岐阜県に拠点を構える老舗菓子メーカー、鈴木栄光堂。製菓業を起点として創業140周年を迎える同社は、時代のニーズに合わせ、さまざまな事業を展開し、現在ではアミューズメント施設向けの菓子販売でトップシェアを誇ります。菓子を軸として多くの価値を提供する、同社が取り組んだサイトリニューアルプロジェクトとは?代表取締役の鈴木伝氏と、開発を行ったジェネロ株式会社の竹内大志氏にお話を伺いました。
■きっかけは海外向けブランドサイトの制作から
――鈴木栄光堂さんは、今回、開発会社探しを発注ナビへご依頼されましたが、どのような課題を解決するためだったのでしょうか?
鈴木栄光堂 鈴木氏 当社は2017年に創業140周年を迎えた老舗和菓子店ですが、常に時代に合わせたビジネスを展開する進取の社風が根付いています。2代目はゼリーの生産を始め、おまけつきキャラメル「ゼリコ」を発売し、3代目は中国・韓国・ハワイ等への海外輸出を展開。4代目はおもちゃやぬいぐるみの輸入を始めました。私は5代目ですが、現在は菓子製造だけでなく、卸売りも手掛けています。自社製品のみならず大手菓子メーカーの製品も卸しており、ゲームセンターやアミューズメント施設で見かけるクレーンゲーム用の販売では、トップクラスのシェアを持っています。
今回の件は、海外戦略を担当する当社の専務が海外向け『Zelico』ブランドを海外にも浸透させるために、海外向けの外国語サイトを制作したいというのが発端でした。中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)による費用補助も利用できたため、自社ではなくプロに任せて、質の高いサイトを制作するために開発先を探していました。
――鈴木栄光堂さんへは、発注ナビから6社ほどの開発会社をご紹介させていただきましたが、最終的にジェネロさんからのご提案で決裁されたのは鈴木社長と伺っています。具体的にどのような点が決め手になったのでしょうか?
鈴木氏 当時、私のほうでも、全社のサイトリニューアルを考えており、いろいろ“つて”を当たって開発会社を探していたのですが、なかなか見つからず、専務から発注ナビで探していると聞き、もし良い発注先があれば、いろいろお願いできるのではないかと考えました。クオリティを重視したいので日本全国どこの企業様でも構わない、ゼロベースで一緒に考えながら開発してくれる会社を、と考えていました。
決め手となったのは、ジェネロさんが提案してくださったDrupal(※1)の優位性が当社のビジョンと一致していたことと、何よりも岐阜の会社まで足しげく通ってくださる真摯な姿勢です。結果として『Zelico』のサイトが首尾よく完成し、その後、当社のホームページ、自社ECサイト『栄光堂ショップ』、さらにグループ傘下の子会社や各ブランドサイト、それぞれのECサイトのリニューアルなどもお願いしています。
岐阜県内にも良い開発会社はあるでしょうが、東京と比べると圧倒的に数は少ない。東京にあるジェネロさんのような、当社の要望を満たし、信頼のおける会社と出会えたのは発注ナビのおかげだと思っています。
(※1)DrupalはオープンソースのCMS(コンテンツマネジメントシステム)。コンテンツ管理のみならず、さまざまなサービスや商取引も可能にするWebアプリケーションフレームワークとして位置づけられることも多い。ジェネラルエレクトリック(GE)、ファイザー製薬、ディズニー、ネスレなど、海外の大手企業で利用されている。
■工期よりクオリティ! モジュールをスクラッチで開発
――今回のご提案・開発でジェネロさんがこだわられたのはどのような点でしょうか?
