大手新聞社の多くは、自社で取材用の航空機を所有している。株式会社中日新聞社もその一社だ。航空機は自動車以上に厳しい保安基準が点検・整備に適用され、それは部品の管理にも及ぶ。そうした部品の在庫管理が、法改正により煩雑になり、新たに航空機部品の在庫管理システムを導入することになった、中日新聞社の市川泰次氏にお話を伺った。
同社が発注した先は株式会社ティーダシステム。仙台市に本社を置く、従業員26名からなる会社で、2006年の設立以来、企業や団体、官公庁などさまざまなお客様のシステム開発、ウェブサイト制作を行ってきた。業務システムやWebシステムの開発を得意としており、少数精鋭でフットワークの軽く動けることを強みに、きめ細かな対応が期待できる開発会社だ。
自社で運航・管理している航空機の在庫管理が法改正により煩雑化し、Excelでの管理は限界に
――中日新聞社様の今回のご発注、要件はどういったものだったのでしょうか。
中日新聞社 市川氏 当社では、取材用の航空機を自社で運航・管理しています。私の部署には、整備士もおり、予備の部品もストックしています。これまではそのストックしている部品の管理をExcelで行っていたのですが、航空機の部品管理は法律で厳しく定められています。10年に1回ぐらい大きな法改正があるのですが、今年がその年でした。法改正に伴い、Excelでの管理では間に合わなくなり、新たにシステムを導入しようということになりました。
―― 航空機の部品の管理というのは特別に難しいものなのでしょうか?
市川氏 航空機の部品には厳しい基準が定められていて、部品ごとに定められた飛行時間や、製造からの経過時間に応じて交換することが義務付けられています。しかも1度取り付けてから外したら、その時点で破棄しなければならないものと、修理して在庫に戻して再利用できるものとがあります。そうした部品が5000から6000アイテムもあるため、管理は非常に煩雑です。
―― これまではそれをExcelで管理していたというのもスゴイですね。
市川氏 はい。これまでは飛行時間で管理する部品と、製造年月からの経過時間で管理する部品が明確に分かれていたので、2つの管理表に分けてそれぞれ運用してきましたが、法改正により、それらを一元的に管理する必要が出てきてしまいました。航空機に取り付けられている部品の飛行時間と製造からの経過時間を管理できるようにしなければならず、さらに、その部品を修理に出した後、返ってきた場合の取り扱いなども適切に行わなければなりません。製造年月、修理前に取り付けていたときの飛行時間、修理年月、再度取り付けを行ってからの飛行時間など、管理項目が複雑になるほか、既存のデータを合算する必要もあります。そうなると、現場の手作りのExcelシートではお手上げです。何らかのシステムソフトウェアに頼らざるを得なくなりました。
―― そうなると一般的な在庫管理パッケージシステムでも難しいでしょうか。
市川氏 市販の主要なパッケージシステムは概ねチェックしましたが、どれも航空機部品の管理には機能が足りませんでした。ただし、ある会社が売り込みにきたパッケージシステムだけは例外でした。正直、出来は良かったですね。ただし、価格が高いのがネックでした。パッケージなので不要な機能が多くあり、当社としてはその1/5で十分。そこで価格交渉をしてみたのですが、まったく取り合ってはいただけませんでした。
―― 航空機を運航する他社は、どうされているのでしょうか。
市川氏 同業他社にも聞いてみましたが、皆さん試行錯誤していましたね。外部にシステム開発を発注しているところが多く、予算を聞いてみたら、かなり高額な費用を掛けているようでした。とはいえ、当社としてもこのままでは航空機を飛ばせなくなってしまうので、システムを外部発注することを検討しました。予算を計上しなければならないので、できるだけ低コストで開発してくださる開発会社を探そうとネットでいろいろ調べたのですが、結局、素人にはわかりませんでした。
ネット検索だけではどれだけ時間がかかったかわからない。発注ナビで効率よく発注先を探せた
―― そのような中、発注先を探すのに発注ナビをお選びいただきました。
市川氏 ネットでいろいろ探しているときに、たまたま発注ナビの広告を見ました。渡りに船とばかりに利用してみることにしました。解決したい課題や予算感など、こちらの要望をお伝えすると、次の日にさっそく5社を紹介していただけました。これを一社ずつ探していたら、どれだけ時間がかかったかと思うと、発注ナビを利用して良かったと感じています。効率的に発注先を探せました。
―― ご紹介した5社から、最終的にティーダシステム様を選ばれました。
市川氏 紹介いただいた5社の所在地はさまざまでした。当社の拠点は愛知県で、私が勤務するオフィスは名古屋空港なので、最初は近隣の会社が良いかなと思っていました。最終的に発注したティーダシステムさんは仙台の会社なので、そういう意味では当初「仙台だと遠いな。大丈夫かな」という不安な気持ちが正直な印象でした。
―― 具体的に、どのようなプロセスを経てティーダシステム様に決まったのでしょうか。
市川氏 5社すべてと個別にオンラインミーティングをしました。そのうちの1社は、かつて航空機関係のシステムを手掛けたことがあり、航空機の部品についてもある程度の知識を持っていましたが、他の4社はいちから航空機部品についてレクチャーしました。わからないことは、わからないと言ってほしい旨も伝えました。そうしたやりとりの後、まず2社に絞り込み納期と予算を伝えました。
―― 最終的な決め手は何だったのでしょう。
市川氏 決め手は商談時の議事録でした。
ティーダシステムさんの議事録の内容は、オンラインでしか商談できない中でも信頼に足るものだった
―― 議事録ですか?
