
株式会社カンブライトは、食品製造業向けのクラウド型電子帳票システム『ツクルデ』などの各種プロダクトを開発・提供するシステム開発会社だ。食品関連の展示会へ継続的に出展し、3年間で約5000社分のリードを獲得したものの、情報収集段階の担当者が多く、商談や受注につなげることに苦戦していた。同社は、発注者の要望や予算などを事前に確認でき、商談日程が確定した時点で課金されるプランを選択できる発注ナビを利用。結果、これまで7~8件にエントリーし、その約7割が具体的な商談へ進んだほか、長い歴史を持つ『花山うどん』からの案件も受注することができた。同社でセールスを担当する太刀川彰博氏に、発注ナビの利用に至った背景や案件選定の工夫、これからの展望について伺った。
| 社名 | 株式会社カンブライト |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府吹田市南吹田3-9-14 C棟 |
| 従業員数 | 1 – 30名 |
| ITセレクト掲載製品 |
ツクルデ |
| ITセレクト掲載カテゴリ | 帳票システム ERP(基幹システム) 在庫管理システム 販売管理システム |
- 展示会リードの商談化の壁:約5000社のリードを獲得するも、情報収集段階の層が多く受注に苦戦していた。
- 効率的なチャネルの模索:固定費のかさむ外部営業に代わり、導入意欲の高い企業と出会える新たな手段を求めていた。
- 事前情報の活用による案件選定:要望や予算などを事前に確認でき、自社に合う案件だけを選べるようになった。
- 商談の質の向上:前提確認を約5分で終え、残り時間をツクルデのデモや個別提案に充てられるようになった。
- 高確率な商談化と受注の実現:エントリーの約7割が具体的な商談へ進み、花山うどんの案件を受注した。
食品製造の当事者としての経験から生まれたクラウド型電子帳票システム『ツクルデ』
株式会社カンブライトは、2015年に設立された開発会社だ。現在は食品製造業向けクラウドサービス『ツクルデ』の開発・販売を主力事業としているが、顧客の要望に合わせたオーダーメイドのシステム開発にも対応できる強みを持つ。創業当初は自社で缶詰を企画・製造し、販売する食品事業者だったが、さまざまな委託元から依頼を受け、商品の企画から製造、販売までを一貫して手掛けていたという。
執行役員/業務カイゼン支援
太刀川彰博氏
『ツクルデ』開発の原点は、同社が食品製造の現場で、紙による帳票管理の負担を実感したことにある。過去に製造履歴を確認する必要が生じた際、紙の帳票や仕入れ記録を一つずつたどり、原材料の入荷から製造、出荷までの流れを確認する作業に多くの時間を要したのだという。同社はこの経験により、日々の記録を電子化し必要な情報を速やかに確認できる仕組みの必要性を実感した。
そこで、元システムエンジニアである同社代表が自らプログラムを書き、現場の帳票を電子化する仕組みを開発した。これが、2022年に販売を始めた『ツクルデ』の原点だ。ほかならぬ同社が食品を実際に作っていた当事者であったため、現場で必要となる記録や運用を深く理解しており、食品製造業の細かなニーズをシステムへ反映できたという利点もあった。
『ツクルデ』は、紙の帳票をデジタル化して記録・管理できるだけではない。原材料の入荷、仕掛品の管理、製造、最終製品の出荷までのデータをひも付け、製造工程全体のトレーサビリティを一気通貫で管理できる点にも強みがある。帳票と在庫、ロットの情報を連動させることで、問題が起きた際にも必要な情報を速やかに追跡できるのだ。
太刀川氏は、「もともと自分たちが食品を製造していたので、現場が何に困っているのかを理解しています。単に紙をなくすのではなく、入荷から出荷までをつなげて管理できることが『ツクルデ』の特徴です」と説明する。『ツクルデ』は現在、食品工場をはじめとする多くの事業者に導入されている。
展示会で約5000社分のリードを獲得しても、商談・受注につながりにくかった
同社は2022年以降、食品関連の展示会へ継続的に出展してきた。認知度の向上とともに名刺交換の数も増え、3年間で集まったリードは約5000社分に達する。しかし、リードの多さがそのまま商談や受注の多さに結び付くというわけではなかった。
同社は、展示会後にはインサイドセールスで連絡し、アポイントの獲得を目指したものの、担当者の多くは「まずは話を聞いてみたい」という情報収集段階にあり、電子帳票システムの導入時期や予算が決まっているわけではない。そのためアポイントを得られても具体的な検討へ進まず、追客に時間をかけた末に商談が止まってしまうケースが少なくなかったのだ。
「展示会に出ればリードは集まります。ただ、そこから商談につなげ、受注まで進めることが非常に難しかったのです。話を聞いていただけたとしても、まだ情報収集の段階というお客様が多く、営業工数に対する成果が上がらなかったのです」(太刀川氏)
こうしたケースでは外部のテレアポ代行などを使ったアウトバウンド営業も選択肢になるが、月50万円程度の固定費がかかることも少なくない。また、食品製造業という広い市場において、電子帳票システムの導入を検討している企業をピンポイントで探し当てられるか、自社や製品の現状の認知度でそれが実現できるかという可能性にも懸念があった。
そこで同社は、課題がすでに顕在化し、導入に向けて具体的に動いている発注者と効率良く出会えるチャネルが必要という結論に至り、マーケティング担当者が発注ナビを見つけ、案件情報を確認した上で利用を決めた。
