ホームページ制作の勘定科目は?基礎知識と項目例を解説します

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ホームページ制作の勘定科目は?のイメージ図

ホームページ制作を進める際には、単にデザインやコンテンツのことだけでなく、費用の管理や仕訳にも注意を払う必要があります。本記事では、ホームページ制作時に知っておくべき勘定科目の基礎知識を解説します。制作費用の多くは「広告宣伝費」として計上されますが、場合によっては「無形固定資産」や「ソフトウェア」など、別の勘定科目が適用されることもあります。また、記事の後半では、ホームページ制作の費用に充当できる補助金の情報も説明していますので、併せてご覧ください。

 

目次

 

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ホームページ制作時に知っておくべき勘定科目の知識

ホームページ制作費には、「広告宣伝費」の勘定科目を使用するのが一般的です。ただし、ホームページの性能や目的によっては、広告宣伝費ではなく「ソフトウェア」または「無形固定資産」の勘定科目で仕訳を行うケースもあります。また、ホームページ制作費には多様な費目があり、費目や用途によって勘定科目が異なります。勘定科目のおさらいをするとともに、ホームページ制作にかかわる勘定科目の基礎知識について知っておきましょう。

 

●勘定科目のおさらい

そもそも勘定科目とは、各種取引で発生するお金の流れについて説明する費用種別のことです。「このお金は何に使われたのか」「どのような用途で入金があったのか」などがわかるように、各費目と一緒に財務諸表や複式簿記へ記載します。企業内で記載する、家計簿のようなものと捉えると良いでしょう。勘定科目には、取引の内容や入出金の用途などを明確にし、企業の経営状況を可視化する役割があります。くわえて、財務諸表をスムーズかつ正確に作成するために用いるものでもあります。

「この勘定科目を使わなくてはならない」という厳密なルールはなく、企業内である程度自由に勘定科目名を決められるのがポイントです。ただし、勘定科目を使用する財務諸表や各種帳簿は、社外へ提示する機会も少なくありません。したがって、第三者がみてもすぐに理解できるように一般的な勘定科目を使うことが重要です。また、企業ごとに勘定科目のルールに細かな差異がみられるケースもあります。例えば、各種文房具を「消耗品費」として仕訳する企業もあれば、「備品費」として仕訳する企業もあります。その場合は、企業ごとのルールにしたがって処理することが大切です。

 

●ホームページ制作費用の勘定科目

ホームページ制作費用の勘定科目は、「広告宣伝費」とするケースが一般的です。理由として、企業のホームページでは、自社のプロフィールや商材の広告、宣伝が目的と捉えられるためです。ただし、ホームページを制作して1年以上更新する予定がない場合は、「長期前払費用」もしくは「繰延資産」の勘定科目を使用します。繰延資産として仕訳する場合は、ホームページの耐用年数に沿って均等に分けて会計処理を行うのがポイントです。国税庁によると、ソフトウェア各種の法定耐用年数は3~5年とされており、中でも研究用ソフトウェアは3年、そのほかのソフトウェアは5年とされています。したがって、コーポレートサイトやECサイトの法定耐用年数は5年と考えておくと良いでしょう。

また、単なる広告や宣伝ツールに留まらない高度な機能が搭載されているホームページであれば、広告宣伝費ではなく「無形固定資産」もしくは「ソフトウェア」の勘定科目で仕訳できます。例えば、顧客が各々の情報を使ってサービスへログインできる機能、商品やサービスの検索機能、オンラインショッピング機能などが搭載されていると、無形固定資産やソフトウェアなどの勘定科目を使用できます。

 

●広告宣伝費と固定資産の両方に当てはまる時の対応

ホームページ制作における「広告宣伝費」と「固定資産(ソフトウェア)」が明確に分けられる場合は、それぞれを分離させたうえで費用計上できます。分離させた場合、広告宣伝費は費用として損金処理を行い、固定資産の部分は資産として償却処理を行うのが基本です。ただし、広告宣伝費と固定資産を明確に分けることが難しい場合は、無形固定資産の勘定科目を用いましょう。

 

