SSHとは、コンピューターやネットワーク機器などを操作するために必要なプロトコル(インターネットの通信規格)のことです。しかし、「リモートでサーバーに接続するなら、SSHって聞いたことはあるけど、実際どんな仕組みなの?」「セキュリティが高いっていうけど、どうやって安全を保っているの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初心者の方にもわかりやすくSSHの基本的な仕組みから認証方法、具体的なメリットや注意点までをわかりやすく解説します。リモート接続やサーバー管理に関心がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
基礎から押さえたい方は、下記記事もあわせてご覧ください。
▷ SSHキーのメリット・デメリットを徹底解説!作成方法や注意点も詳しく紹介
▷ SSHサーバの仕組みと設定方法とは?安全性を高めるポイントも紹介!
目次
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SSHとは?
SSHとは、「Security Shell(セキュア・シェル)」の略称で、別のコンピューターに遠隔でログインしたり、特定のサーバに入ったりするためのプロトコルまたはソフトウェアです。SSHを使うことで、認証部分を含めてすべての通信が暗号化されるようになり、第三者に簡単には解読できないようになります。
SSHが普及する以前は、「telnet(テルネット)」という接続方法が使われていました。従来のtelnetの場合、やり取りするデータは暗号化されないため、比較的簡単に情報を盗み見できてしまい、セキュリティに問題があるとして、SSHを使用する企業が増えています。
また、SSHはiOSやAndroidにも実装されているプロトコルです。そのため、SSHの利用環境が整っていれば、スマートフォンやタブレット端末からも簡単にリモート接続が可能となっているため、ビジネスでも利用されています。
ちなみに、SSHには、「Super Science Highschool(スーパーサイエンスハイスクール)」という意味もありますが、この記事では関係がないため割愛します。
SSHとSSLの違いとは?用途や認証方法の違いを解説!
SSHとSSLは名前が似ており、どちらも通信を暗号化するという部分は一緒ではあるものの、異なる用途や目的を持っています。
名称 | 用途・使用ケース |
---|---|
SSH 正式名称:Secure Shell |
遠隔でコンピューター機器を操作する際に通信データを暗号化するプロトコル |
SSL 正式名称:Secure Socket Layer |
インターネット上での端末とサーバ間における通信データを暗号化し送受信させるプロトコル |
●用途・利用シーンの違い
SSHは、主に遠隔でコンピューター機器を操作する際に、通信データを暗号化するプロトコルです。コマンドライン操作やソースコードの更新、ログの確認など、管理者向けの用途が中心です。
一方、SSLは、インターネット上での端末とサーバ間における通信データを暗号化して送受信させるプロトコルとなります。ECサイトやオンラインバンキングなど、個人情報を扱うWebサービスに欠かせない技術です。
●認証方法の違い
SSHの場合は、ユーザー認証には「公開鍵による認証」を行います。ユーザーが作成した秘密鍵とサーバーに登録された公開鍵が一致することで認証が完了し、より高いセキュリティが実現可能です。
一方のSSLは「電子証明書(証明書ファイル)」を通じてクライアントとサーバーの正当性を確認します。Webサイトが信頼できる通信先であるかどうかを判断する手段として広く使われています。
前述した通り、通信を暗号化する部分は一緒ですが、用途や目的が異なるので、混同しないように注意してください。
SSHの認証方式の種類
SSHの主要な認証方式は、公開鍵認証方式です。それ以外にはパスワード認証もありますので、それぞれ解説します。
なお、公開鍵認証の仕組みや準備は、下記記事で詳しくご紹介しています。
▷ SSHキーのメリット・デメリットを徹底解説!作成方法や注意点も詳しく紹介
●公開鍵認証方式
公開鍵認証方式は、「公開鍵」と「秘密鍵」を照合して認証する方法です。公開鍵認証方式を使うことで、「鍵を持っている人(パソコン)からのみ、ログインを許可」という方式に変更できます。
ちなみに、「鍵」と称しているものの、実際はもちろん鍵ではありません。単純にシステム照合のことではあるのですが、便宜上このような呼び名になっています。
