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受注総額は5000万円超。5年にわたって発注ナビを利用するIT企業が語る活用法

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株式会社日本キャストの扉絵

新規顧客の開拓に悩むのはスタートアップや中小のシステム開発会社だけではない。それは設立から30年以上に渡り順調に事業を拡大してきた株式会社日本キャストも同様だった。

技術力も実績も十分なのに受託開発での新規顧客開拓が思うようにいかない。そんな状況の中、同社は発注ナビの利用を決定。これまでに3件、総額5000万円もの大規模受託開発案件の獲得に成功している。同社のソリューション開発部長 取締役の岡本 定氏に発注ナビを選んだ理由、活用の工夫などについて伺った。

 

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社名 株式会社日本キャスト
所在地 東京都千代田区神田猿楽町2-8-16 平田ビル6F
従業員数 101 – 300名
事業内容 システム構築、Salesforce関連サービス、AWS関連サービス、システム開発技術支援
掲載カテゴリ

業務システム WEBシステム サーバー・クラウド

 

  • 導入前の課題
    富士通のコアパートナーとしてのシステムインテグレーションやSESを中心に事業を展開していたが、次々に新技術が登場するシステム開発の領域では、新規顧客の受託開発案件を増やし、技術進化のスピードへの追随、技術力と開発ノウハウの社内への蓄積が必須だった。
  • 導入後の効果
    岡本氏が発注ナビの運用担当になった以降で7件の紹介を受け、うち3件を受注。残りの4件についても受注の可能性が高く、『紹介された案件が全て受注もしくは高確度の商談案件に結びつく』という成果を得た。しかも、受注総額が約5000万円に達し、大手企業からの大規模・新規案件の獲得に成功した。

 

大手SierのコアパートナーやSESではなく、新規の受託案件をどう増やすか

1991年の創業以来、富士通のコアパートナーとしてのシステムインテグレーション事業やSES事業を手がけてきた同社は、従業員114名のうち110名が技術職(2023年4月1日現在)という、『エンジニア率96%以上』の老舗システム開発会社である。現在ではSalesforceのコンサルティングパートナーやAWSセレクトティアサービスパートナーなど、さまざまなIT企業とのパートナーシップを拡充。確かな技術力を強みに27期連続黒字を達成し、順調に事業を拡大している。

同社のようなシステム開発会社なら、実績、技術力、企業としての規模といずれも十分で、既存顧客から安定的に開発案件を獲得していけるだろう。一見、受注に関する悩みはないように思えるのだが、岡本氏は「決してそうではありませんでした」と振り返る。

「次々に新しい技術が登場するシステム開発の領域では、その進化のスピードに追随し、常に技術力を高め、開発ノウハウとともに社内に蓄積していく必要があります。それには、自社独自の受託開発をもっと増やさなくてはならない、そう考えていました」(岡本氏)。

株式会社日本キャストの岡本様

取締役
ソリューション開発部長 岡本定氏

こうした中、同社は2016年頃から受託開発事業のさらなる拡充という方針を打ち出し、受託開発の専門部署を立ち上げ、2018年から本格的に受託開発に注力した。しかし、ここで新規顧客開拓の壁にぶつかった。

それまでは、富士通のコアパートナーとしての技術支援やお客様先常駐型のSES事業が多かったこともあり、新規顧客を開拓する営業専門部署がなく、積極的なプッシュ型営業ができなかったのだ。

そこで、まずは顧客接点を得ようと、いわゆるテレアポ代行会社に委託して新規顧客の開拓に乗り出した。しかし、ここでも難しさを痛感する。

受託開発では基本的に、顧客ごとに異なる困りごとをヒアリングし、それを解決するシステムを提案するため、あらかじめ決まった製品やサービスがあるわけではない。製品やサービス、パッケージシステムなどの商材があればそれを売り込んでいけばいいのだが、同社の受託開発にはそれがなかった。つまり、新規顧客の開拓に使えるフックとなるものがなかったのだ。岡本氏は、受託開発に適した営業方法と新規顧客の開拓方法を考える必要性を感じたのだという。

岡本氏はひとつの策として、当時、受託開発と合わせて注力していたSalesforceの導入支援を「商材(サービス)」にできないかも考えた。Salesforceの導入支援を顧客へのフックとして営業をかけるという戦略だ。しかしこの方法では、Salesforceの導入には前向きにはなってくれても、新規の受託開発にはなかなかつながらない。Salesforceだけで業務課題をある程度カバーできてしまうと、『これで十分』となってしまうのだ。

こうした状況に直面した同社は、マッチングサービスの利用を検討した。「実は、私が日本キャストに転職する以前、他のシステム開発会社で既に発注ナビを利用していました。実際に使ってみての感触がよかったことを思い出し、もう一度、発注ナビを使ってみようと考えました」(岡本氏)。

 

総額5000万円以上の新規顧客開拓に成功

こうして同社は2019年3月に発注ナビを契約した。一定期間内に利用する月を選べるセレクトプランでの契約だ。

利用を決めたポイントについて岡本氏は、「改めて発注ナビの説明を受けたとき、発注者への案件のヒアリングをとても丁寧に実施していることが分かりました。つまりは案件の質が高いと感じたのです」と説明する。

