
ディープラーニングが登場してから、3度目の人工知能(AI)ブームが来ているといわれ、近年はメディアでもよく取り上げられています。
機械学習はコンピュータに人間のような学習機能を持たせたもので、ディープラーニングは機械学習がさらに発展したものです。
今回は、人工知能が大きく進化するきっかけとなったディープラーニングと機械学習の違いや、機械学習を活用した事例についてご紹介します。
目次
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国7000社以上からご提案
人工知能(AI)の進化とディープラーニングの登場

人工知能はAI(Artificial Intelligence)とも呼ばれ、人間のような知能を持って推測や思考を行うコンピュータを人工的に実現しようとする技術です。人間の脳や思考を基にしているため、多くが「ハード(脳)」と「ソフト(思考)」の両方を含んだシステムになっています。
●従来の人工知能とこれからの人工知能
まず、人工知能と通常のプログラムでは、基になるデータを参考に「推論する」のか「処理する」のかという違いがあります。従来の人工知能は、統計分析を基本にした推論がメインでした。人間が必要なデータを入力し、そのデータに沿ってコンピュータが推論を出力します。
一方、通常のプログラムは入力された命令に従って処理を行うだけで、結果や入力されたデータを基に自ら推論することはできません。工場などで稼働しているロボットも同じで、プログラムに従って決まった動作を繰り返すだけです。
これからの人工知能は、機械学習やディープラーニングと呼ばれる手法で、コンピュータが自分で学習するようになります。機械学習やディープラーニングは、人工知能に関する研究の成果です。入力されたデータを基に従来の人工知能で行っていた推論を何度も繰り返し、アルゴリズムを自分で修正して、結果を出力します。
●人工知能が進化した2つの理由
2010年以降、第3次人工知能ブームと呼ばれるほど人工知能が一気に進化したのには、2つの理由があります。
1つは、ビッグデータの活用によって大量のデータを処理できるようになったことです。人工知能はデータを基にして推論して学習するものなので、データが多ければ多いほど効果的です。
もう1つの理由は、コンピュータのハードウェアとしての性能が飛躍的に向上したことです。人工知能の研究が始まった1950年代は、まだコンピュータのパワーが足りず、大量のデータを扱うことができませんでした。しかし、近年はスーパーコンピュータでなくても多くのデータを扱うことができ、これにより機械学習が実用的になりました。
さらにコンピュータだけでなく脳科学の研究成果を取り入れ、脳がどのように思考しているかをより正確に再現できるようになりました。これはディープラーニングの分野で活かされています。
機械学習の基礎知識

機械学習はMachine Learning(マシンラーニング)とも呼ばれ、人間の脳と同じ学習機能をコンピュータに持たせる技術です。
●機械学習とは?
機械学習ではコンピュータに与えたデータを基に推論を繰り返し、そこからデータを分類し、規則性やパターンを見つけ出します。そして新たなデータにも、見つけ出した基準を当てはめて結果を予測します。これを繰り返すことで、推論のアルゴリズムを自分で作成します。その動作が、機械が自分で学習しているように見えるため「機械学習」と呼ばれています。
●機械学習の仕組み
機械学習は、統計のようにデータを規定の理論に当てはめることは行いません。まず、コンピュータが入力された大量のデータを分類・分析して繰り返し学習し、これを繰り返して、その結果からデータの中の規則性やパターンをアルゴリズムとして認識します。新しいデータに対しても、これまでの結果から自律的に認識したアルゴリズムに基づいて答えを出力します。
機械学習によって、大量のデータを短時間に分析し、正確な結果を導き出せるようになりました。これは企業経営や医療など、さまざまな方面に応用できる技術です。
機械学習とディープラーニングの違いとは?

人工知能が急速に進化するきっかけとなったディープラーニングは、囲碁の対局でプロ棋士を破ったことで一躍話題となりました。
●機械学習とディープラーニングの違い
ディープラーニングは、機械学習における手法の1つです。IT分野の1つとして確立している機械学習の中に含まれており、機械学習の中にディープラーニングというジャンルがあります。機械学習は、データ分析で規則性を発見していましたが、基になる判断基準はあらかじめ与えられていました。一方、ディープラーニングは、大量のデータを分析するうちに判断基準そのものを自分で作成し、それに基づいてさらに学習を繰り返し、進化していきます。
●ディープラーニング(深層学習)とは?
ディープラーニングは、日本語で「深層学習」と呼ばれ、多層のニューラルネットワークからなる機械学習です。人間の大脳皮質の回路モデルを模したアルゴリズム(ニューラルネットワーク)を発展させてできているため、「ニューラルネットワーク」とも呼ばれています。
ニューラルネットワークを基にしたアルゴリズムはこれまでにも存在しましたが、ディープラーニングでは入力と出力の間の中間層にあるニューラルネットワークが飛躍的に多くなっています。これまでのニューラルネットワークの多くは、2~3階層のモデルでしたが、ディープラーニングでは150以上の階層を持つものもあります。この階層の深さを利用して、より深層まで学習を繰り返すことで機械学習の精度を高め、複雑な判断ができるようになりました。
【関連記事】
▷「機械学習とは?機械学習の種類や事例を交えながら解説」
機械学習のメリット

