新人教育やマネージャー研修など、多くの企業では従業員の「役割」「立場」に合わせ、スキルや知識を得る機会を設けます。
これらの教育や研修は、インストラクターや上司が「対面で直接教える」のが一般的でした。しかし現代では、従業員が個人で学習できる「eラーニングシステム」という学習の形態が主流になりつつあります。
多くの企業で導入され、一般的になりつつあるeラーニングシステムですが、今回はこのeラーニングシステムの基本情報から具体的なメリット、導入方法に至るまでを詳しく紹介します。
eラーニングの導入を検討している総務や人事担当者の方は、ぜひ本コンテンツをご参照ください。
目次
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eラーニングとは
eラーニングとは | |
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言葉 | 意味 |
e(electric) | 電子的な、電子工学 |
ラーニング(Learning) | 学習、学ぶこと |
eラーニングシステムについて解説をする前に、「eラーニング」について解説します。
eラーニングとは、electric(電子的)とLearning(学習)を組み合わせた造語です。「インターネットを活用した通信教育」を指しています。ビジネスにおいてeラーニングは従業員の教育や資格取得のために利用されています。具体的には以下のようなものがeラーニングに該当します。
-
企業の就業規則を動画で配信する
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ITリテラシーのテスト問題の配信
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業務のフローをイラストやマンガで配信
eラーニングは、通信機器と技術が発達した現代ならではの学習形態といえるでしょう。ビジネスだけでなく、学校や塾など、様々な場所で活用されています。
eラーニングシステム(学習管理システム)とは
eラーニングシステムは、eラーニングの学習状況を細かく管理するためのツールのことです。別名「学習管理システム(LMS)」ともいいます。教育者や管理者はeラーニングシステムを使って次のようなことができます。
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学習教材の動画やテストの配信、または配信したものを編集できる
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受講者にどの学習教材を提供したか管理できる
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受講者がどれだけ教材を利用したのか把握できる
eラーニングにはどんな種類がある?
eラーニングの種類 | ||
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学習形式 | 制作コスト | おすすめの用途 |
動画・アプリ | × | 企業紹介、業務フローの伝達等 |
イラスト・漫画 | △ | ビジネスマナー、経営方針の伝達等 |
テキスト・文章 | 〇 | 就業規則、企業のルールの伝達等 |
テスト問題 | ◎ | 従業員のスキルチェック、人事評価等 |
eラーニングの主な学習形式は上記のとおりです。配信された動画やテキストを視聴したり、テストを受けたりしながら、従業員のスキルアップを図ることが可能、複数の形式を組み合わせて配信できます。学習形式によって発生するコストやおすすめ用途などが異なるため、従業員に「習得の目的は何か」「どのように配信するか」を決めておくのがおすすめです。ビジネスにeラーニングシステムを導入すると企業や従業員の双方にメリットがあります。
eラーニングの歴史
eラーニングはいつから日本で始まったのでしょうか?1950年代にアメリカでCAIが始まったことからeラーニングが始まりました。CAI → CD-ROMでの学習 → インターネットの普及 → スマートフォンの台頭まで時代の変遷とともにeラーニングの方法も変わっています。ここからeラーニングの歴史について詳しく見ていきましょう。
●集合研修からCAIへ
従来の集合研修は属人化しており、講師と受講者が同じ教室にいなくてはなりませんでした。一方的に講師が話すスタイルの集合研修は学習効果が低く、コンピュータを活用した教育である「CAI(Computer Aided Instruction:コンピュータによる支援教育)」の研究が始まりました。
●CD-ROMでの学習
続いて「CAI」をベースにCD-ROMでの学習が開始され、インタラクティブなコンテンツの提供が可能になりました。しかし、CD-ROMはコストがかかる、内容が修正できない、学習者の進捗度を管理できないなどの課題があったのです。
●インターネットの普及
インターネットの普及とともに現在のeラーニングの土台である「WBT(Web Based Training:インターネット利用による教育研修)」が始まりました。「WBT」の活用で、学習者には下記のメリットがあります。
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インターネットで進捗状況を管理できる
-
最新の教材を利用できる
-
教材をサーバーに保存できる
- 好きな時間に受講できる
●スマートフォンの台頭
21世紀になると、スマートフォンの台頭とともに受講者はいつでも・どこでも教材を学習できるようになりました。iPhone・iPad・Androidのように多種多様なデバイスでe-ラーニングを活用できるようになったのも大きな変化でしょう。
企業でeラーニングシステムを導入するメリット
eラーニングのメリット | |
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企業側 | 従業員側 |
