Webサイト制作における要件定義とは?基礎知識と注意点を解説

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Webサイト制作における要件定義とは?のイメージ図

Webサイト制作の過程で、要件定義はWebサイトの出来栄えを左右する重要なプロセスです。本記事では、要件定義がなぜ必要なのか、その具体的な内容や進め方について詳しく解説します。要件定義がしっかりと行われることで、制作がスムーズに進み、トラブルの防止にもつながります。同時に、要件定義書とRFPの違いや、要件定義を行う際のポイントも紹介します。これからWebサイトを制作したいと考えている方は、ぜひご覧ください。

 

目次

 

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Webサイト制作における要件定義とは

Webサイト制作における要件定義は、Webサイトの全体的な仕様を決定するための作業を指します。具体的には、Webサイトへ導入したい機能や性能、デザインなどを洗い出し、言語化する作業のことです。くわえて、要件定義では機能やデザインなど視覚的な部分以外の条件も明確にします。例えば、制作の目的や背景、制作のスケジュール、制作体制などです。これらの要素を明確にしたうえで、自社内と制作会社の関係各所と共有する工程が要件定義です。要件定義でまとめた情報は「要件定義書」という文書へ落とし込みます。

なお、要件定義と似た用語に「要求定義」があります。要件定義の作業は、依頼会社と制作会社が協力して行う作業です。対する要求定義は、依頼会社が制作会社に対し「Webサイトで実現したいこと」を伝える作業を指します。要求定義の内容を受けて、「どのような機能や仕様にすれば要求を実現できるか」を言語化したものが、要件定義となるでしょう。

 

●Webサイトの要件定義で盛り込むべき項目

Webサイトの要件定義では、5W1Hをフレームワークとして各項目を決めるのがおすすめです。具体的な項目は次のとおりです。

5W1Hのフレームワーク 要件定義書へ含める項目の例
Why(なぜ) ・Webサイト制作を行う目的、背景
・現状分析でわかった課題点など
When(いつ) ・制作の着手期間、想定スケジュール
・Webサイトの公開予定日など
Where(どこで) ・社内(担当部署/担当チーム)
・Web制作会社など
Who(誰が) ・各工程の担当者
・チームメンバーなど
What(何を) ・機能
・セキュリティ
・デザイン
・掲載コンテンツの内容など
How(どのように) ・開発プラットフォームや開発言語
・使用ツール(CMS/作成ソフト)
・公開後の運用、更新作業など

例えば、Why(なぜ)の項目ではWebサイトを制作する目的やゴール、Webサイトが必要な背景などを記載します。目的や背景を明確にするためには、現状分析を行い客観的な課題の洗い出しが必要です。洗い出した課題は、「UI(ユーザーインターフェース)/操作性」「コンテンツ内容」「SEOの課題」などのように簡潔にカテゴライズしておくと後々整理しやすくなります。When(いつ)の項目では、Webサイトの制作期間や公開予定日を踏まえたうえで全体の想定スケジュールを記載します。このように、5W1Hの内容に沿っていくことで必要な情報を洗い出しやすくなります。

上記でご紹介した項目はあくまでも一例ですが、5W1Hのフレームワークは幅広い規模、ジャンルの要件定義に応用できるのが特徴です。また、ホームページの新規作成だけでなくリニューアルの場面でも役立ちます。

 

●要件定義の重要性

要件定義は、Webサイトの仕様や方向性を決めるためだけのものではありません。自社内と制作会社で共通認識を持ったうえで、制作を進めるために必要な作業です。要件定義がしっかり行われていないと、関係各所の認識のズレから想定外の修正や工程の後戻りが発生し、スケジュールの遅延につながります。また、要件が明確になっていないことで関係各所の意見が錯綜し、Webサイト全体の方向性も迷走しかねません。搭載機能に過不足があったり、事前に洗い出した課題が改善されなかったりといったトラブルにもつながります。

