レストランや居酒屋などの飲食店では、これまではホール担当のスタッフが手書きで注文を受けてオーダーを厨房に持っていき、調理担当者に伝えていました。
しかし、現代はオーダーエントリーシステムの普及で、手書きの伝票ではなく、小さな端末で注文を取っているのが見られるようになっています。
この端末はどのような機能があり、店舗経営をどこまで効率化できるのでしょうか。
今回は、オーダーエントリーシステムの機能や導入後のメリットなどについてご紹介します。
目次
オーダーエントリーシステムとは?
オーダーエントリーシステムは、飲食店における店員の呼び出しから注文、調理、配膳、会計までの一連の流れを一括管理できるシステムです。
●オーダーエントリーシステム(Order Entry System)
主に飲食店で多く導入されており、客が店員を呼ぶために使う押ボタン式送信機や呼び出しを知らせる受信機、POSシステム、ハンディ端末などをまとめたシステムのことです。従来は手作業で行われていた注文や会計の作業を、オーダーエントリーシステムでスムーズに処理することができます。
飲食店では客の注文を受けてから厨房にオーダーを伝え、調理して配膳するという工程があり、料理を提供するまでにある程度の時間がかかります。そのため、紙伝票の手間や時間のロスを削減するために導入されているのが、EOS(電子発注システム)です。EOSは、伝票をコンピュータで処理して発注するため、注文の聞き間違いや伝達ミスを防ぐことができます。
また、会計時のレジには、大手チェーンを中心にPOSシステム(売り上げを単品単位で集計管理する機能)の導入が進んでいます。POSシステムは、いつ、どんな商品が、いくらで、何個売れたかなどを把握しやすく、複数店舗がある場合でも、本部ですべての情報が管理できます。
このPOSシステムにEOSを組み合わせたのが、オーダーエントリーシステムです。オーダーの発注に加えて、POSシステム同様、注文完了と同時にリアルタイムで会計情報の計算や在庫状況の確認といった店舗情報も処理されます。そのため、オーダーエントリーシステムはPOSシステムを拡張したシステムともいえます。
●オーダーエントリーシステムの仕組み
飲食店の各テーブルに備え付けられている呼び出しボタンを押すと、表示パネルに席番号が表示され、店員は表示された番号のテーブルに注文を取りに行きます。受注は小型の端末を使用し、入力したデータはすぐに厨房へ送信されます。厨房では送られてきたデータが伝票として専用プリンターから自動印刷され、その伝票を基に調理します。
また、注文を受けた際に送信したデータは、同時にレジにも共有されています。リアルタイムで会計処理が行われるため、会計時に一品ずつ料金をレジに打ち込む必要がありません。
オーダーエントリーシステムの構成
オーダーエントリーシステムは、注文から会計まで、さまざまな機器によって構成されています。使用される各機器についてお伝えします。
●押ボタン式送信機
各テーブルに設置されたボタンを押して、店員を呼ぶことができます。「店員がなかなか来なくて注文ができない」という客の不満を解消し、広い店舗でも店員が常に巡回する必要がありません。
●受信機
押ボタン式送信機から送られた情報を受信して、どこのテーブルでボタンが押されたのかを表示します。店員は受信機に表示された番号から、呼ばれている順番とテーブルの場所を把握して順次対応します。
●ハンディターミナル
店員が注文を受けるのに使用する端末です。ハンディターミナルには、メニューが登録でき、一つのボタンを押すだけでメニューをオーダーできるなど、操作性を上げることで業務の効率化を図っています。入力した注文は、すぐに厨房へ送信されるため、口頭で伝えに行く手間がかかりません。
●キッチン用プリンター
オーダープリンターとも呼ばれ、ハンディターミナルによる注文受付が行われると厨房へ情報が送信され、注文内容が印刷されます。注文を受けるたびにホールスタッフが厨房へ行く手間が必要ありません。また、口頭による伝達ミスや聞き間違いといったヒューマンエラーの解消にも役立ちます。
