
「品質管理システム」は、企業が提供する製品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度を高める目標を達成するためのマネジメントシステムのこと、あるいは品質を管理するツールとしてのシステムのことを指します。
今回は、品質管理システム(QMS)の概要や導入するメリット、品質管理システムの代表的な機能、品質管理システムを選定・導入する時のポイントについてご紹介します。
目次
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品質管理システム(Quality Management System)とは

「品質管理システム」とは、別名QMS(Quality Management System)を略した言葉で、組織が顧客に提供する製品・サービスの品質を良くし、顧客の期待に応えることを目指し、改善していくための仕組みです。
この仕組みの運用を効率化・高度化するために導入されるのが、「品質管理ツール」としてのシステムです。
⚫︎品質管理システムの役割
品質管理システムは、継続的に改善・検証を行い品質を改善します。顧客満足度の向上につなげるためには、定められた品質目標や達成するための取り組みを実行しなくてはなりません。
これは、単に最終製品の検査を行うだけではありません。品質目標の策定から始まり、製造・提供プロセス全体での計画・実行・検証・改善を繰り返す「PDCAサイクル」を組織的に運用します。
一般的な製造業だけではなく、食品・自動車・医療など品質が重要である分野においても、品質管理は重要です。従来の品質管理は手作業で検査していましたが、IT化の進行により高精度かつ効率的な検査が可能になったのです。
仕組みとしての「品質管理マネジメント」とツールとしての「品質管理マネジメント」を導入し、製品・サービスの品質を向上させていきましょう。
⚫︎管理システムとツールシステムの違い
「管理システム(QMS)」は、品質目標の設定、手順の文書化、責任と権限の明確化など、品質を維持・改善するための組織的な枠組みやルール(仕組み)を指します。
一方、「ツールシステム」は、検査データの収集・分析、帳票作成、外部システム連携などの具体的な品質管理業務をデジタルでサポートするソフトウェアやITソリューションを指します。
両者はそれぞれが補完し合う関係にあり、ツールシステムを活用することで、管理システム(仕組み)の運用が効率化・高度化されます。仕組みとツールの両方を適切に導入・運用することで、製品・サービスの品質を確実に向上させることが可能となるでしょう。
以下には、ツールとしての「品質管理システム」についてお伝えしていきます。
品質管理システムを導入する6つのメリット

品質管理システムには以下のメリットがあります。ここでは、特に重要な6つのメリットをご紹介します。
●業務の見直し・改善がしやすくなる
品質管理システムでは、PDCAサイクルを回し、継続的に業務の見直し・改善をします。
「PDCA」とは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字をとったもので、品質管理の継続的改善において基本となるフレームワークのことを指します。
後述する国際規格である「ISO9001(品質マネジメントシステム)」では、以下のような流れで継続的にPDCAサイクルを回します。システム内で管理しつつ、品質目標の策定(Plan)から実行(Do)、結果のレビュー(Check)、改善策の実行(Action)といったPDCAサイクルを回していきます。
このPDCAサイクルを回すことで、問題点の発見や業務の見直しや改善につなげることができます。
- 品質目標の策定(Plan)
- 品質計画の実行(Do)
- レビュー(Check)
- 改善(Action)
●業務をシステム化できる
品質管理システムでは業務をシステム化することが可能です。
業務のシステム化により「ノウハウが共有できる」「業務プロセスを見直す仕組みができる」ことにつながり、プロジェクトの進捗状況もグラフで管理できます。従来手作業でやっていた業務を一元化し、規格値・出荷判定・各種帳票発行が可能です。マニュアルによって作業手順が標準化され、品質のバラツキもなくなるでしょう。バラツキがなくなると、不適合となる前に異常にも気づきやすくなるメリットがあります。
●外部システムとの連携ができる
品質管理システムは、カスタマイズにより外部システムとの連携ができるようになるものもあります。適切に連携させることで、さらなる業務効率化が実現可能です。
●PDCAサイクルによる継続的な改善ができる
品質管理システムの核となるのがPDCAサイクルです。システム上でデータを収集・蓄積・分析することで、品質目標に対する達成度を客観的に評価(Check)し、その結果に基づいた具体的な改善策(Action)を効率的に判断できます。
このサイクルを継続的に回すことで、一時的な品質向上だけでなく、組織全体の品質マネジメント能力を段階的かつ恒常的に高めることが可能です。
データに基づいた論理的な改善は、属人化を防ぎ、より効果的な経営判断を支援してくれるでしょう。継続的な改善は、企業の競争力維持に不可欠です。
●品質が標準化できる
品質管理システムは、作業手順や検査基準を統一し、品質の標準化を実現します。人による判断のバラツキを排除し、誰が作業しても常に一定の品質を保つことができるようになります。
特に、熟練者と新入社員の間で発生しがちな「業務の属人化」を防ぐ効果は非常に大きいです。システムが手順をガイドし、自動で規格判定を行うことで、未経験者でも一定水準の作業が可能となるでしょう。
これにより、製品ごとの品質のバラツキが減り、不良品の発生率低減に効果を発揮します。品質の標準化は、顧客への信頼と安心感を提供するための基盤となるため、大きなメリットと言えます。
●コンプライアンスの強化が期待できる
品質管理システムは、法令や業界の規制、国際規格(ISOなど)への準拠をサポートし、企業のコンプライアンス(法令遵守)体制を強化します。
検査データの自動記録や改ざん防止機能は、データの信頼性を高め、不正行為のリスクを大幅に低減します。特に、医薬品や食品など規制の厳しい業界では、トレーサビリティの確保や「誰が、いつ、何をしたか」といった記録が非常に重要です。
システムがこれらの記録を自動的に保持・管理することで、万が一の品質問題や外部監査が発生した際に、迅速かつ正確な対応が可能となり、企業の信用を守ることに繋がるでしょう。
品質管理システムの代表的な機能