人材育成を計画的に進めやすい | 情報の信頼性が高い |
教育の質を均一化させやすい | 時間と場所を選ばずに利用できる |
幅広い知識やスキルを習得させやすい | マイペースで学習を進めやすい |
教育にかかる労力とコストを抑えやすい | スキルの習得度合いを把握しやすい |
上図のとおり、eラーニングシステムには企業と従業員それぞれにメリットがあります。ここからは、企業が享受できるメリットを中心に解説します。
●人材育成を計画的に進めやすい
eラーニングシステムには、学習教材の相手を選べる機能があります。eラーニングシステムは学習教材の利用の履歴も管理できるほか、テストやドリルを通じてスキルの習得度合いを図れます。社員の学びの段階を把握できると、社員教育も進めやすくなるでしょう。
●教育の質を均一化させやすい
インストラクターや上司が行う社員教育は、「インストラクターや上司の質」と比例するため均一的な教育ができません。その結果、従業員のスキルが学んだ内容により変化します。一方、インターネットを通じて動画や教材を配信するeラーニングシステムは「誰もが均等に学べる」特徴があります。そのため、社員は同じレベルの教育を受けることが可能です。
●幅広い知識やスキルを習得させやすい
働き方によっても異なりますが、業務に必要な知識やスキルは多岐にわたります。これらすべてを「インストラクターや上司が直接教える」のは、効率の良い方法とはいえないでしょう。しかし、eラーニングは「企業の経営理念」「業務アプリの使い方」「リスクマネジメントの手法」など幅広く学べます。
●教育にかかる労力とコストを抑えやすい
eラーニングシステムは、インターネット環境とデバイスがあれば、従業員が場所を選ばずに利用可能で、場所・時間を問わず学ぶことができます。そのため、eラーニングシステムの導入でコスト削減可能、人材育成が容易になります。
さらに、「教材のアップデートや改良がしやすい」「従業員の得意や苦手を把握しやすい」などのメリットもあります。
eラーニングシステムにもデメリットはある?
eラーニングのデメリット | |
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企業側 | 従業員側 |
実技の習得には不向き | 実技の習得には不向き |
学習教材の作成にコストがかかる | 学習のモチベーションを維持しにくい |
ITスキルに乏しいと制作や管理が難しい | デバイスがないと利用できない |
eラーニングにはメリットもありますが、オンラインであるがゆえのデメリットも存在します。
●実技の習得には不向き
eラーニングは「デバイスを通じて教育する」という特徴があり、幅広い知識やスキルを学べますが、「学べる内容の深さ」には限界があります。座学で交通ルールを学べても、運転の技術に関しては「実際に自動車を運転して学ぶほかない」のと同じです。例えば、製造業における作業機械の操作方法は、eラーニングでも学べます。しかし実際に操作する場合、操作方法を身体で習得しなければ、実践に生かすことはできません。
●学習教材の作成にコストがかかる
eラーニングを企業で導入する際は、社員に学ばせたい知識やスキルに合わせた学習教材の用意が必要です。eラーニングを利用し、社員に業務内容を習得してもらう場合、はじめにわかりやすい業務マニュアルの制作が必要です。学習教材を配信しても理解するのが難しいと、社員を効果的に成長させることはできません。eラーニングにはコスト削減につながるイメージがありますが、導入そのものにはコストが発生します。
●ITスキルが乏しいと制作や管理が難しい
eラーニングは、IT初心者でもスマホやタブレットから簡単に利用できますが、システム管理はITに精通している方でないと困難なケースもあります。配信した動画やテストの改善、データ集計などを行うためにも、システム担当者を決めておきましょう。
また、機密性の高いeラーニングの内容を外部に公開されてしまうと、情報流出に伴う企業の信頼性失墜などにつながる可能性もあります。eラーニング導入を検討する際は、システム担当者が必要であることを留意しておきましょう。必要に応じてマンツーマンでの直接指導や集合研修など、eラーニング以外の社員教育も考えることをおすすめします。
企業でeラーニングシステムの導入前に確認しておきたい点は?
eラーニングシステムを導入する際は以下の点を検討しておきましょう。
- eラーニングシステムの導入目的は何か
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どの部署(または従業員)を対象とするのか
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配信する教材コンテンツをどのように調達するのか
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システムをいつから利用開始するのか
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システムの運営管理責任者を誰に任命するか
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導入後の運用体制をどのようにするか
上記項目を事前に決めておくと企業に見合ったシステムを選びやすくなります。しかし、eラーニングシステムによっては、コストが見合っていなかったり、機能が不十分だったりなどの理由で最適なものが見つかるとは限りません。
そんな時は既製品のシステムを使わずに、オリジナルのeラーニングシステムを開発するのも良いでしょう。システム会社の中には、eラーニングシステムの開発や運営を受け付けているケースも多く、自社に最適なシステムを構築してくれます。
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eラーニングシステムの導入手順とは?
