新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、Web問診システムの需要が急増しています。Web問診システムは非接触で情報収集が可能であり、感染リスクを低減し、医療機関の効率化を促進します。また、遠隔医療の実現や感染症対策の強化に寄与するため、多くの医療機関や企業が導入を検討しています。本記事では、Web問診システムの導入を検討する担当者の方に向けて、Web問診システムの費用相場やメリット・デメリット、導入する際のポイントなどについて詳しくご紹介します。
目次
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Web問診システムの費用相場
問診票は、診療前に患者さんご自身で身体の状態や受診目的などを記入することによって診療をスムーズに行う役割を担っています。従来は紙媒体で運用していた病院が多く、紙の問診票に記入されている情報を電子カルテに再度入力する作業が必要でした。
Web問診システムとは、従来紙や口頭で行っていた問診を、情報端末やPCを使用して受診する目的や症状を記入するシステムのことです。病院に足を運ばなくても、インターネットに接続できる環境であれば場所や時間を問わず、問診票を記入することができます。Web問診システムの費用相場について、詳しくみてみましょう。
●サービスによって異なる費用相場
一言でWeb問診システムといっても、費用相場はサービスの内容によって変動します。
初期費用は10万円~というものがほとんどで、月額3,000円~1万円ほどで使用できるサービスもあります。ただし、プランや利用できる機能によって費用が大きく異なりますので、表面的な金額だけで選んでしまうと、オプション料金を支払い全体の費用が嵩む可能性があるため注意しましょう。
費用をより具体的に把握したい際は、システムに求める機能・利用したい機能を明確にしたうえで、可能な限り正確な見積もりを取ってもらうことが大切です。
●Web問診システムの機能例
Web問診システムには様々な機能が搭載されています。それぞれの機能について、詳しくご紹介します。
問診機能
問診機能とは、その名のとおり患者さんが情報端末やPCを使用して症状を記入できる、Web問診システムにおける基本的な機能の1つです。システムによっては、問診票を記入した後に診察の予約を取ることも可能です。
患者さんが問診票を入力できるだけでなく、医師や看護師が診察室に設置されているPCなどを使って患者さんに関する情報を確認できたり、内容を追記したりすることもできます。
各診療科や症状、検査など様々な種類の問診票のテンプレートが用意されており、さらにカスタマイズが可能なサービスもあります。
電子カルテとの連携
情報端末やPCから記入した問診票と、電子カルテを連携させる機能です。予約やWeb問診の際に取得した患者さんの情報を、保管している電子カルテの情報と連携させることができます。
クラウドサーバとの連携
クラウドサーバと連携することによって、医師は場所や時間を問わずに問診入力ができるようになります。外出先や訪問先など、病院以外の場所から患者さんごとのIDを問い合わせることによって問診票に必要な事項を入力できる機能です。
問診票をクラウドサーバからダウンロードする際に、システムサーバに入力した内容が反映される仕組みになっています。
問診集計機能
問診集計機能とは、その名のとおり問診票の情報を集計できる機能のことです。従来の紙の問診票で運用していた場合は、Excelなどの表計算ソフトに問診票の内容を手で入力し、集計を行う必要がありました。問診集計機能があれば、問診管理画面で様々な条件での集計をすることが可能です。
Web問診システムのメリット・デメリット
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、Web問診システムを導入する病院は増加傾向にあります。ここでは、Web問診システムのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
●メリット1:業務効率アップ
まず、業務効率のアップが大きなメリットとして挙げられます。
従来の紙媒体ベースでの運用の場合は、受付や診察室などで問診票の内容をヒアリングしたり転記したりする作業が発生します。患者さんが問診票に書いた字が読めないなどといったトラブルが発生すると、さらに時間がかかってしまうということもありました。
Web問診システムを導入することによって、上記のような作業にかける時間を削減することができます。
さらに、Web問診システムによって事前に患者さんの病気の状態を把握することができるため、必要な検査や治療薬、治療の方針をより迅速に判断できるようになります。
また、Web問診システム以外にも、「AI問診システム」もあります。AI問診システムとは、患者さんが入力した受診目的や症状を踏まえて、AIが疑わしい疾患について推測しながら質問を出し、詳細な質問を繰り返すことによって問診票を作成するシステムです。AI問診システムの導入により、患者さんひとりあたりの初診問診時間を大幅に削減することができます。
Web問診システムの導入によって診療の効率が上がり、より多くの患者さんを診察することが可能になるでしょう。
●メリット2:患者さんの待ち時間短縮
病院での待ち時間を気にする患者さんは多いですが、Web問診システムを導入することによって患者さんの待ち時間の短縮につながります。
従来は来院してから問診票を記入する流れでしたが、来院前にWeb問診システムを利用して入力することによって受付で問診を記入してもらう時間が短縮されます。病院の待合室でWeb問診システムを通して問診の入力を行う場合でも、病院側でのカルテへの転記作業に時間がかかりません。問診票を記入する時間と問診票を確認する時間が削減されるため、患者さんの待ち時間の短縮につながります。
●メリット3:電子カルテへの情報入力の簡略化
問診票と電子カルテを連携する機能があるWeb問診システムを導入すれば、自動的に問診の情報が電子カルテに反映されます。従来手で行っていた電子カルテへの入力作業を簡略化することができ、結果的に業務効率アップにつながります。
●メリット4:ニーズの分析にも活用できる
患者さんのニーズの分析など、マーケティングの観点からもWeb問診システムを活用することができます。
