SaaS製品を活用した超高速開発を強みとする株式会社すまいる顔。自社開発のSaaS製品の品質や顧客対応には自信があるものの、新規顧客との出会いに課題を抱えていた。そんな同社は2024年4月に発注ナビのSaaSリードジェンプランを導入。エントリーする案件を見極めることで、利用開始から半年に満たない期間で3件の新規案件の獲得に成功した。代表取締役の枚栂木 崇史氏と営業担当の羽二生(はにう) 亜衣氏にお話を伺った。
社名 | 株式会社すまいる顔 |
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所在地 | 大阪府大阪狭山市狭山5-2258-3-101 |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | 業務用アプリの企画・開発 |
掲載カテゴリ | |
ITセレクト掲載製品 | 販売・生産管理システム|FAST |
ITセレクト掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
株式会社すまいる顔は自社開発のSaaS製品において、納品後3か月間は無料カスタマイズに対応し、顧客の業務フローにマッチしたシステムに仕上げるという独特のサービスを展開。高い顧客満足度を得ていたが、そもそも新規顧客に出会えないことに大きな課題を感じていた。テレアポ代行や複数のマッチングサービスも試したが、質の低いリードや商談につながらない案件が多く、より効率的に新規顧客を獲得できる手段を模索していた。
- 導入後の効果
発注ナビのSaaSリードジェンプラン導入後、エントリー案件の見極め方に工夫を加えることで、商談の機会が増加。契約から半年に満たない期間で3件の新規案件を獲得に成功した。さらに、失注した案件でも顧客へのアンケートでフィードバックを収集し、定期的な連絡などで要望をヒアリング。SaaS製品とシステム開発の改善に役立てている。発注ナビを起点として『良い循環』を生み出すことができた。
そもそも新規顧客と出会うのが難しい課題解決に選んだのがSaaSリードジェンプラン
株式会社すまいる顔は、ローコード開発ツールのClaris FileMaker やWebフレームワーク、さらには自社開発のSaaSを活用した超高速開発に強みを持つシステム開発会社だ。一般的なシステム開発は設計から開発、そして実際の稼働開始に半年や1年近くかかるケースも少なくない。それに対し、同社では顧客との打ち合わせと設計に約1~2か月、開発に約1か月の2~3か月程度という短期間でシステムを作り上げることを基本としている。
なかでも同社が得意としているのは、FileMakerをベースに販売管理や顧客管理、案件管理などの総合経営管理システムとして自社開発した「FAST」(ファスト)」や、FASTと連携してECサイトを構築できる「FAST+EC(ファストEC)」など、オリジナルSaaS製品群を活用したシステム開発だ。Claris FileMakerや自社開発のSaaSをフルに活用し、主に製造業や流通業、販売や卸業向けのシステムを超短期間で作り上げることができるのが同社の特徴だ。
そんな同社だが、FASTやFAST+ECといったSaaSを活用した新規システム開発案件の開拓で難しさを感じていた。枚栂木氏は「通常、SaaSが売れない理由は2つあります。『製品の質が良くない』か『お客様の業務フローにマッチしない』かです。当社はどちらもクリアしていましたが、それでも新規案件の獲得が難しかったのです」と当時を振り返る。実際、同社ではSaaSの品質はもちろん、顧客の業務フローに合わせるための工夫にも独特の発想で取り組んでいた。SaaS納品後の3か月間はカスタマイズ無料で対応していたのだ。実際に導入して顧客自身に使ってもらい、使いにくさを感じる箇所へカスタマイズや改修を行うことで、「3か月間で完全にお客様の業務フローにマッチしたシステムに仕上げる」(枚栂木氏)ことを徹底していた。
こうした工夫もあって同社では、「新規のお客様に出会い、提案や商談の機会さえもらえれば、新規案件を獲得できる自信はありました」(枚栂木氏)という。問題は、そもそも新規の顧客に出会えないことだったのだ。
リード情報ではなく商談を提供するサービスだったことが決め手に
通常、SaaSベンダーでは、『リードを獲得できても商談につながらない』、『自社のSaaSに合致したリードがなかなか取れない』といった課題に悩むことが多いという。そうした課題の解決のために、展示会や商談会などのイベントへの参加を検討するSaaSベンダーも多いが、出展準備に工数と時間がかかるのが悩みだ。同社に限らず多くのSaaSベンダーでは、新規顧客との出会い、それも『自社のSaaSがピッタリはまる新規顧客との出会い』に頭を悩めている姿が見えてくる。
同社もテレアポ代行やマッチングサービスを検討したという。しかし、テレアポ代行は効果がなく、マッチングサービスについては、「実際に複数のマッチングサービスを使ってみましたが、いずれも紹介される『案件の質』が良くありませんでした。本気でシステム開発を検討している発注者ではなく、『システム開発にいくらぐらいかかるのか』、費用を知りたかっただけのような案件が多く、商談にならなかったのです」(枚栂木氏)。
