「発注ナビ」にご登録いただいている開発会社の皆様が発注ナビの導入に至った経緯、その使用感、そして導入後のビジネスの変化はどのようなものなのか。株式会社CLOCK・IT 代表取締役である飯沼優輔氏にお話を伺った。
社名 | 株式会社CLOCK・IT |
所在地 | 東京都渋谷区広尾1-3-15 岩崎ビル7F |
従業員数 | 31 – 50名 |
事業内容 | システムインテグレーション Webアプリ・業務システムの受託開発 自社メディアの企画・開発・運営 |
掲載カテゴリ |
会社設立1年で自社サービスと受託開発をスタート
株式会社CLOCK・ITは2016年に設立され、ソフトウェア受託開発や、システムエンジニアリングサービス(SES)、国内ラボ型開発、自社サービスの企画・開発・運営など、幅広いビジネスを手掛ける実力派企業だ。
同社で注目すべきは、会社設立からわずか1年で、自社オリジナルのベビーシッターマッチングサービス「ママココ」をスタートさせている点だろう。
同社の母体は、大学生をターゲットにした広告入りノート「0円ノート(応援ノート)」や、DSP広告運用支援サービス「Target ON」など、アイデアに富んだ数々の広告関連事業を展開してきた株式会社CLOCK・ONグループ。自社でユニークなサービスを企画し実現していく推進力は、同社の技術力はもちろんだが、グループに根付くイノベーションのDNAをしっかりと継承しているからと言えそうだ。
また、会社設立から間もない時期から受託開発を充実させていっている点も大きな特長だ。一般に、新参の開発事業者がいきなり受託開発を行うには、信頼と実績、営業体制、納期までの運転資金など、いくつかの乗り越えるべきハードルがある。同社はどのようにしてこうした課題をクリアしたのだろか。
受託開発増を模索していたときに「発注ナビ」と出会う
「当社も設立当初はSES(システムエンジニアリングサービス)のみを手掛けていました」と株式会社CLOCK・IT代表取締役である飯沼氏は当時を振り返る。
SESは、準委任契約に基づき開発業務そのものをサービスとして提供するもので、必要な数のエンジニアによる開発力を顧客に提供していく。システムの完成を待たずに毎月売上が発生するため、設立間もない開発会社でも当座の運転資金に困ることがない。同じ準委任契約ながら自社でチームを組み開発力を提供する国内ラボ型開発も同様である。
一方で受託開発は利益率こそ高いものの、一般にシステムの納品までは仕掛となり、入金がないため、その間の運転資金を別途用意しなければならない。
そのため、会社設立後、早期に受託開発を手掛ける会社は少ない。むしろSESやラボ型開発のみで運営し続ける会社の方が多いぐらいである。
「しかし、SESや国内ラボ型開発だけだと、エンジニアの将来に対する不安解消やモチベーションの維持ができません。やがてエンジニアが離れていってしまいます(飯沼氏)」
多くの場合、SESや国内ラボ型開発では、要件定義やシステム提案、基本設計といった上流工程は発注サイドが握っており、開発力を提供する受注側のエンジニアは上流工程を手掛けるチャンスが少なく、自身の成長が見込めないなど、将来に対して不安になることが多い。また、下流工程ではエンドユーザーの顔が見えず、誰のためのシステムなのかが分からないため、開発業務に対するモチベーションを維持し続けるのが難しくなる。
こうした問題を解決するため、最上流から携われる自社サービスや、エンドユーザーからシステム開発を直接受託するプライム案件を受託できるようにする会社が多い。同社も早い段階から手を打っていた。
「SESで出入りするエンジニアが現場で信頼と実績を築き、エンジニアから顧客への提案で一部の開発業務を切り出して、受託開発として受注していました(飯沼氏)」
しかし、こうしたいわゆる「エンジニアの現場営業」には長い時間を必要とし、短期間で受託開発案件を増やしていこうとすると「営業リソースの不足」という壁にぶつかった。
「受託開発事業をはじめた当時は、専任の営業が1名しかおりませんでしたので量を追うには限界がありました。そこでアウトソーシング(アポ取得代行)なども利用し、受託案件獲得に向けた営業をテコ入れしたのですが、潜在的過ぎるニーズばかりで結果に結びつきませんでした(飯沼氏)」
アウトソーシングのオペレータは、必ずしもITの知識があるわけではない。そのため、アポが取れて、いざ商談に向かっても、具体的に開発の予定があるわけではなかったというケースや、漠然とし過ぎていていつまでも具体的な話に進めないというケースがほとんど。「潜在的過ぎるニーズ」というのは、そういう意味だった。
「1件アポが取れて数万円という契約でしたが、30件アポが取れても、1つも具体的な商談に進むことがありませんでした(飯沼氏)」
そしてあるとき「発注ナビ」の存在を知る。
「同業の知人に『ウチも(もっと)受託開発がしたいのだが、どうすればいいだろうか?』と尋ねたところ、それなら『発注ナビというサービスがある』と教えてもらいました。そこで早速登録して使い始めたのですが、導入から4カ月で最初の受注が決まったのには驚きました(飯沼氏)」
具体的な提案に進める割合の高さが魅力