要件定義がしっかり行われていれば、修正や工程の後戻りを最小限に抑えられます。これによってスケジュールの遅延も防止でき、予定どおりにWebサイトを公開できます。また、どのような機能やデザイン、コンテンツを掲載すべきかが明確であるためWebサイト全体の品質向上も期待できます。各フェーズにかかわる担当者にも明確な作業指示を出せることで、制作や運用における方向性の迷走も防げます。Webサイトを滞りなく制作/公開/運用するためにも、要件定義は重要な作業といえるのです。

 

Webサイト制作における要件定義書とRFPの違い

Webサイト制作では、要件定義書とRFP(Request For Proposal)を制作します。要件定義の過程でまとめた要件を、ドキュメントへ落とし込んだのが「要件定義書」です。一方、RFPは「提案依頼書」と呼ばれるもので、Webサイトの背景や目的・目標および制約など、これから構築するWebサイトへの全体的な要望を記入した書類を指します。

 

●制作者が異なる

要件定義書とRFPは、制作者が異なります。要件定義書は、要件定義で固まった各項目をもとにWeb制作会社が作成する文書です。制作会社と依頼側が共同で要件定義書を作成するケースもありますが、一般的にドキュメントそのものをまとめるのは制作会社側の役割といえます。

一方、RFPは依頼会社側が制作する文書です。Webサイトを制作する目的やゴール、実現したいビジョン、予算などの要望を盛り込み、制作会社へ提出します。制作会社は依頼会社側が提出したRFPを確認し、「どのような機能や仕様を搭載すれば要望を実現できるか」という提案を行い、具体的な打ち合わせおよび要件定義へ移ります。

 

●RFPを作成する目的

依頼の目的をはじめ、プロジェクトの背景、依頼したい作業範囲や予算、希望スケジュール、制作物のターゲットなどを制作会社と共有するために必要な書類がRFPです。共通認識を持つための書類という意味合いでは要件定義書と類似しています。RFPを作成することで依頼側が抱えている現状の課題やWebサイトに求める提案内容などを明確に伝えられるため、制作会社側も提案の精度を高めることが可能です。Web制作会社の得意分野はそれぞれ異なるものです。RFPがあれば、依頼会社と制作会社のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

 

●作成する順番

RFPの作成/制作会社の選定/要件定義および要件定義書の作成という順番が一般的です。RFPは、より良い提案をしてくれる制作会社を絞り込むための手段でもあります。複数のめぼしい外注先候補に同じRFPを送り、比較検討する機会をつくって外注先を選定するという流れが一般的です。

 

Webサイト制作における要件定義の流れ

Webサイト制作における要件定義の流れは、次のとおりです。

  1. 現状の分析および課題の整理
  2. 仮説の立案と方向性の決定
  3. 関係各所との合意形成
  4. 要件定義書作成

それぞれのフローでどのような作業が必要となるのかをご紹介します。

 

●1.現状の分析および課題整理

各分析ツールやユーザーテストを活用して定量的なデータを集めたうえで、現状の課題を洗い出すフェーズです。例えば、既存のWebサイトのデータ分析やログ解析、競合他社との立場の比較などが挙げられます。また、関連部門の役職者やエンドユーザーへのヒアリングを行い、関係各所からの声をできる限り多く集めることも大切です。

課題点をひととおり収集できたら、一つひとつの課題をリスト化、カテゴライズしていきましょう。「UIやUXに関する課題」「掲載するコンテンツに関する課題」「管理や運用体制にかかわるガバナンスの課題」などをカテゴライズし、課題ごとに優先順位をつけていきます。優先順位をつける際は、Webサイトの目標やターゲット、ペルソナ像を基準にしましょう。

 

●2.仮説の立案と方向性の決定

課題を収集・カテゴライズした後は、課題解決のための方向性、および方向性に関する仮説を立案します。仮説を立案する際は、Webサイトの訪問ユーザーのペルソナとWebサイトの導線を想定しましょう。そのうえで、Webサイトの目的達成に向けたシナリオを作成します。想定したユーザー導線やシナリオに沿って、制作の方向性や具体的に実施すべき施策の仮説を立てましょう。

