今回は、「なぜこのアプリを開発するのか?」について考えてみましょう。
数値目標を伴う明確な目的の設定が重要
バージョンアップなど、中長期的な運用を念頭におくべき
費用対効果の測定と評価を定期的に行うこと
はじめに
ビジョンをしっかり持つ
アプリを開発し、多くの人に利用してもらえば企業名やサービス名を広め、ブランディングにも役立ちます。ただしそれは適切な運用が行われ、末永く多くの人に利用されてのこと。運用を放棄して放置されたアプリなどはかえってその企業・サービスへの信頼感を損ないます。
アプリ開発自体はいいのですが、開発を進める前に「このアプリを開発する必要性」は何なのかをしっかり認識し、運用計画などについてしっかりしたビジョンを持っておく必要があるでしょう。
アプリに求める目的とは
個人が趣味で開発するのとは違い、企業がコストやリソースを割いてアプリを開発するのであれば、そこに具体的な数値をともなった明確な目標が必要です。
有料ソフトであれば売上目標が必要ですし、自社サイトへの誘導やブランディングが目的であれば「ダウンロード数」「アクティブユーザー数」といった達成目標が求められるでしょう。
また、既存のWebサービスをアプリに置き換えるような場合、比較的移植が容易であることから確たる目的を持たずに移行してしまうこともあるようですが「アプリにする必然性があるのか?」「アプリにすることによってどんなメリットが期待できるのか?を明確にし、ここにも何らかの数値目標を設定することで、より有効性が高まるでしょう。
単に「開発しました」「リリースしました」だけで放置してしまえば、アプリを利用するユーザーの増加はほとんど望めません。当然目的も達成できなくなります。そのようなアプリは存在するだけで百害あって一利なしです。開発するからには、上記のような明確な目標を設定し、その達成度を継続的に測定しましょう。
開発後の運用計画
アプリをリリースした後は、定期的なメンテナンス、バグ取りなどのバージョンアップが必要です。リリースそのものを目的としてしまうと、「リリースした」という時点で目的を達成した感じになってしまいますが、重要なのはそこからです。どうやって告知するのか、どうやってダウンロード数を増やすのか。バージョンアップの頻度はどうするのか、ダウンロードによって得た顧客情報をどのように活用するのかといった中長期的な運用計画があってこそ、そのアプリの価値を最大化することができます。
費用対効果の測定と評価
アプリのリリース後、毎月、四半期ごとに効果測定と評価を行い、目標を達成しているか、運用に問題はないかといった見直しを行います。この際、費用対効果についても十分検討しましょう。費用対効果が望ましくなかった場合は大幅なバージョンアップ、などのテコ入れ策も必要かもしれませんし、場合によってはサービスの中止も検討しなくてはなりません。サービスの内容によっては、ユーザーの手前簡単にサービス中止ができない場合も考えられます。これはアプリの開発段階で「もし撤退することになった場合はどうするか」といった検討を行っておく必要があります。
おわりに
多くのユーザーに有用なアプリを開発・提供することは企業にとって多くのメリットがあります。しかし、実際には「なんのために存在するのかわからないアプリ」「開発がかなり前から中止され、今となっては使い道のないアプリ」などが数多く存在しています。これらのアプリは明確な開発目標がなかったか、または計画的な運用がなされなかったことが明白であり、提供者への信頼度を大きく低下させます。
アプリ開発にあたってはそれらのことを開発前に十分検討し、「開発するからには中長期的な計画が必要不可欠なのだ」ということを認識しておくべきではないでしょうか。