事前情報活用で商談の密度を高める。7~8件のエントリーのうち約7割が商談へ
発注ナビを選んだ理由は、大きく二つある。一つは、エントリー前に確認できる案件情報の充実度だ。発注ナビの担当者が発注者へヒアリングし、事業内容、実現したいこと、MUST要件、WANT要件、予算感などをそれぞれ整理しているため、これらを活用して自社製品との適合度を判断してから手を挙げられるという利点がある。
なお、この事前情報の活用により、同社は商談の進め方を変えたとのことだ。通常の営業や他の紹介サービスでは、1時間の商談のうち、最初の30分ほどを現状や課題の確認に使うことがある。製品紹介や画面デモに移る頃には残り時間が少なくなり、伝えたい内容を十分に説明できないこともあった。
一方、発注ナビ経由の商談では、課題や要件をあらかじめ把握できるため、最初の5分ほどで前提を確認し、残りの55分をツクルデのデモや個別提案に充てられるという。太刀川氏は、「お客様が何を求めているのかが事前に分かるので、商談の大半を具体的な提案に使えます。営業側にとっても進めやすく、内容の濃い商談になります」とメリットを語る。
もう一つの決め手は、商談日程が確定した時点で課金される従量課金の仕組みだ。業界特化型のSaaSは、毎月どれほど自社に合う案件が生まれるかを予測しにくいという側面がある。同社は発注ナビのSaaSプレミアムリードジェンプランを利用しているが、このプランは実際に商談へ進んだ段階で費用が発生する従量課金制のため、資料請求だけで課金される仕組みや固定費が継続して発生する施策に比べ、無駄なコストを抑えて運用できると判断したのだ。
現在、同社では発注ナビの案件確認からエントリー、商談までを太刀川氏が一人で担当している。重視しているのは、案件数を追うことではなく、事前情報を読み込み、自社が確実に価値を提供できる案件だけに絞ることだ。これまで手を挙げた案件は7~8件程度。そのうち5~6件、約7割が具体的な商談へ進んだ。
「数を打てば当たるという考え方ではなく、発注者の事業、課題、予算、MUST要件とWANT要件を細かく確認し、力になれると確信できる案件を狙っています。無駄な営業工数を使わず、この打率で商談できるのは非常に効率的です」(太刀川氏)
また、発注ナビの担当者による提案支援も成果を後押ししたようだ。発注ナビは、同社が考案した提案文を、Webサイトまで読み込んだ上で、強みが発注者に伝わる文章へ書き直し、テンプレート化するというサポートを行った。同社は現在もその文章をベースに案件ごとの内容を加え、最初の接点で顧客から「話を聞いてみたい」と思われるような提案を作っている。
有名な『花山うどん』の案件も受注。食品以外の製造業や旅館にも提案領域を拡大
発注ナビ経由で受注した代表的な案件が、うどんの製造・販売を手掛ける『花山うどん』への『ツクルデ』導入だ。案件情報には、事業内容に加えて予算が「1000万円以内」と明記されていた。同社には生麺を扱う企業への導入実績があり、要件との相性が良いと判断して、すぐにエントリーした。
商談によると、『花山うどん』は現場のDX、ペーパーレス化、電子帳票化を実現できる仕組みを7~8年ほど探し続けていたことが分かった。『ツクルデ』の画面デモを通じて具体的な運用を確認し、最終段階ではカンブライトの代表が製造現場を訪問。実際の現場を見ながら、既存機能で対応できる部分と運用方法を一つずつ確認し、その場で契約に至ったという。
「案件情報を見た時点で、当社の得意分野と合うことが分かりました。過去の類似実績もあり、MUST要件に応えられると判断できたので、迷わず手を挙げました。長くシステムを探していたお客様に、現場で使える形を具体的に示せたことが受注につながったと思います」(太刀川氏)
太刀川氏は、発注ナビは、同社がこれまで接点を持てなかった業界へ提案する機会も生み出したと続ける。食品関連の展示会だけでは、出会う相手は食品製造業に限られていくだろう。一方、発注ナビにはさまざまな業界の案件が集まるため、『ツクルデ』が持つ帳票、在庫、トレーサビリティの機能を別の用途に応用できないかを検討できるようになった。
例えば、鉄製品を製造する企業の案件では、同社代表が現地を訪問する段階まで商談を進めることができた。最終的な発注先として選ばれたのは他社だったが、食品以外の製造現場にも同社の提案は通用するという手応えを得られた。別の案件として、旅館・ホテル業からアメニティーなど備品の在庫を管理したいという相談があり、在庫管理機能を活用した提案を行った。これらの商談から得られた要望は、システムの機能改修や新製品の検討にも活用できているとのことだ。
「食品以外の業種の方と具体的な話ができたのは、発注ナビを使っていなければ得られなかった機会です。受注の有無だけでなく、別の業界で求められる機能を知り、製品の可能性を広げられたことにも大きな価値があります」(太刀川氏)
同社は現在、AI技術を搭載し、より幅広い製造業の業務に対応する『ツクルデ AI』を開発している。旅館・ホテル業への導入実績を増やすとともに、鉄製品や樹脂製品など一般製造業への横展開も進める考えだ。これまで接点を持てなかった企業と出会い、新たな用途を発見する架け橋として、同社は今後も発注ナビを活用していく方針だ。
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