今回は、「会計管理の業務システムで検討しておくべき点」について。
管理会計に対応できるシステムか?
国際会計へのコンバージェンスに対応しているか?
財務管理の実践的機能が充実しているか?
会計システムとは
「伝票をひとつひとつ記録していけば、仕訳が自動的に行われ、簿記会計の知識がなくても財務諸表が作成できるソフト」。会計システムに対してそのような印象を漠然と抱いている方もいらっしゃるでしょう。事実そのような会計ソフトは数多く市販されています。
しかし、業務システムとしての会計管理に求められるシステムは、今日ではそれよりもはるかに高度で複雑化しています。また従来の会計システムは主に財務会計(会社の会計情報を株主・投資家などの利害関係者に対して開示することを目的とした会計)を担当していましたが、最近は「管理会計システム」の重要性も高まっています。会計システムの導入にあたっては、このような管理会計システムのほか財務(財務会計とは異なる)や国際会計への対応性など「どのような機能が必要か」「どのような分野をどこまでカバーできるシステムが望ましいのか」といったことを検討しておく必要があるでしょう。
管理会計に対応できるか?
「会計管理」と「管理会計」は名称がよく似ているため混同されがちですが、まったく異なる概念です。
管理会計とは、財務会計のように外部公開のための財務諸表を作成するものではなく、会社の会計情報を経営者や幹部などの経営陣に対して情報提供し、経営の意思決定や組織の業績測定・評価などに役立てるための会計です。原価計算や予算管理を中心に、さまざまな会計指数から戦略を立案したり資金計画を策定するといったことに役立てられます。
これから導入する会計システムの中に上記のような「管理会計」の機能を包括させることも可能ですし、別の管理会計専門のシステムを導入し、従来の会計システムと連動させるといった方向性も考えられるでしょう。
国際会計への対応
近年の財務会計において非常に大きなテーマとなっているのが「国際会計(IFRS)への対応」です。
IFRSはこれから世界標準になろうとしている会計基準です。しかし従来の会計基準は各国ごとに独自の基準が設けられており、日本にも日本独自の会計基準がありました。またアメリカの会計基準である「US-GAAP」の存在も日本の会計基準に大きな影響を与えました。
IFRSはUS-GAAPとも異なり、EUを中心として普及・整備が進められてきた会計基準です。いま、日本の会計基準は会社法や商法、企業会計基準の改正といった法整備もあわせ、IFRSへ移行する過渡期となっています。
IFRSの導入は段階的にコンバージェンス(日本の会計基準を修正してIFRSとの差異を解消する施策)が進められており、特に海外の証券取引所に上場を検討している企業や、海外進出・海外現地法人の設立などを検討している企業にとってIFRSへの対応は喫緊の課題といえるでしょう。
これから会計システムを導入するのであれば、IFRSへの移行を念頭に、その対応性を持つシステムを選び、どのように対応するかを検討しておく必要があるでしょう。
「財務」への対応能力
もうひとつ、会計管理システムを考えるうえで必要不可欠な機能が財務管理機能です。
ここでいう「財務」とは「財務会計」のことではなく、企業の資産・負債・損益・キャッシュフローを管理する、いわゆる「資金繰り」や「資金調達」のことです。
財務機能が充実していない会計システムは会社を運営していくうえであまり役に立たず、また経営の実態とも乖離してしまうことがよくあります。
「財務諸表さえつくれればいい」と割りきって考えるのでない限り、会計管理システムの導入の際は「財務に強い」=経営に役立つシステムの導入・構築を検討する必要があるでしょう。具体的には「資金繰り管理機能」「債権管理・支払管理機能」「財務分析機能」などの実装が望まれます。
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