Perl(パール)はオープンソースのスクリプト言語です。30年以上の長い歴史を持ち、Webアプリケーション開発で根強い人気を誇る言語でした。近年はWebアプリケーションの開発に使われる言語が増えてきたため、名前を聞くことが少なくなっていますが、今でも使うことがあります。
本記事では、Perlの歴史や特徴などの基本情報から、開発に使用するフレームワーク、Perlの代替プログラミング言語などについて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
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Perl(パール)とはプログラミング言語の一種
Perl(パール)とは、30年以上の歴史を持つプログラミング言語の一種です。オープンソースのスクリプト言語で、マルチプラットフォームに対応しており、WindowsやmacOS、Linuxと様々な環境で動かすことができます。Webアプリケーション開発で人気の言語のため、プログラミングに携わっている方の中では、知らない方がいないほど有名な言語でした。
現在もその使いやすさから今でも使われ続けています。以下では、Perlの長い歴史を詳しく紹介します。
●Perlの歴史
Perlは1987年にアメリカのラリー・ウォール氏によって開発されました。開発されてからバージョンアップを繰り返してきており、エンジニアから根強い人気を誇ってきました。人気の理由として、プログラムを書いた後のコンパイル作業を行わないため、動作確認を行いながら開発ができることや、記述が簡単なため習得しやすいこと、応用範囲が広いことなどが挙げられます。
近年ではRubyやPythonなど、使いやすくて簡単なプログラミング言語が生まれたことにより、あまり名前の聞かないプログラミング言語になりました。一方で、長年使われてきた言語であること、ほかの言語より優れている面もあることなどから、現在でも使われている点が特徴です。
●Perl開発者ラリー・ウォールについて
Perlを開発したラリー・ウォール氏は、シアトルパシフィック大学で言語学を学んだのち、エンジニアとしてユニシス社に入社した異例の経歴を持ちます。言語学を学んだ経験から、人間の言葉みたいに機能するプログラミング言語を作りたいと思うようになり、Perlの作成や拡張を行いながらIT業界の企業を転々としていました。
プログラムのオープンソース化を推進する運動の支援者だった「ティム・オライリー氏」が運営するオライリーメディア社に入社して、ティム・オライリー氏のもとでPerlのオープンソース化を進めた経緯があります。ラリー・ウォール氏はオープンソースソフトウェア開発プロジェクトの少数のリーダーに与えられる称号である「優しい終身の独裁者」にも任命されました。
このラリー・ウォール氏に大きく影響を受けて生まれた言語も多く、日本の技術者が開発したプログラム言語のRubyもその1つです。Rubyの開発者である、まつもとゆきひろ氏も、尊敬する人物としてラリー・ウォール氏の名前を挙げています。
Perlの主な5つの特徴
プログラミング言語として、Perlには主に5つの特徴があります。初心者でも習得しやすく、開発を進めやすいPerlの特徴を詳しく紹介します。
【特徴】高いテキスト処理能力
Perlはテキスト処理に優れているスクリプト言語です。文字列と数値を自動変換する機能が備わっているため、型を意識せず簡単に効率良くコードを入力できます。ほかのプログラミング言語と比べて、強力な正規表現を備えています。
【特徴2】ソースコードを直接実行可能
Perlはスクリプト言語で、コードを実行する時にコンパイル作業が不要のインタプリタ型です。インタプリタ型とは、プログラムをコンピューターが1行ずつ機械語に翻訳していく型のことを指します。開発中に動作の確認をすぐに行えて、スムーズに開発を進められる特徴があります。
【特徴3】後方互換性の高さ
Perlは、後方互換性を大切にする言語です。後方互換性とは、プログラムなどのバージョンがアップデートされた時に、古いバージョンでも使えることを指します。例えばPythonは後方互換性が低かったため、Python2やPython3で大きく文法が変わってしまい、コードを大幅に書き換える修正が必要でした。
Perlは今までに大幅な修正が必要となるアップデートが起きていないため、互換性を壊さないことに関して信頼のある言語といえます。
