システム管理の仕事内容や資格は？今後のIT人材不足も解説

近年、情報漏洩や不正アクセスの問題がニュースで取り上げられています。社内システムを安定的に保守・運用するために欠かせないのがシステム管理の業務です。そんな、システム管理の業務の重要性が、改めて見直されている中、採用か外注か悩まれてしまう方も多く見られます。また、システム管理の業務では、社内におけるヘルプデスクの役割も担います。エンジニアの採用か外注か、果たしてどちらにメリットが大きいのかを紐解いていきます。
本記事では、システム管理業務の懸念点から仕事内容、必要な資格・スキルついてご紹介し、採用か外注かどちらが良いのか明らかにしていきます。

 

目次

 

 

システム管理とは

システム管理とは、社内のコンピュータシステムを安定的に保守・運用するために、システムを管理する仕事のことです。コンピュータシステムには、社員情報や顧客情報、売上情報など、流出してはいけない機密情報が含まれています。これらのデータは事業戦略を立てるうえで、欠かせない情報といえます。

つまり、システム管理は企業の経営に影響を与える重要な仕事となります。また、情報漏洩やウイルス感染などのリスクから、社内システムを守るためのセキュリティ対策も担っています。システム管理の中心的な役割を担うのがシステム管理者で、社内SEとも呼ばれます。

 

IT人材の不足が懸念される

システム管理の見直しを考えるうえで、現在のIT業界の人材動向について把握しておく必要があります。経済産業省の調査によると、2030年の段階で最大約79万人ものIT人材が不足するという結果が出ています。そのため、優秀な人材に対する需要はさらに高くなることが考えられます。

自社の希望にあったスキルを持つ人材を見つけるのは容易なことではありません。

また、採用に至るまでの時間や実際の業務がこなせるようになるまでの期間とコストは相当なものになると予想されます。

自社で0からIT人材を教育したとして、引く手あまたなIT人材は、より良い条件を求めて社外に流出していく恐れさえもあります。

参照：「経済産業省委託事業 IT人材需給に関する調査」

以上を踏まえて、システム管理の業務や資格・スキルについて紹介していきます。

 

システム管理者の仕事内容

システム管理者は複数の業務を担当しますが、大きく分けると「システム管理・保守」と「ヘルプデスク・社員教育」の2つに分類されます。いずれも、社内のコンピュータシステムを円滑に運用するためには欠かせない業務となるので、詳しく見ていきましょう。

 

●システムの管理・保守

システム管理者の仕事でメインとなるのが「システムの管理・保守」です。社内には多くのシステムが導入されており、システム管理者はこれらを使って行う業務が円滑に進むよう対応します。具体的には、社員のPCをセットアップしたり既存システムのバージョンアップをしたりするのも、システム管理者の仕事の1つです。また、システムを長期的に安定した運用をするために欠かせないメンテナンスや、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ管理もシステム管理者が担います。

そのほか、システムを利用する際に必要なユーザーアカウントの管理や、導入しているソフトウェアのライセンス管理、社内からの要望があれば、新たなシステムの設計や実装を行うこともあります。

 

●ヘルプデスク・社員教育

コンピュータシステムを長く使っていると、様々なトラブルが発生します。そういったトラブルに対応するのもシステム管理者の仕事です。また、新たにシステムを導入した場合には、社員に対してレクチャーを行います。

さらに、システムを利用する社員のITリテラシーを向上させること業務の1つになります。社員のITリテラシーが欠けていると、情報漏洩が発生したりSNS上で不祥事が起こったりする可能性があります。こうしたリスクを避けるために、情報管理の重要性やSNSにおけるマナーをテーマにした社員教育を行うのも、システム管理者の大切な仕事です。

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システム管理者に求められるスキル

多岐にわたる業務をこなすシステム管理者は、様々なスキルが求められます。中でも大切なのが、システム全般における専門知識と社員の声を聴く力です。システム管理者に求められるスキルについて詳しくご紹介します。

 

●システム全般の専門知識

システム管理者はコンピュータシステムに関するあらゆる業務を担います。そのため、システム全般の専門知識が備わっていないと、十分に対応することができません。サーバーやネットワークの基礎知識はもちろん、不正アクセスや情報漏洩を回避するための知識も必要です。表面的なシステムの知識を得ておくだけでなく、システムがどのように構築されているのかといった点も理解できていなければ、スムーズに業務はこなせません。

