制御システムの開発にかかる費用相場はどのくらい？外注先の選び方も紹介

近年、多くの市場で注目されている「制御システム」は、私たちの生活とも密接な関係にあるシステムの1つです。本記事では、制御システムの導入・開発を検討する企業担当者の方に向けて、制御システムの費用相場や外注先の選び方などについて詳しくご紹介します。

 

目次

 

 

制御システムは内容や用途によって費用相場が変わる

制御システムの開発における費用相場は、システムの内容や役割によって大きく異なります。例えば、IoTシステムでは140万円から700万円程度、組み込み系システムでは約500万円程度が一般的です。一方、企業システムでは400万円を超えることもあります。ただし、開発内容やシステムの用途によって費用は変動し、開発するシステムが複雑であるほど費用が高くなる傾向にあります。これは制御システムだけではなく、システム開発全般にいえることです。

システム開発にかかる費用の主な内訳は、人件費と設備費の2つが挙げられます。

人件費はシステム開発にかかる費用のおよそ8割を占めますが、開発にかかわるエンジニアのスキルや雇用形態によって大きく変動します。

設備費は、下記の2つに分けられます。

 

システム開発を行うために必要なもの	システム開発を行うために必要な、パソコンの費用や光熱費。開発のためにオフィスをレンタルする際には、オフィスレンタル費用も含まれる。
システムそのものにかかるもの	システムそのものにかかるサーバ代やクラウドサービス代などの費用。

 

開発にかかる費用を具体的に把握したい際は、システムに求める機能やイメージを明確にし、より詳細な見積もりを取ることが重要です。

システムに求める機能やイメージを固める・伝える場として「要件定義」というフローがあります。

 

●費用や見積もりに影響を与える要件定義

要件定義は、システム開発を成功に導くために重要な要素です。要件定義とは、開発するシステムを使って何がしたいのか、システム開発をする目的やシステムが必要な理由に基づいて、分析・検討を行い、実現するために必要な機能や性能などを明確にすることを指します。

要件定義の具体的な工程をみてみましょう。

 

ヒアリング

システム開発を行うにあたっての目的や理由、要求を発注側と受注側（開発側）が話し合い、解釈をすり合わせます。

要件定義を行う前に「要求定義」を行うケースもあります。要求定義は要件定義と似ている言葉ですが、厳密には意味が異なります。要求定義は、発注者が出した開発側に求める内容（要求）をまとめることを指します。要求定義が「開発するシステムによって解決したい課題や、達成したい目標を明確にしてまとめること」である一方で、要件定義は「どのようなシステムで、発注側が達成したい目的を解決するかをまとめること」です。

要求定義の場が設けられていない場合は、ヒアリングの前にシステムを開発することで解決したい業務の課題を洗い出しておきましょう。どのような課題を解決するためのシステム開発なのか、明確にしておくことが大切です。

 

機能策定

ヒアリングの次に、システムの全体的な構成を明確にします。一言でシステムといっても、パソコン上で動作するクライアントシステムやWebサーバ上で動作するWebシステム、特定のデバイス上で動作する組込みシステムなど、様々な種類があります。そのため、Webサーバやユーザーが使用するパソコンなどといった、システムを成り立たせる要素を明確にして機能を洗い出す必要があります。後から、この工程で漏れてしまった構成要素が発覚した場合は要件外の見積もりになってしまうため注意が必要です。

システム全体の構成を明確にしたら、実際のシステムに実装する機能の詳細を詰めていきます。

システム開発の要件定義は、「機能要件」と「非機能要件」の2つに分けられます。機能要件とは、システムの機能にかかわる要件のことを指します。一方で非機能要件は、性能や拡張性、運用・保守性、可用性、セキュリティなど、機能に直接かかわらない、品質的な要件を指します。

機能要件と非機能要件を定義し、実際に搭載する機能を策定します。

 

要件定義書の作成

開発側が、上記のフローで決定したシステムの内容を元にシステム開発の際に必要な情報、予算などを要件定義書にまとめます。要件定義書の品質はシステム開発の成功に大きな影響を及ぼすため、正確な内容であるかを確認することが大切です。

