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SaaSベンダーの課題「リードが取れても商談につながらない」を発注ナビの新サービスで解決

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オーバルテクノロジー株式会社の扉絵

Webベースで基幹システムを構築することを得意としているオーバルテクノロジー株式会社。自社開発のSaaSを複数ラインナップし、それらを組み合わせてカスタマイズし、顧客ごとの課題にきめ細かくマッチした業務システムを構築できるのが強みだ。同社は、発注ナビの利用開始から数カ月で大手企業のSaaS案件の受注に成功した。SaaSベンダーが新規案件の獲得で感じる課題や商談をスムーズに進めるポイントなどについて、代表取締役の松井 清孝氏と営業の小室 柾樹氏にお話を伺った。

 

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社名 オーバルテクノロジー株式会社
所在地 東京都千代田区飯田橋2-12-9 MACビル2F
従業員数 1 – 30名
事業内容 コンピュータシステムの構築、コンピュータシステムパッケージの製造販売、コンピュータシステムの運用・保守
掲載カテゴリ

業務システム WEBシステム ECサイト構築 CMS構築

ITセレクト掲載製品 スタッフ派遣[TSW]
ITセレクト掲載カテゴリ

シフト管理システム 勤怠管理システム 経費管理システム

 

  • 導入前の課題
    『リスティング広告やリターゲティング広告によってリードは獲得できていたものの商談につながらない』、『ICT関連の展示会に出展していたが出展準備に時間や手間がかかる』など、リードの質や獲得にかかる費用対効果に課題を感じていた。また、自社とうまくマッチングしないリードが多く、商談に進んでも成約率が低かった。
  • 導入後の効果
    従量課金型のSaaSリードジェンプランに登録した。カテゴリが明確化されており、発注者がフィルタリングされているため、マッチング率が向上。商談で顧客とのフィット感やギャップなどを確認しながら、SaaSのカスタマイズや追加開発を明確に説明することで、成約率も高まった。さらに、利用開始後数カ月でICT関連の大手専門商社の案件受注に成功した。

 

受託開発からSaaSを活用したシステム構築へ

オーバルテクノロジー株式会社は、2004年の設立当初からWebベースによる基幹系業務システムの構築に取り組んできた。Webベースの業務システムは現在では一般的なものだが、約20年前の当時はそうではない。松井氏は「クラウドやSaaSといった技術や概念が一般的ではない時代から、ずっと『Webベースで基幹システムを構築する』という高度な取り組みにチャレンジしてきました。その実績、経験、技術力の蓄積が当社の強みです」と胸を張る。

オーバルテクノロジー株式会社の小室様

営業部門 小室柾樹氏

具体的には、人事系の勤怠管理システムやシフト管理システム、給与管理システムなどを手掛けてきた。大手企業からの依頼が多く、例えばアルバイトの勤怠管理システムでは、200カ所の派遣先それぞれに20人のスタッフを派遣することを要件に、そのシフトと勤怠の管理、勤務時間に応じた給与計算と支払い管理までを一括してできる統合型の勤怠管理システムなどを開発。人材紹介会社などを中心に多くの導入実績がある。

当初は受託開発としてWebベースの業務システムを提供していたが、現在は、自社開発のパッケージシステムとしてSaaSで提供している。先述の統合型勤怠管理システムだけでなく、例えば店舗や施設の予約と同時にスタッフ指名や決済ができる予約来店システム、見積書・発注書・請求書の発行と管理ができる受注製造や販売事業者向けのシステム、日報作成や予算編成ができるシステムなど、すでに多くの業務システムをSaaSとしてラインナップし、顧客の要望に応じてそれらをカスタマイズして組み上げ、システムを構築している。

 

オンライン広告施策では、リード自体は獲得できるが商談化率や成約率が低い

このように現在ではSaaSによるシステム構築を主力事業としている同社だが、受託開発からSaaSによるシステム構築へとシフトしていく過程で、営業面での課題が浮き彫りになっていたという。それは『マッチング率の低さ』というSaaSの営業ならではの課題だった。