品質管理システムは、これまでExcelが行ってきた品質管理をデジタルで一元管理できるようにしたシステムです。検査結果もCSVで取り込めるため、検査業務の作業を減らすことができます。
品質管理システムには以下のような機能があります。
●検査に関する機能
品質管理システムは、検査装置から直接品質管理システムにデータを取り込めるため、データ改ざんも予防できます。
また、規格判により「結果の入力ミス」「規格外製品の誤出荷」も防ぐことが可能です。
さらに、検査項目の変更や追加も誰でも簡単に修正できるため、作業効率のアップにつながります。
「検査」に関する機能は以下の通りです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 検査指示 | 検査サンプルの情報を登録し、検査依頼を受け付ける |
| 検査・測定 | 検査結果を入力し、設定された規格とのチェックをする |
| 規格判定 | 入力された値が規格に適合しているかの合否を、自動判定をする |
| 統計分析 | 管理図照会・トレンド作成・異常値の自動検出する |
| 帳票作成 | 日報・月報、管理図などの各種帳票を自動で作成する |
| 検査承認 | 承認者権限の保有者が、確定した検査結果を承認する |
| タブレット入力 | タブレットから検査結果を直接入力する |
●出荷に関する機能
品質管理システムの「出荷」に関する機能は、以下の通りです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 出荷指示 | 出荷情報をシステムに登録し、出荷依頼を受け付ける |
| 出荷承認 | 承認者権限の保有者が出荷情報を確認し、承認する |
| 成績表発行 | 承認された出荷情報にもとづき、納品時に添付する成績表を自動で作成する |
| 出荷トレンド | グラフ表示する(顧客・上下限・3σ値・品目など) 出荷時ロットの検査値表示する |
●外部システムとの連携機能
品質管理システムの「外部システムとの連携機能」は、以下の通りです。
外部システムとの連携機能により、検査装置からデータベースファイル・テキストファイル・XMLファイル・CSVファイル・バイナリファイルなどの検査結果を取り込むことができます。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 検査装置連携 | 検査結果の取り込み、検査に必要な連携データの紐づけ支援 |
| システム連携 | 外部システムからの受信(各種マスタ・検査依頼情報) 外部システムへ送信(規格マスタ・検査値・検査結果) |
品質管理システムを導入する時のポイント