機械学習には、大きく分けて3つのメリットがあります。 メリットを活かして効率的に活用しましょう。
●高速で正確な処理が可能・リソース削減
大量なデータからパターンや規則性を導き出し、画像認識、自然言語処理、予測分析などを高速で処理できる点が大きなメリットです。
膨大なデータや複雑なパターンも高速で処理できる機能が備わっています。 従来は、人間の手で処理していた作業を自動化できるため、作業効率が向上し、空いた時間で他の業務を行うことも可能です。
正確な処理を行えるため、人的ミスを防ぎ、作業時間の短縮だけでなく、ミスのリカバリー対応などのリソースを大幅に削減できます。
●見落としがちな複雑なパターンを検知
人間がデータ処理を行う場合、見落としてしまうような複雑なパターンも機械学習なら検知可能です。
膨大なデータから学習しているため、複雑なパターンも検知できるため、人的ミスを防いで効率的にパターンを検知します。
また、人間が処理する場合には、膨大な時間を有する難しいパターンでも、豊富なデータを活かして迅速に処理ができます。
人間が手作業で処理をする場合、成果は人の能力や知識による影響を受けてしまい、結果が一定ではないというリスクがありますが、機械学習では人間の知識の差などの影響を受けないという点がメリットです。
●低コストで導入できる
低コストで導入できるため、資金力があまりない中小企業も活用できます。
コンピュータを活用して膨大なデータを収集するという方法で学習を進めていくため、人の手を加えて時間をかけて導入準備をする必要がありません。
そのため、少ない工数で導入できることから、人員を割く必要もなく、初期費用や人件費などのコストをおさえて導入ができる点がメリットです。
ディープラーニングのメリット

ディープラーニングのメリットは、大きく分けて3つのメリットがあります。 機械学習とは異なるメリットがあるため、比較材料となるでしょう。
●大量なデータで精度が向上する
ディープラーニングは、データが多くなれば多くなるほど、情報の精度が向上するという特長があります。
そのため、大量なデータを与えることで、さらに処理能力が上がり、より精度が向上する点が大きなメリットです。データ量によっては、人間よりも高精度で処理できます。
●さまざまな業界で活用できる
入力された情報をもとに、抽象的な特徴を少しずつ抽出していくため、複雑なデータ処理も高い精度で行えるため、さまざまな業界で活用できます。
画像認識、音声認識、自然言語処理、異常検知などの高度な処理を正確に行うため、自動車業界や通販業界、製造・生産ラインで活用可能です。
●データのパターンの変化に対応できる
ディープラーニングの認識過程は、人間の認識過程と類似しており、高度で柔軟な情報処理が可能です。
人間が特徴量を指定しなくても、大量のデータをもとに学習し、高度な判断や予測を行えるため、データのパターンに柔軟に対応できます。
機械学習のデメリット

機械学習のデメリットは大きく分けて3つあります。 デメリット面も把握して、効果的な活用を目指しましょう。
●結果の根拠が不明確
機械学習で導き出された結果は、明確な根拠を示すことができず、根拠が不明確となる点がデメリットです。
機械が人間の思考とは異なる自律的なプロセスで結果を導き出すため、根拠が示せないことは「ブラックボックス問題」といわれています。
根拠が明確にならないまま、結果を鵜呑みにすることで、重大なミスにつながる可能性があることを知っておかなくてはなりません。
●学習データの質と量に依存する
学習するデータの質と量に依存するため、十分な量のデータと質の高いデータが必要不可欠です。 必要となるデータが不足している場合、正確なデータを抽出できません。
●さまざまな用途への対応ができない
データをもとに自律的に結果を導き出す機械学習は、人間の感情などは加味できないため、さまざまな用途に対応はできません。
例えば、経営者やリーダーシップなどのマネジメント業務などに活用することは困難です。
倫理観を理解することもできないため、保育や教育現場での活用も難しいため、活用の場面には注意が必要です。
ディープラーニングのデメリット

