プログラミング言語を使用した開発には様々な種類の言語が使用されますが、Dart(ダート)はそのうちの1つです。開発に携わったことがなかったり、特定のメジャーな言語にしか触れてきていなかったりする方は、Dartについてわからないことが多々あるでしょう。
DartはC言語のように長い歴史を持つプログラミング言語ではなく、新しいタイプの言語にあたります。開発分野から今後のDartの発展に期待されていますが、まだまだ情報が少ないのも事実です。最近になってFlutterの影響で注目を集めるようになったDartですが、以前はマイナーな言語として扱われてきた歴史もあります。
そこで今回は、Dartとは何なのか特徴や歴史などを解説していきます。そのうえでDartの将来性にも目を向け、今後Dartを使用した開発をする際のポイントを紹介していきます。Dartについて理解を深めたうえで、効率的に開発計画を進めていきましょう。
目次
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国5000社以上からご提案
Dart(ダート)とは?JavaScriptとの関連性は?
まずは、Dart(ダート)の意味について整理していきます。Dartとは、Googleによって開発されたプログラミング言語のことです。
Dartが誕生した背景として、JavaScriptが持つ問題点の改善が挙げられます。どのようなプログラミング言語にも開発における向き不向きがありますが、DartはJavaScriptの代替言語として2011年に登場しました。当初、主にアプリ開発において使用されていました。
しかし開発当初はその利便性の高さが注目されていたものの、次々に開発におけるトレンドは変化し、Dartはしばらくマイナーな言語として定着することになりました。その後再びDartが注目を集めるようになったのは、モバイルアプリ開発のフレームワークであるFlutterがリリースされた頃です。
Flutterは1つのソースで、異なるOS用のスマートフォンアプリをまとめて開発できるのが大きなメリットです。リリース後、Flutterは世界的に広まり、それに伴ってFlutterで使用されるプログラミング言語であるDartは幅広く認知されるようになったのです。
そのDartの主な特徴として、下記が挙げられます。
- オブジェクト指向型
- 動的型付けと静的型付けの使用が可能
- JavaScriptやJavaに似ている
- 操作性がシンプルで使用しやすい
- セキュリティ性能にも優れている
- 大規模なアプリ開発に向いている
Dartは、JavaScriptの代替言語として開発されました。加えて、JavaやC#の影響を受けていることもあり、JavaScripttやJavaに類似しているのが特徴です。そのため、学習を進めるにあたって、すでにJavaScriptやJavaを理解している方は比較的楽にDartの知識を身につけられるでしょう。
Flutterでの開発に使われるDart言語
前章で触れたように、Dartというプログラミング言語はFlutterを使用した開発において重宝されます。Flutterは世界的にも多くの場面で使用されている、アプリ開発のためのフレームワークです。主な特徴としては、1つのコードだけで異なるOS対応のアプリをまとめて開発できることが挙げられます。
通常、スマートフォンアプリを開発する際には、Android・iOS対応のアプリをそれぞれ別でコーディングして開発する必要があります。しかしFlutterではこの二度手間ともいえる作業が不要となり、1つのコードだけでAndroid用・iOS用のアプリまとめて開発できるのです。こうした利便性の高さを実現できるのは、Flutterにはコードの変換を行うクロスプラットフォームが採用されているためです。
一度のコーディングのみで複数のOSに対応するアプリ開発が行えるのは、開発コストの大幅ダウンにつながります。費用だけでなく手間を省くメリットがあるといえるでしょう。効率的に開発を済ませたい時や開発にかかるコストを少しでも削減したい時には、Flutterを開発環境に選ぶのが望ましいと考えられます。このFlutterの注目度の高まりから、Dartは便利なプログラミング言語として知られるようになり、学習の優先度も高まりつつあります。
なお、Flutterについては下記の関連記事でも説明しているため、詳細を知りたい方はぜひチェックしてみてください。
▷ Flutterとは?基礎知識から具体的な使い方までわかりやすく解説
Dartの基本文法
ここからは、Dartの基本文法について簡単に解説していきます。
使用頻度の高い基本の型を整理してみました。基本として覚えておきたいDartの型は、下記のとおりです。
型 | 代入可能な値 |
---|---|
int | 整数値 |
double | 実数 |
bool | 真偽値 |
String | 文字列 |
List | 配列 |
Set | (重複のない)配列 |
intは整数値を代入します。値はマイナス・プラスの両方が代入可能です。
doubleは少数値の代入ができます。intと同様にマイナスとプラスの両方が可能で、intでは扱うことができない値を代入して使用するのが特徴です。
boolは真偽値を扱うため、代入できるのはtrueもしくはfalseのいずれかになります。
Stringは文字列を自由に代入できます。代入時は文字列をシングルクォートやダブルクォートで囲います。
Listはデータの配列が可能で、同じ値を格納できます。これに対してSetも配列が可能なデータ型ですが、同じ値は格納不可になります。
Dartのメリット
Dartを使用した開発やDartの学習をするうえで、メリットについて詳しく知ることが大切です。続いては、Dartのメリットについて整理していきます。
Dartは、主にFlutterでのアプリ開発に使用するプログラミング言語。そのため、AndroidとiOSに対応するアプリを1つのコードで開発できるのは、Dartが持つ強いメリットといえるでしょう。したがって、アプリ開発において予算や開発者のリソースが限られている場合は、Dartの活用をおすすめします。
また、Dartはパフォーマンスに優れたプログラミング言語としても知られています。複数人で開発しやすいオブジェクト指向型言語であることや、高いパフォーマンスであることから、大規模な開発にも向いています。大規模なアプリ開発を円滑に進められるのは、大きなメリットといえるでしょう。