ホームページ制作に関する費用とその勘定科目例

ホームページ制作には、ドメイン取得費やサーバ費用、各種制作費用などさまざまな費用がかかります。各費目はそれぞれ性質が異なり、性質に合わせた勘定科目を使い分けなくてはなりません。以下で代表的な費目とその勘定科目の例を説明します。

 

●ドメイン取得費用

ドメインとは、ホームページがWeb上のどこにあるかを示すための情報と捉えると良いでしょう。ドメインを取得するための費用は、「通信費」の勘定科目を使用して損金処理できます。通信費のほかには、「広告宣伝費」または「支払手数料」の勘定科目を使用する例もあります。一般的な勘定科目の使用例と同じく、「ドメイン取得費用にはこの勘定科目を使わなくてはならない」という明確な決まりはありません。できる限りわかりやすい勘定科目を使用することや、一度使用した勘定科目例を継続的に使用して統一感をもたせることも重視しましょう。

ドメインは、加入しているプロバイダーから無料で取得できるケースもあります。しかし、無料ドメインはドメイン名を自由に設定できなかったり、ホームページ内に広告が表示されたりといった制限があります。より自由度の高いドメイン設定にするためには、有料ドメインを購入すると良いでしょう。

 

●サーバ費用

サーバとは、ホームページ用に作成したさまざまなデータを保管しておくためのスペースです。サーバ費用は、ドメインと同じく「通信費」のほか「広告宣伝費」「支払手数料」の勘定科目を使用できます。サーバには自社で構築・配置する「自社サーバ」と定額制の「レンタルサーバ」の2種類があります。自社サーバには膨大なコストがかかるため、レンタルサーバを利用するのが一般的で、その場合、サーバのホスティング会社と年間契約を結んだうえで定額料金を支払うことになります。ドメインと同じく無料で使用できるサーバもありますが、無料サーバだと独自ドメインの設定が難しかったり、利用できるサービスや機能に制限があったりして自由度が低くなるのが基本です。企業としてホームページの制作をするのであれば、有料サーバを確保すると良いでしょう。

 

●コンテンツの制作費用

公開したWebサイトには、各種コラム記事や商材の紹介ページ、動画などのコンテンツが必要です。外部のWeb制作会社へコンテンツ制作を依頼する場合は制作費が必要となりますが、その制作費は「広告宣伝費」の勘定科目を使って損金算入できます。ちなみに、コンテンツ内に予約機能やオンラインショッピング機能といった高度なプログラムを組み込む場合は、「無形固定資産」として処理するケースもあります。

コンテンツ制作として依頼できる内容としては、コンテンツ記事の執筆やリライト、更新作業のほか、動画制作、メルマガの作成および配信、SNS運用などが挙げられます。

 

●SEO施策費用

Webサイトを検索エンジンの検索結果画面に上位表示させるためには、適切なSEO施策が必要です。SEO施策の外注費用は、「広告宣伝費」の勘定科目を使用できます。検索結果画面における上位表示と、それに伴うホームページへの集客率アップ、コンバージョン率の向上などは、各種宣伝を目的としていると考えられるためです。

また、SEO施策費用の細かな内訳によって勘定科目を使い分けることもできます。例えば、SEO対策を前提としたコンテンツ制作費を「広告宣伝費」、コンサルタント費用を「業務委託費」もしくは「支払手数料」、SEO分析ツールの導入費を「ソフトウェア」として扱えるのです。一定のわかりやすさと統一感をキープできるのであれば、細かな内訳に合わせて勘定科目を使い分けても良いでしょう。

 

●SSL証明書取得費用

SSLとは、ホームページ上の通信を暗号化してインターネットユーザーのデータを守る仕組みのことです。SSLを導入する際は、SSL証明書の取得が必要となります。SSL証明書取得費用は、少額の場合は「通信費」の勘定科目で計上可能です。高額もしくは1年以上の長期契約となる場合は、固定資産として計上処理をするケースもあります。なお、SSLの認証方法には複数の種類があり、認証方法が厳格になればなるほど取得費用が高額になると覚えておくと良いでしょう。

 

