システム開発における優先順位とは?

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システム開発を検討していると、「もっとコストを抑えたい!」や「3ヶ月以内に完了させたい!」など、様々な要望が出てくることでしょう。
また、実装したい機能などについてもアイデアがどんどん増えてくるかもしれません。
ただし、当然のことながらすべての要望を実現できるわけではありません。
機能の面、コストの面、時間の面などを考慮したうえで、何を優先させるべきなのか最終的な決断をする必要があるのです。
そこで、ここではシステム開発における優先順位について解説します。
 

目次

 

■優先順位はプロジェクト開始時に決めるべき

システム開発におけるプロジェクトを開始する段階で「基本的にすべての要望を実現することは難しい」という現実をチーム全員が理解しておくことは非常に大事です。
すべての要望は実現できないものだからこそ、システム開発を開始する段階で優先順位を決めて、プロジェクトにおけるゴールを明確にする必要があります。成功するシステム開発は優先順位に則して開発を進めていく傾向にあります。
例えば、必要不可欠な機能を洗い出し、なるべく早い段階で使用できるように動きます。その一方で、優先順位の低い機能については将来のリリースで提供するわけです。

 

■システム開発における優先順位の項目は3つ

システム開発を進めていくうえで決めていくべき優先順位は「品質・機能性」、「コスト」、「納期」の3つです。これらのうち最優先するべき項目を明確にして社内で共有しましょう。

 

●1:品質・機能性を優先するケース

システムにおける品質や機能性を優先する場合、デザインの評価やユーザビリティ設計などをおこなうことのできる体制を整える必要があります。プロジェクトがスタートする前に市場調査をおこなったり、ユーザーにアンケートをしたりして、品質の高いシステムを構築できるデータを集めましょう。見切り発車でシステム開発を進めてしまうと結果的に満足のいくものが完成せず、コストも時間も無駄になってしまいます。十分な開発期間と予算を確保したうえで、システム開発会社と密に連絡を取り合いましょう。

 

●2:コストを優先するケース

「限られた予算内で開発しなければならない」ということもあるでしょう。そのようなプロジェクトの場合にはなるべく既存のパッケージを使用したり、用意されているテンプレートを使用したりすることがおすすめです。つまり、システム開発をゼロからおこなうのではなく、既存のシステムをカスタマイズしていくわけです。また、単価の安いオフショア開発会社に依頼する方法もあります。オフショア開発とは、開発業務を海外の開発会社または子会社に委託することです。

 

参考:
オフショア開発で失敗しないためのポイントと、おすすめのシステム開発会社10社

 

ただし、相場より単価が安いシステム開発会社に依頼する場合には、想定しているものができあがってこないケースがあります。発注者側にも相応のスキルが求められることは留意しておきましょう。

 

●3:納期を優先するケース

「○月におこなわれるイベントまでに間に合わせたい!」などの納期が決まっているプロジェクトの場合、とにかく重視すべきはスピードと工程管理になります。この際にポイントになるのがコミュニケーションをリアルタイムに取れるシステム開発会社を選ぶことです。
また、プロジェクト管理ツールなどを活用し、進捗状況の全体像を常にチェックできる体制にしておく必要もあります。
このほか、単価が高くても能力の高い少数精鋭のチームに依頼するべきでしょう。少数精鋭のほうが社内調整に時間がかからないケースが多いからです。
また、先ほどお伝えした既存のパッケージを活用するのも効果的です。既存のパッケージをカスタマイズすることによって、スピーディに開発できるでしょう。さらに、リリースの際に必要となる最低限の機能を決めておいて、その機能だけでも早急にリリースするといった方法もあります。


以上、優先順位をつけるうえで重要になる3つの項目でした。
まずはこの3点の中で「何を最も優先するべきなのか」ということを明確に決めてください。これが失敗しないシステム開発における最初のステップです。


システム開発で失敗しないためには、
システム導入の効果を最大化させ、失敗を防ぐポイントとは?」もご覧ください。

 

■優先順位における評価指標とは

上記でお伝えした品質・機能性、コスト、納期という3つの項目。それぞれに対して評価指標を決める必要があります。
例えば、「高、中、低」や「必要不可欠な機能、オプションで対応する機能」などの要件における重要度はもちろんのこと、「すぐに可能、時間をかければ可能」や「お金をかけずに可能、お金をかければ可能」などの実現性における指標もあります。つまり、「自社のサービスにおいて重要度が高いうえに時間もかからないので優先するべき」という判断をしたり、「自社のサービスにおいて重要度が高いが、時間がかかるため優先しないべき」と判断したりするわけです。

 

■開発要件を点数化して優先度を決定する

ここまでの内容でシステム開発の優先度をつけることの重要性や気をつけるべきポイントはお分かりいただけたと思います。それでは、実際にはどのように優先度を決定すればよいのでしょうか。それは、各要件を点数化することです。
「それぞれの要件に対して多くの指標があるのに1つひとつに点数をつけるなんて難しい」そうお考えの方も多いでしょう。そんなときに役立つのがプロジェクト・ポートフォリオ管理ツールの機能です。複数の対象項目を1つにまとめて評価することを意味するポートフォリオ。システム開発における各要件を自動的に点数化して優先順位をつけてくれる機能が備わっています。つまり、1つひとつの要件における点数が自動で算出され、一覧表示されるわけです。

 

例えば、縦軸に各要件が表示されます。「決済システム機能」や「会員データ管理機能」などといったかたちです。それに対して、横軸には評価項目が並ぶといったイメージです。先ほどお伝えした「コスト」、「納期」などはもちろんのこと、「実装することで期待できる売り上げ」や「投資利益率」などがあります。それらの入力が完了すると、総合評価が自動で算出されます。優先度が1~10の10段階評価や1~5の5段階評価などで点数化されるわけです。発注者としては、その一覧表で算出された総合評価を見ることによって、優先度の高い要件が直観的に知ることが可能です。例えば、実装を希望する機能が20個以上あったとしても、それぞれに「10点」や「7点」、「3点」などの評価が示されるので、すぐに何を優先させるべきか分かります。「総合評価が3点以下の要件は見送る」などのルールを決めておくのもよいでしょう。

 

ただし、気をつけたいのは、ツールというのは、「判断をしてくれるもの」ではなく、あくまでも「判断をサポートしてくれるもの」であるということ。優先順位が自動で点数化された後にはしっかりと社内でアンケートを取るなどをして最終判断をしてください。優先度が低くても実行するべき要件もあれば、優先度が高くても実行するべきでない要件も出てくるはずです。システム開発における目的を見失うことなく、先のことまで考えたうえで最終決定をしていきましょう。

 

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