名称 | 特徴 |
---|---|
秘密鍵 | 電子署名のデータを作成できるもの |
公開鍵 | 電子署名データが正しいものか検証できるもの |
秘密鍵では「電子署名」というデータを作成できます。この秘密鍵で作成された「電子署名」を、サーバ側へ配布し登録しておきます。この二つがペアとして機能し、秘密鍵で生成した電子署名が正しい公開鍵で検証できるかどうかをサーバー側で確認します。
その結果、公開鍵と秘密鍵が合致すれば認証が完了し、安全なリモート接続が可能となる仕組みです。
この、公開鍵認証方法であれば、秘密鍵が第三者に流出しない限り安全なため、リモート接続を行う場合には、公開鍵認証をおすすめします。
●パスワード認証方式
パスワード認証方式は、その名の通り「パスワードでサーバにアクセスする方法」です。
サーバ側にパスワードを設定しておき、アクセスした際に一致するパスワードをクライアント端末から入力するとログインできるようになります。
パスワード認証方法は、一般的にも馴染み深い方法です。しかし、パスワードが簡単だったり、他のサービスと使い回されている場合、不正アクセスのリスクが高まるため、企業でSSHを利用する際には、おすすめできません。
パスワード認証方式は簡単な方法ではあるものの、より強固なセキュリティでリモート接続をするには公開鍵認証方法を活用しましょう。
SSHを使うメリット3選
SSH(Secure Shell)は、通信データを暗号化させ、安全にインターネットを使えるようになります。ここでは、SSHの主なメリット3つを紹介します。
●セキュア通信が可能
SSHの最大のメリットは、セキュア通信が可能となることです。セキュア通信とは、一言で表すと「安全な通信」のことで、SSHを利用することで、インターネット上の通信データがすべて暗号化されるため、大切な情報を第三者に見られることなく、安全に情報を取り扱えるようになります。
また、認証方法には公開鍵暗号方式が使われるため、なりすましによるアクセスを防ぐことが可能です。そのため、IDやパスワード、個人情報などを守り、さらに企業の機密情報の流出リスクなどを防ぐことに役立ちます。
特に、在宅勤務やテレワークの需要が伸びている昨今では、安全に遠隔操作し、安全に業務に取り組めるような環境を作ることが重要です。
●サーバ上でファイルの編集が可能
SSHを利用している通信では、そのサーバ上でファイルを直接編集することが可能です。これにより、ローカル環境へ一度ファイルをダウンロードして編集し、再度アップロードするという従来の煩わしい手順を省略できます。
SSHが普及する前に使われていたTelnetの場合は、安全性に加えてこのような編集効率にも課題がありましたが、SSHを導入することで作業工程を簡潔にでき、業務の効率化が期待できます。 また、編集以外にも複数ファイルをまとめてダウンロードする場合に、サーバ上で圧縮して、そのままファイルを一括ダウンロードすることも可能です。
●データ転送の高速化
SSHを使った通信はセキュリティだけでなく、データ転送のスピード面でもメリットがあります。
SSHではSCP(Secure Copy)やSFTP(SSH File Transfer Protocol)といった、安全性を確保しながらも高速なファイル転送に適したプロトコルが利用可能です。
これらを活用することで、大容量ファイルでも短時間でアップロード・ダウンロードが可能になり、複数拠点からリモートで作業を行うケースでもストレスなく業務を進めることができます。
SSH利用時の6つの注意点
情報セキュリティ対策への意識は常に高まり、今後もその傾向は続きます。しかし一方で、通信の暗号化には課題も残ります。
ここでは、SSH運用時に意識したい代表的なリスクと、その対策を解説します。
●1.公開鍵認証の鍵を使いまわさない
公開鍵認証では、1つの鍵を複数のユーザーやサーバー間で使いまわすと、鍵が1つ漏洩しただけで、すべてのサーバが被害に遭ってしまうため大変危険です。安全性を向上するためにも、ユーザーやサーバーごとに個別の鍵を作成し管理しましょう。同一ユーザーでも、接続先サーバごとに鍵を分けることで、リスクの分散が可能になります。
●2.ID/パスワードを使いまわさない
情報が格納されているシステム内のサーバを、共通ID/パスワードにすると、情報漏洩のリスクが高くなります。その理由は、ID/パスワードが1つ漏洩するだけで、すべてのサーバが被害に遭ってしまうためです。
どのサーバにも簡単にアクセスできてしまい、情報漏洩の危険性が高まるため、サーバ別やユーザー別に異なるパスワードを利用するようにしてください。
