ITシステムは、複雑な仕組みで稼働しています。そのためサーバやアプリケーション、ネットワークのどの要素に不具合があっても、正常には動きません。大企業や金融機関などにおいても、システム稼働を失敗してしばしばニュースになることもあります。ITシステムでのトラブルを減らし、企業利益へつなげるためには「システム監視」の概念や実行方法を理解しておく必要があるでしょう。
今回はシステム監視とは何か、目的や監視対象項目、メリット・デメリットなどを解説していきます。
目次
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システムトラブルを未然に防ぐ「システム監視」とは
システム監視とは、「システム内で動作しているサーバやアプリケーション、ネットワークなどが正常に稼働しているか定期的に確認する業務全般」を指します。現代では、ITシステムが企業の基幹業務に影響しており、丸ごとストップしてしまうと大きな利益損失や信頼度低下へつながる恐れが増えています。ずさんにITシステムを管理していると、障害や老朽化によるバグなど発生しても対応ができません。
システム監視では上記のような危険を未然に察知できるので、障害やリソース不足といった問題を検知したらシステム管理者へ連絡、改善の対応を取ってもらえます。迅速な対応によって利益損失や信頼度低下といった危機的な問題を回避、正常にITシステムが稼働する状況を当たり前にできるのがポイントです。
なお、システム監視はクラウドサーバを提供している企業であれば当たり前にしている行為です。クラウドサーバを提供しているベンダーは、料金の安さだけでなくシステム監視回りの保守・管理まで担うことで魅力を出して成約へつなげています。システム監視を自社でやろうとすると手間がかかるためニーズがあるのです。
システム監視の目的
システム監視は、インフラやサービスに関して未然に障害を見つけることを目的に行われます。この目的は、「サービスの正常性を定期確認する」「障害の予防と原因特定を行う」という2種類へ大きく分けることができます。
●「サービスの正常性」を定期確認する理由
サービスの正常性とは、「常に正しくサービスが稼働しているか」を表す言葉です。サービスの正常性が確保されていないと、エンドユーザーがサービスを活用することが難しくなります。例えば、ECサイトの場合は「各商品情報ページへスムーズにアクセスできるか」「カートに商品を入れてエラーなく購入完了まで行けるか」といった点が重要です。
しかし「一部の商品情報ページが機能していない」「カートに商品を入れても反映されない」といったトラブルがあると安心してサービスを使えませんし、顧客の離脱につながる恐れもあります。原因が大きくても細かくても、サービスの正常性を妨げる内容であれば早急に対応する必要があるでしょう。システム監視では上記のようなトラブルをユーザー目線で逐一確認して、異常がないか確認する必要があります。
●障害の「予防」と「原因特定」をする理由
システムは、いつまでも新しいわけではありません。老朽化してバグが増加すれば、将来的にまったく使えなくなってしまう危険まであります。また、セキュリティホール発生によるハッキングといった被害も心配です。システム障害を回避するには、日ごろからシステム監視しておく必要があります。
例えば、システムにおいてメインとなるAサーバと、サブとなるBサーバが両方稼働していたとします。
冗長性があるのでもしAサーバが停止してもシステム稼働は継続可能です。ただし負荷分散といった処理を上手く行わないとサブのBサーバまでストップしてしまう危険はあります。また、システム継続できても処理能力がダウンしてユーザビリティに影響が出る可能性もあるでしょう。
管理者視点では、そもそもAサーバが停止しない状況が継続されるのが望ましいはずです。ですから頻繁にAサーバが落ちている、といったトラブルが発見できた場合はサーバの構成を見直すといった対応が必要になるでしょう。将来的にシステムがすべてストップしてしまうようなクリティカルな状態を防いで予防することが、システム監視の目的になります。
また、万が一システム障害が発生した際も、システム監視の質が対応の質を左右します。サーバやアプリケーション、ネットワークのどこに問題があるのか、切り分けながら総合的な判断を下すためにはシステム全貌を把握しておく必要があるからです。定期的な監視によって「もしかしたらあそこが原因かも」といった特定がしやすくなり、より迅速な復旧を実現できます。
対象を厳選しよう!システムの監視対象例
システム監視の対象となるのは、次のような項目です。
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URLアクセスに関する応答:404エラーなどでアクセスできなかったら対応する
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画面の遷移状況:リダイレクトのまま止まっていないかなどを確認
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メモリ(RAM):ビジーで96%といった状態が続いていると処理継続に支障が出る
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ネットワークトラフィック:急激に増加するとサーバストップの原因になることがある
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CPU:処理能力が95%といったように余裕のない状態が続いていると危険
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ストレージ(ROM):容量が十分に空いているかなどを確認
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プロセス:処理が適切に行われているか把握
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システムログ:トラブルが起きていないかなどを履歴で確認する
基本的には「システムの継続的な稼働に必要な項目」をすべて洗い出して、監視できる体制を作っておく必要があるでしょう。ただし項目が増えるとそれだけ監視すべき項目が増加して負担が増えます。無暗に細分化するのは危険なので、「最低限何を監視すべきなのかを確認する」「ジャンル別に分けてどうやって効率的に管理するのか考える」といった工夫で、効率的なシステム監視を実現してください。
システム監視を行うメリット・デメリット
ここからはシステム監視を行うメリット、そしてデメリットを解説していきます。
●メリット:ビジネス損失が減少する