品質管理システムを導入する時のポイントは下記のとおりです。
●導入する目的を明確にする
品質管理システムを導入する場合、「何のためにシステムを導入するのか」といった導入目的を明確にしましょう。
企業が利益を上げるためには顧客に自社製品・サービスを購入してもらう必要があります。自社の製品・サービスを購入してもらうには、顧客の要求を満たす最上級の品質を持つ製品を提供しなくてはなりません。品質管理システムは、そうした目的を実現するためのシステムです。
●自社の業務に合っているシステムか検討する
品質管理システムを選択する場合、自社の業務に合っているシステムか検討しましょう。現場社員の業務を妨げる機能を持ったシステムは避けるべきです。現場社員の使い勝手が良いシステムを導入することをおすすめします。
●セキュリティ対策が整っているか確認する
品質データは、企業のノウハウの塊であり、機密性の高い情報です。そのため、導入するシステムのセキュリティ対策を確認することが重要です。
特に、データ改ざんの防止(アクセスログの記録、権限管理)、情報漏洩対策(通信の暗号化、不正アクセス対策)、データの可用性(バックアップ、障害復旧体制)の3点は必ずチェックしましょう。
クラウド型の場合はベンダーのセキュリティ体制を、オンプレミス型の場合は自社でのセキュリティ運用体制を事前に確認・構築する必要があります。セキュリティが不十分な場合、企業の信用問題に関わる重大なインシデントに繋がるリスクがあるため注意が必要です。
●オンプレミス型・クラウド型のどちらかを選ぶ
品質管理システムには、主にオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。各システムのメリット・デメリットは下記の通りです。
| システムの型 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| オンプレミス型 | ・カスタマイズの自由度が高い ・インフラを自社だけで専有できる ・セキュリティが強固 ・ほかのソフトウェアとの連携・統合性が高い |
・物理的なITリソースの確保が必要 ・初期費用がかかる ・導入に時間がかかる ・購入した資産の管理が必要 ・セキュリティ機器はユーザーが用意する必要がある ・OSやミドルウェアのバージョンアップやセキュリティパッチを適用する必要がある ・気軽にリソースの増減ができない ・障害時の対応が必要 |
| クラウド型 | ・初期費用が安い ・導入スピードが速い ・ランニングコストが安い ・ネットワーク上で利用できる ・資産管理が不要 ・リードタイムが高速である ・ベンダーがセキュリティ対策をやってくれる ・リソースの追加や削除、変更が簡単にできる ・短期間の利用や検証目的での試用が可能 |
・ユーザーがハードウェアを直接管理できない ・サービスによって利用できない機能があることがある ・カスタマイズの自由度が低い ・自社のビジネス要件を満たせない可能性がある ・パフォーマンスが低下してしまうことがある ・セキュリティに不安がある ・オンライン環境がないと使えない |
オンプレミス型
オンプレミス型は、システムを自社のサーバー内に構築・運用する形態です。最大のメリットは、自社に合うようにカスタマイズの自由度が極めて高く、自社に合ったシステムを作成できるのがメリットです。
品質管理システムは、製品に合わせた環境を構築する必要があります。そのため、特殊な作業環境に合わせたシステムを必要とするのであれば、オンプレミス型がおすすめです。
セキュリティも強固なため、クラウド型に比較し情報漏洩のリスクも低いでしょう。また、ほかのソフトウェアと統合させやすいため連携もスムーズにできます。
デメリットは、導入コストや時間がかかり、バージョンアップなどへの対応が遅いことです。品質管理システムを早急に構築したい場合、オンプレミス型はおすすめできません。
クラウド型
クラウド型は、サービス提供事業者が管理するサーバー上のシステムをインターネット経由で利用する形態(SaaS)です。導入コストやランニングコストが安いのがメリットです。
オプション機能を追加するとコストが高くなりますが、端末や自社内でのシステム構築は必要ありません。そのため、オンプレミス型よりかなり安くなるでしょう。また、また、アカウントを発行するとすぐに利用できるため、安く迅速に品質管理システムを利用したい場合は、クラウド型がおすすめです。
クラウド型のデメリットは、セキュリティに不安があることです。サービス提供会社がセキュリティ対策はしていますが、オンプレミス型よりリスクは高いでしょう。
そのほかのデメリットとして、カスタマイズ性の低さが挙げられます。自社にフィットした品質管理システムを構築したい場合、クラウド型は不向きです。
オンプレミスとクラウドについては、以下のページでも詳しくご紹介しています。
規格に沿って品質を担保!規格の種類と概要とは

規格とは、仕組みの構築を指示するガイドラインや世界共通の基準のようなものです。
規格に沿った品質改善を行うことで、正しい成果を出すことができ、第三者認証により規格の認証を受けられます。認証を受けると製品・組織の品質の証明にもなり、第三者に示すことができるため、さまざまなメリットがあります。自社に合った規格の取得を目指し、それをシステムで効率的に管理していきましょう。
規格には下記の種類があります。以下にそれぞれの概要をご紹介します。
●ISO(国際標準化機構)
「ISO(国際標準化機構)」とは「International Organization Standardization(国際標準化機構)」を略した言葉です。工業製品・技術・食品安全・農業・医療など非常に幅広いさまざまな分野で世界共通の基準を定めています。
ISOには「モノ規格」と「マネジメント規格」の2種類があります。特に品質管理システムと密接に関わるのが「ISO 9001」(品質マネジメントシステム規格)です。この認証を取得すると下記のメリットがあります。
- 競争力の高い製品を提供できる
- すぐれた知見を活用できる
- 新規参入が容易になる
- 利益の向上
- コスト削減
●JIS(日本工業規格)
「JIS(日本工業規格)」とは「Japanese Industrial Standards」を略した言葉で、日本の産業製品やサービスの規格や、測定法を定義した国家規格のことです。
JISが認定した製品には「JISマーク」が表示されており、普段使用している道具や機械でも見かけることができます。
JIS(日本工業規格)の対象製品とサービスは下記の通りです。
- 産業製品:自動車・電化製品・日用品
- 電磁的データ:文字コード・プログラムコード
- サービス:介護・観光・航空貨物
- マネジメントシステム:医療機器・農生産品など
●SQF(食品安全システム)
「SQF(食品安全システム)」とは「Safe Quality Food」を略した言葉であり、食品限定で発行される国際規格です。
食品の安全や品質を確保するマネジメントシステムであり、特にグローバルな食品流通において高い信頼性を持ち、認証要求水準が3段階に設定されています。認証取得する企業は下記のレベルから選択可能です。
- レベル1:基礎レベル
- レベル2:食品安全を対象とした食品安全システム
- レベル3:食品安全・品質システム
システム導入で品質を管理して顧客の信頼を得ましょう
不良品がなく、常に高い品質が担保されている製品・サービスは、顧客の信頼を得ることができるでしょう。加えて、品質管理をシステム化することは、生産性向上や業務の効率化にもつながるため、企業側にも大きなメリットとなります。
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