●3.安全性の高いパスワードを使用する
簡単なパスワードや推測されやすい文字列を使用していると、SSHプルートフォースアタック(IDやパスワードを総当たりすること)されやすく、攻撃を受けやすくなります。
また、簡単にセキュリティを破られてしまう危険性があるため、安全性の低いパスワードは辞めましょう。安全性の高いパスワードを選ぶほか、定期的な変更や適切な管理を徹底しましょう。ずさんなパスワード管理が原因の情報漏洩も多いため、パスワード管理ツールの導入も有効です。
●4.自動スクリプト内にパスワードを埋め込まない
自動転送スクリプトに直接パスワードが書き込まれていると、ファイル流出時にすぐに認証情報が知られてしまいます。どうしてもパスワード情報を持たせる必要がある場合は、内部で値を暗号化して記録するなど工夫し、極力平文での保存はやめましょう。
●5.鍵の管理をしっかり行う
SSH運用では、どの鍵がどのサーバやユーザーで使われているか常に把握しておくことが重要です。不要な鍵や不明な鍵が放置されていないかを定期的に確認し、管理台帳を作成して運用するのがおすすめです。
鍵の管理を適切に行うことで、不正アクセスの予防にも繋がり、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられる可能性が高まります。
運用コストが気になる場合は、自動的に鍵情報を収集・管理できるツールの導入も検討するとよいでしょう。
●6.ログ監視・運用管理を適切に行う
SSH接続の監視や操作ログのチェックを怠っていると、攻撃や不正アクセスに気づくのが遅れ、被害の拡大につながりかねません。日常的にログを確認し、必要に応じてアラート設定や異常検知の仕組みも導入することで、運用上のリスクを大幅に軽減できます。
おすすめのSSHクライアント4選
SSHを利用する際には、接続先となるサーバ側のソフトウェアや、接続元で操作を行うためのクライアントソフトが必要になります。ここでは、主なSSH関連ソフトウェアを4つ紹介します。
●OpenSSH
「OpenSSH」は、1999年に初版がリリースされて以来SSHのデファクト・スタンダード・ソフトウェアとして長い歴史を持ち、世界で最も利用されています。
OpenSSHは、サーバとクライアントの機能が標準で搭載されており、Unix/Linux OSにデフォルトでインストールされています。そのため、Unix/Linux OSを使っているユーザーであれば、まずOpenSSHを使うのがおすすめです。
●Apache MINA/SSHD
「Apache MINA」は、開発言語のJavaでSSHサーバを構築することができるライブラリです。
本来の役割は、Javaでネットワークアプリケーションを構築できるフレームワークライブラリですが、サブプロジェクトとしてSSHDプロジェクトというものがあり、SSHサーバ構築用のライブラリも開発されて提供されています。
独自のSSHサービスを構築したい場合や、業務システムと連携したSSH機能をJavaで開発したい場合には特に有効な選択肢です。
●PuTTY
「PuTTY」は、Simon Tatham氏が中心となり開発したフリーのSSHクライアントソフトウェアです。対応OSは、Windowsだけではなく、MacやUNIXなどにも対応しています。動作の軽快さと複数のセッションを同時に開けることが特徴で、設定もシンプルなため、初心者にも扱いやすい点が評価されています。
ターミナル操作をGUIで効率的に行いたい場合に最適です。
●Window Subsystem for Linux
「Window Subsystem for Linux」は、Windows10ストアでLinuxディストリビューションを、ダウンロードして使えるSSHのことです。Windows上に、Linux環境を構築することができます。X11サーバおよび、そのほかのLinux環境も同時に構築できて、Linux環境からコマンドが利用可能です。
リモートアクセスを安全にするSSHを活用しよう!
セキュリティのことを考えると、しっかりSSHを設定して万一の攻撃に備えるようにしましょう。特にサーバを自前で構築する場合には、必ずSSHを設定しておく必要があります。
インターネットが普及し利用シーンが広がる中で、自社のセキュリティを守り、なおかつ作業負担を軽減できるSSHの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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