ITは業務効率化など多くのメリットをもたらすが、職人が手を動かすことで価値を生むアナログ領域に強みを持つ企業においては、ITを業務に活用すること自体が大きなハードルになることも珍しくない。とはいえ、業務効率化自体が大きな課題であることは、こういった業界でも同様だ。革製品の修理を手掛ける株式会社ROSSOは、この壁を乗り越えるべく、DXにチャレンジしていた。開発会社とのつながりはなく、IT業界とは仕事の進め方も文化も違う中で、発注ナビを活用。結果、自社の想いに応えてくれる開発会社と出会い、DXを進める目途がついたという。詳しい経緯について、同社の代表取締役 大森勝藏氏にお話を伺った。
「お客様の想い」に応えた革製品の修理を行うROSSO。アナログ業界でもDXは不可欠

株式会社ROSSO
代表取締役 大森勝藏氏
―― ROSSO様の事業について教えてください。
株式会社ROSSO 大森氏:当社は鞄や財布といった革製品の修理専門店「CORSA(コルサ)」を運営しています。当社の修理は「お客様の想い・ストーリーを紡ぐこと」をコンセプトとしており、短時間で修理を行うことよりも、できる限りの修理を丁寧に行うことを強みとしています。そのため、「何十年も使った相棒のようなバッグを新品のように蘇らせたい」「両親から受け継いだブランドバッグを使い続けたい」といったご相談も多く、場合によっては解体して作り直すような修理も行います。
また、元の状態と同じ仕上がりを大前提としつつ、さらに強度を保つことまで考え、修理後も長くお使いいただけるような仕上がりにすることを目指しています。「ご依頼いただいた修理箇所が壊れないよう修復を行うことで、同じ箇所の修理を2度ご相談いただく必要がない修理サービス」を心掛けているのが、当社の特長です。
―― ROSSO様には、どのような課題がありましたか。
大森氏:これまでの修理業界は、都市部の立地が良いところに店舗を構えて、お客様を待つオフラインのスタイルが基本でした。しかし、コロナ禍を機にオンラインでの受付に対応する企業が増え、最近はむしろ、そちらが主流になりつつあります。こうした背景もあり、業界としてはアナログなところが多く残るものの、さまざまな管理を含めたシステム化やDXへの取り組みは不可欠だと感じていました。
この業態ですと修理が完了して初めて売上になりますから、職人にはなるべく修理作業に集中してほしいですし、万が一、修理以外の作業に追われて、お客様に約束した納期を守れないようでは悪評につながりかねません。売上につながる修理作業以外の、お客様の応対などの事務的な作業の時間をいかに短くできるかは、当社にとって大きな課題でした。
ほかの業界ではDXもかなり進んでいると思いますし、アナログな業界だからといっていつまでも避けるわけにはいきません。業務効率化のためにDXに取り組まなければと考えていました。
インターネットで検索して開発会社を探すも、提案をもらうところまで進まない
―― 発注ナビに依頼した経緯を教えてください。
大森氏:これまでシステム開発などを依頼したことがなかったため、開発会社とのつながりはありません。そこで最初はインターネットで検索し、当社の事業と親和性が高そうな企業に直接問い合わせるところから始めました。私たちにとっては新しい取り組みでしたし、ITに知見を持つプロと話すことで勉強になることもありました。
こちらとしては、自分たちの想いも含めて伝えるためにも、電話でお話したいと考えていたのですが、相手の会社に問い合わせ先として利用できる電話番号がなかったり、電話ができても、実際の開発担当者まで伝言ゲームのようになってしまって、当社の要望がうまく伝わらなかったりと、さまざまな問題に直面して思うように進めることができませんでした。
確か数十社と問い合わせをしたのですが、そのいずれにおいても、具体的な提案をもらうところまではたどり着けませんでした。その中で偶然、発注ナビを見つけて、少し違った方向で探してみようと問い合わせしたのがきっかけです。
―― 発注ナビを利用してみた印象はいかがでしたか。
大森氏:初めての開発会社探しでしたし、発注ナビという会社のこともよく知らなかったので、正直なところ、不安も強くありました。ただ、問い合わせしたあとに電話でのヒアリングがあり、こちらの話を丁寧に聞いてもらえて、私たちの想いや熱量まで伝わったという感触がありました。
依頼したサンプルを見ていけそうだと直感。プラスアルファの提案も決め手に
―― 発注ナビからご紹介した5社はいかがでしたか。
大森氏:各社と話す中で、こちらが提示した要件やイメージとギャップがあると感じたこともありましたが、DXとはほど遠いアナログな業務形態である当社からの問い合わせにも、しっかり対応いただけた会社ばかりだったと思います。自分では見つけられなかったさまざまな会社とやり取りができ、良い機会となりました。
最終的には、紹介いただいた開発会社の中から、提案内容が当社に最も合っていて、良かったと感じた1社に開発を依頼することに決めました。
―― 開発会社を選定された決め手を教えてください。
大森氏:今回は、第1フェーズで実現したいと考えていたことについて、簡易的なサンプルの提示をお願いしました。私たちの業務も、大きく“技術職”という括りで通じるところがあると思うのですが、こうしたプロセスはまさにセンスが問われるところです。技術的に「できること」「できないこと」を示すとともに、互いの「合う」「合わない」を推し量る機会にもなります。依頼した会社が実際に開発したサンプルを拝見したのですが、そこで「いけそうだ」と感じたことが、選定の大きな理由です。
加えて、第1フェーズとしてこちらが提示した要望と、将来的な理想をつなぐものとして、「第2フェーズではこういうことをしてはどうか」とプラスアルファの提案をもらえたことも、顧客の立場として嬉しいポイントでした。目先の開発だけでなく、先のロードマップに対しても想像を膨らませてくれたプラスの提案力を評価し、発注の話を進めても大丈夫そうだと思いました。
アナログ業界を変え、「明日が楽しみになる事業」を作りたい
―― ROSSO様の、今後の展望についてお聞かせください。
大森氏:先日、ようやく契約締結が完了し、開発がスタートしたばかりなので、まずはそちらの完成を目指します。もちろん今回の開発だけですべてが終わるわけではありませんから、今後もDXを着実に進めていければと思います。最終的に目指したいのは、「顧客満足度の向上」と「職人の働きやすさ」を両立できる環境の整備です。「良い職場とは、職人が明日行きたい職場」という言葉を聞いたことがあるのですが、まさにそのようなイメージで、アナログな業界を少しずつでも変えて、社内外のみんなが、明日が楽しみになるような事業を作り上げていければと思います。
―― ありがとうございました。
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