さらに、JavaScriptからDartへ移行することも可能です。これはJavaScriptからDartに置き換えることを狙いとして、Dartを開発した背景が関係しているといえます。
Dartのデメリット
Dartは、主にFlutterにおける利便性の高さによって注目されているプログラミング言語ですが、少なからずデメリットもあるため開発や勉強の際には注意が必要です。続いては、Dartのデメリットについて整理していきます。
Dartは、そのほかのプログラミング言語と比べると新しい言語に分類されます。歴史はまだ浅いため、情報が充実していないのがデメリットといえます。別の言語と比較すると特に日本語での情報が少ないため、より理解を深めたい場合は英語で情報収集する必要も出てきます。
また、機能に関しても現在追加中ということから、発展途中である点もデメリットといえるでしょう。そもそもDartが世の中に広く認知されたのは2018年の頃で、それまではマイナーな言語として扱われていました。今でこそDartは多方面から注目を集めるようになりましたが、機能やパッケージの追加などはまだ始まったばかりです。発展途中ということもあり、そのほかの言語と比較した際に物足りなさを感じる方もいるでしょう。
Dartは注目度の高い便利な言語とはいえ、多少の不安要素が伴うことを認識しておく必要があります。
Dart言語での開発がおすすめな場面
ここからは、Dart言語での開発がおすすめな場面を紹介していきます。Dartについて理解を深めるうえで、どのような開発に向いているのかを知ることは非常に重要です。Dart言語を使用した開発が最適な場面を把握し、開発計画を進めていきましょう。
最初におすすめする場面として、スマートフォンアプリやWebアプリの開発が挙げられます。前述したとおり、Dartはアプリ開発向けのプログラミング言語としてGoogleで開発されている経緯があり、Flutterで使用されるようになったのもそのためです。
ほかには、1つのプログラミング言語で一度に複数の開発を行いたい際にも、Dartの使用は向いています。フロントエンドとバックエンドのどちらも開発できるため、2つ以上のプログラミング言語を必要としません。
Dart(Flutter)を活用した開発の事例として、下記のサービスが挙げられます。
- ポルト
- じゃらんnetアプリ
ポルトは、株式会社スタディサプリが提供するデジタル参考書のサービスです。ポルトはAndroid・iOSの両方に対応したアプリとなっており、コーディングはFlutterを通じて行われています。
じゃらんnetアプリは、株式会社リクルートが運営する宿泊施設予約サイトの公式アプリです。規模の大きい開発に備え、パフォーマンスを向上させる目的でFlutterへの移行が行われています。
このように、Dart言語は様々な場面で活用されています。FlutterとともにDartの理解を深め、効率的な開発に活用しましょう。
Dartの将来性
Dartは、まだ歴史の長いプログラミング言語とはいえません。2011年に登場し、広く認知・普及したのは2018年頃になるため、発展途中のプログラミング言語といえるでしょう。Dartの学習やDartを用いた開発を進めるうえで、Dartの将来性が気になるところです。ここからは、Dartの将来性や今後の考え方について整理していきます。
現在は情報が不足していて発展途中のイメージが強いDartですが、今後もDartの需要は拡大し情報や機能、パッケージなどは充実していくと考えられます。その理由として、Flutterの存在が挙げられます。近年、その利便性の高さからFlutterへの移行プロジェクトを進めるアプリ・サービスの数は増えており、Google関連のサービスもFlutterを積極的に取り入れています。
世界におけるスマートフォンの普及も影響しており、2030年までにアプリ開発市場は410億米ドルの価値があるともされています。Googleがアプリ開発のための言語としてDartを開発していることから、Google関連サービスと相性が良い点にも注目したいところです。また、Googleが現在開発を進めているオペレーティングシステム・Fuchsiaでも、Dart言語が使用できる予定です。
Dartは、今後多くの開発の場面で使用されると考えられます。すでに海外ではFlutterおよびDartの導入が盛んに進んでいることから、日本も影響を受けていく可能性は高いといえるでしょう。
Dartで開発を行うには?
最後に、Dartで開発を進める時のポイントを整理していきます。
DartはJavaScriptの代替言語として開発されたこともあり、JavaScript習得済みであれば、比較的学習の難易度は低くすぐに扱えるようになるでしょう。また、C#やJavaに似ている点もあります。そのためDartは、C#やJavaを把握している方にとっても学習しやすい傾向にあるのが特徴です。発展途上のプログラミング言語とはいえ、近年はDartを使用した開発環境も充実しつつあるため、学習後すぐに開発に活用できるでしょう。
また、Dartの学習が可能な開発者が社内にいない場合や、リソースに余裕がない場合は、システム開発会社に外注するのもおすすめです。システム開発会社へ外注すれば、下記のようなメリットが生まれます。
- Dart学習が不要
- 設備投資の不要につながる
Dartに関しては、Flutterの登場により注目を集めるまでは必要性の低い言語とされていたため、学習したことがない開発者が多いかもしれません。JavaScriptやC#など、Dartに類似する言語に触れていれば楽に習得できるとはいえ、新たにプログラミング言語を学習し実践するには学習コストがかかります。
一方、システム開発を外注すれば学習コストだけでなく、設備投資も不要で済む場合が多いです。Dartを使用した開発をするうえで、開発会社の選定に困った時は「発注ナビ」の利用がおすすめです。
発注ナビは、システム開発を行う企業に主に特化したパートナー企業マッチングサービスです。発注ナビを利用すれば、時間や手間、費用を抑えて自社とマッチする開発会社に出会えます。
企業選定の際には要望や悩みなどを専門スタッフが細かくヒアリングし、全国5,000社の中から最適な開発会社を提案します。相談から見積もりまで無料で対応しているため、Dartを使用した開発における外注先選びにお困りの方は、ぜひ発注ナビをご利用ください。
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国5000社以上からご提案