要件定義を丁寧に行うことによって、システムに求める軸が揺らぐことなく開発が進められるといえます。大きな修正や変更の発生の防止になり、結果的にコスト増加を防ぐことにつながります。

 

制御システムの活用シーン

制御システムとは、その名のとおり「何かを制御するためのシステム」です。電気系のシステム機器から機械系のシステム機器まで幅広く実装されており、近年多くの市場でも注目を集めています。制御システムを組み込むことによって、設定したことを行うように機器を制御することができます。制御システムの開発には、プログラミングのスキルだけではなく、ハードウェアの知識や制御工学などの知識も必要とされます。一言で制御システムといっても、一体どのようなものに実装されているのかイメージしにくいという方も少なくないでしょう。

制御システムは、私たちが日々使用している工業製品や電子製品に組み込まれています。具体的に制御システムが活用されているシーンを詳しくみてみましょう。

 

●車

もっともわかりやすい制御システムの例として、車が挙げられます。車には安定した走行やスムーズな運転を可能にするための様々な制御システムが組み込まれています。例えば横滑り防止システムは、車両が不安定な状態を検知するとブレーキやエンジンの出力を制御してくれる働きがあります。横滑り防止システムによって、車がスリップせず走行できるように保たれています。

 

●各種家電

身近な存在である家電にも、制御システムが組み込まれており、電子レンジ、炊飯器、冷蔵庫、エアコンなどの家電機器が挙げられます。

家電に組み込まれている制御システムとして代表的なものは、温度制御システムです。

近年の電子レンジには、出力ワット数や温める時間を決めることなく、ボタン1つで適温まで温めることができる機能を持っている電子レンジがあります。これは、赤外線センサーや温度センサーなどが温めるものの様々な情報を検知し、温まったら温度を制御する働きをしているからこそ成り立つ機能です。

また、エアコンには、定められた設定温度に対して室内の温度が一定に保たれるようにする温度制御システムが組み込まれています。例えばエアコンの温度設定を27℃にしたとしましょう。室内が暑く、27℃よりも高い温度であれば、エアコンは急速に部屋を冷やします。そのうちに室内の温度が27℃に到達すると、それ以上室内を冷やさないように調節し、室内の温度が再び27℃以上を上回りそうになれば、再度部屋を冷やす……といった働きをしています。

 

●駅の改札

電車の駅に設置されている自動改札や切符の自動販売機にも、制御システムが組み込まれています。

自動改札や切符の自動販売機に組み込まれている制御システムは、機械の制御を行うための情報システムです。ソフトウェアによって、機器の動きを制御する仕組みになっています。

 

●遠隔監視制御システム

工場や発電所、空港などの大規模な施設や複雑な施設には、遠隔監視制御システムが導入されています。

例えば、植物工場やビニールハウスの遠隔監視制御システムでは、温度や湿度、土壌水分、CO2濃度などの栽培環境の遠隔制御が可能です。

 

●IoT

近年急速な進歩を見せている「IoT」とは、「Internet of Things」の略称で、直訳すると「モノのインターネット」という意味です。

IoTは、インターネットと家電や自動車といった「モノ」をつなげて、より便利に活用する仕組みのことを指します。特に、今までインターネットとはあまりかかわりがなかったジャンルのものとインターネットをつなげる際にIoTという言葉で表す傾向が強いです。

近年、従来独立していた制御システムをインターネットにつなげてネットワーク化する、制御システムのIoT化が進んでいます。例えば、スマート工場（スマートファクトリー）が挙げられます。スマート工場とは、工場の機械や生産ラインなどとインターネットを接続し、AIに分析させ、生産性や品質管理の向上を図る仕組みです。

 

●ロボット

先述のIoT市場の拡大により、近年はロボットも急速に進化を遂げています。例えば、見守りロボットや警備ロボット、工場で使用される作業ロボットなど、様々な種類があります。