システム監視が適切に行われると、システムがクリティカルな状態でダウンする状況を防げます。もしトラブルが発生しても被害を最小限に抑えられるのもポイントです。近年では、サーバダウンのための保険が用意されるほど、システムの稼働と業務の継続、そして利益の確保には強い関係性があります。つまりシステム稼働が1日でもストップすると業務はできませんし、利益も減ってしまい損害が大きくなってしまうのがネックです。ビジネス損失を減少させるためにも、また、CSR(企業の社会的責任)を果たすためにもシステム監視は必要な作業です。
●メリット:システム管理者の工数が削減できる
もしシステム障害の原因が分かっていない場合、それを特定する作業は必要です。原因は大きいかもしれませんし、小さいかもしれません。加えて、どれくらいの要素が重なって起きているかも定かではないので、特定にはかなりの負荷がかかります。システム管理者の工数や負担を削減するには、システム監視を常態にしてトラブルを未然に防ぎながら、「トラブルが起きそうな場所の構成を変更する」といった方策を取る必要があるでしょう。システム管理者は、工数削減分を新しいシステム開発といった重要な業務へ回すことができます。
●メリット:システムの稼働が安定して顧客満足度向上につながる
システム監視によってシステムの稼働が安定します。これによって企業の負担削減だけでなく、ユーザビリティ向上も達成可能です。仮に一般消費者向けにECサービスを展開している場合、提供サイトが停止したり不正被害に遭ったりしたら信頼度は大きく下がります。ユーザーに「ここで購入するくらいならば、もっと大手のサイトで購入する」と思われては、利益の減少は免れません。
しかしシステム監視を適切に実行することで不正被害が起こりにくい、停止もしないサイトができ上がります。結果的にいつも使いやすいECサイトとして顧客満足度が上がり、売上にも貢献する可能性があるでしょう。もちろん、UIを使いやすくするといった工夫も必須ですが、基本的な施策としてシステム監視によりユーザビリティを最低限確保しておくのは重要です。
●デメリット:システム監視を行う人員が必要になる
システム監視ではCPUといった専門の用語が普通に飛び交います。また、実際のトラブル対応にはスキルが必要です。よってシステム監視を自社で実行するには、バックエンドエンジニアといった技能を持つ人員が最低限必要になってきます。「どのくらいがシステム停止の危険値なのか分かっている」「サーバやアプリケーション、ネットワークがどうやってつながっているか熟知している」といったスキルが具体的には必要になってくるでしょう。
●デメリット:監視するための工数・コストが増える
システム監視には、工数がかかります。システムの基本構成の把握や危険なポイントの把握、対応方法の模索や実行など複数の工程が発生するので工程自体もルール化、管理しておく必要があります。規模の大きいシステムであればあるほど工数が多くなり、管理の手間もかかってくるでしょう。また、コストも無視できません。人件費やツール導入費といった点から適切なコストを設定して、利益を圧迫しない範囲でシステム監視を行いましょう。
システム監視ツール・監視サービスの導入方法
システム監視については、もともと備え付けられている分析画面から行うだけでは不十分かもしれません。必要な項目が確認できない、数値の見方が分かりにくいといった欠点を抱えている場合もあります。また、自社ですべて行うと負担が大きいです。
そこで、監視ツールや監視サービスを別途導入、システム監視へ活用することでデメリットを抑えながら効率良くシステムを安全な状態に保てます。例えば、監視ツールには「システムの各ステータスの確認・安全チェックを自動化できる」「危険を察知、メールといったツールで通知してくれる」といった機能が備わっています。エンジニアとして知識やスキルが不安でも、簡単にシステム監視ができるようになっているのがポイントです。ある程度の知識やスキルがあると、効率良くシステム監視できます。システム監視ツール・監視サービスの主な導入方法には、次の3つがあります。
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無料・有料のシステム監視ツールを導入する
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システム監視サービスを利用する
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システム開発会社に監視ツールの開発を依頼する
●無料・有料のシステム監視ツールを導入する
自社で監視をしたい場合には、システム監視ツールを導入してみましょう。「Webサイト上で無料ダウンロード可能」「ベンダーからツールを購入する」といった方法で導入できます。ツールの機能はそれぞれで異なるため、機能を吟味しながら導入を検討する必要があるでしょう。また、機能の追加や削除などのカスタマイズができないモデルもあるので、目的達成に支障がない仕様のツールを導入できるよう情報確認を取っておいてください。
●システム監視サービスを利用する
システム監視サービスという、代行サービスへ依頼を行う方法もあります。「24時間365日監視してもらえる」「トラブルの予兆があった場合、早期発見の通知を送ってもらえる」といったメリットがありますが、依頼企業によって対応できる監視項目は違う点に注意してください。また、オプションで監視サービスをより活用しようとする場合は、サービス料がかさんでしまうので、予算と相談してみましょう。
●システム開発会社に監視ツールの開発を依頼する
最適なツールやサービスが見つからない場合は、自社専用のシステム監視ツールを開発業者に作ってもらう方法もあります。自社に必要な、それでいて市場には普及していないような機能搭載も、独自機能を作成できる開発ならば可能です。タイミングを見計らった機能追加なども対応してもらえます。
規模の大きいシステムだと開発期間が増えるほか、開発費用が高額になる恐れがあります。ただし保守・運用サービスまで受けることで、将来的なシステム監視の負担も和らげることができる点は魅力です。ある程度予算に余裕があり、どうしてもオリジナル機能が目的達成に必要な方は依頼を検討してみてください。おすすめの開発会社については、以下のページで紹介しています。
安全な企業運営にはシステム監視が不可欠
今回はシステム監視とは何か、目的や監視対象項目、メリット・デメリットなどを解説しました。
基幹システムや業務システムなど、企業ごとに導入しているシステムは大きく異なります。ですが、一度導入をすれば安心というわけではなく、継続的なシステム監視がなければ、企業運営を安全に行うことができません。当ページで紹介した方法などを参考に、自社に最適なシステム監視の導入方法を検討してみてください。
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