ディープラーニングのデメリットは大きく分けて3つあります。 デメリット面も加味して活用計画を立てましょう。
●大量のデータが必要不可欠
ディープラーニングは、0から学ぶため大量のデータが必要であり、膨大なデータを用意しなくてはなりません。
例えば、画像認証の場合は、最低でも万単位の画像を用意する必要があると言われており、質が高い学習データが大量に必要となります。
データを入手する労力と時間がかかることがデメリットです。
●運用コストが高い
精度の高い分析を行うためには、高度な計算機能が必要であり、運用コストがかかります。
さらに、分析の精度を高めるためには、データ学習をさせて、分析することを繰り返す必要があります。
そのため、精度を上げるためのメンテナンスや、操作中の人的ミスによる修正などにコストがかかる点がデメリットです。
●パフォーマンスを維持するための労力がかかる
精度の高いパフォーマンスを維持するためには、多くの質の高いデータを学習させ続ける必要があります。
学習させたデータを分析して、精度を高めてパフォーマンスを維持する必要があるため、労力がかかる点がデメリットといえるでしょう。
ディープラーニングの活用事例

ディープラーニングを活用した事例を2つ紹介します。 活用事例から、自社での具体的な活用方法を検討していきましょう。
●インフラ・設備の点検
道路や鉄道などのインフラや工場など設備の点検に活用できます。 インフラや設備の動画や写真を分析して、異常を検知することで、いち早くトラブルに対応可能です。
点検は、人によって判断基準が変わることや、見落としなどのミスが発生する恐れがありますが、ディープラーニングを活用すれば、判断基準を統一でき、人的ミスを防げます。
現場への目視での点検が不要となること、人件費を抑え、危険な場所での点検などのリスクを回避できるため、安全で正確な異常検知が可能です。
●顔認証・指紋照合などの生体認証
顔認証や指紋照合などの生体認証を活用することで、セキュリティ対策が可能になります。 大規模なデータベースをもとに、高精度な照合が可能となり、なりすましなどの不正アクセスを防ぐことが可能です。
特定の人たちしか入室できない部屋などに、生体認証を設置することで、セキュリティを強化することができます。
さらに広がる機械学習の活用事例

機械学習は、大量のデータを扱うことに向いており、専門分野に特化してすでにいろいろな分野で活用されています。
●医療分野での活用
機械学習は、レントゲンやMRIなどの画像診断装置の読み取り精度をアップさせます。
あらかじめ、ガン細胞や白血球などの画像を学習させることで、読影の精度を上げて、画像診断での見落としを防ぐことができます。
また、ウエアラブル端末と医療機器を接続させ、そのデータを機械学習で分析することで、それぞれの患者に合った治療方針を作成することも可能です。
●ECサイトでの活用
Amazonでは機械学習を使って、ユーザーに「おすすめ商品」を表示しています。
これをレコメンド機能といいます。ユーザーの購入履歴から商品の購入傾向を分析することで、「こちらの商品にも興味を持つだろう」と推論される商品をレコメンドしています。
大量のデータを基にさらに分析すれば、個人によって異なる購買需要も正確に予測できます。
●スパムメールの検知
Googleは、Gmailのスパムフィルターに機械学習を使用しています。
当初は、あらかじめ設定された特定の単語を含むメールをはじくだけでしたが、近年は単語だけでなく、いくつかのキーフレーズの組み合わせで迷惑メール(スパム)を判別しています。
これにより、通常のスパムだけでなく、フィッシングメールやマルウェアを含むメールもメールボックスに表示されないようになっています。
このように、機械学習はさまざまな分野でエキスパートシステムとして利用されています。
人工知能がさらに生活を便利にする

人工知能の研究は、まだ発展途上です。ディープラーニングも、人工知能や機械学習の完成形ではありません。
この先さらに研究が進めば、これまで以上に人工知能がさまざまな分野に応用され、日常生活に入り込んでくるでしょう。
人工知能の発展による失業の可能性なども話題になっていますが、正しく理解してうまく活用すれば、さらに便利なサービスになることは確実です。
システム開発の最適な発注先をスムーズに見つける方法
システム開発会社選びでお困りではありませんか?
日本最大級のシステム開発会社ポータルサイト「発注ナビ」は、実績豊富なエキスパートが貴社に寄り添った最適な開発会社選びを徹底的にサポートいたします。
ご紹介実績:27,500件(2025年10月現在)
外注先探しはビジネスの今後を左右する重要な任務です。しかし、
「なにを基準に探せば良いのか分からない…。」
「自社にあった外注先ってどこだろう…?」
「費用感が不安…。」
などなど、疑問や悩みが尽きない事が多いです。
発注ナビは、貴社の悩みに寄り添い、最適な外注探し選びのベストパートナーです。
本記事に掲載するシステム会社以外にも、最適な開発会社がご紹介可能です!
ご相談からご紹介までは完全無料。
まずはお気軽に、ご相談ください。 →詳しくはこちら
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国7000社以上からご提案
■ディープラーニングに関連した記事