近年、コンピュータシステムの進化は目覚ましいものがあります。常に最新の情報を取り入れることも、システム管理者に求められるスキルの1つといえるでしょう。

 

●社員の声を聴く力

システム管理者は、社員の声を聴く力（ヒアリング力）が必要となります。実際にシステムを使うのは社員であるため、現場の声を取り入れなければ、的確なシステムの改善やサポートはできません。

また、ヒアリング力は、社員に技術的な知識をわかりやすく伝えたり、社員の知識やスキルを向上させるために指導したりするためにも、必要不可欠です。

 

システム管理者に必要な資格

システム管理者になるための必須の資格はありませんが、以下に挙げる5つの資格を保有しておくと役立ちます。

• ITパスポート試験

• 情報セキュリティマネジメント試験

• 基本情報技術者試験

• 応用情報技術者試験

• 情報処理安全確保支援士試験

続いては、これらの資格について詳しくご紹介します。

 

●ITパスポート試験

システム管理者が持っておくと良い資格の1つがITパスポート試験です。取得しておくことで、ITに関する基礎的な知識があることの証明になります。

 

●情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験は、2016年から始まった新しい国家試験です。近年増えている情報セキュリティ問題に対応できる人材の育成を目的としています。試験は情報漏洩やサーバー攻撃、内部不正などのリスクを回避するための知識が求められるため、試験に合格すると、こうした知識に長けていることの証明になります。

 

●基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、高度IT人材になるために欠かせない基礎知識とスキルを身につけられるだけでなく、プログラミングに関する知識も身につけられる試験です。IT関連の基本的な知識・技能を、活用できることを証明できます。

 

●応用情報技術者試験

ワンランク上に進むうえで役立つのが、応用情報技術者試験です。試験を突破することで、知識と技術面で応用力があることを証明できます。

ITに関係する試験の中では、難易度の高い試験だといえるでしょう。幅広い業務を担うシステム管理者を選定する際、応用情報技術者の試験を突破した人材がいれば、安心してシステム管理を任せることができます。

 

●情報処理安全確保支援士試験

サイバーセキュリティ分野に関することを問われるのが、情報処理安全確保支援士試験です。「登録セキスペ」と呼ばれることもあります。2017年から設けられた試験です。情報処理安全確保支援士になると、サイバーセキュリティに関する専門知識やスキルを活かし、リスクから持続的に組織を守るために欠かせない安全な情報システムの企画から運用までできる人物、とみなされます。さらに、セキュリティ対策の調査と分析をもとに評価し、指導やアドバイスもできることも証明できます。

 

システム管理を進める手段

システム管理をスムーズに進める手段としては「適した人材を雇用する」もしくは「専門会社に外注する」の2パターンがあります。いずれにもメリットとデメリットがあります。自社に合う方法を選択するためにも、それぞれのメリットやデメリットは押さえておきましょう。続いては、システム管理を進める手段について具体的にご紹介します。

 

●適した人材を雇用する

自社で適した人材を新しく雇用する方法です。外注よりもスピード感のある対応ができる点は自社で雇用するメリットといえるでしょう。ノウハウが社内に蓄積できるため、社員からの要望に対応しやすい点もメリットといえます。

ただし、優秀な人材を雇用するためには、採用コストを時間がかかり、理想的な人材が現れない可能性もあることは留意しておきましょう。

また、常に新しい情報が必要となるため、人材の教育コストも負担しなくてはなりません。

 

●専門会社に外注する

システム管理をスムーズに進める手段として、業務全般を専門会社に委託する方法があります。システム管理の仕事は多岐にわたることから、自社内に適した人材がいないケースも少なくありません。こうした社内の人手不足を解消できる点は、外注に出す大きなメリットといえます。また、外注先によっては、システムの管理・保守だけでなく、定期的な報告書も作成してくれるため、今後のシステム管理の方向性が定まりやすくなります。

ただし、外注先の会社や社員は社内情報を知ることとなり、情報漏洩のリスクがあります。万が一のことを考え、情報には閲覧制限を設けておきましょう。また想定外の請求をされないためにも、見積もりの段階で細かな内訳を確認しておくことが大切です。

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