身近な存在でいえば、お掃除ロボットの制御システムが挙げられます。お掃除ロボットは、床面を見分けることによって、パワーやブラシの回転を自動で制御し最適な運転を行う仕組みとなっています。

 

制御システムの開発依頼先はどう選ぶべきか

制御システムの開発には、プログラミングのスキルだけでなく、制御工学やハードウェアの知識なども必要です。そのため、自社での開発が難しいというケースもあるでしょう。その際は、開発を得意とする会社に外注する必要があります。制御システムの開発を依頼する際には、自社に適した外注先を選ぶことが大切です。ここでは、制御システムの外注先の選び方のポイントについて詳しくご紹介します。

 

●見積もりのわかりやすさ

システム開発会社に見積もりを依頼した際に、わかりにくい見積もりや説明を提示されるケースがあります。そういった場合は、新たにわかりやすい見積もりを提示してくれる会社を探して依頼しましょう。見積もりがわかりにくいと、開発を進めていく中で企業間でのトラブルにつながるリスクがあります。報酬や契約に関することでお互いに認識の齟齬が発生したまま進めると、システムの開発自体が失敗することも起こり得るため注意しましょう。

 

●外注先が得意とする開発分野

一言で制御システムといっても、家電製品を制御するシステムと通信機器や監視機器を制御するシステムとでは、必要な技術が大きく異なります。

制御システムはハードウェアとソフトウェアがセットで動作する仕組みになっているため、システムのみでなく、メモリやチップなどとの関係性についての専門的な知識も必要です。そのため、外注先を検討する際には、外注先が得意とする開発分野に注目することが大切です。

優秀なエンジニアが多く在籍している企業であっても、自社が開発したい制御システムに適したスキルを持っていなければ、開発を依頼しても想定しているシステムの開発は難しいです。担当するエンジニアが保持するスキルまでチェックすることができれば、想定内容を齟齬なく依頼できます。

 

●類似領域・ジャンルの開発実績

先述のとおり、制御システムには種類があり、必要とされる技術が異なります。どれだけたくさんの実績がある開発会社であっても、自社が依頼したい制御システムに類似している領域やジャンルの開発実績がないのであれば、別の会社を選んだほうが良いでしょう。

一般的に、制御系のスキルや知識を持ったエンジニアは不足傾向といわれています。外注先を選定する際には、自社が求める類似領域やジャンルの開発の実績があるかどうかをしっかりと確認することが、システムの完成時の要望との相違を減らすことにつながります。

 

●外注先が得意とする開発言語

外注先が得意とする開発分野だけでなく、得意とするプログラミング言語に注目することも重要です。制御システムの開発にはアセンブリ言語とJAVAが用いられるため、アセンブリ言語とJAVAを利用できるか確認しましょう。

 

●提案能力

制御システムの開発には専門的な知識が必要なため、外注したい案件にどのような知識やスキルが必要なのかわからない、という方も少なくないでしょう。そういった場合は、まずいくつかのめぼしい会社をピックアップしてみましょう。ピックアップする会社は、可能であれば得意分野や規模などが異なる会社を選ぶと良いです。

会社をピックアップしたら、それぞれの営業担当者へ「自分たちが実現したいこと」を説明し、システム開発の方法やスケジュール、予算などを提案してもらいましょう。個別に提案してもらう形でも、合同で自社の要望を伝える説明会を行い、後から個別で提案してもらう形のどちらでも問題ありません。複数の会社の中で、もっとも提案能力がある会社を選ぶのがおすすめです。

制御システムの開発を外注する際は、自社の求めるものに最適な会社を選ぶことが重要です。外注先の選定でお悩みの方は、発注ナビへお任せください。発注ナビでは、開発の外注を依頼したい企業と受託したい企業のマッチングサービスを展開しています。ITに特化した知識豊富なスタッフが丁寧なヒアリングを行い、4,000社以上の開発会社データベースの中から、お客様のニーズに合った開発会社をご提案しています。「自社に合った開発会社がわからない」「選定にできるだけ時間をかけずにスムーズに導入したい」とお考えのご担当者様はぜひ一度ご検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

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