市川氏 後から商談時に言った、言わないが起こるは避けたかったので、各社との商談する際に、あらかじめエビデンスを残してほしい旨を伝えました。さらっと言っただけでしたが、5社のうち2社は、きちんと議事録を残してくださいました。絞り込んだ2社は、私の言ったことを細大漏らさず聞いてくださっていたということです。
2社に絞ってから1カ月ほどで、ティーダシステムさんに発注の意思を伝えました。ティーダシステムさんを選んだのは、金額というよりも信頼感でした。「次回までこれをしておいてください」という要望に、きちんと応えてくださいました。しかも対応もきめ細かい。議事録は非常にわかりやすく、ここまでは終わっている、ここはペンディング、次回はこの部分を決めましょう、ということが整理されていました。
結果として、ティーダシステムさんとは最終的に契約する時まで一度も実際にお会いすることがなく発注に至りました。それでも信用に足る会社であると確信できました。
―― 議事録の丁寧さが信用につながったということですね。
市川氏 結果として、5社の中で一番遠い場所にあるティーダシステムさんが、一番きめ細かい対応でした。コロナ禍で、どの会社ともオンラインでしか商談を進められなかったので、物理的な距離の遠さは特に問題ありませんでした。それよりも商談の中身です。毎回ミーティングのたびに同じことを言う必要がなく、ストレスを感じずに商談を進められました。
コロナ禍は一つのきっかけに過ぎません。オンラインでも商談ができることがわかってきたので、今後もオンラインでの商談機会は着実に増えていくでしょう。その時、何をポイントに相手を信用するのかというのは大きな課題だと思います。
技術力も大切ですが、それはシステムが出来上がってみなければ判断は難しい。商談を進める段階でわかることと言えば、そうした対応力の差しかありません。それに、それだけきめ細かく対応してくださる会社ならば、システムの作り込みも丁寧にしてくださるのではないか、という期待も湧いてきます。ですから、議事録の丁寧さも重要な判断材料になるのではないでしょうか。
発注ナビのおかげで信頼できる発注先と出会えた。ティーダシステムさんとは今後も長いお付き合いをしていきたい
―― 発注ナビを利用された印象はいかがでしたか。
市川氏 結果、予算規模で数百万円という契約になりましたが、もし、あのまま自分自身で直接ネットから発注先を探そうとしていたら、ここまでうまくいきませんでした。発注ナビのおかげでティーダシステムさんのような信用できる発注先を短期間で見つけられました。システムの外部発注経験がない者にとっては非常に心強いですね。
―― ティーダシステム様に発注したシステムはいかがでしたか。
市川氏 夏頃、システムを納品していただき、現在運用しています。ソフトウェアを作っていただいただけでなく、ティーダシステムさんのサーバーも使用しています。運用し始めると、いろいろなところで新たに細かい課題が出てきます。ティーダシステムさんは、発注後も打ち合わせのたびに議事録をつけていただいています。次のアップデート時にはこれをしましょうとか、来年のこの頃までにはこうしていきましょうといった、短期・中期の計画もきちんと議事録に残していただいています。率直に「丁寧だ」と感心してしまいます。ティーダシステムさんとは、今後も長いお付き合いをしていきたいと考えています。
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