システム開発における著作権は誰のもの?

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あなたがシステム開発の依頼をしたとします。
そこで納品された成果物における著作権は誰のものだと思いますか?
ひょっとしたら「お金を払って納品してもらったシステムなのだから、自分たちものに決まっている!」とお考えかもしれません。
実はその考えは間違いなのです。ここで詳しく解説していきましょう。

目次

 

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■システム開発における著作権は誰のもの?

システム開発における成果物(ソースコード)は一体誰のものなのでしょうか。発注者側としては「開発費用を支払っているわけだから成果物に関する著作権は自分たちのもの」と考えがちでしょう。しかし、それは間違いです。著作権とは「成果物を作成した人(あるいは組織)に帰属する権利」になりますので、ソースコードを作成した技術者、あるいはシステム開発会社が著作権を持つことになります。つまり、システム開発会社がソースコードをゼロからすべて作った場合、発注者側の支払い有無は関係ないのです。
それじゃあ自分たちには何の権利もないの?と疑問に感じた方もいるでしょう。発注者側には著作利用権があります。これは、一定の状況下において成果物を利用することができる権利です。ただし、これはシステム開発会社の協定があって初めて発生する権利になります。やはり、主導権はシステム開発会社側にあるので、それは忘れないようにしましょう。

 

●過去にはこんな事例も

「開発委託契約で作ってもらったプログラムのソースコードをシステム開発会社がくれない」という理由で発注者側が訴訟を起こした事例があります。これに対して、システム開発会社側はソースコードを渡さない姿勢を貫きました。開発側としては、ソースコードを渡すことによって再販されてしまうリスクがあると考えているのです。あるいは、他の仕事においても作成したソースコードを流用したいと考えているケースもあるでしょう。
いずれにしてもシステム開発会社と発注者側との間で合意がない限り、ソースコードの著作権を持てません。ただし、発注者側としても「お金を払っているのに……」とお考えのはず。ましてや他の仕事に流用されることになったら、納得できないことでしょう。そのようなときに重要な役割を担うのが契約書の存在です。

 

■とにかく契約書こそが大事!

先ほどもお伝えしたとおり、システム開発における著作権の帰属は基本的にシステム開発会社になるため、発注者側が著作権を譲渡してもらうためには契約時の取り決めが重要なポイントになります。
システム開発会社から著作権を譲渡してもらうためには、譲渡の規定を契約書に明記すべきです。ただし、注意も必要です。著作権の譲渡は、一般的に著作物は原作の状態での利用を条件としていることです。つまり、システム開発会社側は納品したソースコードをそのまま使って他社に納品することはできませんが、必要なカスタマイズをして納品する権利は持っているということになります。「どこまでカスタマイズをおこなえばシステム開発会社が他社に流用できるか?」という点についてはケースバイケースとなるため一概にはいえません。

 

●二次的著作物についても知っておきたい

システム開発における契約書の重要性が分かったところで、二次的著作物についても知っておきたいところです。
二次的著作物とは、簡単にいうと、既存の著作物を元に新たに創作した著作物のことを指します(著作権法第2条1項11号)。
例えば、小説を映画化する場合、小説作品は著作物になり、映画作品は二次的著作物になるわけです。そして、この際に重要な点としては、著作権法の第28条の内容です。著作物を作った人物と二次的著作物を作った人物が異なる場合には両方の許諾が必要になるという内容が記されています。
さらに、著作権法の第61条第2項目には、著作権を譲渡する契約において二次的著作物に関する権利が譲渡目的として明記されていなければ譲渡の対象にならないという規定もあります。「つまりどういうこと?」と疑問に感じた方もいるかもしれません。システム開発を依頼する際の契約書に「システム開発者は発注者に対してすべての著作権を譲渡する」と記されていたとしても、二次的著作物に関する権利は譲渡されないということです。もし、二次的著作物における権利の譲渡も希望しているのであれば、しっかりと「第28条に規定する権利を含むこと」という旨を契約書に記載しなければならないということになります。
契約をする際には重要なポイントとなりますので覚えておきましょう。

 

■著作権を侵害するとどうなるの?

それでは万が一、著作権を侵害してしまった場合、どうなってしまうのでしょうか。
もし発注者側が著作権を侵害した場合、システム開発会社は差止請求権の実行ができます。つまり、システム開発会社が著作権の侵害と判断した場合には、使っているシステムを停止しなければならないのです。稼働していたシステムを停止することになれば、経営におけるダメージは計り知れないものになるでしょう。さらに、著作権を侵害したサービスで得た収益については、システム開発会社側が損害賠償として金銭を請求することができます。これは違法行為ではないので、お金を払うことになってしまうケースも多いでしょう。「知らなかった」では済まないため、著作権を侵害してしまわないように、発注者側としても著作権に関する知識を得る必要があります。

 

いかがでしたでしょうか。ここまでシステム開発における著作権について解説してきました。後々トラブルに発展しないためにもコミュニケーションを密にとってくれるシステム開発会社を見つけることは非常に大事です。システム開発を成功に導くためにも、信頼できる開発パートナーを探しましょう。

 

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