ジェネロ 竹内氏 鈴木社長から『Zelico』だけでなく、他のブランドサイトやECサイトも検討していると聞かされたので、当社が得意とするDrupalを単なるCMSとしてではなく、サイト管理の基幹システムとして優位性がある点を理解していただけるようにご提案しました。
Drupalは、ブランドサイト、ECサイト、コーポレートサイトなど、さまざまなコンテンツを含む複数サイトを一元管理するのに適しています。また外国語のサイトに強いのも特長です。企画段階から全体構想をお聞きすることができたので、適切なご提案を差し上げることができました。
開発で最も苦心したのは、ECサイトでした。鈴木栄光堂さんでは、自社ECサイトにEC構築パッケージであるEC-CUBE(※2)、Futureshop2(※3)等、グループ会社ごとにバラバラで運用されていました。また一部のサイトでは、在庫・受発注管理にネクストエンジン(※4)を利用していました。CMSはDrupalにして、在庫・受発注をネクストエンジンにすることで、グループ会社の運用体制を統合できるものの、Drupalにはネクストエンジンと連携させるためのモジュールがありません。在庫・受発注管理は変えたくないとのことから、工期は伸びるものの、Drupalで対応するためのモジュールを自分たちで開発したいと鈴木社長に申し出ました。
鈴木氏 当社としてもクオリティを重視していたことと、ジェネロさんがきちんと納得のいく説明をしてくださったことから、工期に関しては多少伸びても構わないと判断しました。ただし、補助金のこともあるので年度内には間に合わせて欲しいとお願いしました(笑)。
竹内氏 在庫管理や受発注に携わる社員の業務は大幅に変えたくない――守るべきところと攻めるべきところを早い段階で決断してくださったので、当社もモジュール開発に全力で取り組むことができました。
楽天市場にも出店している『チョコル』ブランドの、自社運営サイトである『チョコル本店』。在庫・受発注管理を従来から使ってきたネクストエンジンと連動させるため、Drupal用のモジュールをスクラッチで開発。同モジュールは『栄光堂ショップ』などでも利用。もともとCMSとして発展してきたDrupalを採用したことにより、サイト内に豊富なコンテンツを収納可能になり、かつ、一元管理できるようになった。
(※2)EC-CUBEは、株式会社ロックオンが開発したEC構築パッケージをオープンソースとして公開したもの。国内ECサイトで多数の利用実績がある。
(※3)Futureshop2は、株式会社フューチャーショップが提供するオンラインショップ構築・運用ASPサービス。
(※4)ネクストエンジンは、Hamee株式会社がASPとして提供する複数オンラインショップにおける在庫・受発注管理ツール。
Drupalは国内外に多数のブランドを展開するニーズにピッタリ
――逆に、開発がしやすかったのは、どのようなところですか?
竹内氏 打ち合わせの場に、必ず鈴木社長が出席してくだるのが、とても助かりました。担当者だけだと、その場で決まらず、持ち帰って検討するといったことが起きやすいのですが、鈴木栄光堂さんに限っては、そうしたことが一切ありませんでした。鈴木社長が即決してくださるので、話がまとまりやすく、こちらからの提案もダイレクトに伝わるので、とても助かりました。
――現在進んでいるサイト開発プロジェクトは近々完了と伺っていますが、今後の展望などをお聞かせください。
鈴木氏 当社が傘下に取り込んだ『東京どりいむ』も『千秋庵総本家』も、もともと黒字だったのですが、後継者がおらず、事業継続が難しかったという経緯があります。
当社としてもこうしたブランドが消えていくことを座視しているわけにはいきません。新たな市場を開拓していくのは主に海外とし、国内は、そうした消えゆくのが惜しまれるブランドを支え、ブランド価値をより一層高めることで、長く愛される製品を世の中にご提供していきたいと考えています。
そこで当社では新たにブランド戦略担当を大手菓子メーカーから迎え、東京の青山に企画部門を設置しました。これを機に、ジェネロさんとも、長くお付き合いをしていくことになるのではないでしょうか。
竹内氏 鈴木栄光堂コーポレートサイト、BtoB向けの『お菓子ファクトリー』
しかし、サイトを作ったらそれで終わりではありません。DMやSNSを利用したサイトへの集客など効果的な運用を行っていく必要があります。今後は、そうした運用面に関する仕組みづくりなども、企画部門にご提案をしていきたいですね。
Drupalは、多くのコンテンツを含む複数サイトを管理することに長けており、鈴木栄光堂さんのような、国内外に向けて多数のブランドを展開していくビジネスニーズに最適なソリューションです。今後のビジネス展開にも、さまざまな角度からお力添えできればと考えています。
――モジュール開発を経て両者の関係も強固に結ばれたのですね。今後の両社の展開を期待しております。ありがとうございました。
■今回学んだ発注が上手くいく3つのポイント
◆先を見据え、システムやサイトの全体構想を明らかにする
◆守るべきところと攻めるべきところを明確にする
◆トップが打ち合わせに出席することで開発がスムーズに
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