eラーニングシステムを導入するためには、eラーニングの利用目的を明確にし、教育施策の対象者を確認する必要があります。導入手順をしっかり行うことで無駄のない導入が可能です。
●eラーニングの利用目的を明確にする
eラーニングシステムを導入する場合、利用目的を明確にすることが必要です。教育効果を得られず、コストが無駄になるでしょう。導入担当者は、何のために導入するのか他部署に説明することが重要です。
●教育施策の対象者を確認する
eラーニングシステムは、教育施策の対象者を確認する必要があります。全社員なのか、特定の部署なのか、派遣社員も含めての利用なのか明確にしなくてはなりません。
●教材コンテンツの調達方法を検討する
教材コンテンツの調達方法は下記のとおりです。自社に合う調達方法を選び準備しておきましょう。
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既製品の購入
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オーダーメイド
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既製品のカスタマイズ
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自社で作成した教材
●システムの利用方法と端末を確認する
eラーニングシステムは、LMSを置くサーバーと受信するための端末が必要です。クラウドで利用も可能ですが、社内のサーバーにLMSをインストールしなくてはならない場合もあります。教材に守秘義務があるとアクセス制限をかけなくてはなりません。ベンダーにシステムの利用方法と合わせて確認しておきましょう。
●利用開始時期を想定する
eラーニングシステムは、クラウドサービスだと1ヶ月~3ヶ月、自社サーバーの場合さらに準備期間が必要です。研修目的で行うならば逆算してベンダーと契約することをおすすめします。
●管理・運用体制を整備する
eラーニングシステムを導入する場合、管理・運用体制の整備が必要です。チーム体制を作っておき、障害時にサポートへ速やかに相談できる体制が欠かせません。
●学習履歴の活用方法をイメージする
eラーニングシステムは、教育のエビデンス、社員の能力把握、進捗管理、施策の評価目的で学習履歴を利用できます。サーバーにログ情報が保存されるため、システム選定段階で中長期的な利活用を考えることが重要です。
eラーニングの活用方法
eラーニングシステムを導入する場合、利用目的や教育施策の対象者を明確にし、教材コンテンツの調達方法を検討、システムの利用方法と端末を確認します。
●全社員研修
eラーニングシステムは、パワハラ・セクハラを含む企業のコンプライアンス教育にも適しています。オリジナルの動画配信を含む、全社研修が簡単に実現できます。
●新入社員研修
eラーニングシステムは、新入社員研修にも有効です。インプット形式の研修は一方通行になりがちですが、eラーニングの活用で復習にも対応可能、学習効果を高めることができます。
●離れた拠点での研修や動画マニュアル
eラーニングシステムは、場所を問わず研修できるため、離れた拠点での研修や動画マニュアルとしても最適です。パートやアルバイトにも適用できるためeラーニングを活用した研修のニーズが高まっています。
●テスト・アンケート機能
eラーニングシステムには、テスト・アンケート機能があります。研修で大変なのがテスト・アンケートの集計作業です。eラーニングシステムには自動集計機能があるため、担当者の作業負担を削減できます。
●経営方針教育
近頃は、社員への間接的な教育として経営方針を伝えることが重視されています。eラーニングを活用すると社員に対し経営方針の教育も可能、企業の代表者が経営方針について語っている様子を動画撮影し、紹介することもできます。
●社外教育
eラーニングのツールは自社の社員向けとしてだけではなく、社外の研修会社でも提供可能です。インターネット環境下であればIDを持っていると、どこでも学ぶことができます。
まとめ
eラーニングとは、electric(電子的)とLearning(学習)を組み合わせた造語であり、「インターネットを活用した通信教育」です。eラーニングシステムは、企業側が人材育成を計画的に進めやすいなどのメリットがあり、従業員側も時間と場所を選ばずに利用できます。
eラーニングシステム導入にあたり、システム開発会社を探している方もいらっしゃるでしょう。
しかし自分だけで調査して、比較して自社に合うシステム開発を探すのはなかなか難しいです。1社ずつホームページを確認して問い合わせ、依頼する会社候補を絞り、様々な要素を比較してみて最終決定を下すのは時間と手間がかかってしまいます。
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