ホームページ制作時に活用できる補助金

ホームページ制作を行うにあたり、費用をできる限り抑えたいと考える方は多いのではないでしょうか。ここからは、ホームページ制作で活用できる補助金の例をご紹介します。ご紹介する補助金の種類は、次のとおりです。

  • 小規模事業者持続化補助金

  • IT導入補助金

  • 各自治体が提供している補助金

なお、各補助金の情報は2024年5月時点の最新情報です。利用を検討する際は、各公式ホームページで必ず最新情報をチェックしましょう。

 

●小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者(一定の要件を満たす特定非営利活動法人を含む)を対象とした補助金の一つです。小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取り組みに関する費用を一部補助し、事業の持続化を実現するための補助金となっています。例えば、新たな市場開拓へ向けた商材の開発および改良、新規顧客獲得へ向けた売り方の工夫といった取り組みなどの費用を助成してもらえるのがポイント。ホームページ制作の場合、販路開拓のためのホームページ設立費や商材PRのための広告費などが対象となります。

補助事業自体は自己負担が必要となりますが、対象の事業が完了した後に補助金を交付してもらえるのが特徴です。

補助金を受け取る簡潔な流れとしては、以下のとおりです。

  1. 事業者が事業所計画書を作成する
  2. 管轄の商工会議所や商工会などで指導を受ける
  3. 事務局へ申請書類を送付
  4. 審査および採択/不採択の決定
  5. 採択/交付決定
  6. 補助事業実施/実績報告書提出
  7. 報告書および補助金額確定
  8. 補助金の請求および交付

小規模事業者持続化補助金には、それぞれ「通常枠」「賃金引き上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」の5つの枠があります。通常枠の補助上限金額は50万円、それ以外の4枠の補助上限金額は200万円となっています。ただし、補助率はどの枠も共通して3分の2です。

 

●IT導入補助金

IT導入補助金は、経営課題を解消するためのITツール導入を支援してくれる補助金のことです。売上アップや業務効率化のために採用するITツールの費用の一部を、補助金によって賄うことが可能です。補助枠には「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」「インボイス枠(電子取引類型)」「セキュリティ対策推進枠」「複数社連携IT導入枠」の5つが設けられており、それぞれの補助額は以下のようになっています。

補助枠名とその概要 補助額
通常枠
事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援
1プロセス以上/5万円以上150万円以内
4プロセス以上/150万円以上450万円以下
インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応した各種ツールやソフトウェアの導入を支援
パソコンやタブレットの導入(補助率1/2以内):10万円以下
レジや券売機の導入(補助率1/2以内):20万円以下
インボイス枠(電子取引類型)
インボイス制度に対応した受発注システムの導入を支援
中小企業および小規模事業者:補助率2/3以内:下限なし350万円以下
セキュリティ対策推進枠
サイバーインシデントに関する各種リスク軽減策を支援
補助率:1/2以内:5万円以上100万円以下
複数社連携IT導入枠
中小企業・小規模事業者間が連携してITツールを導入し、生産性の向上を図る取り組みを支援
ソフトウェア導入:50万円以下×グループ構成員数または50万円以上350万円以下×グループ構成員数
消費動向分析経費:50万円以下×グループ構成員数

 

●各自治体が提供している補助金

各都道府県の自治体が、独自で補助金を用意しているケースもあります。例えば、東京都品川区では、区内の中小企業や個人事業主を対象とした企業ホームページ作成補助金を用意しています。同制度では、ホームページの新規制作や既存ホームページ内容の変更などを対象に、5~6万円の補助額を設定しているのが特徴です。

また、岡山県津山市では「販路開拓サポート」と称した補助金制度を設けています。同市内に本社や主要事業を有する企業を対象に、新規取引および販路開拓を目的とした事業を補助する制度です。対象経費としてはホームページ制作費用も含まれており、新規ホームページ制作(市内企業への発注)で10万円以内、ECサイト制作で10~20万円以内の支援を受けられます。

勘定科目について事前に学習したり予算を確保したりと、ホームページ制作では制作作業以外にもやることが多いものです。勘定科目やその計上作業は社内で行い、専門的な制作作業は外部のWeb制作会社へ依頼するのも良いでしょう。

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