【特徴4】読みやすく書きやすい
Perlは記述が簡単で習得しやすい汎用スクリプト言語です。シンプルにコードを記述できるため、比較的わかりやすく初心者でも読みやすく構成されています。C言語やsedなどに似ているため、開発経験者であればすぐに習得できるでしょう。また後から見直しても確認がしやすいため、複数人で共同して開発する場面でも活用できます。
【特徴5】使いやすい
Perlはフリーソフトのため、誰でも簡単に無償で利用できます。またCPAN(シーパン)というモジュールを管理するシステムを通じて、Perlのモジュールやドキュメントなどが配布されています。CPANとは、Perlで利用可能なプログラムや文書を収集しているWebサイトのことです。公開されているプログラムコードを自由に組み込めるため、Perlでコードを作成する時に利用すれば効率良く開発を進められます。
Perlで可能な開発例
Perlは基本的にWebサイトやWebアプリケーションの開発に利用されます。必要な情報を表示する単純なものから、データベースなどから情報を読み込んで反映させる複雑なものまで幅広く対応可能です。またWebアプリケーション開発以外にも以下のような開発も行えます。
- 基盤システム開発
- IoTのシステム開発
- Webサービス開発
- Webアプリケーション開発
IoTのシステム開発といわれると、Pythonをイメージする方も多いことでしょう。ただ、PerlだけでIoTシステムを開発することも可能です。テキスト関係の処理が得意なため、現在も基盤システムの開発で情報の登録や検索、メッセージ機能などPerlを使っている企業も少なくありません。名前を聞く機会が少なくなったとはいえ、Perlに触れる機会はまだまだあるといえるでしょう。
Perlを利用するなら理解しておきたいフレームワーク
Perlを学習するにあたって、開発をより効率的に行うためのフレームワークは必要です。ここでは、Perlで使えるフレームワークを6つ紹介します。
- 「Catalyst(カタリスト)」
- 「Dancer(ダンサー)」
- 「Mojolicios(モジョリス)」
- 「TripletaiL(トリプルテイル)」
- 「Amon2(アモンツー)」
- 「Ark(アーク)」
「Catalyst(カタリスト)」
Catalystは「触媒」という意味がある言葉です。前述したCPANに登録されているモジュールと連携することを前提に設計されたフレームワークです。MVCモデルを採用しており、役割を分担して効率的な開発やメンテナンスが行えます。MVCとはWebフレームワークの基本概念の1つで、モデル(Model)、ビュー(View)、コントローラー(Controller)の3つの役割に分担して開発を行うという考え方です。
例えばデータの処理だけ変更を行いたいのであれば、Modelの該当部分のみをメンテナンスするだけで作業が終わります。Catalystはデータベース層に関するコードが必要ないため、効率良く開発ができるフレームワークといえます。
「Dancer(ダンサー)」
Dancerは、RubyのフレームワークであるSinatraから移植して開発されたものですが、現在は独立してPerl用のWebフレームワークになりました。最低限の機能のみを搭載しており、プラグインやモジュラー設計により、強力な拡張性を持っていることや、高い柔軟性がありメンテナンスが行いやすいことなどが特徴です。小規模なWebアプリケーション開発に適しています。
「Mojolicios(モジョリス)」
Mojoliciosとは、PerlのリアルタイムWebアプリケーションフレームワークです。簡潔なWebアプリケーション、ならびに複雑なWebアプリケーションの両方で活用できるよう設計されています。テンプレート機能を使えば簡単にHTMLが記述できるため、小規模から大規模の開発まで幅広く活用できます。
「TripletaiL(トリプルテイル)」
TripletaiLは日本製のオープンソースのWebアプリケーションフレームワークです。安全性・生産性・保守性の3つを重視して開発されています。依存モジュールがあまりないため、バージョンアップによる影響が少ないことや、ファイルを多く作成しなくて良いことなどが特徴として挙げられます。またドキュメントが日本語のため、学習の障壁が低い点も特徴の1つです。
「Amon2(アモンツー)」