同社では新規顧客の開拓のために、リスティング広告やリターゲティング広告を展開してリードを獲得していた。松井氏は「SaaSは『こういうシステムです』と完成品を示せるので、お客様にとってわかりやすく興味を持っていただきやすい。だから、安定的に新規リードを獲得できていました」と振り返る。つまり、リード獲得そのものにはそれほど苦労はしなかったのだ。

ただし、そのリードの質が問題だった。リードから具体的な商談に進む件数が想定していたよりも少なかったのだ。「本当にシステムを導入したいというお客様だけではなく、『SaaSについて知りたい』、『ちょっと興味がある』といったリードまで集まっていました」(松井氏)。そのためリードは獲得できても、具体的に商談につながる案件が少なかった。

また、同社ではIT関連の展示会に出展し、自社のSaaSを紹介するなどして新規リードを獲得する取り組みもしていたが、こちらも同様に商談につながるリードは少なかった。しかも、展示会出展には準備に時間も手間もかかる。「具体的に出展準備にかかる手間や時間と新規リードの件数、実際の商談件数を考えると、獲得に工数がかかりすぎていました」(松井氏)。

さらに、リードから商談に進む案件があっても、『同社のSaaSが顧客にマッチしない』、『カスタマイズをして導入するには予算が足りない』など、別の問題に直面することもあったという。松井氏は、「自社にとって有効な新規リードとなる、『当社にぴったり』のリードを獲得するのが難しかったのです」と課題を振り返る。

 

発注ナビのSaaSベンダー向け『商談提供』サービスを利用開始

こうした課題を解決するために、同社では発注ナビのSaaSベンダー向けマッチングサービスの利用を決めた。これは、SaaSの提供会社を発注者とマッチングするもので、発注ナビが2024年1月15日から新たに開始したサービスだ。

同社が選んだプランは、SaaSリードジェンプランだ。これは、SaaS提供会社が『この案件を受注したい』とエントリーした中から、実際に商談の日程が確定できた案件についてだけ費用が発生するのが特徴だ。松井氏はプランを選んだ理由について、「まずは商談が決まったらお金を払うという仕組みがわかりやすかったこと。発注ナビが発注者と調整して商談日程を確定してくれること。ひと言で示すと『商談保証プラン』だったことです」と説明する。

また、商談が確定したら費用が発生するということは、逆に言えば、エントリーをせずに商談にも進まなければお金がかからないということになる。「当社のエンジニアリソースがフル稼働で新規案件を受けられない時期にはエントリーをしなければ良い。こういう使い方ができるのが当社にぴったりのプランだと思いました」(松井氏)。

さらに、 SaaSリードジェンプランに登録すると、発注ナビの親会社であるアイティメディアが運営するSaaS・IT製品比較サイト『ITセレクト』にも掲載されるので、幅広い発注者に自社のSaaSをアピールできる。多くのSaaSをラインナップする同社にとっては、その点も魅力だった。

実は、同社は10年以上前から別プランで発注ナビを利用していた。同社が創業当初は受託開発に注力していたこともあって、受託開発会社と発注者をマッチングするプランを契約し、現在でも継続利用している。今回は、新たにSaaSの発注者とマッチングするプランを契約したのだが、その選定にあたって競合サービスとの比較検討はしなかったという。「10年以上利用してきたのでサービスには信頼感がありました。わざわざ発注ナビ以外のサービスを選ぶ理由がなかったのです」(松井氏)。

 

発注者が絞り込まれているのでマッチングの確率が高いと実感

こうした経緯で2023年10月の先行サービスの時期から利用開始した同社だが、以前に感じていた課題感は解決されているのだろうか。松井氏は、「リードが商談につながらない、リード獲得に工数がかかりすぎるといった課題は、SaaSリードジェンプランを使い始めたことで解決されています」と話す。

そのうえで、「マッチングの確率が上がったことを感じています」(松井氏)という。「まず、発注ナビが発注者に丁寧にヒアリングして、案件情報を提供してくれます。その情報をもとに、当社が自分たちに合った案件がどうかを判断してエントリーできるのでミスマッチが少なくなります。同時に、本当にシステム開発を検討している発注者かどうかも発注ナビがフィルタリングし、ある程度絞り込んでくれています。こうしたことで、自社のSaaSの強みを活かせるぴったりの案件と出合える『マッチングの確率』が高くなったと感じています」(松井氏)。

