や患者満足度の向上を図ることができます。ただ、多くの開発会社の中から自院に合った会社を選定するには、システム開発に関する知識や情報収集のための時間が必要です。開発会社の選定にお悩みのご担当者様は、発注ナビにご相談ください。

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