Amon2は、Perlで開発されたWebアプリケーションフレームワークです。軽量かつシンプルな構成になっているため、初心者でも扱いやすく、かつ学習コストが低いことが特徴です。拡張性が高くシンプルなため、小規模Webシステム開発やWebアプリケーション開発に適しています。
「Ark(アーク)」
ArkはPerlのWebアプリケーションフレームワークです。ArkはCatalystを参考に開発されており、CGI、FCGI、mod_perlなど、多様な環境で動作します。日本製のため日本語ドキュメントが充実している点が特徴です。また、学習コストが低いため、初心者でも簡単に扱えるフレームワークといえます。
需要減で利用頻度が少なくなってきたPerl
Web開発に用いられることが多く誰でも利用できるPerlですが、最近は利用頻度が少なくなってきています。なぜなら、より使いやすく分かりやすい新しいプログラミング言語へのシフトが進んでいるからです。
例えば、Webアプリケーションの開発に使われるRubyは、Perlの影響を大きく受けて生まれた言語です。Perlの特徴をいくつか引き継いでいますが、大きな違いはRubyがはじめからオブジェクト指向の言語として開発されていることです。オブジェクト指向とは、クラスを分割してモノとモノの関係性を定義していくことで、システムを作り上げようとするシステム構成の考え方のことです。オブジェクト指向の面で比べると、Rubyが優れています。また、書きやすさや読みやすさを追及して生まれたPythonは、覚えなければならない構文が少なく、Perlよりも簡単にコードを書けます。
新しいプログラム言語が生まれたことでPerlの新規の需要は減りつつある一方で、今でもPerlで開発されたシステムは数多く存在しています。運用や保守で利用されているのはもちろん、Perlを活かした新たな案件も存在しています。新規システムの案件では利用が減っていく傾向にありますが、需要は今後もあるといえるでしょう。
Perlの代替プログラミング言語
昔からPerlを使っている企業の中には、ほかの言語へ移行する企業も多くいます。Perlの代替プログラミング言語について詳しくご紹介します。
●PHP
PHPはWebサイト制作に特化した歴史のあるプログラミング言語です。Webアプリケーションの開発に用いられており、企業のWebサイトから個人ブログなど、様々なWebページで使われています。ほかのプログラム言語と比較すると、仕様や文法が簡単なため、取得しやすい言語といえます。
●Python
前述で何度か触れたPythonは、人気があるオープンソースのプログラミング言語です。AIや機械学習などの最先端分野の開発に使われているだけでなく、大規模なWebアプリケーション開発にも使われています。少ないコードで簡潔に書けるため、初心者でも分かりやすいのが人気の理由です。
●Ruby
前述で何度か触れたRubyは、日本の技術者が開発したプログラミング言語です。「書きやすいこと、読みやすいこと」をコンセプトに開発されました。日本語の参考書や情報が多いため、初心者でも簡単に学習できます。
●JavaScript
JavaScriptは、Webブラウザ上で動作するプログラミング言語の一種です。Webページに動きをつけたり、サーバーとの通信をして情報を送受信したりできます。フロントエンドエンジニアを目指す方にとっては必須の言語といえるでしょう。
●Java
JavaもPerlと同じく昔から使われていますが、いまだに多くの企業で利用されている人気のプログラミング言語です。プログラミング言語の元祖とされているC++やC言語を元として開発されました。世界的にも幅広く開発に採用されている言語のため、今後も需要があると予想できます。
Perlの歴史や特徴などの基礎情報について解説してきました。Perlは1987年に開発され、今も利用され続けている長い歴史を持つプログラミング言語の一種です。コンパイル作業を行わないため、動作確認を行いながら開発ができることや、習得しやすいことなどが人気の理由として挙げられます。
近年ではRubyやPythonなど使いやすくて簡単なプログラミング言語が生まれ、あまり名前の聞かないプログラミング言語になりましたが、Perlで開発されたシステムは数多く存在しています。既存システムの運用や保守、ほかのプログラム言語よりも優れている部分を活かした新しい案件もあるため、Perlの需要は今後も続いていくことでしょう。
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