「発注ナビ」にご登録いただいている開発会社の皆様が発注ナビの導入に至った経緯、その使用感、そして導入後のビジネスの変化は、どのようなものだろうか。株式会社エイブリッジのエンジニアであり営業も兼務する飯田恭平氏にお話を伺った。
社名 | 株式会社エイブリッジ |
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所在地 | 東京都港区南青山1-21-11(東京オフィス/IT事業窓口) |
従業員数 | 101 – 300名 |
事業内容 | スマートフォンアプリの開発(iOS/Android) AI分野の開発(機械学習、ディープラーニング) ウェアラブルアプリ開発(グラス・ウォッチ) Webシステムサービスの開発(CMS/検索システム) AR/VR/MR分野の開発・3Dモデル制作(Unity・3DCG) |
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- 導入前の課題
農業人材系ビジネスからスタートし、IT業界へ展開。システム開発事業を分社化し、ゆくゆくは自社製品の提供を考えているが、そのためにはエンジニアの技術力のさらなる向上と、多様なシステム開発経験の蓄積が必要と考え、幅広い分野からの受注案件拡大を検討していた。
- 導入後の効果
4つの競合サービス併用から最終的に発注ナビ1つに絞り込んだが、結果として商談数は増えた。エンジニアの技術向上や受注増はもちろん、現在は、若手営業スタッフの育成面でも発注ナビが大きな効果を発揮している。
農業人材分野からIT分野に!新たな一歩を歩み始めた実力派企業
株式会社エイブリッジは、他の多くの開発会社とは異なる設立経緯を持つユニークな企業であり、自社の持つ特徴を多いに活かしたビジネスを展開している。
同社はもともと沖縄を中心に農業分野の人材派遣ビジネスを手掛けるところからスタートした。本社を沖縄に構えているのもそのため。実は、DR(Disaster Recovery:災害復旧)やBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の観点から、バックアップ用のデータベースや各種サーバーを、安全確保のため物理的な距離の離れた沖縄にも置いている企業は多い。データセンターがあれば、そこにはIT人材も必要になる。現地に拠点を持つ企業から「IT人材の派遣はしていないのか?」という問合せが数多く寄せられるようになった。
一方、農業分野は現在、気温や湿度、カメラといったセンサーデバイスを駆使したIoTによる栽培・選別等の自動化、AIによる気象や収穫時期・量の予測など、現在IT化が著しく進みつつある分野の1つだ。
こうした背景から、同社がIT分野に進出していったのも自然な流れと言えるだろう。
長らく農業人材とITの両軸でビジネスを展開してきた同社だが、2019年にはITビジネスを分社化し現在の株式会社エイブリッジが誕生した。現在は沖縄の本社に加えて、受託開発および営業の拠点として東京および大阪にオフィスを開設し、全国の顧客から寄せられるニーズに応えている。
また、農業を縁に築いたミャンマーとのコネクションから、ニーズ次第では海外オフショア開発なども手掛けている。
同社のビジネスの内訳は、9割は受託開発で、残る1割は自社サービスだ。得意とする分野も豊富で、スマートフォンアプリ開発(iOS/Android)、AI分野の開発(機械学習、ディープラーニング)、ウェアラブルアプリ開発(スマートグラス・スマートウォッチ)、Webシステムサービスの開発(CMS/検索システムほか)、AR/VR/MR分野の開発・3Dモデル制作(Unity・3DCGほか)など、最新技術領域を概ね網羅しているのも頼もしい。
複数サービスの併用から発注ナビ1本に絞っても商談数が増加
同社が発注ナビを導入したのは2018年のこと。飯田氏はまだ入社前だったが、社内で聞き及んだという当時の導入理由について語ってくれた。
「エンジニアにより多くの経験を積ませ、技術レベルを上げていきたいという目的があったようです。メンバーの技術力が上がれば、より多彩な案件にチャレンジできるようになり、エンジニアにとっても仕事の面白さが増し、会社としても案件が増え、また、強みを作り出せますから」(飯田氏)
同社の営業メンバーは専任担当者を新規に採用して5名体制となっているが、飯田氏のようにエンジニアと営業を兼務しているメンバー以外は、まだまだ営業の経験が浅い若手が中心。そのため、新規案件開拓には発注ナビのような案件紹介サービスを積極的に活用している。
「当初、発注ナビを含め4つのサービスを利用していましたが、1年後には発注ナビのみになりました。もともと複数のサービスを維持するにはコスト面の問題があったので、最終的にそれらの中で案件数が最も多かった発注ナビに絞りました。また、発注ナビは事前ヒアリングをしてくれており、ある程度、案件内容がわかるため、経験の浅いメンバーでも対応しやすいという点からも発注ナビを残しました」
複数のサービスから一つのサービスにしたことで、商談件数も減少したのではないかと考えてしまうが、直近の3年ほどで商談件数は圧倒的に増えたという。発注ナビ1本に絞り込んだが「発注ナビの案件紹介は先着順ではなく、エントリーした企業の中から数社に絞って紹介してくれるため、商談に進める割合が高い」ということで、エントリー数を増やした分、商談数も増えたのだ。