その際の印象通り、発注ナビから届く開発案件は詳細な情報や発注者のニーズが具体的に記されているという。「発注ナビから届く案件には、内容がふわっとしたままで『よく分からない』というものはほとんどありません。どの案件が自社にマッチしているかがよく分かり、エントリーする案件を選定しやすい。とても使いやすく、システム開発会社にとっても発注者にとっても信頼されるサービスだと感じています」と岡本氏は語る。その言葉が示すように、同社はこれまでに4回、契約更新し、5年以上に渡って発注ナビを継続利用している。

その間、同社は高確度で新規顧客の開拓に成功している。紹介された7つの案件のうち、実際に受注したのが3件で、残りの4件についても高確度で商談が進行中だという。つまり、紹介案件の全てが受注決定か、やがて正式に受注となる可能性が高い商談につながっている。

さらに、受注した案件の総額にも注目だ。大手の発注者からの大規模案件も獲得できたことから、「総額で5000万円以上の新規案件を発注ナビ経由で獲得できました」(岡本氏)と発注ナビを利用しての成果を示す。

 

高い受注率実現の裏には独特の発注ナビ活用法がある

同社が高い受注率を実現し、大規模・高額案件を獲得できた理由はどこにあるのだろうか。発注ナビの活用法にも工夫があるはずだ。それについて、岡本氏は「確かに紹介された案件が全て受注や高確度での商談につながったことに驚かれるかもしれませんね。ただ、特別な工夫をしているわけではありません。取りたい案件を絞っているのです」と説明する。

発注ナビでは概ね、エントリー数のうち一定の割合が紹介案件として紹介につながるため、商談件数を増やすにはある程度のエントリーも必要になる。岡本氏はそれを念頭に、どのくらいの件数にエントリーすると、どの程度が紹介につながるのかを独自に計算し、何件かのエントリーの中に、頃合いを見計らいながら『確実に紹介してもらいたい、商談につなげたい案件』を盛り込ませるようにしていると話す。

例えば、4~5件エントリーしてひとつも紹介に進めなければ、『次こそは当社が選ばれるだろう』と考え、ぜひとも受注したい案件を徹底的に絞り込んでエントリーするといった活用法だ。

逆に商談に進んでも『当社が得意とする領域から考えると受注には至らないだろう』という確度が低そうな案件は、エントリー数をやみくもに増やすことをせず、外しているという。

発注ナビを利用している多くのシステム開発会社は、エントリーの母数を増やすことで受注件数を増やしていることが多い。しかし同社が取っている戦略は、その反対とも言える。一定のエントリー数を維持し、タイミングを計りながら確実に受注ができそうな案件に絞ってエントリー数を調整する。『可能性が高い案件を確実に獲得すること』を視野に入れた戦略だ。「そういった戦略が取れるのも発注ナビから届く案件情報が詳細で質が高いからだと言えるでしょう」(岡本氏)。

岡本氏は「こうした戦略がとれるサービスが当社にはぴったり」と話す。「紹介され商談につながった案件でも、コンペの場合は提案書を作成するなど意外に手間と時間がかかります。当社の受託開発の部署は、まだマンパワーが潤沢ではなく、エントリー数を増やして手広く展開することが難しいのです。確実に獲得できそうな案件に集中した方がいいだろうと考えてこの手法を取っています」(岡本氏)。

 

発注ナビを契約したからといって、黙っていても新規を獲得できるわけではない

また、同社では利用月を自社で決められるセレクトプランのメリットを活かした使い方もしている。同社ではシステム開発プロジェクトをマネジメントできるPM(プロジェクトマネージャー)をキーパーソンと考えて、各開発案件に配置しているが、そのキーパーソンの手が空きそうな時期を確認し、2カ月くらい前のタイミングで発注ナビを利用して案件獲得に動き出しているのだ。「案件の紹介を受け、商談し受注できるまでには大体2カ月くらいかかります。その時期を見計らって発注ナビを利用して、『キーパーソンの手が空いたまま』の状態にならないように、継続的に案件を受注できるように工夫しています」(岡本氏)。

発注ナビのようなビジネスマッチングサービスは、継続的な案件を確保できる顧客がまだ存在しないスタートアップ・新興企業に適したサービスだという印象もあります。しかし、当社のような老舗のIT企業でも新規の顧客と出会い、大規模案件を受注できるのです」(岡本氏)。

ただし、岡本氏は「発注ナビと契約したからといって、黙っていても仕事が降ってくるものではありません」と指摘する。「大半はコンペになりますので、そのコンペに勝ち上がっていくには、やはり実力が必要です。発注者に刺さる提案ができるかどうかという提案力とそれを実現できる技術力が不可欠です」という。

2024年には生成AI系の案件を獲得したいと考えているという同社。「最近、社内では生成AIのシステムを開発できるプロンプトエンジニアと呼ばれる職種を勉強しているメンバーもいます。これからは、生成AIを組み込んだシステム開発案件を取っていきたいですね」(岡本氏)。発注ナビを使ってどの領域を攻めていくか、ターゲットは既に明確なようだ。

 

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