例えば、「購入までの流れが効果的でない」という課題があるのであれば「UIを改善してアクションまでのボタン導線を改善する」といった施策を検討し、「顧客との接点がない」という課題があれば「顧客接点の一環としてコンテンツを設置すれば課題解決になる」という仮説を立てることができます。

各施策の仮説が固まったら、施策ごとに使える予算や想定されるスケジュール、具体的な作業内容などをリストアップします。同時に、各施策で使用するツールやプラットフォームも選定しておくことも重要です。予算や時間などの都合で全施策の実践が難しいのであれば、各施策に優先順位をつけましょう。

 

●3.関係各所との合意形成

施策の方向性を定めた後、関係各所との合意形成を行います。このフェーズは制作関係者と意見をすり合わせて合意するうえで重要です。具体的には、Webサイトのコンセプトや運用に関する方向性、各種導線の改善戦略、集客のためのSEO戦略、UIやUX施策などについて制作会社と相談しながら決定します。その後、各関連部署の上長や上層部からの承認を得る必要があります。Web制作の着手前に必ず全関係者からの承認、合意を得られるよう注力しましょう。

 

●4.要件定義書の作成

合意形成後は要件定義を進めます。Webサイトの要件(要望)のアウトラインをまとめたうえで、要件の内容一つひとつをさらに具体的に掘り下げていきます。こうして明確になった要件をまとめた文書が要件定義書です。要件定義書は主に制作会社が作成しますが、制作会社と依頼会社が最終確認を行いながら共同で作成するケースもあることを理解しておきましょう。

要件定義書は、制作工程や運用工程で迷いが生じた際の指針となるものです。Webサイト制作の目的や目標達成指標、ターゲットとする人物像などをまとめ、指針として見直せる内容の文書に仕上げましょう。なお、要件定義書のフォーマットに明確な規定はありません。WordやExcel、PowerPointで作成するケースが一般的です。

 

要件定義書を作成する際の注意点

以下でご紹介するのは、要件定義書を作成する際の注意点です。特に注意しておきたいポイントを3つ説明していますので、制作会社と協力して要件定義書を作成する際にご活用ください。

 

●Webサイトの目的を明確にする

Webサイトを制作してどのようなことを達成したいのか、目的を明確にしましょう。例えば、「Webサイトを経由した問い合わせ数に課題がある/その課題を改善したい」という目的が明確になっていれば、「どのようなWebサイトと制作し/どのような施策を行い/どのような体制で運用すべきか」も洗い出しやすくなります。

 

●社内の見解を統一しておく

Webサイトの目的をはじめ、制作会社へ依頼する作業の範囲や課題の大小、サイトリリース後の運用体制についての見解を社内で統一しておきましょう。社内の見解に齟齬があると、要件定義の精度が下がったり制作会社から提案された内容を精査するのに時間がかかったりして連携がとりにくくなります。

 

●コミュニケーションの時間をきちんと確保する

意見のすり合わせをする時間を、社内外できちんと確保しましょう。自社の要望や目的、改善すべき課題がきちんと伝わっているかを定期的なミーティングで確認するのが理想的です。また、要件定義書の作成を制作会社へ丸投げするのではなく、できる範囲で協力することも重要となります。制作会社が知らない業界知識や独自の業務内容などが、要件定義のヒントになることも十分に考えられるためです。

 

要件定義は、Webサイトの骨組みをつくるのに欠かせない作業です。要件定義を丁寧に行ってくれる制作会社は、高いWebサイト制作のスキルをもっていると捉えることができます。そんな制作会社を選ぶ際に重要なのが、複数の外注先の候補を比較検討することです。より効率良く外注候補の比較、選定を行いたいとお考えの方は、発注ナビにお任せください。

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