「発注ナビでは、発注会社のニーズをIT知識のあるスタッフが詳しく聞き取った上で情報を開示してくれるため、こちらとしても予算規模やシステムにより解決すべき課題の概要などを把握した上で、その案件にエントリーするかどうかを決められます。エントリーするかどうかを判断する材料が最低限一通り聞き取り調査されている点は、営業する側にとっても嬉しいですね(飯沼氏)」
また、エントリーした開発会社の中から、発注ナビと発注会社で、商談可能な社数に絞り込んで紹介しているため、多数の内の1社として見られるのではなく、紹介後は商談からスタートできるという点も大きな特徴だ。
「発注ナビから紹介を受けたお客様の多くは、具体的なシステムの提案や見積提示や受注まで進めることができるような案件です。総合すると、エントリーしたうちのある程度は受注できているという感触です(飯沼氏)」
実際に、エントリー数に対しての商談数もしっかりと獲得できており、サービス利用開始以降2021年1月現在までトータルで4案件以上受注している。
ただし、同社は毎月エントリーしているわけではなく、開発リソースが空いているときだけ発注ナビを利用している。こうした利用に最適なのが発注ナビの用意するプランのうちの1つ「セレクトプラン」だ。同プランは月額固定料金の利用体系だが、決められた契約期間の中でエントリーをする月としない月を選択できる。契約期間中のうち1か月単位で任意の月を選択し、リソース状況に応じて自由に案件の獲得・停止をすることが可能で、限られたリソースを有効に使いたいというユーザーにお勧めだ。
「当社では発注ナビの競合となる別のサービスも利用しているのですが、そちらは具体的な提案まで進めるのが10件に1件の割合。残り9件のうち半分は金額面での折り合いがつかなかったり、単に見積書目的だったり、予定変更で発注そのものが取りやめになったりというケースで、そもそも連絡が取れない、発注を考えてもいないというところもありました。それでも毎月費用が発生してしまう。費用対効果を考えれば、発注ナビのセレクトプランがベストな選択だと思います(飯沼氏)」
ところで、発注ナビ導入前にサービスに対する不安はなかったのだろうか。
「事前にいろいろな情報を調べていたので、サービス自体に不安はありませんでした。むしろウチの開発体制で受け入れられるかどうかの方が心配でしたね(苦笑)。そんな当社でも受注できてしまうということは、実績ある会社も設立間もない会社も関係がない、良くも悪くも平等なわけで、そこが発注ナビの魅力なのだと思います(飯沼氏)」
強みを持ちリピート受注できる「選ばれる」会社へ
発注ナビの利用で、CLOCK・ITのビジネスがどのように変わったか、そして今後どう変わっていくのかを尋ねてみた。
「結局、テレアポ代行やメール代行はすべて利用を止めました。現在は、営業活動をすべて内製化し、ノウハウを社内に蓄積していく方向にシフトしています。また、一度受注したお客様からリピートがいただけるようになること、得意分野や強みを持ち、お客様から指名されるようになることを目指し、体制を整えています。その中で、受託案件の受注においては、相変わらず発注ナビが重要な位置を占めています(飯沼氏)」
ただし、発注ナビの運用方法については、サービス利用開始当初と現在で変化があったようだ。
「サービス利用を始めた当初はとにかく案件の数が欲しかったので、どのような案件に対してもエントリーしていました。しかし、去年は当社としても実績や経験が豊富なマッチング、予約、受発注関連のシステムに積極的にエントリーしました。そして現在は、難易度が高いペーパーレス化業務システムや、DX、AI関連など、今後の当社の強みにできそうな実績につながる案件にもエントリーしています(飯沼氏)」
また、リピートが見込めそうな案件については、小口のものでも積極エントリーするようにしているという。こうした取り組みは効果を生み出しているのだろうか。
「昨年12月に発注ナビで受注したお客様からは、まだ最初の案件を開発中にもかかわらず、次の開発案件のお話を頂戴しています。また、発注ナビのサイト上に当社の名前が掲載されているのを見て、直接コンタクトしてくださったお客様もいらっしゃいました。これは副次的な効果ですね。そのほかにも、自社サービスを運営しているということから『運用保守までお願いできないか』と持ちかけてくださるお客様もいらっしゃいます(飯沼氏)」
また、成約に至らなかったケースでも、その後の連絡を絶やさず、次の受注機会につなぐ「ナーチャリング」も積極的に行うようになったという。
「現在、当社のビジネスに占める受託案件の割合は3割程度ですが、早々に5割を目指したいと考えています。そのため、人員体制の強化や勉強会を通じたスキルの向上を図り、より多くのお客様の課題解決のご支援ができるようにしていきたいと考えています(飯沼氏)」
設立間もない会社から長年にわたる実績を持つ会社まで、平等に受注のチャンスがあり、費用対効果に優れる発注ナビ。これから受託開発を増やしていきたいと考える方は、ぜひこの機会に導入を検討してみてはいかがだろうか。
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