「一昨年頃まで月3~4件のペースで商談を行っていました。年間で50件ぐらい商談が発生し、当社の営業のキャパシティからすると『多過ぎる』という指摘があったほどでした(笑)。現在は、案件をよく選んで月1~2件のペースに抑えています」
ホームページからの問合せは毎日のように来るが、そこから商談に持ち込み、受注に結びつけるには「まだ営業スタッフの経験が足りていない」(飯田氏)。その点、発注ナビでは、案件の新着情報の中から必要な技術や規模をある程度見定めて目的の案件を選び出し、エントリー、お客様企業の紹介、ヒアリング、ご提案、ご成約と、一連の流れが見通せるため、営業プロセスに習熟させやすい。同社では発注ナビを、当初はエンジニアのスキルアップ&案件獲得増のために導入したが、現在は、若手営業スタッフのスキルアップにも役立てている。
「効果は確実に出ていると思います。若手のスタッフでも一定の段階までは上長の手を煩わせることがなく、商談を進めることができるようになりました。エンジニアと話をする機会も格段に増えています」
得意分野を最先端技術に広げながら着実に成長中
もちろん発注ナビの導入は、エンジニアの技術向上と、それに伴う対応領域の多様化という部分でも大きな効果を挙げている。
同社の得意分野は大きな広がりを見せており、スマートフォンアプリ、スマートグラスやスマートウォッチ、AI(機械学習・ディープラーニング)、VR・AR(仮想現実、拡張現実)、IoT(物のインターネット)など、最新のIT分野に広く展開している。
たとえば、AIによる画像認識では、製造業での品質検査や各種サービスの品質向上を効率化できる。より具体的には、製造過程での異物混入の検知や外観検査などに利用できる。同社では、時間貸駐車場に設置したカメラからの画像を解析して空き状況を知らせるシステムなども手掛けている。
スマートグラスの分野では、製造現場やオンサイトでの機械メンテナンスの際に、グラス内にマニュアルをARで表示させ、両手をふさぐことなく、作業効率を向上させるといったシステムも開発している。
ARでは、そのほかにも土地などの距離測定・面積測定アプリ、家具や設備・看板の配置シミュレーションアプリ、メガネや服の試着アプリなど、さまざまな現場課題を解決している。
さらに各種ゴーグルを使ったVRアプリ、 MicrosoftのゴーグルHoloLens(ホロレンズ)を使ったMR(Mixed Reality)アプリなども手掛けている。
こうした技術が今すぐ必要ではないという企業にとっても、さまざまな技術的バックグラウンドをもとに、将来を見据えたシステム提案を行ってくれる同社は、心強い存在となっている。
エンジニアの育成と開発チームの組織化、そしていつしかメーカーを目指す
同社の強みは、それだけではないという。
「もともと当社では、自社製品を生み出して世の中に送り出していきたいという強い考えがありました。そのため、サーバサイドの開発にも注力していて、得意としています。アプリが作れても、サーバー側のシステムを開発できないという会社も少なくない中で、フロントエンドからサーバサイドまで、しっかりと作り込める技術を持っています」(飯田氏)
事実、同社では自社で独自のサービスを展開している。
同社が提供する「アグリヘルスマネージャー」は、スマートウォッチで得られる装着者の体温、心拍、血中酸素量などをサーバー側に集め、管理画面で一元的に把握し、従業員の健康を管理できるサービス。もともとは畑で農作業を行う農業従事者向けのサービスとして企画されたが、トラックドライバーなど、オフィスの外で仕事をする人が多いあらゆる現場でニーズがあるということで、新聞紙面にも採り上げられ紹介されたという。
自社サービスを拡充させていくことは、同社にとっての今後の大きな目標だ。そのためには、世の中のさまざまなニーズを探り、その最大公約数を解決していく技術とアイデアが必要となる。発注ナビで、どのような案件にエントリーするのかにも、同社のそうした考えが反映されているようだ。
「エントリーの基準は、取りたい案件を取りに行くという感じです。今後は自社サービスにも開発リソースを割り当てていきたいと考えていて、それに合わせて、発注ナビの利用月を調整しています。予算上足りずに、あと1件受注したいという月は、スポットで1件ずつエントリーすることも考えています」
また、今後はメンバーの拡充を図っていきたいという。
「エンジニアがディレクターにステップアップし、新たにエンジニアを育成していく立場に立つというように、初期メンバーが、次第に上のポジションへと上がってきています。それにより、開発チームの編成が増え、今まで以上に組織化していく必要があります。開発力が増えれば、当然、案件も必要になり、営業スタッフの強化や組織化も必要になるでしょう。最終的には、役に立つモノやサービスを世に送り出していくメーカーになりたいと考えています。これまで社名を前面に出すことはなかったので、世の中に広く知られる社名にしていきたいですね。さらに、社名の由来でもあるアジアとの架け橋という点では、海外オフショア開発のみならず、当社発信のサービスをアジアに展開するということも目標の一つです。それまでの間は、発注ナビを使い続けていくと思います」
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