そうした中で同社では以前から利用していた発注ナビで新たにSaaSリードジェンプランがスタートしたことを知り、2024年4月からその利用を開始した。利用を決めた理由について、枚栂木氏は「『商談に至った件数』に応じて課金される仕組みだったこと」を挙げた。SaaSリードジェンプランは、リードを提供するのではなく商談を提供するサービスだ。「多くのマッチングサービスでは、商談できてもそうでなくても『リード情報1件ごとに』費用が発生するのが一般的です。ところが発注ナビのSaaSリードジェンプランは『実際に商談となった場合』のみ費用が発生します。また、発注ナビの親会社であるアイティメディアのSaaS/IT製品の比較・紹介サイト『ITセレクトpowered by 発注ナビ』でも同時に当社のSaaS製品が紹介されると説明を受けたので即決しました」と話す。
また、同社の営業担当の羽二生氏は、「2018年から発注ナビを利用していますが、平均すると毎月10件程度案件の紹介を受けていると思います。それだけ商談の機会を得られているということ。もちろん全ての案件が成約に至っているわけではなく受注も失注もありますが、重要なのは商談の機会を得られるかどうかということ。そこを重視して発注ナビのSaaSリードジェンプランを新規に契約しました」と理由を説明する。
利用開始から半年に満たない期間で3件の新規案件を獲得
こうして2024年4月からSaaSリードジェンプランの利用を開始した同社だが、利用開始から数か月の間にすでに2件の新規案件を受注した。さらに、「もう1件、受注の内示をいただいている案件もあります」(枚栂木氏)という。契約から半年に満たない期間で3件の新規案件を獲得できているのは、かなりの高確度といえる。
同社がこうした成果をあげている理由はどこにあるのか。それを羽二生氏は、「エントリーする案件の見極め方」と説明してくれた。同社では通常、毎朝9時の始業の前に発注ナビから送られてくる全案件を確認するという。その中からどの案件に応募しようかとエントリーする案件を決めていくのだが、SaaS案件の場合にはエントリーする基準を設けている。「SaaSとひとくくりで考えてエントリーするのではなく、まずは自社のSaaSにマッチした案件かどうかの内容を確認し、次に予算感を確認します」(羽二生氏)という。「SaaS案件は一般的に予算が数万円規模のもの、サブスクリプションで考えて月額数万円以内のものがほとんどです。あまりにも少ない予算では当社のSaaSを導入することはできないし、当社が獲得したい案件ではありません。この予算感をどう見極めるか、そこに注意を払っています」(羽二生氏)。
具体的には、どこに注意を払っているのか。「先に話した通り、SaaSなら安価にシステムを作れると考えている発注者も多いのですが、実はSaaSでも1000万円近い予算を考えているお客様もいらっしゃいます。そうしたお客様は『予算はこれくらい』と明記していなくても、最初からカスタマイズの要件を記載しているなど、システム構築を安易にできるとは考えていないことが案件情報から読み取れます。そうした案件に絞り込んでエントリーしているのです」(羽二生氏)。
SaaSを導入しようと考えている企業は、安く入れたいという企業ばかりだとは言い切れない。SaaS=サブスクリプションと思っている発注者は「サブスクなら安いだろう」と思っているケースが多いが、SaaSをカスタマイズしてきちんとソリューションに仕上げようという顧客であれば、それなりの費用がかかることを見越しているケースもあるということだ。
案件を成約した場合でも失注した場合でも個別にアンケートを取り今後につなげる
もうひとつ、商談件数で課金となる仕組みのSaaSリードジェンプランならではの、同社なりの特別な利用方法を教えてくれた。それは、失注したときの使い方の工夫だ。商談を提供するサービスではあるが、当然、失注することもある。むしろ商談しても必ずしも受注できるわけではなく、むしろ失注することのほうが多いかもしれない。だからこそ、「失注後のフォローが大切になると考えています」(枚栂木氏)。
具体的にどのようなことをしているのか。羽二生氏は「せっかくご縁をいただき、商談までさせていただいた大切なお客様です。その後、ご迷惑でなければ定期的にご連絡させていただいています」と説明する。失注したということは、同社ではない他社がシステム構築を担当したことになる。ただし、そのシステム開発会社が構築・導入したシステムに顧客が満足しているのか、課題は解消されたのかを考えると、必ずしもそうとは限らないだろう。そこで、同社では「あくまでもお客様のご迷惑でない範囲ですが、定期的にご連絡をさせていただき、システムに関するちょっとしたご相談などに対応するように心掛けています」(羽二生氏)。
さらに、同社では、成約した場合でも失注した場合でも、顧客に対して独自のアンケート調査に協力してもらい、今後のシステム開発の品質向上や、顧客満足度の向上に役立てているという。「例えば、当社の営業担当の身なり、言葉使いから始まり、ご提案の内容、品質、他社と比べた感想などを聞いています。こうしたアンケートからは自社を客観的に見ることができるだけでなく、お客様が将来的にどのようなシステムを望まれているのか、その思いをくみ取ることもできるのです。それに向けて準備を整え、適切なタイミングでご提案を行う、発注ナビがこうした良い循環を生み出す起点になってくれればいいなと考えています」(枚栂木氏)。すでに次のステップが見えているようだ。
リード獲得の課題は「発注ナビ」で解決!SaaS・IT製品に特化したビジネスマッチング
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