これまでのように紙ベースで問診票を管理していた場合は、データを集計するとなると紙の問診票からExcelなどの表計算ソフトに1件1件手で入力する作業が必要でした。
しかし、問診集計機能がついているWeb問診システムを導入すれば、システム上で様々な条件で集計をすることが可能になります。年齢・性別の内訳や初診と再診の内訳、来院経路の内訳など、様々な観点から分析ができるため、マーケティングの観点からも役立ちます。
また、問診に「興味がある検査・治療」のような項目を追加しておくことで、患者さんの潜在的なニーズへのアプローチにもつながります。
●デメリット1:人によっては扱いにくいと感じる
Web問診システムの導入によってたくさんのメリットが得られる一方で、デメリットが生じる場合もあります。
Web問診システムは、スマホやタブレット、PCなどを使って記入する必要があるため、高齢者の方や情報端末が苦手な方はどうしても扱いにくいと感じます。そういった方が多い地域や診療科目で導入する場合は、スタッフによる代行入力や問い合わせの対応、事前のレクチャーなどが必要になります。
とはいえ、2〜3ヶ月サポートをすることで、患者さんひとりで入力ができるようになる傾向にあります。患者さん全体にWeb問診システムが浸透することによって業務がスムーズに進められるようになるため、患者さんが慣れそうかをみてデメリットに対応していくと良いでしょう。
●デメリット2:管理する情報量が増える可能性がある
Web問診システムの問診入力機能では、各病院で内容をカスタマイズでき、各患者さんの疾患に対して深掘りされた内容を事前に確認できる点がメリットです。しかしその一方で、カスタマイズにより増加した情報量を読む労力や管理する時間が必要になる可能性があります。
Web問診システムで確認する内容と、診療時に確認する内容のバランスを調整することが重要です。
また、Web問診システムを導入することによって、蓄積されるデータも当然増加します。紙媒体からデジタル形式の問診票に切り替えるにあたって、既存のシステムや従来管理していたデータを見直す必要が発生するケースもあります。このことからも、管理する情報量が増える可能性があるといえるでしょう。
Web問診システムに限らず新しいシステムを導入する際は、効率よく活用できるよう業務フローを見直すことが大切です。
Web問診システム導入時に注目すべきポイント
前述の通り、Web問診システムを導入することによって得られるメリットはたくさんあります。導入にあたってWeb問診システムを選ぶ際には、費用はもちろん、搭載されている機能や操作のわかりやすさ、画面(UI)の視認性、サポートの充実度、カスタマイズ性などの要素に着目することも大切です。
ここでは、Web問診システムの選び方のポイントについて詳しくご紹介します。
●搭載されている機能
まず、Web問診システムに自院に必要な機能が搭載されているかを確認しましょう。
適切な問診票の作成と管理ができるかどうかはもちろん、自院の既存のシステムとの連携ができるかということも確認するのがおすすめです。
ただし、搭載されている機能が多くなるほどコストが嵩んだり、既存のシステムと連携させる際に追加料金が発生したりするケースもあるため、注意が必要です。機能とコストの両方の観点からバランスの良いシステムを選びましょう。
●操作のわかりやすさ
Web問診システムを管理する病院と患者さんの双方の観点から、操作性が良いシステムかという点も重要なポイントの1つです。
日々多くの患者さんの診察を行っている医師にとっては、必要な情報を迅速にピックアップできるかが重要です。あわせて、医師だけでなく、患者さんが操作をしやすいかどうかという点もポイントです。操作が難しいWeb問診システムを導入してしまうと、業務効率の改善につながらないだけでなく、患者さんからの印象が悪くなることもあるため、注意しましょう。
●画面のみやすさ
操作のわかりやすさとも関連がありますが、患者さんにとってみやすい画面のシステムを選ぶことも大切です。
特に、高齢の方や情報端末の使用に苦手意識がある方にとって、システムがスムーズに使えるかという点は重要です。どこを押せば次のステップに進めるのか、回答しやすいかなど、導入時にしっかり見極めましょう。
●サポートの充実度
Web問診システムは導入して終わりではありません。日々使用しながらブラッシュアップをしていくことによって問診の精度が上がり、業務効率の改善にもつながります。しかし、Web問診システムはITの専門システムなため、すべてを病院側で対応するのは困難であり、導入時・導入後のサポートが必要になります。導入するシステムのサポート体制についても、事前に確認するのがポイントです。
例えば、Web問診システムの導入後に、タブレット端末のエラーやシステムダウンなどといったトラブルが発生することもあり得ます。こういった不測の事態の際に、サポート体制がしっかりしていると安心です。
訪問でのレクチャーやサポート、チャットなどを活用した迅速な対応が可能なのか、という点にもチェックしておきましょう。サポートが充実しているシステムを選ぶことで、トラブルがあった際の診療業務への影響を最小限に抑えることができ、安心です。
●カスタマイズ性
問診票の項目は、各病院・各診療科などによって内容は大きく異なります。
Web問診システムは基本的にはテンプレートが用意されており、それを活用して問診票を作成するケースが多い傾向にあります。しかし、自院の診療方針や患者さんの層によっては、テンプレートのみでは適切な運用ができないことも起こり得ます。
導入後にスムーズに運用するためには、自院の問診内容に適したカスタマイズがしやすいかという点も重要なポイントの1つです。
カスタマイズ性が高いものを選んでおくことによって、自院のニーズに合わせやすくなるといえるでしょう。
自院にマッチするWeb問診システムを選びたいのであれば、システムの開発やカスタムを外注するというのも1つの手です。外注先の選定の際は、発注ナビをぜひご活用ください。
外注先を選ぶ際には、複数社に見積もりを取り、十分に比較検討してから選ぶことが求められます。しかし、比較検討には手間がかかるものです。
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