●POSシステム
レジスターに、販売情報を管理する機能を搭載したシステムです。従来のレジスターのような手打ち入力が不要なため、入力ミスを減らすことができます。ネットワークにつながっており、店舗の売り上げ情報が本部に送信されます。情報を共有して分析することによって、本部と店舗間の連携が行いやすくなります。
オーダーエントリーシステムのメリット
オーダーエントリーシステムは、特に飲食業界の業務改善に効果があります。さらに細かくメリットについてご紹介します。
●回転率の向上
ハンディターミナルで注文を受けた後、内容を送信するだけで済むので、ホールスタッフがその都度注文を厨房まで伝えに行く必要がなくなります。そのため、一つのテーブルの対応が終わると、すぐに別テーブルの対応が可能です。
また、オーダーがすぐに厨房へ共有されるので、料理を提供するまでの時間が短縮され、その結果、客の滞在時間も短くなり、回転率の向上が期待できます。
●ヒューマンエラーの減少
オーダーエントリーシステムでは、データでの情報共有により、ヒューマンエラーを減らすことができます。厨房ではハンディターミナルから送られた注文が印刷された伝票を見て、調理を行います。口頭での伝達や手書きによる受注は、どうしても聞き間違い・書き間違いによるミスが発生しやすくなります。間違った料理を提供すれば、客からのクレームだけでなく、食材の無駄にもつながるでしょう。
●レジ会計の不正防止
注文を受けた時点でレジにもオーダー情報が送られているので、会計時に注文内容を打ち直す必要がありません。新たに手入力で計算しないので会計ミスがなく、迅速化にもつながります。
また、会計処理の済んだ伝票情報はPOSシステムを通じて店舗売上情報として本部のPCなどにリアルタイムで共有されます。レジでテーブルごとの会計情報を呼び出すこともできるため、万が一、会計処理が間違っていても、いつ、どの伝票が間違っているのかがわかるようになり、不正な会計処理の防止が可能です。
セルフオーダーエントリーシステムでさらに効率化!
居酒屋などで見かけることの多い、タブレットで注文を行う方法を「セルフオーダーエントリーシステム」といいます。
名前の通り、客が自分で注文するシステムです。各テーブルに一台ずつ用意されたタブレット端末を使用して注文を送信します。
●オーダーを聞きに行く必要がない
セルフオーダーエントリーシステムは、店員による注文の聞き取りがないため、客自身が好きなタイミングで注文できます。そのため、店員がなかなか来なくて注文ができないといったストレスをなくし、サービス向上につながります。
店舗側にとっても注文を聞きに行く必要がないため、片付けや配膳などほかの業務に人員を充てることができます。
●多言語対応機能で外国人客にも対応可能
タブレットには多言語対応機能が付いているものがあります。表示言語を変更することで外国人客にもメニューがわかりやすくなり、各店舗で英語や中国語に対応可能な人員を配置する必要もありません。
●プロモーションツールとしての活用
タブレットの活用によって、効果的にプロモーションを行うことが可能です。例えば、店内のいたるところにポスターを貼っても、どれがおすすめなのか客が判断しにくく、本当に売りたい商品が伝わらない場合があります。
タブレットでは、おすすめメニューの項目を作ることができるので、客にアピールしたい商品が明確にわかりやすくなります。
また、店舗ごとのサービスや限定メニューなどの広告を出しやすく、効果的に客の関心を引くことができるでしょう。
オーダーエントリーシステムで効率と客の満足度を両方アップ!
オーダーエントリーシステムの活用により作業の効率化と、経営情報などの一括管理が可能になることでタイムロスやミスを削減できるだけでなく、店員が客へのサービスに集中しやすくなります。
また、スムーズな対応は客の満足度アップにもつながります。
店舗の特徴に合わせて、どのようなシステムを取り入れるべきか検討してみてはいかがでしょうか。
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