その言葉通り、同社ではSaaSリードジェンプランの利用開始後、3件の新規商談の機会を得て、そのうち1件の大規模案件の受注に成功した。ICT関連の専門商社最大手からのスタッフシフト管理、勤怠管理、給与管理システムの案件だ。商談期間は3カ月、納品に3カ月かかり、トータルで6カ月ほどかかったが、発注ナビのサービス経由だったことで発注者も同社のSaaSを理解し、同社の発注者の案件内容を把握していたので、商談はスムーズに進んだという。

 

オーバルテクノロジー株式会社の製品紹介

●顧客のニーズに合わせてカスタマイズの提案を行っている

 

この案件で発注者は同社を含めた4社から比較検討し、最終的に同社を選定した。選ばれた理由について松井氏は、スタッフシフト管理、勤怠管理、給与管理に関する業務知識を十分に持っていたことが評価されたと自負していると話す。あわせて、エントリーのときから自社に合った案件だとわかっていたので、商談のときには具体的な自社のSaaSを提示して、「ここからここまでの業務はSaaSの機能で対応でき、ここにはカスタマイズが必要というように、さまざまなフィット感とギャップを確認しながら、具体的に商談を進めることができました。お客様も当社も有意義な商談ができたと思えたことが受注につながったと感じています」と振り返る。

だからだろうか、松井氏はこのICT関連専門商社の顧客から、発注ナビのSaaSベンダー向けマッチングサービスについて「発注者にとってもメリットの大きなサービスだったという言葉を聞けました」と話す。確かに発注者にとっては、数多くのSaaSベンダーの中から自社のシステム構築に適した企業を選ぶのは難しい。ましてやITに関する知識やシステム導入・開発の経験が少ない発注者にとっては、どのSaaSベンダーを選んだら良いのかを自社だけで決めるのは不安があるだろう。そういった企業にとっても、また、SaaSベンダーにとっても双方にメリットのあるサービスだといえる。

 

SaaS製品のラインナップを拡充し成約率をさらに高める

同社では今後、システム開発の領域ではSaaSを活用してシステムを作りたいと考える発注者が増えてくるだろうと考えている。「システム開発は一定額の投資が必要です。お金をかけるだけに失敗はしたくないというのが発注者の本当の気持ち。受託開発は完成するまで、どのようなシステムがどう動くのか完全にはわかりません。できるかどうかわからないのに大きな投資をするくらいなら、すでに動いているSaaSを確認しながら『こういう仕組みならこのくらいの費用です』と明確にわかるほうが安心できるでしょう」(松井氏)。

こうした考えのもと、同社では今後さらにSaaS製品のラインナップを拡充していくという。そして、SaaSならではのアピールの仕方にも工夫をしていくとのことだ。「通常、SaaSでは『できること』、つまり機能をアピールします。しかし、発注者は機能を知りたいのではなく、自分たちの課題を解決してくれるシステムかどうかを知りたいはずです。そのことを今一度しっかりと考えて、お客様の課題解決につながる仕組みであることをアピールしていきます」(松井氏)。

そのためには、SaaSの機能を説明しつつ、そのSaaSがカスタマイズや追加開発でどこまで広がりを持っているのかを示すことが大切だと松井氏は言う。「機能説明する時に、カスタマイズするとこうしたこともできますと事例を見せます。そうすることで、お客様にも自分たちがやりたいことがこのSaaSでできるかもしれないと思っていただけるでしょう。当社は『カスタマイズや追加開発を含めたものが本来のSaaSの機能』だと考えています」(松井氏)。

もともと、20年以上前から受託開発で培ってきた開発力や技術力には自信がある。その開発力や技術力をもとにSaaSの可能性をさらに広げていく。「当社が目指しているのはスクラッチによる受託開発とSaaSをカスタマイズなしで活用するシステム構築のちょうど中間に位置するような開発スタイルです。発注ナビの利用で質の高いリードを獲得できるようになりました。あとは商談の成約率を高めること。SaaSの可能性の広がりを示すことで、成約率をさらに高めることができるでしょう」(松井氏)。

視線の先には歩む道が、明確に見えているようだ。

 

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